ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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皆さんお久しぶりです。グルメです。

前の投稿からほぼ1年、放置していたことお許しください。

今回のお話しはハジメの修行を終えたハウリア達のお話し。果たしてどのような成長を遂げたのでしょうか…


それでは、どうぞ。



…おや!? ハウリアのようすが…! 前編

 

「ところで父様や他のみんなはどこにおられるのですか?」

 

スバルや当麻、士郎達等から祝福の言葉をある程度受け取ったあと、周りにカムや他のハウリア達がいないことに気づいたシアはハウリア達が強くなるために指導に入ってくれたハジメに尋ねた。すると、ハジメは、

 

「えっ…………ああ、カム達な、ハイハイあいつら…ね、その…上位の魔物を狩って来るように頼んでいるんだよ。ほら、訓練卒業の課題の一環として……」

 

「上位の魔物って…父様や他のみんなはそこまで強くなったのですか!?」

 

「あ~…ああ、強くなった。もう見違えるほど強くなったよ…見たら驚くぜ。いや、本当にあいつら、強くなったな……ハハッ……ははははは…」

 

「ハジメ、さん?」

 

ここでようやく違和感を感じ取ったシア。さっきのクールの様子から一変してどこか他人行儀のような、何か言うのをためらっているように見えた。

そして、これはシアだけでなくスバルや当麻、士郎も同様でどこか挙動不審な親友に違和感じており、見守る立場にあるレオンやクロウは長年の経験から、サラに至ってはハジメの気の流れから何か隠していることを見抜いていた。

 

「ハジメ…?」

 

ユエも当然、何かを隠していることを見抜いており不安げな表情と声共にハジメを見つめた。

 

 

 

皆が疑心暗鬼な目でハジメを見つめ、それに耐えられずハジメがそっぽを向いていると、

 

「あっ! 帰ってきたみたいですよ。」

 

当麻が近づいてくる複数の気の流れを読み、目を向けた。皆が当麻が向く方に顔を向けると、霧をかき分けて数人のハウリア族が現れ、まっすぐハジメの方に向かってきた。久しぶりに見た家族に思わず頬を綻ばせるシア。

思えば、本格的に修行が始まる前、気持ちを打ち明けたときを最後として会っておらず、たった十日間とはいえ、文字通り死に物狂いで行った修行は、日々の密度を途轍もなく濃いものだった。そのため、シアの体感的には、もう何ヶ月も会っていないような気がしたのだ。早速、みんなに話しかけようと駆け寄るシア。

しかし、シアは話しかける寸前で、発しようとした言葉を呑み込んだ。ハウリア達が発する雰囲気が何だかおかしいことに気がついたからだ。もちろん、ユエやスバル達、レオン達も同様に気づいておりハウリア達を注視した。

やって来たハウリア達はシアを一瞥すると僅かに笑みを浮かべ、ある者は軽く会釈した後、直ぐに視線をハジメに戻した。そして……

 

「「「「()()。お題の魔物、きっちり狩って来ました!!」」」

 

「ボ、ボスぅ!?」

 

 ハウリア達の言動に戸惑いの声を発するシアをさらりと無視して、彼らはこの樹海に生息する魔物の中でも上位に位置する魔物の牙やら爪やらをバラバラと取り出した。

 

「……俺は一体でいいと言ったと思うんだが……」

 

 ハジメの課した訓練卒業の課題は上位の魔物を一チーム一体狩ってくることだ。しかし、眼前の剥ぎ取られた魔物の部位を見る限り、優に十体分はある。ハジメの疑問に対し、ハウリア達は不敵な笑みを持って答えた。

 

「いや、それがですね…殺っている途中でお仲間がわらわら出てきまして……生意気にも殺意を向けてきたもんですから丁重にお出迎えしてやったんですよ。だよな? みんな?」

 

「そうなんですよ、ボス。こいつら魔物の分際で生意気な奴らでした」

 

「きっちり落とし前はつけましたよ。一体たりとも逃してませんぜ?」

 

「ウザイ奴らだったけど……いい声で鳴いたわね、ふふ」

 

「見せしめに晒しとけばよかったか……」

 

「まぁ、バラバラに刻んでやったんだ、それで良しとしとこうぜ?」

 

 不穏な発言のオンパレード、全員、元の温和で平和的な兎人族の面影が微塵もなく、ギラついた目と不敵な笑みを浮かべたままハジメに物騒な戦闘報告をする。それを呆然と見ていたシアは一言、

 

「…………誰?」

 

魂が抜けたようにただただ呆然とするしかなかった。そして、この光景を見た他の者たちはと言うと、

 

「  (・×・)  」

 

あまりの変わりっぷりにミッ○ィーのような顔で驚くユエ

 

「(え? ナニコレ? ドッキリ??)」

「(いやいやいや、そんなわけないだろスバル。正真正銘のハウリア族だって……だよな当麻?)」

「(それは…そうだと思います…よ? でも、温厚なハウリアかあんな発言をするなんて…僕、想像できないな…)」

 

耳の良いハウリア達には聞こえているにも関わらずハジメの後ろでハウリア族の豹変ぶりに若干引きながら、ひそひそ話しをする三人組。

 

<(クロウ、サラ、何か知っているか…?)>

 

『(私も久しぶりに見ましたので、こればかりはどうなっているのかさっぱりでして…)』

 

『(同じく私も。それにしても尋常じゃない荒々しい殺気…兎人族とは到底思えません。)』

 

冷静にレオンは周りに聞かれないように念話を使い、少し戸惑いを見せるクロウ、サラに尋ねた。しかし、ハウリア族に関わっていなかったためか理由を知らないと言い放った。

 

ハジメの後ろで様々な反応を見せる中、ここでようやくシアの意識が戻り、ハジメの胸ぐらを掴んだ。

 

ど、どういうことですか!? ハジメさん! みんなに、か、家族達に一体何がっ!?

 

「お、落ち着け! ど、どういうことも何も……訓練の賜物だ……」

 

いやいや、何をどうすればこんな有様になるんですかっ!? 完全に別人じゃないですかっ! ちょっと、目を逸らさないで下さい! こっち見て!

 

「……別に、大して変わってないだろ?」

 

貴方の目は節穴ですかっ! 見て下さい! 彼なんて、さっきからナイフを見つめたままウットリしているじゃないですか! あっ、今、ナイフ‘’ジュリア‘’って呼びかけた! ナイフに名前つけて愛でてますよっ!? 普通に怖いですぅ~

 

樹海に焦燥に満ちた怒声が響いた。シアは、そんな変わり果てた家族を指差しながらハジメの胸ぐらを激しく揺さぶり事情説明を迫るも、ハジメはどことなく気まずそうに視線を逸らしながらも、のらりくらりとシアの尋問を躱わしていた。ハウリア族はハウリア族で頭上に?を浮かべるかのような表情でシアとハジメのやり取りを見ていた。すると、ここで

 

「なぁハジメ、ハウリア達に何があったんだ? もったいぶらず俺らにも教えてくれよ。」

 

ハジメの後ろに控えていた者たちの疑問を代弁するかのようにスバルが尋ねた。そちらを振り向くと、姿を持たないレオンを除いてじっーとハジメを見つめていた。ハジメは観念したのか「実はな…」と前置きして話し始めた。

 

 

 

 

 

 訓練1日目、ハジメは、ハウリア族を訓練するにあたって、まず、宝物庫から錬成の練習用に作った大型ナイフや小太刀を彼等に渡した。これらの刃物は、ハジメが精密錬成を鍛えるために、その刃を極薄にする練習の過程で作り出されたもので切れ味は抜群、タウル鉱石製なので衝撃にも強く、かなりの強度を誇っている。

そして、ハウリア達にその武器を持たせた上で基本的な動きを教える。もちろん、ハジメに武術の心得などなく、あってもそれは漫画やゲームなどのにわか知識に過ぎず他者に教えられるようなものではない。教えられるのは、奈落の底で数多の魔物と戦い磨き上げた‘’合理的な動き‘’のみ。 ハウリア族の強みは、その索敵能力と隠密能力。いずれは、奇襲と連携に特化した集団戦法を身につければいいとハジメは考えていた。      

故に今日1日の内に徹底的に動きを叩き込み、明日から実践がてら適当に魔物をけしかけて経験を積ませる。そういうプランを考えていたのだが、訓練2日目にして事件は起こった。

 

 

 

 

 

バキッ!

 

「グハッ!!?」

 

「「「「ぞ、族長!!!??」」」」

 

 瀕死の魔物が、最後の力で己を殺した相手に一矢報いる。体当たりによって吹き飛ばされたカムが倒れ、他のハウリア達が駆け寄った。

 

「ふっ、これが刃を向けた私への罰というわけか……当然の結果だな……」

 

 その言葉に周囲のハウリア族が瞳に涙を浮かべ、悲痛な表情でカムへと叫ぶ。

 

「族長! そんなこと言わないで下さい! 罪深いのは皆一緒です!」

 

「そうです! いつか裁かれるときが来るとしても、それは今じゃない! 立って下さい! 族長!」

 

「僕達は、もう戻れぬ道に踏み込んでしまったんだ。族長、行けるところまで一緒に逝きましょうよ」

 

「お、お前達……そうだな。こんな所で立ち止まっている訳にはいかない。死んでしまった彼(まるまる太ったネズミっぽい魔物)のためにも、この死を乗り越えて私達は進もう!」

 

「「「「「「「「族長!」」」」」」」」

 

いい雰囲気のカム達。そしてそれを見ていたハジメは、

 

「あぁーーー! やかましいわ、ボケッ!! 魔物一体殺すたびに、いちいち大げさなんだよ! なんなの? その三文芝居!? 何でドラマチックな感じになってんの? 黙って殺れよ! 即殺しろよ! 魔物に向かって‘’彼‘’とか言うな!」

 

そう言って怒号を飛ばすハジメ。ハウリア族達は頑張って魔物を倒しているのだが、ハウリアの性質故なのか、魔物を倒すたびに訳のわからないドラマが生まれるのだ。かれこれ100回以上はこの光景を見ており、最初の頃は「まぁ、いいか…」と思って見ていたが10、50、と回数が増えるたびに額に青筋が量産され、夕暮れ時になってようやく限界がきて爆発に至ったのだ。

ハジメの怒りに ビクッと体を震わせるハウリア達、しかし、「そうは言っても……」や「だっていくら魔物でも可哀想で……」と危機感のない言葉をブツブツと呟きだし、ハジメは再び額に青筋が生産されて行った。

 

するとここで、ハウリアの少年がハジメに駆け寄ってきた。この少年、ライセン大峡谷でハジメに助けられてから懐いている子で名をパルと言う。パルはハジメにを宥めようと近づくも一歩手前で、突如、その場を飛び退いたのだ。

 

「? どうした?」

 

訝しそうにハジメが尋ねると、パルは、そっと足元のそれに手を這わせながらハジメに答えた。

 

「あ、うん。このお花さんを踏みそうになって……よかった。気がつかなかったら、潰しちゃうところだったよ。こんなに綺麗なのに、踏んじゃったら可愛そうだもんね」

 

「お、お花さん?」

 

その言葉にハジメの頬が引き攣る。パルは気づかないのか嬉しそうに話を続けた。

 

「うん! ハジメ兄ちゃん! 僕、お花さんが大好きなんだ! この辺は、綺麗なお花さんが多いから訓練中も潰さないようにするのが大変なんだ~」

 

ニコニコと微笑むウサミミ少年。周囲のハウリア族達も微笑ましそうに少年を見つめていた。思い返せば、訓練中、ハウリア族は妙なタイミングで歩幅を変えたり、移動したりしているのがハジメにとって違和感に感じていたのだ。「もしや…」と思い、ハジメは頬を引き攣りながら尋ねた。

 

「お前等…まさか、妙なタイミングで跳ねたり移動したりするのは……その‘’お花さん‘’とやらが原因か?」

 

「いえいえ、まさか。そんな事ありませんよ」

 

「ハハッ、そうだよな?」

 

苦笑いしながらそう言うカムに少し頬が緩むハジメ。しかし……

 

「ええ、花だけでなく、虫達にも気を遣いますな。突然出てきたときは焦りますよ。何とか踏まないように避けますがね。」

 

それを聞いたハジメは途端に額に手を当てて頭を抱えだし、地面に向けて大きくため息をついたのだ。ハウリア達は「何か悪いことを言ったかな?」とオロオロと顔を見合わせていた。そして、数十秒の沈黙の後、ハジメは地面を見ながらゆっくり恨めしそうに口を開いた。

 

「ああ、よくわかった。よ~くわかりましたともさ。俺が甘かった。俺の責任だ。お前等という種族を見誤った俺の落ち度だ。ハハ、まさか生死がかかった瀬戸際‘’お花さん‘’だの‘’虫達‘’だのに気を遣うとは……てめぇらは戦闘技術とか実戦経験とかそれ以前の問題だ。もっと早くに気がつくべきだったよ。自分の未熟に腹が立つ…」

 

「は、ハジメ殿?」

 

どこか様子がおかしいハジメに気づいたカムは恐る恐る話しかけると、

 

ドパンッ!

 

いきなりドンナーによる発砲が響き渡り、カムがくの字のように後ろに吹き飛んだ。カムの後ろに控えていた数人のハウリア達も巻き込んでドサッと倒れ落ちるカム。カムの腹には撃ち抜いた非致死性のゴム弾がねじ込まれていた。これを見ていたハウリア達は当然のごとく阿鼻叫喚に悲鳴を上げてパニックになり「何故!?」「どうして!?」と思いながら叫んでいると、

 

ドパンッ!

 

「F○○k you! ぶち殺すぞ! この‘’ピッー‘’共!!」

 

ドンナーの発砲が響くと同時に今まで聞いたことないハジメの怒号が飛んできてハウリア達はビクッとなり、一瞬の内に静かになった。それでも構わずハジメは声を荒げた。

 

お前たちは皆まるで子供のように優しさを持っていたら守ってくれる、救いの手を差し伸べるてくれると臆面もなくまだそんな風に考えていやがる…甘えるな!! この世界は誰も救いの手など差し伸べてくれない!! お前らは今まで甘えに甘えて、戦いもせず逃げて逃げまくり、負けに負け続けたどうしようもない弱い‘’ピッー‘’共だ!! 弱い‘’ピッー‘’に元来権利など何もない、この森の中でも外でもだ!! いいか? お前らが今なすべき事は…戦って勝つ…勝つことだ! 戦って勝てたらいいな…じゃない、勝たなきゃダメなんだ!! 戦いもせず勝ちもせず生きようとすることがそもそも論外…ここででまた戦わず逃げて負けるような奴の運命など……もう知らん! 本当に知らん! そんな奴はもうどうでもいい!! 勝つことが全てだ、勝たなきゃ虫けら以下だ!!

 

「「「「…………。」」」」

 

ハジメの言葉にハウリア達は胸を打たれたのかどことなく顔つきが良くなった…ように見えた。ハウリア達がハジメの言葉に余韻を浸っていると、

 

ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ!

 

何、ぼさっとしている? わかったら一体でも多く魔物を狩りに行け! 逃げる奴はどこまでも俺の的だ! この‘’ピッー‘’共!! カム、お前もいつまで腹おさえているんだ!? とっとと行け! クソガキてめえもだよ!!

 

すかさずハジメは近くにいたハウリア達にゴム弾を発砲、ハウリア達の意識が現実に戻され、腕や腹を抑えながら、わっーと蜘蛛の子を散らすように樹海へと散って行き、パルも一足遅れギャン泣きしながら後を追った。

それ以降、樹海の中‘’ピッー‘’を入れないといけない用語とハウリア達の悲鳴と怒号、ドンナーの発砲音が飛び交い続けたのだった。

 

 

 

 

 

「……まぁ、そいうことがありまして、その結果が‘’アレ‘’だ。」

 

「「「「………………。」」」」

 

そう言って悪びれる様子もなく語りを終えるハジメ、それを聞き終えた皆はあまりの出来事に茫然とし、黙り込んでいた。しばらく沈黙が流れていたが、

 

<そうはならんやろ!>

 

なっとるやろうがい! …………ごめん、言いたかっただけなんだ。でも、分かるよレオンの気持ち。普通はありえないよな、うん、誰だってそー思うし、おれもそー思う。」

 

今まで聞いたことない声の張り上げのレオンに素早く反応を見せつつも共感するスバル。

 

「……流石ハジメ、人には出来ないことを平然とやってのける…すごい」

 

いつもの涼しげな顔で言うも、内心は未だに驚いているユエ。

 

「所ジ〇ージもびっくりなビフォーアフター…どこからともなく「なんということでしょう~」という声が聞こえてきそう…」

 

「当麻、その感想、ネタが古臭くないか? というか、これから上手くやっていけるとして…絶対、何かやらかしそうな気もするんだが…」

 

ハウリアのあまりの変わりように思わず苦笑いしつつ昔見ていた番組が、ふと頭に過ぎる当麻。当麻の一言にツッコミを入れつつ、将来のハウリアの行く先が心配になる士郎。

 

『いくら彼らを強くさせるからといって、これは、少々やりすぎなのでは…』

 

『なるほど…ハジメ殿の世界ではそのような方法で強くしていくのですね! このサラ、感服いたしました! 今度、お時間があるときにご教示を…』

 

『サラ、絶対にだめですからね……絶対に!』

 

唯一、否定的な意見を述べるクロウ、それに対して大いに称賛を見せるサラはハジメから指導方法の伝授を頼もうとするもクロウに止められるのだった。

 

「うわぁ~ん、家族が…私の家族が~みんな死んでしまったですぅ~」

 

そして、事の顛末を知ったシアは人目も気にせず大粒の涙を流しながらわんわん泣いた。

本来ならこれを見て、ハウリアは達は心配したり駆け寄ったりするのだが誰一人駆け寄るものがおらずハウリア一同「何で泣いているんだ?」と首を傾げるばかり、その事実に気づいたシアは涙を止める事ができず、さらに大泣きするのだった。

見かねたユエがポンポンとシアの頭を慰めるように撫でていると、スッとシアの前に布切れが出された。

差し出した相手はパルであり、ニコニコした表情でシアを見つめていた。

 

「パ…パルくん? ふぇ、ありがとうございましゅ…」

 

シアは布切れを受け取り、涙を拭いてからチーンを鼻をかみだした。「よかった、変わらずいてくれた子もいた。」何て思っていたが、

 

「シアの姉御、女とはいえ、いけませんぜ。族長の娘が簡単に涙なんかながらしては~」

 

「えっ、姉御!?」

 

思わず耳を疑った。未だかつて姉御などという呼ばれ方はしたことがない上、目の前の少年は確か自分のことをシアお姉ちゃんと呼んで慕ってくれたはず、シアはとっさに近くに咲いていた綺麗な花を指差し、

 

「ほ、ほら、あそこに綺麗なお花さんがあります。パル君、いつも私を誘ってお花さん探しにいきましたよね? 懐かしいですよね、今度、探しに行きませんか? ね? 行きましょ?」

 

「この子だけは…この子だけは!」そう想いつつ念を押すシア、パルは一瞬シアが指した方を向くが、すぐに視線を戻し、苦笑交じり肩を竦めて、

 

「姐御、あんまり古傷を抉らねぇでくだせぇ。俺は既に過去を捨てた身。花を愛でるような軟弱な心は、もう持ち合わせちゃいません」

 

現実は非情である。しっかりパルも出来上がっているのだった。

シアは落胆して‘’シアお姉ちゃん、シアお姉ちゃん!‘’と慕ってくれて、時々お花を摘んで来たりもしてくれた事を思い出し、自然と意識が飛び去ろうとしたが

 

「それより姐御、俺は過去と一緒に前の軟弱な名前も捨てました。俺の名は………バルトフェルド…‘’必滅のバルトフェルド‘’です!」

 

「必…滅……って、必滅のバルトフェルドって何ですか!?

 

いったいどうやったらそんな名前が思いついたのか、そう考えるといてもたってもいられず、直ぐに意識が戻りパルにツッコむシア。

するとこれを見てハウリア達はいきなり、

 

「ちなみに私は、‘’疾影のラナインフェリナ‘’!」

 

「‘’外殺のネアシュタットルム‘’、パルには負けない!」

 

「キャハハ!! ‘’雷刃のイオルニクス‘’とは俺様のこと!」

 

「‘’幻武のヤオゼリアス‘’であ~る。」

 

「‘’霧ィィ雨ェェのーリキッドォォブレイクゥゥーーー!!!」

 

「ちょと、ちょと!? 何ですか、揃いも揃ってその名前!? しかも変なポーズまで取り始めて……う、うわぁ~ん、もう~どうしたらいいのですかぁ~!!?

 

一人ひとり名乗り出し、おまけに変わったポーズ、俗に言うジ〇ジ〇立ちを決めるハウリア達。シアもどうしたらいいのか分からず再び泣き出してしまった。

ちなみにこれを見ていたスバルは、

 

「なぁ、ハジメ。ハウリアがあんな風に名乗ったり、ポーズを取るようになったのは、お前の訓練の賜物なのか?」

 

「知らん……何それ……怖…」

 

スバルの問いかけに、ハジメはドン引きしながら全否定するのだった。

 

 





いかがだったでしょうか?

まずは本当に読者の皆さん、お久しぶりです。そして、改めて投稿が遅くなって申し訳ありません。生活環境が変わって時間がなかったり、ゲームにハマっておろそかになったり、評価、コメントがなく承認欲求モンスターになって逃避行? だったりで色々な理由で書けなかったのですが3週間前にたまたま軽く書いたらエンジンがかかり書き上げることが出来ました。
長くなりそうでしたので前編、後編に分けています。なるべく早くに後編を出したいと思います。


さて、今回注目するポイントはハウリアに対して言ったハジメの主張です。そのまま原作と一緒だと味気ないので、ある実写化作品のあるキャラの主張をもじってハジメに言わせました。皆さん、わかりますでしょうか?
あと、大変だったのは登場キャラが多いのでハウリアの変化を見て反応を考えることですかね。いつものことですが…何気にユエの反応の仕方は自信あったりします。

最後になりますが、いい加減な作者です。なるべく早く出すようにしますが、もしかしたらまた、期間が空いてしまうかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

それでは今日はこの辺で、ではまた…
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