ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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どうも、グルメです。

今年最後の投稿になります。ハジメ達の長い旅が始まります。


それでは、どうぞ。


旅の始まりは泣き虫ウサギとの出会いと共に

魔法陣の光に包まれたスバル、ハジメ達。この魔法陣の光が収まれば、そこには広々とした青空が広がっていると誰しもが期待して胸を弾ませていたが………

 

 

 

 

最初に目にしたのは変わらず真っ暗な洞窟の中だった。

 

 

 

 

「えぇー……」

 

「なんでやねん」

 

 

嫌というほど見てきた光景をまた見ることとなり落胆するスバルに思わず関西でツッコミを入れるハジメ。当麻は「あはは…」と苦笑いを浮かべ、士郎は「やれやれ…」とした感じで辺りを見渡していた。

 

「……秘密の通路……隠すのが普通」

 

『なるほど…』

 

『さすがです、お嬢様!』

 

ユエの推測にクロウとサラは感心していると目の前には道が続いており、気を取り直して一行はこの道を歩いて行った。道中、幾つかの封印が施された扉やトラップがあったが、オルクスの指輪が反応して勝手に解除していき何事もなく洞窟内を進んで行くと小さな光を見つけた。出口の光だと確信した一行は、この先に何があるのか構わず一斉に駆け出した。

走りながら徐々に入ってくる新鮮な空気と清涼感ある風を感じながら一行は洞窟の外へ飛び出した。

 

 

最初、目に飛び込んできたのは断崖絶壁とも言える険しい崖だった。左右を見渡せば崖と崖に挟まれた出来た地の底の道が続いており、空を見上げれば青空と輝く太陽の光が降り注いでいた。

スバルはゲームをイメージして‘’ダンジョンの洞窟を出た先には広大な大地が広がっている‘’と期待していたが最初に目に映ったのが崖で少々ガッカリもしたが久しぶりの外に変わりはないので、かがむように身体を縮ませて、

 

「外だああああああーー!!」

 

叫びながらおもいっきり伸びをした。

 

「よっしゃぁああーー!! 戻ってきたぞ、この野郎ぉおー!」

 

「んっーー!!」

 

ハジメとユエはそう言って抱きしめ合い、ハジメが小柄なユエを抱きしめたまま、その場をくるくると廻り始めた。

 

「久々の太陽の光…空気も、おいしい……僕たち、地上に戻って来たんだね。」

 

「ああ。長かったな…大げさかもしれないけど1年近く入っていた感じがするよ…。」

 

当麻と士郎は静かにそう告げながら深呼吸を繰り返して久しぶりの外の空気を感じていた。その後、サラ、クロウも「新鮮な空気を感じたい」と言われて当麻と士郎の身体を借りて深呼吸した。

 

「んんー! 最高ッ!! 生きてて良かった!!」

 

「本当に…こうして再び太陽の下を歩けるなんて思いもしませんでしたね…。」

 

サラとクロウはそう言って何回も深呼吸を繰り返した。皆が思い思いに久しぶりの外を満喫している中、レオンは、

 

<この空の色は、変わらないな…。>

 

誰にも告げる事なくスバルから見える青空を静かに眺めていた。

 

レオンがそんなことを思っていることも知らずスバルは突然、

 

「よし、今日はここをキャンプ地とする! 宴だ!!」

 

「いや、早いな!? スバル、まだ太陽真上にいってないぞ。」 

 

「ええ~いいじゃん。ケチケチするなよ士郎~。あの二人はすでに楽しんでいることだしさ。」

 

そう言ってスバルがハジメとユエを指差した。

 

「ハジメ~。」

 

「ユエ~。」

 

相も変わらず二人はお互いを見つめ合ってくるくると回っていた。

 

「俺も混ざって三人にで回りたい!」

 

「どう見てもスバルが入る余地はなさそうだろ…。」

 

士郎が呆れながら言っていると突然当麻が申し訳なさそうに全員に告げた。

 

「あの~皆さん。もうお気づきだと思うのですが…僕たち魔物に囲まれていまして…そろそろこちらに目を向けた方がいいのでは?」

 

そう言って全員が改めて周囲を見渡すと、いつの間にか何十体もの大型の魔物に囲まれており「ようやく気づいたか!!」と言いたそうに唸り声を上げていた。

 

「はぁ~、全く無粋なヤツらだな……ほんじゃあまあ、一丁やりますか。」

 

そう言ってハジメの眼に殺意が宿り、ユエを下して二丁拳銃ドンナー&シュラークを構えた。

そして、このハジメの言葉を起因にそれぞれ戦闘モードに入った。

 

 

「…ん。」

 

ユエはスッと右手を掲げ、

 

「…へへっ。」

 

スバルは不敵な笑みを浮かべてポキポキと手首を鳴らし、

 

「……よし。」

 

『当麻、リラックスですよ。リラックス。』

 

当麻は少し緊張しつつも両手に革手袋をはめ込んで構え、

 

「…クロウ。警戒は俺だけで充分だけど念のため…」

 

『わかりました。』

 

士郎は背負っている剣のグリップを握りしめた。

 

 

 

 

 

 

そして、5人は一斉に魔物に向かって動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライセン大峡谷を駆け抜ける二つの二輪駆動 。一つは黒いボディのアメリカンなバイク ‘’シュタイフ‘’ 運転しているのはハジメでその後ろにユエが横乗りで乗っていた。そして、もう一つは青いボディでアメリカンなバイクにサイドカーがついている ‘’ブルーダー‘’ 運転しているのは士郎でサイドカーには当麻が乗っていた。

どちらもハジメの自信作でガソリンを使わず魔力を使って走るものとなっている。

 

「拍子抜けたぜ……あんなにあっけないものなのか? ライセン大峡谷の魔物は相当凶悪って聞いたけどな…」

 

「僕たちが強すぎたのでしょうか? そうなりますと今まで僕たちが相手してきた奈落の魔物はそうとうヤバイ連中だったんですね……よく戦ってきたものですよ。」

 

ハジメと当麻は先程の魔物との戦闘を思い返し、改めて奈落の魔物がライセン大峡谷の魔物よりも遥かに凶悪だった事を実感した。

はっきり言うと先の魔物との戦闘はハジメ達の一方的な蹂躙だった。

ハジメ達の各々の力の前に魔物達は為す術もなく次々に倒され5分もかからないうちに死体の山となり、あまりにもあっさり片付いたのでハジメは当初「えっ、終わり?」と困惑していたのだった。

 

「でも、そんなことよりも一番厄介なのはこの地域だ。魔法を使おうにも込めた魔力が勝手に分解させられる。」

 

「…必要魔力にさらに十倍用意しないと維持できない……つらい。」

 

そう言って困った表情をする士郎とユエ。二人の言う通りこのライセン大峡谷はどういったわけか魔法に込める魔力が勝手に分解され魔法が使いづらくなっているのだ。先の戦いでは二人は強引に魔力を込めて応戦するも、予想以上に魔力の消費が激しかった。よって二人は移動する前にここでの戦闘は必要な限り極力控えることになり、旅の始めからハジメの役に立てないことにユエは少し落ち込んでいたりするのだった。

 

『それでハジメ殿、私達はこれからどこに?』

 

「ライセン大峡谷のどこかにある迷宮の入口を探しつつ樹海側に向かっている。樹海側なら街から近いと思うし、それに今の装備と食料だけじゃ砂漠横断は心もとないからな。」

 

『なるほど…』

 

ハジメの言葉にサラは静かに納得を示した。そして、妙な顔をして後方を向きつつ再びハジメに問いかけた。

 

『ところで、スバル殿は大丈夫なのでしょうか?』

 

サラの言葉に全員が後方に首を向けた。二台の二輪駆動 から少し離れた所に物凄い勢いで迫ってくるものがあった。

 

「よっしゃぁぁー! もうすぐ追いつく!!」

 

<お前なー、何でこれを自分専用の乗り物にしたんだよ…>

 

「いやいや、俺だってカッコイイバイクが乗れると思っていたんだよ!? なのにハジメの野郎、こんなちんけなもの用意しやがって!!」

 

そう言ってスバルが乗っているのは赤い自転車である。荒野や谷底の悪路に最適と思われるマウンテンバイクではなく、前に籠が付いた俗に言う‘’ママチャリ‘’である。

スバルは魔物を取り入れた超人的な脚力で自転車を漕いでハジメ達に追いついた。

 

「ハジメ! テメェー!! 何で俺専用の乗り物がママチャリなんだよ!?」

 

「仕方がないだろ、素材が足りなかったんだ。それにお前、こう言ってたじゃないか…」

 

不愉快そうに睨むスバルの前にハジメは平然とした顔である会話を思い返した。

 

 

 

それは迷宮にまだ籠っていた頃の話である。ハジメが二輪駆動の整備をしていると、

 

「スゲー!! ハジメ、これに乗るのか? だったら俺も()()()いいから俺専用の乗り物用意してくれ!!」

 

 

 

 

「だから用意しただろ? お前専用の乗り物。」

 

「いやいや、だからって自転車はないだろ!? バイクと速度が違いすぎるし、あそこからの会話からして普通バイク用意するよね!?」

 

「……往生際が悪い。ちゃんと伝えなかったスバルに原因がある。」

 

「ユエさん辛辣すぎる…」

 

ユエに指摘されて落ちこむスバル。するとハジメが「ゴホン」と咳払いをして

 

「言っておくけどスバルが乗っているのは電動自転車だからな。纏雷でサドルに電気を流し込んだら漕ぐ必要なんてないんだぜ。」

 

「あっ……ほんとだ。漕がなくても進んでいる。」

 

言われた通りにすると自転車は漕がなくても進んでいた。

 

「それにイカした名前も付けた。‘’ムッター・フォン・ファーラッド‘’ それがこの自転車の名前だ。」

 

「カッケーなおい!!」

 

スバルが目を輝かせて自転車を見ていると士郎が、

 

「なぁ、それってドイツ語だろ? 日本語に訳すと何ていう意味なんだ?」

 

「……日本語に訳すと‘’母の自転車‘’だ。」

 

「ママチャリじゃねか!? しかも直訳すぎるわ!!」

 

サラッと言うハジメ対して鋭いツッコミを入れたスバルは文句を言おうとした時、周囲を警戒していたクロウが何かを発見した。

 

『前方に大型魔物。何かを追っている…人でしょうか?』

 

クロウの言葉に全員が前方に目を向けると約800m先にうっすらと双頭の大型魔物が見えた。そして、その手前にはぴょんぴょんと跳ね回りながらこちらにやって来る人らしきものが見えた。よく目を凝らして見ると逃げ惑うウサミミを生やした少女だった。

 

「……何だあれ?」

 

「……兎人族?」

 

「この辺に住んでいる亜人族でしょうか?」

 

「でも、おかしくないか? 亜人族の大半はハルツィナ樹海を住処にしているはずだろ?」

 

『ライセン大峡谷はその昔、処刑場として使われ罪人を突き落とす処刑方があったはず…もしや彼女は罪人として落とされ奇跡的に生還したのでは?』

 

『兎人族が罪人? ありえません! かの種族は亜人族の中でも最も温厚で争いを嫌う種族ですよ? とても罪を犯すとは思えないのですが…』

 

ハジメ、ユエ、当麻、士郎、クロウ、サラが場違いなウサミミ少女がいる事に疑問を投げかける中、スバルはというと、

 

「ヘイヘイ、ウサミミ美少女だ。しかも…ひゅう~デケェ。上げ底には見えない、間違いない本物だ。ユエの3倍はあるぞ。」

 

<…お前はどこに着目してるんだ?>

 

スバルは目を輝かせてウサミミ少女のある一点に注目し、それに気づいたレオンはどこか呆れていた。皆が改めてウサミミ少女を見てスバルが言っている事を理解してスバルにジト目を送る中、ユエは見下ろすように絶対零度の視線をスバルに向けていた。そして、

 

「……ハジメ。」

 

「…ん。」

 

ドパンッ!!

 

「あああああああああぁぁぁぁーーー!!??」

 

ユエの一声でハジメがドンナーを発砲、スバルの眉間に命中し盛大な断末魔を上げながら電動自転車と共に大地に倒れた。

 

「ええっ!!? ハジメ君、いくらスバル君が再生能力が高くても発砲は…」

 

「殺してねぇよ当麻。非殺傷弾、ゴム弾だ。」

 

「あっ、そうなの? よかった~」

 

「………………………………チッ。」

 

「ユエさん、さっき舌打ちが聞こえたような…」

 

「当麻、気のせい…」

 

「さいですか…」

 

とりあえず聞かなかった事と言葉の発言には気をつけようと思う当麻だった。

 

「で? あの兎人族、どうする? 助けるのか? というか向こうはとっくに気づいて助けを求めているけど…」

 

そう言ってスバルの騒動に特に騒ぐ事なく真っ直ぐ前方を見つめながら全員に問いかける士郎。そして、ウサミミ少女の方はというと…

 

「やっど見づげまじだ~だずげでぐだざ~い! ひっーー、死んじゃう! 死んじゃうよぉ! だずけてぇ~、おねがいじますぅ~!」

 

声を荒げ涙を流し顔をぐしゃぐしゃにして必死にハジメ達の方に駆けよって来ていた。そして、そのすぐ後ろには大型の魔物、双頭ティラノが迫っていて今にもウサミミ少女に食らいつこうとしていた。

 

「うわ、モンスタートレインだよ。勘弁しろよな」

 

「……迷惑」

 

顔をしかめてひとごとのように言うハジメ、ユエ。あからさまに関わりたくないオーラを放っていた。

 

「あの…僕が行って倒してきましょうか?」

 

流石に見かねた当麻がウサギの少女を助けるために動こうとするも、

 

「やめとけやめとけ、助けたら絶対他の要求もしてくるしトラブルにも巻き込まれるって。」

 

「…同感。」

 

「えっー……」

 

「…おいおい。」

 

ハジメ、ユエの無慈悲な発言に少し引いてしまう当麻、士郎。クロウとサラも「それはちょっと…」と言いたげな感じで良い顔をしなかった。

 

「まぁ、ハジメ君がそう言うのは仕方がないだろうけど……でも、僕…嫌だよ。」

 

そう言って当麻はいきなり声のトーンを少し落とし無表情で語りだした。

 

「………あんなに可愛いウサギが僕たちの目の前で食べられ、「痛い! 痛い! ギャアアアー!!?」と泣き叫びながら魔物の咀嚼で少女の血肉と臓物が飛び出す瞬間なんか……僕、見たくないよ…。」

 

「……………………おい、やめろよ。変な想像しちまったじゃねーか。」

 

「……………うぅ、気持ち悪い。」

 

当麻のネガティブ&グロテスクな発言に車酔いのような感覚に陥るハジメとユエ。

 

「ハジメ、どの道あの魔物は倒さないと通れないぞ。」

 

当麻の発言を聞いているのに特に同様を見せることもなく真っ直ぐ前を見つめる士郎。

 

『お嬢様、困っている者には手を差し伸べるものですよ。』

 

『サラに同意見です。それよりも私的には少女の発言に少し気がかりのことが…』

 

ユエ諭すように言うサラ。それに同じ考えを持ちつつ気になる事があるそぶりを見せるクロウ。流石にこれだけの少女を助ける意見が出て無視するわけにはいかなくなったので、

 

「…ったく。しゃーねぇなあ。」

 

めんどくさそうにため息を吐いた後、ハジメがバイクを止めてその同時に士郎もバイクを止めた。皆が見守る中、‘’シュラーク‘’を太もものホルスターから取り出して

 

 

ズドンッ!! ズドンッ!!

 

 

二つの眉間に目掛けて発砲、見事に命中した双頭ティラノは断末魔を上げて絶命して倒れた。

 

「いやあああああああああああああー!!!?? ぶぎゃあ!!?」

 

ウサミミ少女はというと双頭ティラノの倒れた衝撃で吹き飛び絶賛宙を飛んでいた。きれいな放物線を描きながらハジメの下に落ちる、ことはなく盛大にハジメの手前に落ちた。気を失わなかったウサミミ少女だが、痛みに悶絶して身体をピクピクさせており見てられなかった当麻、士郎は顔を逸らし、ユエは内心「…面白い」と思いつつ少女は見続けて、ハジメは「めんどくさ、起こすか。」と思い、少女のうさミミに手を伸ばそうとした時、

 

「ハッ! あれ、私は? …!!? し、死んでます…ダイヘドアが一撃なんて…」

 

ウサミミ少女はいきなり顔を上げて周囲を確認、後ろに目を向けると倒れていたダイヘドアと呼ばれる魔物が倒れていることに驚愕する中、

 

「おい、こら。こっち無視すんな。前向け、前。」

 

ハジメがガラの悪そうな声でウサミミ少女に声をかけた。ウサミミ少女が前を向くと、白髪に眼帯を付け眉間にしわを寄せているいかにもヤバそうな少年が立っていた。普通なら誰しもが怯える光景に後ずさりをするかもしれない。だが、このウサミミ少女は、

 

「うえええええぇぇぇ~ありがどうございまず~!! あの~おねがいでずぅ~わだじの仲間も助げでぐだざい~!!」

 

泣きじゃくりながらハジメの足元にしがみつき、図太いことにウサミミ少女の仲間の救出を懇願して来た。

 

自分が想像していた展開にハジメは深いため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

ギャグ回のつもりで書きました。少しでも面白いと思えたら幸いです。
そして、大変なのは仲間同士の会話。大抵はハジメ、ユエ、そこにオリジナルキャラを入れての旅がありふれの二次創作の定番と言えますが、こちらの小説は旅の始めからすでに8人いますので会話のやり取りが大変。
一人ひとりの反応を書かないといけないし、会話を一人のキャラに偏らないようバランスよく考えないといけません。
まぁ、レオンは無口なキャラで必要な時にしかしゃべらないので実質7人ですけどね。


さて、今年も残すとこ後わずか。
自分の好きなものを詰め込んだ小説を読んで下さる読者、評価をくださる方に本当感謝しかありません。
来年も地道に書いていきますので応援よろしくお願いいたします。

それでは、少し早いですが、良いお年を。

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