ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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ようやく、トータスに来てからの長い一日が終わります。
それでは、どうぞ。


誓い、4人で…

城内の中庭ににやって来たハジメ、士郎、当麻、そこにスバルの姿はなかったので三人は待つことにした。待つこと五分、「アイツ…また変なこと企んでないだろうな。」と三人がそれぞれ思い始めた時、

 

「お~い!」

 

そう言って駆け寄ってくる者がいた。声がした方を振り向くとスバルが駆け寄って来ていた、その手に何かを抱えて来て。

 

「何してたのスバル?」

 

「へへっ…ちょっとね。いるものを借りてきたのさ、ハイ、これハジメの分。」

 

そう言ってスバルはハジメにあるものを渡した。

 

「これって…剣?」

 

そう言ってスバルから受け取った物、それは鞘に収まった細身の西洋剣だった。そして、士郎、当麻にもハジメと同じような物を渡して自分も皆と同じ物を手にするのだった。

 

「剣なんか持ってどうするんだ?」

 

「もしかして今から練習するの?」

 

士郎、当麻がスバルに尋ねると「違う違う」と言って笑いながら否定した。そして、スバルは逆に三人あることを尋ねた。

 

「なぁお前ら………’’桃園の誓い’’って知っているか?」

 

「トウエンノチカイ?」

 

当麻は知らないのか首を傾げた。

 

「桃園の誓いって、確か……」

 

「あの三国志の奴の?」

 

士郎、ハジメは知っていたのか二人で桃園の誓いについて思い浮かべていた。

 

「そうそう、それ。俺、ちょっとそれに憧れていてさ、今から四人でそれをしないか?」

 

スバルの提案にハジメ、士郎は。

 

「僕ら四兄弟になるの?」

 

「まさか俺が長男って言わないだろうな?」

 

ハジメと士郎の言葉にスバルは「ちげえょw」と言って否定し、当麻は知らないのかポカーンと蚊帳の外にいた。とりあえずスバルは今からする内容を三人に告げた。

 

「今からするのは兄弟の契りじゃない、’’親友の契り’’だ。これから先、どんな困難があるのか分からない。想像つかないこともあるかもしれない………。」

 

’’だから’’とスバルは前置きして、

 

「どんなことがあっても、俺達四人はずっと’’親友’’っていう契りを結ぶんだ。あと、誓いらしく、このトータスでどうしたいのか、どう生きたいのか…それぞれ目標も言おうぜ。」

 

と、言ってスバルは「どうだ?」と三人に尋ねた。すぐに反応を返したのは桃園の誓いを知らなかった当麻だった。

 

「いいね、それ! やろうよ!」

 

「…そうだね。」

 

「まぁ、目標は大事だよな。」

 

当麻に感化されたのか続けて賛成を示すハジメと士郎。

内心「めちゃ良いシチュエーションだなおい!」と少し心躍らせていたのはハジメだけの秘密だったりする。

 

「よし、じゃあ決まりだな。やり方は目標や目的を言ったら勢い良く剣を上に掲げてくれ。」

 

そう三人に説明したスバルは「で、トップバッターは誰にする?」と言って三人を見渡した。そして、ここでも積極的に動いたのは当麻だった。

 

「僕から言うよ。」

 

当麻はそう言って目をつぶり一呼吸入れた。三人は黙って当麻を見守っており一呼吸おいた当麻は目をあけて言葉を口にした。

 

「僕は……元の世界ではいつも士郎君やハジメ君、スバル君に支え守られてばかりだった…だから、変わりたい…弱い自分を、守られてばかりいる自分を変えたい!」

 

そう言って「僕は…」と前置きして、

 

「この世界で強くなる! 強くなって大切な人を、心の底から信頼する親友を守ってみせる!!」

 

そう言い切った当麻は勢い良く剣を抜いて天に掲げた。やり切った感があるのかどこか爽やかだった。

当麻が言った後、「じゃあ次、俺いくは…」と言って士郎が名乗り出た。士郎も一呼吸おいて、想いを口にした。

 

「俺は、そうだな……これといって’’何かを成し遂げたい’’っていうのはないんだよな………ただ、しいて言うなら、お前らを支えたい。色々危なっかしい所もあるし、特にスバル! お前が一番危なっかしいから心配だ…。」

 

そう言う士郎にスバルは「何だよそれ。」と言って口をとがらせて、残りの二人は「確かに。」と言いたそうに笑うのだった。そして士郎は言葉を続けた。

 

「あらためて宣言する! 俺はお前らを支え、お前らが出来ない事を俺がやってやる。陰日向になって、お前らの支えとなろう!」

 

そう言い切った士郎は勢い良く剣を天に掲げ、最初に掲げた当麻の剣に当たってカキィーンと鳴り響いた。

当麻と士郎が言い終わり、スバルとハジメは顔を見合わせた。そして、ハジメがコクッと頷いてから一呼吸入れ、言葉を口にした。

 

「僕は……戻りたい、元の世界に。まだ、やりたいこと、やり遂げてないことが沢山あるんだ……それに、父さんも母さんも心配していると思うし……。」

 

そう言って、元の世界で友達に続いて自分の趣味の良き理解者である父と母を思い浮かべた。今頃オロオロして心配しているだろうなと思いながら、言葉を続けた。

 

「だから僕は…帰るんだ! どんなことがあっても、ここにいる三人と一緒に元の世界に帰ってみせる。」

 

そう言ってゆっくりと剣を抜いて、当麻、士郎の剣に添えるように剣を掲げた。

当麻、士郎、ハジメが言い終わり残るのはスバルのみだった。三人はスバルの顔を見て期待の眼差しを向けた。それに気づいたスバルはゴホンっとわざとらしく咳払いをして、言葉を発した。

 

「俺は……この世界でもお前らと楽しみ、思い出を作りたい。一生に残る異世界ライブを過ごしたい。」

 

「そして、」とスバルは前置き、

 

「俺は、どんなことがあってもお前らの親友だ! 例え、姿、形が変わろうとも…お前らの親友としてあり続ける!」

 

そう言ってスバルの最後の剣が掲げられ、当麻、士郎、ハジメ、スバルのの四つの剣が揃った。

そして、スバルは続けて宣言するのだった。

 

「我ら四人、改めてここに親友の契りを交わす。例え、ぶつかり合う事があろうとも、強大な困難が迫ろうとも……共に助け合い、お互いを尊重し、信じ合うことを今ここに……」

 

「「「「誓います。」」」」

 

最後は誰が意図した指示でもなく、自然に四人の声が出て重なっていた。そして、この誓いを認めるかのように天に掲げて重なっている剣が耀き出した。雲に隠れていた月が顔を出し、四人を包み込むかのように月光が降り注いだからだ。誰もがこの光景を目に焼き付け、この誓いを一生忘れないだろうと思った。

後にこの誓いは四人の中で’’月下の誓い’’と名付けられることになり、また、これを見ていた者が何人かいたのだが……それはまた、別のお話しとなる。

 




作者的に剣を掲げて誓いを立てることに憧れがあります。
印象に残っているのは某三国系無双ゲーム三作目の桃園の誓いが印象に残っています。

次回、主要メンバーのステータス発表となります。

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