投稿が遅くなりました。おまけに長くなりそうだと判断して前編、後編に分けています。本当に申し訳ないです。
今回のお話しはクラスメイトsideのお話しになっております。クラスメイト達が今どのように過ごし、どう思っているのか少し見えてくるかもしれません。
それでは、どうぞ。
さて、ここで時をさかのぼりハジメ達がオルクス大迷宮を脱出した頃、ハイリヒ王国にこんな一報が届いた。
‘’神の使徒、勇者一向が因縁のヘビモスを討伐し歴史上の最高記録であるオルクス大迷宮六十五階層を突破‘’
この報告を受けた聖教教会のイシュタルや側近の者、ハイヒリ王国の王様や臣下の者達は大いに歓喜して瞬く間に城中に伝わった。
そして、その一報はこの者たちの耳にも入ってきた。
「聞いたか? 天之河達がヘビモスを討伐したって。」
「聞いた聞いた、確か迷宮の六十五層も突破したんだろ?」
「流石勇者パーティーだぜ、俺達みたいな凡人とは違うんだよな…」
「香織ちゃん、雫ちゃんもすごいよね、あんなことがあったのに前線に立っているなんて。」
「雫ちゃんは剣道やっているから慣れているんじゃないかな? 私、うっかり惚れちゃいそうになったよ~」
「なにそれ~。百合は鈴ちゃんだけで十分だって!」
ここは王宮の一角の一つ、異世界の生徒達のために用意された食堂兼サロンであり、一か月前に初めてのオルクス大迷宮の実戦練習中に4人の死を目の当たりにして戦いに心折れた者たちが集まっていた。
今現在オルクス大迷宮に挑んでのはクラスのスクールカーストが集まり天之河を中心とした‘’勇者パーティー‘’、檜山大介を中心としたハジメをいじめていた者達が集まる‘’小悪党組‘’、そして、クラスメイトの一人、190cmを超える巨漢の永山重吾をリーダーして親しい者達で集められた男女五人の‘’永山パーティー‘’のみが前線に赴いており、その他のクラスメイト達は一部を除いてここに集まっていた。
彼ら、彼女らは日中ずっとサロンで雑談に時間を浪費していた。もちろん、こんなことばかりしていてはよくないことは分かっていた。「衣食住を提供してもらいながら魔人族に戦うための訓練に参加しないのはいかがなものか。」聖教教会や王国の上層部はそう思っているかもしれないが、それでも怖いものは怖いのだ。
この世界の人達よりも高いステータスを持っていても、誰しもが持っているとは限らない戦闘系の天職を持っていたとしても一度戦場に出れば死ぬ。少し考えれば分かることなのに自分の能力の優越感に入り浸ってしまい、あまつさえ魔物を屠ることに酔いしれていたため4人のクラスメイトの死が強力な酔い覚ましとなった。故に彼ら彼女らは戦えなくなったばかりか、王都の外に出る事も出来なくなってしまい、こうして集まって雑談に明け暮れていた。
「天之河達がきっと何とかしてくれる…」そんな期待を膨らませながら羨望と後ろめたさを宿した表情でクラスメイト達は会話を続けていると、
「……雫様とて、女の子であることに変わりないでしょうに……」
そこにポツリと小さな呟きが聞こえてきた。誰に聞かせるでもない思わず漏れ出た独り言、だが、タイミングが悪く、会話が途切れて次の誰かが口を開く前に出たその独り言はサロンにいる全員に聞かれていた。クラスメイト達はつぶやきを漏らした人物に目を向けると、そこに立っているのは勇者一向、もといクラスメイト達の身の回りの世話を任され、呼ばれたらすぐ動けるように待機していたニアの姿があった。
ニアは明らかに余計なことを口走ったと言いたげな様子で直ぐに頭を下げるも…
「…なんだよ。なんか文句でもあんのかよ」
クラスメイトの一人、玉井淳史は眉根を寄せて低い唸るような音声をニアに向けた。
「いえ。文句などありません。申し訳ありませんでした。」
ニアは顔色を一つも変えずクラスメイト達に深々と頭を下げて謝罪した。しかし、淳史はそんなニアの殊勝な態度が癇に障ったのか怒りをあらわにした。
「だれも、謝れなんて言ってねぇだろ。馬鹿にしてんのか! 八重樫さんだって変わらないって、じゃあなにか!? 変わらない俺達だけ戦わないのが情けないって、そう言いたいのかよ! どうなんだよ、はっきり言えよ!」
「お、おい。淳史…」
「もうそれぐらいに…「事実だろ。なに癇癪おこしてるんだ?」えっ?」
「何だと!?」
怒声を上げる淳史に友人の相川昇と仁村明人が宥めるようとした矢先、それを遮る声が響いた。それに反応して目を吊り上げた淳史はもちろん、昇と明人などサロンにいる全員が声がした方を向いた。
そこはサロンの端の窓際の席であり、日の光を浴びながら一人の青年が椅子にもたれていた。
「そこまで客観的に自分のことが分かっているのにも関わらず指摘されたら激怒する…お前滑稽だぞ、玉井淳史。」
月山一希は竹刀を肩にかけながらどこか呆れ顔で淳史を見ており、それを聞いてニアは焦ったように反応した。
「カヅキ様違います! 私は決してその様な事を思って口にしたのでは…」
「例えそうではなかったとしても、ここにいる連中はお前さんが放った言葉を淳史が言ったように解釈しているはずだ。面を見れば分かる…つまり全員自覚してるってことだ。」
そう言ってカヅキは睨み付けるようにクラスメイト一人ひとりの顔を眺めていった。クラスメイト達は図星なのか、またはカヅキと目を合わすのが怖いのか定かではないが俯いて誰一人として目を合わせようとしなかった。
「少し考えれば分かったはずだ。なのに流れに流されて中途半端な覚悟で戦争に参加し、未熟にも関わらず己の能力に過信して自分より低い者を内心嘲笑い、いざ命の危機が迫れば我が身可愛さに周りを押し退けて助かろうとする。“情けない“? お前ら全員滑稽の間違いだろ。」
カヅキはこれまでのクラスメイトの行いを指摘、歯に衣着せぬ物言いにクラスメイト達は次々と顔色を悪くして女子の中には今にも泣き出しそうな者も現れた。
「それに引き換え、奈落に落ちていった4人は立派だ。自分の命を顧みず俺を含めてクラスメイトを救おとしていた。そのうちの3人はお前らより能力が低かったにも関わらずだ! 俺だって感謝してもしきれないってのにお前らときたら「…っせよ」あ?」
自分の言葉を遮られて少しイラつくも冷静になって遮った者を見た。遮ったのは淳史であり、彼は俯いて身体を震わせていた。昇と明人が心配して声をかけようとした矢先、それは起こった。
「うるせぇよ! すこし強いからって調子のってんじゃねぇ!! お前だってクラスメイトから離れて戦いから逃げてるじゃねぇか! 人のこと言えるのかよ!!」
「そうだ、そうだ!」
「俺たちだけ攻めるなよ!」
顔をがバッと上げてカヅキを鬼の形相で睨みつけると、これでもかというくらい怒鳴り散らした。もちろん、自分の事を棚に上げていることは重々承知だ。それでも言わずにはいられなかった。自分達と違い戦いから逃げても後ろめたい気持ちもなく悠々と過ごしているカヅキがどうしても気に入らなかったのだ。
淳史の言葉に共感、もしくは親友として寄り添うためなのか昇と明人も反論し、他のクラスメイトも同じように反論したりカヅキを睨み付けたりした。
そんなクラスメイトを見てカヅキあからさまなため息をついた後、めんどくさそうに口を開いた。
「…なぁ、聞くけど、一体いつから………
「「「「はぁ!?」」」」
カヅキの言葉にクラスメイトの誰も彼もが驚嘆の声を上げた。
「何言ってんだよ!!」
「俺たちはここに召喚された時、みんなで決めたじゃないか!!」
「…そこからおかしいだろうが。それはお前らが天之河に便乗して勝手に盛り上がって決めた事であって俺もイツキ、他数名は、あの時一言も「魔人族と戦う」と言った覚えはねぇぞ。ちゃんと周りを見てたのか?…まぁもっともあの時、反論しなかった俺にも非があるかもしれないが…」
昇と明人、二人の批判の言葉だけでなくクラスメイトの疑惑の目にも気にせずに答えるカヅキ。
あの時、彼は天之河や他のクラスメイトみたい立ち上がって戦う意志を見せることはなかった。それを証明するならばイツキか彼を慕う佐助か厚志くらいであり、不良の一面をみせていた彼はクラスメイトから避けられていたため誰も見向きされなかったのだ。そして、戦争の意味、命のやり取りを経験していた彼なら、常日頃から反発的な態度を取っていることも相まって真っ先に反対はしていただろ。
だが、それをすることもなかった。彼はその時、後悔していたのだ。
祖父の死の直前に告げられた夢物語な事に対しての否定的な態度、これまでの鬱憤を晴らすかのような罵声を浴びせたことを深く悔やんでいた。
それは、頭を抱えるほど、周りが見えなくなるほどに……
そして、気づけば自分を含めた全員で魔人族と戦うことにされてたのだった。
「しかし、一応勉学を共にした仲間だ。あれだけの事を各々の言い切ったんだ。ある程度どうなるのか見守っていくつもりだったが……あんたらの性根の腐った態度には憎悪しか沸かなかったな。」
そう言って再びクラスメイトを睨みつけるカヅキ。決まったものは仕方がない。トータスの世界についても知らないことばかりなのでとりあえず一緒に行動を取り機を見て別行動を取る手はずだったが、命の恩人に対しての行いに嫌気がさし、その結果、城から出て野宿を行うようになった。
「……で、あんたは俺らと離れ、罪悪感からも逃げて何も考えずのうのうと生きているわけだ…」
そう言って下を向きながら吐き捨てるように言う淳史、これを聞いたカヅキは鼻で笑うと呆れながら口を開いた。
「オイオイお前らと一緒にされちゃ困るな。こう見えても忙しい身でね。佐助、厚志の戦闘だけでなく、自らの意思で変わりたい、強くなりたいと申し出た奈々、妙子の面倒も見てるのだが?」
「佐助や厚志は知っていたけど…」
「宮崎や菅原も訓練に参加していたなんて…」
昇と明人が信じられないと言いたげな顔で呟く中、クラスメイト達(主に女子)も宮崎奈々、菅原妙子が戦闘訓練をしている事に驚きを隠せないでいた。
皆が驚きと疑問に感じている最中、カヅキはさらに話を続けた。
「それだけじゃない。この世界を知るために合間を見てはトータスの見聞を広めているし、今日だって王国に一宿一飯の恩を返すために王様と話しをつけに来たのだ。これでものうのうと生きていると言えるのか? 他人に任せ守れ、一日中何もせず無駄に過ごしているお前らと一緒にするな。」
言いたいこと言い終えるとカヅキは目をつむって心を鎮めるために瞑想に入り、クラスメイト達はぐうの音も出せずにただ下を向くしか他なかった。一人を除いて…
「…っせえ、うるせぇ、うるせぇ、うるせぇ!! お前に言われなくても!!」
「「淳史!?」」
昇と明人が気づく前には淳史は駆け出しており無謀にも武器も持たず、拳一つでカヅキに殴り掛かろうとしていた。後に淳史はこう語っていた。「正論と分かっていても見下されているようで悔しくて悔しくて仕方なかった。」と、
「ど阿保が…」
静かそう言うカヅキは慌てることも見向きもせず肩にかけていた竹刀を左手に持ち替えてフェイシングの要領で淳史のみぞおちを一突きした。
「ガッ!??」
何も考えず走ってきた勢い、お腹周りががら空きだったこともあり見事に当たって痛みと衝撃を伴いながら立ち止まり両膝をつくと、それと同時に冷たいものが淳史の首筋に当たっていた。
「………。」
「ひっ!!?」
素っ気ない声と共に気づいた時には冷めた表情のカヅキが見下ろしており、日本刀の刃を淳史の首に当てていたのだ。
あの時カヅキは淳史を一突きした同時に淳史に迫り左手でもの打ち部分(刀でいう刃がある所)に持ち替えて魔力を流し込み瞬時に日本刀に変えると、そのまま抜刀して寸止めをしたのだった。あまりにも早い偉業に周りの者たちは悲鳴をあげる事も忘れて、カヅキが何をしたのか? 何故日本刀があってどこから出てきたのか? と理解しようとしていたが段々と冷静になってくればそれよりも淳史の置かれている状況を理解して顔を真っ青にさせていった。
「…お前に三つ教えてやる玉井淳史。一つ、暴力は暴力で返ってくる。お前が癇癪を起こして暴力を振ったとしても誰も優しく止めてくれない。暴力でお前を止めるだろう。二つ、この世界は力と頭脳が全てだ。力もなければ知恵もない、考える能力もない奴は淘汰される。少しでも長生きしたかったら頭を低くして冷静に考えて行動することだ。」
淳史に教訓を言いつつ日本刀を片手から両手持ちに替えるカヅキ、そして…
「三つ、俺はこの先、俺の障害となるもの敵として立ちはだかる者は斬る。例えそれが女、子供、共に過ごしたクラスメイトの一人であろうとも容赦なく斬り捨てる……こんな風になっ!!」
そう言って素早く日本刀を自分の左肩まで振り上げると淳史の首筋めがけて振り下ろした。周囲は女子達の悲鳴や男性達の止めるように言う怒号やパニックなって叫ぶ声が響く中、カヅキは何の躊躇いもなく、ただ冷めた表情で見つめながら刀を下した。
そして、淳史も「あっ」と気づいた時には刀が振り下ろされており……
ビュッン
そんな音と共に淳史の首筋に剣圧で発生した冷たい風が横切った。
「ッ………………はっ!」
淳史は身体を強ばらせた後、少しの間放心状態だったがすぐに覚醒し、生きていることを実感するかのように斬られるであろうとした首筋を何回も手に当てて首がくっついているのか確かめた。
クラスメイト達も淳史の最後を目視することが出来ず、顔を手で隠したり背けたりしていたが生々しい音が聞こえなかったため恐る恐る目を向けると淳史は生きており、どうやらまた寸止めを行ったようだ。とにかくして淳史が殺さなかったことにクラスメイトは胸を撫で下ろした。
そして、カヅキはというと鞘に日本刀を治めた後、しゃがみ込んで淳史に目線を合わせて口を開いた。
「最もお前は…斬る意味もその価値すらも値しないけどな…」
そう興味なさそうに告げると立ち上がり背を向けて歩き出した。
「リリィの野郎、こんな所で待たせやがって。おかげでめんどくさい相手をさせられるはめになっちまったじゃねぇか…」
途中、この国の王女の事を呼び捨て、暴言を吐き捨てながら自分の席に戻っていくカヅキ。クラスメイトがそれを聞いて「国の王女だぞ!? 何でそう軽々しく言えるんだ!?」と思いつつ背中を追っている最中、淳史は、
「………………クソッ。」
胸が張り裂ける思いでいっぱいだった。本来なら斬られる所を斬られずに済み、生きている事を喜ぶべきかもしれない、しかし、カヅキが先ほど言った言葉が胸に刺さった。
‘’最もお前は…斬る意味もその価値すらも値しないけどな…‘’
言ってしまえば「お前は脅威とは感じないし、大したこともない。」そう考えた淳史は、先ほどのメイドに当たり散らす行為も含めて「言われた通り自分は滑稽であり、何と惨め何だろう」と思わず握り拳を地面に叩きつけた。痛みが薄れるほど悔しい思いに浸っていると、
「淳史様、お怪我は!?」
ここで真っ青になってニアが駆け寄って来た。
「ああ、大丈夫だよ。ニアさん…」
「淳史様、ご気分を害するような発言をしてしまったばかりにこの様な騒動を起こしてしまったこと誠に申し訳ありませんでした。ただ、決して、あの言葉は淳史様を含め、皆様に皮肉を申し上げたわけではないのです。どうか、それだけは………」
「ニアさん……いや、その、俺の方こそ……すみませんでした。」
改めて、深々と頭を下げながら誠意を感じる謝罪をするニア。淳史は気まずそうに視線をそらしながらも少し気持ちが落ち着いたのか謝罪を返した。その謝罪を受け取ったニアは僅かに微笑むと、先の発言の真意を伝えるため口を開いた。
「皆様も、先程の私の不用意な発言でご気分を害されたのなら謝罪致します。しかし、私は雫様の友人として思うのです。雫様もまた、時には誰かに守られるべき、頼るべき、甘えるべき、女の子であるべきだと」
「………でもよ、八重樫さんは俺らよりもずっと能力値が高いし、いつだって頼りになる。正直のところ弱い八重樫さんなんて考えられないぜ」
「だよな…むしろ元いた世界でも剣道で強かったからすでに戦いに順応してると思うけどな。」
昇が苦笑いを浮かべながらそういい、明人もそれに同意しつつも雫が剣道をしているおかげて戦いに馴れているのではと考えた。他のクラスメイト達も昇、明人と同じような意見を持っていたのか誰一人として雫を女の子として見ておらず、それを主張するものはいなかった。
そして当然だが、この話しはカヅキの耳にも入っていた。これにはまたも大いに呆れさせ、再びお節介を焼こうと口を開こうとしたが、急にその必要がなくなり黙りこんだ。何故なら
「……まったく君たちは、彼女をそのような目で見てたのかい?」
透き通るような冷たい声が響いた。クラスメイト一同は声をした方を振り向くと、たった今入って来たばかりなのかサロンの入り口前に一人の青年が立っていた。
「彼女はここに来るまで君たちと同じ生徒であり女の子なんだよ? そんな子がいきなり殺伐とした世界に飛ばされ、心の整理がつかないまま強制的に戦争に参加させられて果たして平常でいられると思うのかい? ただでさえ君たちは死を恐れ、戦いから逃げているのにどうして彼女にはそれがないと言い切れのかな?」
月山一希の弟、月山一稀は静かにそう告げた。光輝にも負けないイケメンでクールをあわせ持ち、女子のファンも少なくないイツキ。本来ならここにいる女子達から熱い眼差しを向けられるはずだが、そのようなことはなかった。
むしろ、女子達は向ける事が出来なかった。
イツキの表情はただ冷たく憎悪に満ちており、さらに先ほどの一つ一つ発する言葉には重みがあり、聞いただけでも怒りに満ちていることが分かった。今まで甘いマスクしか見たことがなかった女子達はそんなイツキを見て一気に血の気が引いており、それは男子も同様で中にはカヅキよりも怖いのではと思う者も何名か現れるのだった。
クラスメイト達が身の毛がよだつ思いに立たされている最中、イツキはさらに怒りの思いを口にした。
「‘’雫さんなら大丈夫‘’‘’雫さんなら出来て当然‘’…君たちのそんな想いが彼女の本来の姿を押し殺し追い詰めていく。僕は心配だよ、君たちに応えようとして無茶をしでかさないか……君たちは誰一人、彼女の心配、いや、前線に立っている子たちの心配をしたことないのかい?」
「「「………………。」」」
その問いかけにクラスメイト達は答えることなく黙りこんだ。それもそのはず前線組は居残り組にとって元の世界に帰るための希望であり、どこか特別な目で見ていた。知らないうちに自分たちと同じ生徒だったということが頭から抜け落ち、それと同時に現実逃避として前線組が戦いによる何らかの異常をきたすことはないと考えたのだ。
故に前線組を心配するものは誰一人いなかった。
改めて他人任せで自分達のことしか見えてないことに呆れてイツキ深い溜め息をついた後、
「…もっとも雫さんは親友のため、仲間のため、君たちのために自ら進んで刃を振っているけどね。帰ってきたらしっかり労ってあげるんだよ。」
怒りを収めてそう告げると下を向いて黙りこむクラスメイトの間を通り抜けてカヅキの元へ向かった。
いかがだったでしょうか?
またもやクラスメイト達がカヅキに説教される回でした。自分で書いているのも何ですがクラスメイト達が不憫で仕方ありません。とは言ってもこの場面は私が書きたかった場面でもあります。クラスメイトの考えにカヅキ、イツキは真っ向からの説教。さらにクラスメイトだろうと容赦しないカヅキの覚悟。おかげでニアの活躍が減ってしまいました。
原作ではこの場面は前線組がもっと攻略してからになるのですが、ここではヘビモス討伐と六十五層突破を得てこの場面を入れることにしました。それは何故かと言いますと、原作通りだと月山兄弟とクラスメイト達の絡みが出来なくなるからです。それはどういう意味なのかは、話を読み進めて理解してくれたら幸いです。
さりげなく召喚された時のカヅキの様子をのせています。元の世界では誰であろうと嚙みつく性格なのでいきなり召喚されて「戦争に参加しろ」と言われたら黙っていないはずです。ですからその時のカヅキは物凄く落ち込んでいる状態でした。と言いつつも書き上げた当時、月山兄弟、猿山、牛山の存在なんかいなかったのですけどねw
ちなみにその時のイツキは静観、猿山と牛山は共に困惑していました。
それと、カヅキの性格が原作ハジメに似ているように感じるのは私だけでしょうか?
さて、改めて投稿が遅くなったこと誠に申し訳ありませんでした。限られた時間の中で文を考えたり色々見直したりしていると一か月過ぎてしまいました。後編も出来上がり次第投稿しますのでお待ちください。
次回、久しぶりに‘’あの子‘’が登場します。
それでは今日はこの辺で、ではまた…