ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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お待たせいたしました、今年最後の投稿になります。

いよいよスバルの天職が明らかになります。



ステータスプレート

四人の’’月下の誓い’’から翌日、早速訓練と座学が始まった。

まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。スバルはこのメルドという人物がこのトータスに来て初めて信頼できる人物だと思うのだった。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

メルド団長の言葉に「アーティファクト」という聞きなれない言葉が出て、クラス達が疑問に感じていると、

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属けんぞく達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

なるほど、と頷き生徒達は顔をしかめながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると…………

 

 

 

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影山スバル 17歳 男 レベル:1

天職:融合者

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:融合・言語理解

 

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と表示された。スバルはゲームのキャラにでもなったようだと感じながらステータスを見ていると、メルト団長からステータスの説明がなされた。

どうやらレベルが上がれば各ステータスが上がるという事ではなく、レベルはその人間の到達できる領域の現在値を示しているとのことだった。そして、ステータスは日々の鍛錬で当然上昇し、魔法や魔法具で上昇させることも可能だという。

次に天職だが、それはその人が持っている才能であり末尾にある技能と連動していて、その天職の領分において無類の才能を発揮するとのこと、ちなみに戦闘系は四人に一人、非戦闘系は百人に一人の割合みたいだ。

スバルは改めて自分のステータスを見た、天職覧には’’融合者’’とある、どうやら融合というものに才能があるようだが…………

 

「(融合者って何の才能があるのだ?)」

 

頭の中で考えるスバル、融合ということだから何か合体させることに才能があるのだろうか?………そんなことを思っているとメルド団長が、

 

「ちなみにだが、大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 訓練の内容の参加にしたいから、後でステータスプレートの内容は報告してくれ。」

 

「(えっ?)」

 

団長の言葉に改めて自分のステータスを見た。ステータスは見事に’’10’’が綺麗に並んでいるのだ。確か自分達は上位世界の人間だからトータスの人達よりハイスペックだとイシュタルが話していたはずなのだが……どう見ても平均なのだ。

 

「(うわっ…………俺のステータス、平均じゃん……?)」

 

口元を片手で押さえてステータスを見るスバル、はたから見れば某ネット広告に見えなくもない。自分が平均なら他にもいるはずと思い、辺りを見渡すも皆、顔を輝かせていた。「まさか俺だけ?」と思ったが一人だけ冷や汗をかいている人物がいた。

 

南雲ハジメだった。

 

スバルはハジメに近づき恐る恐るステータスについて聞いてみた。すると何とも言えない顔で黙ってステータスプレートを見せてくれた。見てみると自分と同じオール’’10’’であり、技能も二つだけだった。

スバルも自分だけ見るのは悪いと思い、自分のステータスを見せた。ハジメはそれを無言でまじまじと見て、そして、スバルのステータスを見終わりスバルの顔を見た。

スバルもつられてハジメの顔を見るのだった。

 

「「…………。(ガシッ)」」

 

お互い無言で見つめあった後、握手を交わした。どちらが意図したわけではない自然と手が出ていたのだ。「お互い頑張ろう。」二人はそんな思い出握手を交わしていると、首を項垂れながらフラフラと近づいてくる人物がいた。

 

入江当麻だ。

 

当麻は二人の前まで来て跪き、頭を垂れた。スバルとハジメが「どうした?」と言って駆け寄ると当麻は無言で自分のステータスプレートを見せた。

 

 

 

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入江当麻 17歳 男 レベル:1

天職:気術士

筋力:5

体力:5

耐性:5

敏捷:5

気力:100

魔耐:5

技能:気力操作・言語理解

 

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二人は言葉をなくした。まさか自分達より下がいるのとは思わなかったのだ、それと同時に自分達のステータスプレートを見せるのをためらった。もし、見せたら今にもどこかに去りそうに思えたからだ、するとここでスバルはあることに気づいた。

 

「この、’’気力’’ってのは何だ?」

 

一つだけずば抜けて高く、自分達のステータスプレートにのってない項目が気になって尋ねるスバル、当麻はピクッと身体を震わせて黙り込むも意を決して話し始めた。

まず、気力について話す前に天職、’’気術士’’について話しておこう。

気術士とは万人に一人の割合で得る事が出来る非戦系の天職だ…………もう一度言おう()()()()()()()

気術士になると魔力に代わって’’気力’’という表記になり、自然と気力操作の技能を得るのだ。この気力というものは何に使えるかというと………………主に血流を良くしたり、筋肉をほぐしたりすることに役立つのだ。

更に言うと気力は魔力に代わるようなものではなく、魔法を発動する魔法陣に気力を流しこんでも魔法は発動しないのだ。つまり、当麻は魔法の適正でうんぬん悩むどころか、全く魔法が使えない存在なのだ。

そして、このトータスでは気術士=マッサージ師ということ広く伝わっており、確率が低い割には全くメリットがない、得る事が出来たら「本当に運がなかったな」と言いようしかない天職なのだ。

万人に一人の非戦系の天職、ステータスは平均以下、魔法は全く使えない、この三つが備わったステータスプレートを見たメルド団長は(本人に一通り天職について説明した後)かける言葉が見つからず、ただ黙って落胆する当麻の肩に手を置くことしか出来なかった。

 

「…………その何というか、」

 

「頑張ろう、本当に俺ら超頑張ろうぜ…。」

 

入江の話を聞いてどう声をかけていいのか分からないハジメ、それに続いてとりあえず自分を含めてくれた三人を鼓舞するかのように声をかけるスバルだった。

 

 

 

さて、メルド団長にステータスプレートを見せる順番が二人にも回ってきた。スバルとハジメは同時にステータスプレートをメルド団長に見せた。団長は「ん?」と少し驚いた後、二人のプレートを見た。そして、見る見るうちに物凄く微妙な表情をしていくのだった。一応二人は自分達の天職に対して聞いてみた。

ハジメの錬成師は鍛冶師の事で十人に一人は持っている非戦系天職だった。

それを聞いたハジメは「やっぱり」と内心ため息をした。後ろでそれを聞いていたのか檜山達、またクラスの一部の男子達はニヤニヤと笑っていた。そして、スバルの融合者については、

 

「う~ん、初めて見る天職だ。俺も知らないな。」

 

そう言って団長は頭をひねらしていた。これを聞いたスバルはハジメ、当麻には悪いと思ったが未知なる点に少しだけ期待を膨らますのだった。

その後、団長は「少し休憩をとるぞ。」と言ってどこかに行ってしまうと、早速ニタニタ笑いながら檜山達が絡んできた。

 

「おいおい南雲、お前非系だろ? そんなんで戦えるわけ?」

 

「つーか、さっきチラッと二人のステータス見たんだけどオール10だったぜ。」

 

「マジ!? 完全に一般人じゃねえか!!」

 

「しかも入江に至ってはオール5で魔法は全く使えない。」

 

「ぎゃははは~無理無理こいつら死ぬわ!」

 

檜山と近藤が二人で盛り上がり、それにつられて斉藤、中野も笑うのだった。

ここでいつもなら親友をバカにされてスバルが黙っているわけでもなく檜山達に吠えようとした時、先にウガーと怒りの声を発する人がいた、愛子先生だ。

 

「こらー! 何を笑っているんですか! 仲間を笑うなんて先生許しませんよ! ええ、先生は絶対許しません!」

 

ちっこい身体で怒りを表す愛子先生。その姿に毒気を抜かれたのか檜山達は笑うのをしぶしぶ止めるのだった。

 

「南雲君、影山君、それに入江君…………気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。君達だけじゃありませんからね!」

 

そう言って「ほらっ」と愛子先生はステータスを見せた、ハジメ、スバル、そして、気になってやって来た当麻はそのステータスを見た。

 

 

 

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畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

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これを見た瞬間、三人は様々な反応をした。ハジメは死んだ魚のような目で遠くを見だし、当麻は再び跪いて落ち込み、スバルは身体を震わせながら頭を項垂れていた。「あれっ、どうしたのですか?」とオロオロする愛子先生、確かに全体のステータスは低いのだが、それをカバーするかのように技能数が多いのだ。しかも、この技能で戦争における食料問題がほぼ解決したのだ。三人以外はほぼチート、自分達と同じと期待していた愛子先生も十二分にチートと見せつけられて…………とうとうスバルの中で何かが弾けた。

 

「先生!! それ嫌味か? 俺達に対する嫌味なのか!? ふざけたことをしやがって!! もう少し自分のステータスを見て行動しやがれ、このクソチビ教師!!」

 

「なっ! 私はあなた達を思ってですね……それよりも影山君! 何ですか、その言葉づかいは!? それが教師に対する口の聞き方ですか!? 許しません、そこに座りなさい! お説教です!!」

 

「うるせぇー! ここは異世界で教師陣もいなければ、教育委員会もいないんだ!! 怖いものなんかあるか、とっちめてやるぅ!!」

 

そう言ってスバルは愛子先生の両肩を掴み、物凄い勢いで前後に揺らし始めた。流石に暴力はいけないと分かっているのか(というのも父の教えで女は殴るなと教わっており)殴るようなことはせず、精一杯の抵抗として身体を揺らすことにした。身体が小さいこともあり、愛子先生は激しく揺さぶられて「ちょっ、やめな、やめ、やめ~て~」と言葉が最後まで言えないでいた。

これを見たクラスの生徒の一部(士郎を筆頭にして)が止めに入った。当麻は跪き、その横で担任の身体を激しく揺らすスバル、そして、それを止める士郎。

何とも言えないカオスな状況を見てハジメは深いため息をつき、その様子を見ていたレムは、

 

「(皆さん、ファイトです。)」

 

と、三人に心の中でエールを送るのだった。

 

 

 




いかがだったでしょうか? 「これだけじゃあ、分からない」という方も多いでしょうが、話が進むにつれてスバルと当麻の天職の解明をしていきたいと思います。

来年も地道に頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。


それでは、良いお年を!!
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