ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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どうも、グルメです。

第2章開幕です。最初はプロローグ的な意味でスバルやハジメ達は出てきません。
ですが、今後物語を大いに関わってくるであろう人物達が登場します。


それでは、どうぞ。


第2章 旅の始まりは最強の誕生と最恐の出会い、そして、うざかわいいライセン大迷宮へ 
ウサギとヤツらたち


ライセン大峡谷。

 

地上の人間にとって、そこは地獄にして処刑場であり、断崖の下はほとんど魔法が使えず、また多数の強力にして凶悪な魔物が生息する場所。グリューエン大砂漠から東のハルツィナ樹海まで大陸を南北に分断する大地の傷跡である。

はっきり言ってプロの冒険者ですら行くのをためらう大峡谷に人影があった。

 

「……早く行かなくちゃです。あの未来へ、あの人達のもとへ。」

 

何か意味ありげに呟く十代半ばの女の子は周りをキョロキョロさせて魔物がいないと分かると駆け出した。

 

頭の上にある可愛らしいウサミミをなびかせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくしてハルツィナ樹海の最深部、巨大な一本樹木の大樹ウーア・アルトのさらに奥にそれはあった。一言で言うなら砦である。

東京ドーム1個の広さを持つ砦はツタや苔が生い茂っても立派な鉄の城壁に守られており、砦の中は小さいものでアパートくらい高さ、高いもので5~6階くらいの高さの石積みの建物がいくつかあり、さらに石積みの建物より高い大樹があちらこちらに生えていた。そのため年中、陽の光が当たらず湿気ているが上空から見れば大樹の茂みにより砦が隠れており、上空から砦の位置を特定するのは困難とさせていた。

その砦の中で立派な建物、例えるならノートルダム大聖堂のような建物の中に土台にのったバレーボールくらいの大きさの水晶があった。その水晶は輝くと何かを映し出した。

 

 

 

 

 

 

樹海の中を歩く集団。先頭を歩く二人は兎の亜人、弱々しい中年男と若い女性、歳が離れているから親子と見られる。

次に白髪に右目を眼帯をかけている人間の青年、その隣には金髪の紅い瞳をした美しい少女がおり、二人の一歩後ろには白髪の青年と同じくらいの歳の青年が三人並んで歩いていた。

そして、さらに後ろには兎の亜人、男女合わせて40人がまとまって歩いていた。

 

この集団が何処に向かっているのか定かではないが、迷う素振りも見せずに歩き続け、濃い霧に包まれて消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが数日前から繰り返し映し出されている映像の全てだ。」

 

実直な声の大男が言うと、一人の大男が愉快そうに意見を言い出した。

 

「オイオイ、あの映像に映っていた金髪は陛下だろ? 何で生きているんだ? 死んだって聞いたけどな。」

 

「それは私も聞いた。生きているとは考えられない…もしや、死霊か!?」

 

「落ち着けって、まだそうと決まったわけじゃないだろ?」

 

愉快そうに話す大男の隣、黒いローブを着た男は死んだ者を傀儡にする‘’死霊‘’を酷く嫌っているのか怒りをあらわにして愉快そうに話す大男になだめられた。

 

「あ~陛下、変わらずお美しい~。再びその美しさをご尊顔出来るのですね~……それにしてもお隣の殿方は一体?」

 

「ただ物ではないのは確かだな……あの目を見ろ、多くの者を狩ってきた目だ…フフッ、油断は出来んぞ。」

 

王族が着るようなマントを羽織っている男は陛下の美しさに虜になるなか、隣にいた初老声の男は陛下の隣にいる男に警戒を高めていた。

 

「おめぇ、陛下が本物だったらどうする?」

 

「そりゃあ、ドカーンで派手にお祝い。逆に聞くけど、偽物だったらどうする?」

 

「もちろん、ドカーンっでぶっ飛ばそうぜ!」

 

「ガハハハハハ、楽しそうだなお前ら! どれ、俺も陛下が来た暁には銅像の一つ立ててやるか!」

 

左右対称にそれぞれ顔に大きな焼け跡を持っている二人組の男は陛下がやって来た時の対応を考えており、その隣にいた髭モジャの大男もノリにのって笑いながら豪語するのだった。

 

「それにしても何故この兎人族は人間と行動しているのだ? フェアベルゲンの掟では外部の接触はおろか招き入れるなど大罪のはず…なのに何故?」

 

クモの上半身を半分に切った物を頭に被っている大男が疑問視していると、いきなり大きな音と共に近くの扉が開き、茶色の頭巾を深く被った男がやって来た。

 

「取り込み中、失礼します。報告したいことが…」

 

頭巾の男がそう言うと辺りを見渡した。特に止める者がいなかったため報告を続けた。

 

「樹海近辺にいました帝国中隊と交戦、帝国軍は撤退していきました。被害は重軽傷は多数出ましたが死者は出ておりません。」

 

「おっ、そうか! それにしても……ハァ~俺様も集まりがなければ戦場に立って人間の10や20の首、引っこ抜いてやったのにな~」

 

「しかし、中隊相手によく死者を出さなかったな。一体、どのようにして勝利を納めたのだ?」

 

愉快そうに話す大男は帝国と一戦交えなかったことに落胆しており、黒いローブを着た男は死者を出さなかった秘訣を尋ねた。

 

「奇妙な事に樹海から出ている亜人の一団がありまして、帝国はそれを奴隷として捕まえるのに夢中になっておりました。我らはそれに乗じて帝国軍を急襲しました。」

 

ここで実直な声の大男がある疑問を浮かべた。

 

「亜人の一団? それは一体どこの亜人だ?」

 

「……たしか、兎人族…だったような…。」

 

頭巾の男は先ほどの戦場で駆け巡って微かに見かけた兎人族の姿を思い返しながら答えた。

思えば何故、樹海の外に兎人族がいたのか頭巾の男もわからないでいた。ハルツィナ樹海で生まれた亜人なら樹海の外に出たらどんな危険が待ち構えているのか知らなくもない話だ。

それなのに部隊を編成して駆け付けた時には既に兎人の一団は帝国軍に追いかけ回され、何人かの兎人は捕まっていた。はっきり言って捕まろうが殺されようが知ったことではないが、帝国軍の気がそれているのは事実。この機を逃すまいと思った頭巾の男は率いた部隊で帝国軍を後ろから急襲、帝国軍は逃げ惑う兎人に気を取られていたため一度は総崩れになるも直ぐに態勢を立て直した。

帝国軍の反撃はあったものの意外にもそれ程過激ではなく、どうやら捕まえた兎人を横取りされると思い込んだのか帝国軍は捕まえた兎人及び新しい奴隷を守りながら早々に帝国に帰って行った。

 

頭巾の男は先程の戦闘の過程を思い出していると、

 

「兎人族?」

 

「あれ? 俺らさっきどっかで見たような……?」

 

大きな焼け跡を持っている二人組の男は、ふと水晶の方を向いた。他の者達もつられるように水晶に注目すると先程の見た映像が映し出されていた。改めて見るとそこには兎人族が映し出されているのだった。

 

「戦場で見たのは、この兎人族だったか?」

 

「……………間違いありません、この兎人族です。それにこの二人を戦場で見かけたのを覚えています。」

 

実直な声の大男の問いかけに頭巾の男は頷き、それと同時に映像に映っている先頭の二人の兎人を指差した。するとここでマントを羽織った男が「あっ」と呟いて口を開いた。

 

「思い出しました、彼らはハウリア族です! 私、噂で‘’兎人族の中にとても美しい女性がいる‘’…そう聞いたものですから一度お目にかかろうと探したことがあるのです。それで、見つけだしたのがこの先頭の女性です。確か名前は、シア・ハウリアという名でした。」

 

そう言って思い出すかのようにしゃべっていると髭モジャの大男が「ガハハハハハ」笑いだしながらしゃべりだした。

 

「亜人族の中で隠れることに特化した連中をよく探し当てたもんだな。」

 

「お忘れですか? 私のクラスは追跡者(トラッカー)。逃げようが隠れようが必ず見つけだしますよ。例えそれが兎人族だとしてもね。」

 

「ガハハハ、そう言えばそうだったな! 300年経っても技は劣ってないとうことか!!」

 

マントの男は胸を張ってそう言うと髭モジャはさらに大笑いした。笑い声が響く中、愉快そうに話す大男が手を上げて発言した。

 

「ハウリア族と言えばこんな噂も聞いたぜ……‘’亜人にはない魔力を持った奴がいる‘’と。」

 

「ええ、それも聞き及んでいます。それも彼女なのですよ。その証拠に他の亜人族に彼女の存在は知らされておりませんでした。」

 

「まぁそうだろうな。フェアベルゲンの掟だと魔力を持った亜人は直ぐ処刑だからな。」

 

「………かわいそうに。きっと幼少の頃から辛い思いをして来たのでしょうな…」

 

愉快そうに話す大男の言葉にマントの男はシアと呼ばれる女性が辛い思いをして来たことを想像して涙ぐみ、ボロボロの布切れで目元の涙を拭いていた。そして、初老声の男が不敵な笑みを浮かべてここまで話しをまとめだした。

 

「フフッ…ここまで情報が集まると話しが見えてきたぞ。ハウリア族(あやつら)は魔力を持った小娘の存在がバレて騒ぎが大きくなる前にハルツィナ樹海を出た。しかし、運悪く帝国軍と鉢合わせして逃げ惑う中、我らの急襲のおとりにされたというわけか…で? その後、ハウリア族はどうなった?」

 

「………逃げ延びた者はライセン大峡谷に落ち延びて行きました。」

 

頭巾の男がそう答えると黒いローブを着た男は目を開いて驚いた。

 

「なんと! ライセン大峡谷にか!? あそこの魔物は我らとて一筋縄ではいかぬというのに……よりにもよって力のない兎人族がそこに逃げ込んでは…」

 

「だが、結果的にこの映像を見る限りハウリア族(あやつら)は生き残っておる。ライセン大峡谷でどういったわけか陛下と出会い、こちらに戻って来たのだろう。殺されると分かっておりながら戻ってくるとなると………ここに映っている人間共は余程強者そろいと見てよいだろうな。」

 

初老声の男はそう言いながら「フフフッ…」と不気味に笑みを浮かべた。

 

例え帝国軍に打ち勝つ強い彼らでもライセン大峡谷にいる魔物との戦闘はなるべく避けている。そこらの辺の魔物と比べ物にならない程強いのだ。そうなると、ただでさえ力のない兎人もといハウリア族がそんな所に逃げ込めは当然どうなるのか容易に想像出来る。しかし、水晶に映っている映像を見る限りハウリア族は生きている。彼らに戦う手段はない、映像に映っている陛下を含めた人間達に守られてハルツィナ樹海に戻ってきたのだろう。故にハウリア族を守ってきた人間達は少なくともライセン大峡谷にいる魔物を倒せる力を持っていることが伺えるのだった。

 

「それで…これから我らはどうするのだ?」

 

戦場にいた亜人の一団の正体とその一団がハルツィナ樹海を出た経緯が分かった所で、クモの上半身を半分に切った物を頭に被っている大男が今後の方針について問いかけると、一人の男が立ち上がった。

 

その男は水晶が置いてある位置からさらに奥にあった壁を背もたれにした玉座に鎮座しており、今までの彼らの話し合いを黙って聞いていたのだった。

 

そして、その男は口を開いた。

 

「皆も知っていると思うが、ここに映し出されているものは()()()()()()()()()()()()()()()()()。必ずしもこの映像通りになるとは限らない……………だが、もし…もしもだ、この映像通りに陛下が現れたのなら…先ずは様子を見ようと思う。本物かどうか、目的が何なのか、見極めるために…………くれぐれも勝手な行動は慎むように!」

 

 

この男の言葉に異議を申し立てる者は誰一人いなかった。

 

 





いかがだったでしょうか?

前半はご存知の方が多いと思いますがシアです。特に大きな改変はありません、ここでもハジメさんLOVE全開です。
そして、後半はヤツら達の登場です。特徴で人物を表していますが一人を除いて一応元ネタとなったゲーム作品に登場する者ばかりです。自分的にはマイナーな作品だと思いますのでこれでキャラを当てられたら感服ものです…。
一応、活動報告の所にヤツらが出てくるゲーム作品の動画を上げますので、気になる方はそちらをチェックしてみてください。

さて、改めて第2章始まりました。基本の道のりは原作と同じですが登場キャラクターが愕然と増えています。地道に頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。

次回、スバル、ハジメ達、久しぶりのお外でウサギと出会います。


それでは次回、お会いしましょう。では、また……。
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