歴オタミリオタ介護福祉士が異世界転生して外道鬼畜と言われようと手段選ばず天下と美少女の眼差しを受け続ける退屈じゃない毎日を目指す様です。   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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どうもPSO2二次創作オリジナル仮想戦記小説、PSO2二年前の戦争を書いているオラニエ公ジャン・バルジャンです!ふと異世界転生ものが書きたくなったので書いちゃいました。私がドリフターズやゴブリンスレイヤーが大好きなこともあって平和な異世界転生を期待していた方は残念だったな。ここにはエロと残酷極まりないリョナホラーしか無いぜ(大嘘)とまぁ、拙い文章は変わりありませんがどうかお楽しみあれ。


1話(本性がヤバイ介護福祉士(俺)召喚される)

(他と変わらない日常が今日もやってきた。いつもと同じように5時に起きて、6時に家を出る。電車に乗って、バスに乗って7時半に早番勤務に就く。眠そうながらも忙しなく動く先輩達。新入社員の俺は入って半年以上。まだまだヒヨッコで色んなミス、それこそ始末書モンの事もやったけど今はなんとかやれてる。いつもと同じ様にお年寄りに対応する。星の数ほどいるお客様だが対応はやがて同じになっていく。同じ様に流れる仕事なんて無いのだろうが、俺には同じ事を繰り返している様に思える。それこそが大事なんだろうが、やはりつまらなくなって来たと思う。最近ジィちゃんとバァちゃんとで剣道や薙刀の稽古もしてないし、ダチはみんなシフトが合わなくって遊んでない。親父もお袋も妹の剣道遠征で留守にすることが多い。要は寂しさやストレスを抱えてるといった色んな要因があるがそんなのは関係なくやはりつまらないし、単調な日常を過ごしているとしか感じられない。

 

それはここ最近の歴史もそうだろう。大東亜戦争が終わって七十数年間。冷戦があって、今も昔もテロや紛争があって今もその名残りである朝鮮問題を抱えてはいるが世界的に見れば数十年の平和だ。とある小説の主人公が欲しがった、たった数十年の平和はこの地球で部分的に訪れている。でも俺たち人類は怠惰故に停滞しているとも言える。中世の暗黒の三百年然り全く進まない歴史の針…この平和な日常の代償にしては大き過ぎる。俺こと綾瀬昌幸は常人とは変わった趣味や嗜好があるからこの平和を素直に享受出来ないのだ。)

 

昌幸

『昼食介助も終わると退屈だ…。どこかの異世界にでも転移したいな…。』

 

だが平和な日常は突然失われるものだ。青年綾瀬昌幸の目の前に窓から顔を出している年老いた男性がいた。この男性は昌幸が働く施設に入所したばかりであり、重度の認知症を患っていた。自宅でも暴力行為、自殺願望、徘徊が見られる人物であったが、人数不足による対応に追われた事による注意不足とこの老人の手足が達者であった事が災いした事件である。綾瀬介護士は大急ぎでその老人の元に向かった。窓は縦に大きいもので開ければ人間を簡単に通す。それを開けて身を飛び出させれば結果は一目瞭然である。反対側から先輩の男性職員が走ってきており、二人掛かりでその老人を抑えようとした。

 

昌幸

『Sさん大丈夫だよ、落ち着いてね。その窓を開けると危ないよ。』

 

老人S

『離せ‼︎離してくれ‼︎死なせてくれ‼︎』

 

先輩

『綾瀬くん。俺が抑えるから窓を閉めて!』

 

昌幸

『はい‼︎』

 

昌幸が窓を閉めよう手を伸ばした時、暴れる老人Sの足が昌幸を蹴った。バランスを崩した昌幸はそのまま地面に落ちた。

 

地面に叩きつけられた昌幸は薄れていく意識の中で悲鳴と、自分の名を呼ぶ先輩の声と暴れる老人の怒号を聞いた。…だがその中でも違う声も聞いていた。少女の様な声であった。透き通った綺麗な声だった。

 

(天使でも悪魔でも良い。私の国を守って)

 

(退屈な俺の人生が最後の最後で奇妙な終わり方をするのか…でも、もっと生きたかったな…)

 

(助けて…)

 

(何だよ…助けて欲しいのはコッチだよ)

 

(助けて…)

 

(助けてやったらどうにかしてくれるのか…なら助けてやるよ…こんな死体でいいならな)

 

昌幸は瞳を閉じた…。瞬間自分が落ちている様な感覚に襲われた。

 

(なんだよまた落ちんのかよ。さっきも落ちたばっかりなのにアレかな地獄に落ちているのかな…鬼○様のお世話になるのかな…(閻☆大○…知らんわあんなデブ) )

 

落っこちていく感覚と同時に冷たい風が自分に当たるのも感じた。

 

(よりにもよって八寒地獄かよ…クソサミ確定だろ…)

 

風の音も聞こえ出し、自分の体が動かせるのも昌幸には分かった。そして自分が本当に落ちているのを理解したのだ。

 

昌幸

『マジで落ちてたんかい〜‼︎おいおいおいおい死ぬわオレ。(ドヤ)じゃなくてなんでこうなってんだ〜‼︎‼︎』

 

己の悲鳴を聴きながら空を真っ逆さまに落ちていく昌幸は自身の走馬灯を眺めていた。だがたかだか二十年なんてすぐ終わってしまうので慰めにもならない。そういえばオレ日本人だから空の神兵じゃね?とかお気楽な事を考えてもこれも慰めにはならず昌幸は次第に森に落ちていった。

 

昌幸

『終わった…俺の人生第2期たった数十秒で終わった…。』

 

昌幸の身体は木々に叩きつけられ、そして最後水の中に落ちた。幸運な事に昌幸は生きていた。これには二次大戦中にパラシュート無しで降下したソ連兵もビックリである。

 

浮かび上がった昌幸は辺りを見回した。そして岸を見つけるとそこに泳いでいった。

 

足がつくほどの浅瀬までたどり着くと音を立てながら歩いた。そして自分の前に少女が現れた。髪は輝く金髪で瞳は翠に彩られその肢体は正しく女神を彷彿させるが如く乳房は一回り大きめだが全てにおいてバランスが取れておりスラリと伸びた手足や身体にはある程度の筋肉がついていた。昌幸は突如出現した美少女に見惚れていた。如何わしい店に訪れた分美女を見たが人生でこれほどの美女を見た事などある訳が無かったのだ。そして向こうも見つめていた。黒髪に多少の彫りはあるが比較的平らな顔。肌は黄色く、目は細く、まぶたは一重である。決して美男とは言えないが何処か古風な顔つきである。体つきは細いが身長は高く、手足にはよく見ると鍛え上げられた筋肉があり見かけの割にはガタイの良い体をしていた。そして明らかに自分達とは異なる装束を身につけていた。二人は見つめあったまま動かなかったが、この美少女が先にその沈黙を破った。一糸纏わぬ姿を見られた事に頬を赤らめ、瞳には涙を浮かべ始めると…

 

美少女

『きゃあああああああああ‼︎‼︎』

 

昌幸はその悲鳴で我に帰った。昌幸は大急ぎで後ろを向き少し離れるとジャージのポケットに入れていた眼鏡を掛けると謝罪を始めた。

 

昌幸

『ご、ごめんなさい‼︎そんな気は決してなかったんだ‼︎その、まさか居るなんて思わなかった。眼鏡を掛けてなかったから全く見えなかったんだ。その君が余りにも綺麗で…と、兎に角ごめん!』

 

美少女は息急き切って居たが、身体を見られない様に姿勢を低くし、水の中に隠すと突如現れた男を問いただした。

 

美少女

『貴方は誰?目的は何?私を殺しにきたのですか?』

 

昌幸

『んな事するわけないでしょう⁉︎白昼堂々とそんな事やるのはヤク中かア○=カイ○みたいなテロリストだろうが俺がそんな奴に見えるか⁈ただのしがない介護福祉士だ‼︎綾瀬昌幸20歳。祖国は日本、趣味は戦略シュミレーションゲームとコミック本集め!好きなアーティストはper○○m○、CH○M○S○○Y。ここ最近見た映画は○魂実写版』

 

美少女はこの男の話した内容に明らかに自分達とは明らかに違う文明である事を示唆する内容が合ったのを見逃さなかった。

 

美少女

『貴方、異世界人ね。本当に居るなんて。』

 

昌幸

『異世界?えっ、ちょっと待ってくれ!ここはどこなんだ?君は誰なんだ?』

 

美少女

『私はソフィア。アルトヘイム王国の王女です。そしてここはアルトヘイム王国王都アルトヘム郊外の森。』

 

昌幸は聞いたことの無い国名を聞き、どうやら自分が異世界に飛ばされた事を理解した。そして自分が飛ばされたから何かしらの能力に目覚めてないかとありとあらゆる事を試してみた。例えば死んだら少し時間を遡って復活するとか(これは試し様がないが)、物を宙に浮かべたり、変身したり、自身の右腕にレーザーガンが着いてないかといった事を期待してみたが…そんな事は無かったという事を理解した。そして一人で落ち込み始めた。

 

昌幸

『いや、分かってたけどさ…せめてなんか…あるでしょう…?イケメンに整形されてるとかさ…。』

 

一人落ち込む昌幸をに掛ける言葉が判らないソフィアは岸に生えた木からタオルを取り、体に巻き、昌幸に声を掛けた。

 

ソフィア

『昌幸さんでしたっけ?とりあえず岸に上がったら如何かしら?そこに居ては風を引きますよ。もう前を向いても大丈夫ですから』

 

昌幸は向き直ると岸に向かって歩き、ソフィアの隣に座った。ソフィアは昌幸に昌幸の住む世界についてあれこれ質問した。昌幸は答えられるだけ答えたがその中で軍事面の質問が比較的多かった事が引っかかっていた。

 

(他国の軍事機密を欲しがるなんて珍しい事ではないけど、お姫様の彼女が聞くなんて何か理由がありそうだが…)

 

昌幸はそれを聞こうとした瞬間背後から殴られ、そのまま昏倒してしまった。

 

ソフィアは立ち上がると二人の騎士が立っていた。一人は女騎士であり、片割れの騎士よりも豪華な装飾が施されている事から高位の騎士であることが伺える。その騎士達はソフィアを見ると恭しく頭を下げた。

 

女騎士

『ソフィア様お怪我はございませんか?』

 

ソフィア

『アリス、迎えに来てくれたのですか。』

 

アリスと呼ばれた女騎士は兜を取ると銀髪の髪の毛とこれまた美しい顔を見せた。

 

アリス

『ソフィア様の悲鳴を駆けつけ、この者と共に駆け参じた次第にございます。ご無事で何よりです。』

 

ソフィアとアリスが話している間にもう一人の騎士が昌幸を縛り上げて居た。そしてそれが終わると剣を引き抜き、昌幸の首に当てた。

 

騎士

『殿下、将軍。この痴れ者は如何様に致しましょうか?』

 

アリス

『斬り殺せ。殿下の水浴びを邪魔し、恐れ多くも殿下の雅なお身体を辱めた事は許し難い。王都に護送するまでもない。ここで殺せ!いや私がやろう!』

 

アリスはそう言うと自身の剣を抜き、昌幸を斬ろうとしたがソフィアが止めた。

 

ソフィア

『お待ちなさいアリス!昌幸さんは…この方は異世界の方です。我が祖国アルトヘイム始祖アルトヘム王は異世界の方に助けられ王都を築きました。以降我が国では異世界の方が現れた客人として迎え入れる事を教会に誓約しました。それを違える事は教会に仇なすことと同義です!それを理解していますか?』

 

アリスは深く息を吸い、それを吐くと剣を納め、ソフィアに深く謝罪した

 

アリス

『申し訳有りませんでしたソフィア様。ではそのように致しますが、一応このまま縄につけておくことだけはお許し下さい。まだ素性が確かでない事は事実です。もしもが有っては事ですし、何より今の我らには時間が有りません。何卒ご容赦を。』

 

ソフィア

『致し方ありませんね、行きましょう。』

 

ソフィアはアリスと昌幸を担いだ騎士を連れて泉を去った。そして森を抜け少し離れたところに立てられた天幕の群れの中に入っていった…

 

昌幸が目を覚ましたのはそれから二時間が経ったくらいだった。

 

自分は薄暗い天幕の中に入れられ、縄で縛られ、身動きが取れなくなっているのには流石に動転したがどうしようもないので大人しくする事にした。すると隣の天幕は明るく何人かの人間の話し声が聞こえるのが分かった。昌幸は音を立てないように近づきその声を聞いた。一人はさっきの美少女ソフィアのものであった。

 

一方隣の天幕ではソフィアと女騎士アリス、そして数名の指揮官が軍議を開いて居た。実はこのアルトヘイム王国はゴブリンの軍勢の侵略を受けて居たのだ。王都を目指し真っ直ぐ進み、その道中の村を焼き、村民を殺し、奪い、犯し、攫っていた。事態を収束すべく軍勢を派遣したのだ。

 

騎士1

『ゴブリンの数は報告よりは少ないものの数は我が方を上回っている事は確かです。』

 

騎士2

『彼奴等は複数のリーダーによって指揮され進軍しておりこの先の平原に陣取っております。然し…。』

 

騎士3

『如何に戦えば良いのか…。ゴブリンどもは道中の村々で攫った女達に暴行を加え、身ぐるみを剥がし、犯した上で木の大盾に括り付け我が方の矢や魔法弾を飛ばさぬように仕向けております。さらに我が方の兵達は殆どが新兵であり、女性兵に至っては捕虜達をみて完全に士気を落とした者もおり…』

 

アリス

『卑怯な真似を…!ノーロット帝国の進撃で防壁さえ壊されたさえしなければあのゴブリン共などに遅れなど!』

 

ソフィア

『嘆いていても致し方ありません。今は如何に戦い、多くの民を救うかです。私達の後ろには村があり、そして王都が有ります。他の王国や公国のような末路を踏む訳には参りませんわ!一先ず我が方も布陣を…』

 

すると一人の兵士が大急ぎで天幕の中に飛び込んで来た。一同はその兵士に注目し、アリスはどうしたと聞くとその兵士から驚くべき事を聞かされた。

 

兵士

『ゴ、ゴブリンが突如我が軍の目の前に現れました‼︎偵察の報告にあった場所から移動してきたと思われます‼︎現在迎撃中ですが、我が軍の各部隊は戦闘陣形を取る暇が無かったため全部隊が苦戦中との事‼︎』

 

騎士1

『何だと‼︎』

 

騎士2

『何故動くか‼︎』

 

この時昌幸は殴られる為に存在する敵など居るかと思いながら聞いていたという。狼狽する諸将をソフィアは檄を入れた。

 

ソフィア

『こうなっては致し方有りません。先ずは攻撃してきた前衛を押し返し、各部隊の態勢を整えるのです‼︎』

 

諸将

『ハハッ‼︎』

 

ソフィア達は天幕を出ると、それぞれの直属部隊の元に駆けていった。一人物置用の天幕に残された昌幸はある程度の事情を理解した。

 

(成る程、ゴブリンが何処ぞのフン族宜しく、国境を越えて攻めてきて、万里の長城的な防壁が有ったけど、別の国に壊され、結果ゴブリンに薄い本にされて行ったって事か。新兵ばかり部隊しかないと言うのは辛いところだな。そんな部隊が各個で応戦しても大した事にはならない。俺が想像通りのゴブリンなら数は多くても1個体の力は弱い者が多いはずだ。集団による陣形と、平地ならではの戦いが出来れば難しい事ではないはずだ。………つかそんなことより逃げねば‼︎)

 

昌幸がジタバタしている頃、アルトヘイム軍各部隊は迫り来るゴブリンに各個で応戦していた。確かに1個体の力は大したは無いが、大型のリーダー格のゴブリンに率いられていることから統率が取れており、ゴブリンもそれぞれが棍棒や弓、ナイフで武装しており、集団で兵士に襲い掛かり男だろうと女だろうと嬲り殺していた。ソフィアはレイピアを持ってゴブリンを斬り殺していたが、キリが無く、疲弊していた。自分の近くで老若男女問わず殺され、悲鳴を上げていく、頼りの騎乗騎士達も乱戦では分が悪く、弓兵や魔道兵も誤射を恐れて攻撃できないだけで無く不慣れな接近戦を強いられていた。この時ソフィアは乱戦の最中で護衛やアリスと逸れてしまっていた。おまけに初陣という事もあり始めている地獄絵図に耐えきれなくなりつつあったが気丈に振る舞っていた。

 

(早くアリス達と合流しなければ…)

 

然しそこにゴブリンが複数体現れソフィアに襲いかかった。何体かは斬り伏せだが、残りに手足を拘束されてしまう。そしてもう一体がソフィアのレイピアを奪うと馬乗りになり首にレイピアを刺そうとした。

 

ソフィア

(父上、母上…‼︎)

 

ソフィアは涙を浮かべ瞼を閉じ、死を覚悟した。…然し、レイピアが彼女の白い首を突き刺す事は無かった。寧ろそのゴブリンが巨大な矛に突き刺され、彼女の腹の上で真っ二つになった。手足を拘束していた四体が鉾の持ち主に襲い掛かろうとしたが悉く叩き潰された。返り血を浴びたソフィアは訪れようとした死の恐怖を感じ恐ろしくなった。

 

ソフィア

『ヒッ…。』

 

それをみた矛の持ち主はクスクス笑った。

 

?

『オイオイさっきまでそんな細身の剣で無双してた癖に返り血浴びてしおらしくなる事無いだろう?まぁ、それが生きているという実感だね。いい事だ。』

 

ソフィアは矛の持ち主を見ると驚いた。見覚えのある紺色の上着とズボン。その下に緑色のポロシャツ。黒髪に眼鏡を掛けた青年はなんと昌幸であった。

 

ソフィア

『昌幸さん?どうしてここに?』

 

昌幸

『ジタバタしてたら箱にぶつかって中身をブチまけてみたらナイフが入っているではありませんか!まぁ後はそれで切って、他にも色々あったからこの矛と剣、あと縄を切る時に使ったこのナイフを失敬してきたって訳さ。ある程度の事態は呑み込んでいるつもりだ。君が指揮官だねソフィア?君は今すぐー。』

 

後ろから殺気を感じたので昌幸は振り返りながら矛で受け身を取るとアリスが二振りの剣で斬り掛かって来た。昌幸はそれを受け止めるとそのまま矛で薙ぎ払ったが重装甲の甲冑をつけているのにもかかわらず素早い身のこなしでアリスは交わした。二人は二、三合打ち合って離れた。

 

アリス

『貴様…勝手に抜け出し、あろうことか我が軍の備品を盗み、ソフィア様を手に掛けようとするとは…見下げ果てたものだ!』

 

昌幸

『その姫様から離れ、賊に委ねた無能な護衛の言うことか。その甲冑や剣はお飾りか?所詮はお嬢様のお遊びとでも言うつもりか?』

 

今にも二人が殺し合いを始めようとしていたがソフィアが間に入り、止めたお陰で斬り合う事はなかった。

 

ソフィア

『昌幸さん、さっき何か私に言い掛けていましたが、一体何を言おうとしていたのですか?私に出来ることですか?』

 

昌幸

『ソフィアがこの軍の指揮官なら今すぐ、全兵に五人程度の集団を組ませるように各部隊指揮官に伝令するんだ。ゴブリン達は個体の力を補助する為に集団で攻撃してくる。そこを一人で抑えようとしても黙阿弥だ。ここは我々も集団を編成して耐えるんだ。敵は長距離遠征をしてきたんだろう?なら敵の指揮官は前衛に無用な消耗は避けたいはずだ。必ず耐えれば向こうから引く。騎兵も全員下馬させて戦闘に加えるんだ。突撃力の活かせない騎兵なんてゴミカスだからな。今必要なのは人間だからね。』

 

アリス

『正気か!?騎士達に馬を降りて、兵卒達みたいに徒歩で戦わせるのか?』

 

昌幸

『誇りだ云々の前にこの戦に勝つ事を考えろ!結果の伴わない誇りやプライドに価値なんて着かん。』

 

ソフィア

『アリス、ここは昌幸さんの言うことが正しいと思う。少しでも戦力が欲しいし、戦い慣れした騎士が歩兵の近くに居れば心強いわ。お願いアリス。』

 

アリス

『姫様がそう望まれるのであれば…承知しました。騎士達には私から下馬するよう申し伝えます。おい異世界人、今回は見逃してやるが、次に姫様に近づくことあれば容赦無く斬り伏せるからな。』

 

そう言うとアリスは騎士達の元に去っていった。昌幸は矛を背中に収め剣を引き抜き、ソフィアの手を掴んだ。

 

昌幸

『んじゃ、行くぞ‼︎』

 

ソフィア

『あの、何処へ?』

 

昌幸

『決まってんだろう‼︎最前線だ‼︎』

 

ソフィア

『えええっ⁉︎将が前線に出てどうするのです⁉︎聞いたことありませんよ⁉︎』

 

昌幸

『こう言う時こそ将が出なければならない。飛んで跳ねて何転もしないと兵達はついてこない。苦楽を共にする将こそ、称賛に値する将になるのさ。』

 

ソフィア

『兵達を鼓舞すると言う事ですね……分かりました共に参りましょう!』

 

昌幸に連れられ、ソフィアは最前線に到着した。最前線では昌幸が指摘した通りに、各兵達は数体のゴブリンに対し、一人一人で当たっており、結果手数の差で負け惨殺されていた。切り刻まれる男、ひたすら殴られる女、大型ゴブリンに体を引き裂かれる男女の悲鳴…。それらは鳴り止まなかった。ソフィアは地獄を見たと言ってもいい、だがそれ以上に恐ろしかったのは隣に立つ昌幸の表情であった。まるで新しいオモチャを与えられた童の如く顔を輝かせ、歓喜の中にいると言っても良かった。

 

昌幸

『素晴らしい‼︎これこそ生物の本懐‼︎闘争本能による、自身の存在価値、生きていると証を見出すたった一つの方法、戦争‼(これぞ人類、世俗派万歳‼︎)︎これが否定されず弱肉強食の世界‼︎待ち望んだ世界だ‼俺たちのようなバカでロクでも無い奴の天国!人類が最も忌むべきにして、最も甘美な所業だ!ああ虚しいかな、されど愛すべきかな…。』

 

ソフィアはこのトチ狂った青年がさっき自分と出会った好青年とは別の人間では無いかと疑いたくなった。そして振り返って自分を見る闘争の狂信者が自分の知る元の青年に戻り話しかけた時は身の毛が弥立つ感覚に襲われた。

 

昌幸

『さぁ、ソフィアさん。指揮官としての役目を果たすんだ‼︎我々の後ろには村が、王都がある。蹂躙される女子供は見るに耐えんぞ?』

 

ソフィア

『分かっています…そんな事は‼︎させません‼︎アルトヘイムの兵達よソフィア・ド・アルトヘイムの声を聞きなさい‼︎』

 

ソフィアの声が戦場を駆け巡った。兵達はその声に振り返った。まだ諦めておらず勝利を収めようとする将の声に体が、本能が応えたのだ。

 

ソフィア

『各部隊、各兵士達は近くの仲間で五人程度の分隊を築き、陣を組むのです。個人ではなく集団で当たりなさい‼︎互いを支え、確実に勝利するのです‼︎』

 

アルトヘイム兵

『おおおおお‼︎‼︎』

 

兵達の指揮は回復し、近くにいる兵達同士で隊伍を組み、それぞれが持つ武器の特性を生かした伍(五人編成の中国の分隊) のようなものが出来上がった。昌幸とソフィアも近くにいた短槍を持った兵二人と魔道兵一人と伍を組んだ。昌幸は剣を引き抜くと手首をクルクル回しながらこの剣のクセを掴もうとした。多少重いが堅牢な構造で出来ており、刺すより、叩き斬る方が良いと昌幸は判断した。

 

昌幸

『この五人で一丸となって動くんだ。ソフィアさんと俺で斬り込むから二人は槍で援護してくれ。魔道兵の人、アンタ鎧を硬くしたりとか便利な魔法はあるかい?』

 

魔道兵

『あ、ああ。神の加護を掛けて、その者を強靭な魔法の気で守る事は出来るが?』

 

昌幸

『それを俺たち四人に掛けてくれ。俺たちは全力でアンタを守る。ソフィアさんも良いね?魔道兵さんがやられたら俺たちは御陀仏だ』

 

ソフィア

『いつでもどうぞ!』

 

ソフィアがそう応えるやいなや、昌幸は弾丸のように突っ走っていった。如何に武道経験があると言っても人を殺したことのない昌幸が何故こうも動けるのか…それは日頃貯めたストレスや、前世でやっていたMMOゲームのような戦いが記憶に残っていると言った要因もあるが、一番はその生存本能を刺激されている事だった。ある意味彼は麻薬を打たれ、正気を失った人間と等しい状態であったと言っても良い。

 

昌幸

『チィリャアアアアアアアア‼︎‼︎』

 

昌幸は一匹のゴブリンに斬りかかった。ゴブリンは棍棒で受け身を取ったが昌幸は容赦無く叩きつけまくった。ゴブリンの姿勢が崩れると剣を棍棒の下に滑り込ませ、それを払い上げ、一刀で叩き斬った。その昌幸の後ろにゴブリンが襲い掛かったがソフィアがレイピアで突き殺し、左右に展開した槍兵がゴブリンを近づけまいと突きを繰り出し、その後を追う魔道兵が詠唱し、雷を落としゴブリンを焼き殺した。

 

トリップした昌幸を追いかけるソフィア達の姿を見たアルトヘイム兵達も伍を組み、ソフィアを死なせまいと死に物狂いで後に続いた。ゴブリン達は急に士気を上げ、突っ込んでくるアルトヘイム軍の勢いに押され始めた。一方的な戦いが崩れ去ると存外やった側と言うのは立ち直りが効かぬものである。

 

前衛ゴブリンがやられていくのを見ていた指揮を執っている大型ゴブリン達は前衛に後退を知らせる角笛を吹いた。前衛はそれを聞くと大急ぎで帰って行った。

 

アリス

『前線が崩れた!今だ、押し返せ‼︎』

 

アルトヘイム軍

『応ッ‼︎‼︎‼︎』

 

アルトヘイム軍は最も前進した伍を基準に陣形を貼り直し、横陣の構えを取り、最前列を大盾を持った槍兵で並ばせ、盾を構え、その間から槍を突き出させた。そして最も前進した伍は昌幸とソフィアの伍であった。昌幸の紺色のジャージも、ソフィアの白い戦装束もゴブリンの紫色の返り血で染まっていた。アリスはそんな状態になったソフィアの元に走り寄った。

 

アリス

『ソフィア様‼︎ご無事ですか⁈嗚呼…おいたわしいお姿に…なぜこの様な…!』

 

ソフィア

『アリス、私…ゴブリンをあんなに…殺した。手の震えが止まらないの…。みんなの為に戦ったのに…私はとてもいけないことに手を染めてしまった気がするの…。』

 

自らの所業に慄くソフィアを見たアリスは事の原因であろう昌幸に怒りをぶつけた。

 

アリス

『貴様‼︎よくもソフィア様にあの様な事を‼︎』

 

だが、それ以上の言葉は出なかった。昌幸はそれ以上に酷い姿であり、目は光を失い、体のそこらじゅうが震え、おまけに幾らか失禁してしまったのか尿臭がしていた…そう口ではああいったが実際は人を殺したことのない昌幸が戦場に立つなど無理な話だったのだ。だがそれをやってのけたのは狂気による効果であった事は間違いないし、それは先に述べた。

 

アリス

『貴様…まさか戦ったことが…無いのか?』

 

昌幸

『なぁ…女騎士さんよ…俺は何してたんだ…?俺は介護福祉士だぞ…その俺が命を奪って…笑ってるんだぜ…変だよな?おかしいよなぁ…アハハハ…俺は…なんて事をしちまったったんだ。口ではあんなに言えるのに…いざ本当に出くわしたら、体が震えて止まらねぇ。』

 

昌幸は今だ狂気の渦中には居たが、己の成した事が分からない程理性を失っては居なかった…彼は笑いながら涙を流していた。

 

アリスも自身の初陣の時に似たような物を感じた事があったから昌幸の状態にはある程度の理解が出来た。だがそれでも自分の姫君を危険に晒した事は事実であり、許されざる事である。そして何より思ったのは今、ここで始末しなければならないという意志であった。本能と言っても良い。

 

だがアリスは剣を引き抜けなかった。その訳は、狂いながら涙する昌幸をソフィアがその腕に抱きしめたのだ。ソフィアは自分と同じ様に初陣にも関わらず、己より他者を優先して戦った昌幸に尊敬の念を抱いていたのと同時にその自責に耐えきれない自分と同じだと思ったのだ。戦いの恐怖を共有できる人間がいる事がソフィアにとっては何より嬉しかったのだ。そして狂気と自責の念に揉まれた昌幸が憐れに思えたのだ。そして自身の素性と使命が昌幸が壊れたのに対し、正気を待ち直させたのだ。

 

ソフィア

『…大丈夫…もう大丈夫。敵は退きました。今は戦わなくて良い。貴方が戦ってくれたから…みんな生き延びる事が出来たのです。誰も貴方を責める事は出来ません。』

 

昌幸はその言葉に少し救われたのか…そのまま眠ってしまった。ソフィアは、ゆっくり姿勢を降ろすと昌幸の己の膝に乗せ寝転ばせた。

 

ソフィア

『敵が陣を立て直している間に小休止します。死者を弔い、怪我人を治療するのです。生存者の人数確認も怠らぬ様に!』

 

アリス

『…ハッ。』

(姫様の慈悲で命拾いしたな異世界人め…)

 

暫くして昌幸は目を覚ました。ソフィアは昌幸が目を覚ましたのに気づいた。

 

ソフィア

『おはようございます、昌幸さん。』

 

昌幸

『ソフィア…さん。戦いは…?』

 

ソフィア

『今は膠着状態です。我が軍は平原を挟み睨み合いをしています。』

 

昌幸

『なんか体が重いんだけど…?』

 

ソフィア

『眠っている間にお召し替えをさせて頂きました。沢山汚れてましたし…その…///』

 

ソフィアは頬を赤らめながら応えた。

 

ソフィア

『少しお漏らしも…していましたので///』

 

それを聞いた昌幸はソフィア以上に顔を赤らめ、両手で顔を覆った。

 

昌幸

『…ゴメンナサイ///』

 

ソフィア

『なんか…こちらこそ…ゴメンナサイ///』

 

二人で顔を赤らめているとアリスが現れソフィアに報告した。

 

アリス

『ソフィア様、敵が態勢を整えた様です。そろそろ会戦準備をなさるべきかと。』

 

アリスはソフィアの膝で寝そべる昌幸が目を覚ましたことに気がついた。

 

アリス

『貴様も起きたか異世界人。いつまで姫様のお膝にその卑しい頭を乗っけているつもりだ?早く退かぬと切り刻むぞ。』

 

昌幸は言われて初めて膝枕をされている事に気がつき慌てて飛び起きた。

 

ソフィア

『アリス、そんな意地悪をなさらないでください。大丈夫ですよ昌幸さん。痛くなかったですから。いや、あのだから大丈夫ですって、その短剣で首元刺そうとしなくて良いですから‼ねぇ‼︎聞いてます‼︎⁉︎︎』

 

そんな茶番をしつつ三人はアルトヘイム軍の前列に向かった。敵情視察である。この時昌幸はこの戦いで死んだ騎士の甲冑をつけていた。ちなみにその騎士はソフィアと出逢った泉に駆けつけた騎士の物であったが昌幸は気絶していたのでその事実は知らない。

 

ソフィアが前列に現れ最前線にいた歩兵隊長が恭しく頭を下げると、敵の方を指差した。

 

隊長

『姫さま、アレを…。』

 

隊長が指差した方向にはゴブリン達が大きな木の大盾を最前列に並べ、アルトヘイム軍を侮辱する光景があった。おまけにその大盾には痛めつけられ身ぐるみを剥がされた若い女達が括り付けられていた。中には犯されたばかりの娘もおり、その陰部からは血と白いドロっとした液体が流れ出ていた。

 

ソフィア

『なんて…酷い事を…。』

 

隊長

『さらに後方をご覧下さい。』

 

そう言われ、三人が目を凝らすと、赤髪で手足の具足だけつけた若い娘が乳房も陰部も露わにされ磔にされていた。

 

アリス

『アレは‼︎火龍騎士団の団長リューネ‼︎やはり奴らに囚われていたか‼︎』

 

昌幸

『火龍騎士団とは一体?』

 

アリス

『火魔法を主に使う魔法騎士団だ。我が王国には三つの騎士団があり一つは私が団長を務める水龍騎士団、王都の守りについている聖龍騎士団、そして火龍騎士団だ。火龍騎士団は国境警備のために配属されていたんだが…そうか、やはり国境の街アマルの陥落と共に…潰滅したか。』

 

囚われのリューネの隣にはこのゴブリン軍の首領とみられる大型ゴブリンがおり、その悍ましい姿でリューネの隣にたち、腿から頬に掛けて舐めあげた。

 

リューネ

『クッ…‼︎』

 

その辱めを見たアリスは悔しげな表情を浮かべたが、何も出来ない自分に苛立ち始めた。

 

隊長

『他にも他の村々や街で攫った女子までも身代わりにしている模様です。これではクロスボウも弓矢も魔法も投石機も使えません。』

 

ソフィア

『人質の交換は?』

 

隊長

『ソフィア様と侍女数名がゴブリンが渡してきた奴隷装束に着替えゴブリン軍の陣営に来れば代わりに娘達とリューネ将軍を解放し王国より退去するそうです。』

 

アリス

『馬鹿な‼︎そんな要求が飲めるわけないだろう‼︎破廉恥な‼︎』

 

ソフィア

『それで皆が救われるのなら…』

 

アリス

『なりません‼︎姫さま、それだけはなりません‼︎衣装を持ってこい‼︎私が着る‼︎私が身代わりに成れば、水龍のアリスが婢女になってやると言えば向こうもそう悪いとは思うまい!』

 

ソフィア

『いけないわ!アリスそんな事ダメよ‼︎第1貴女私とおんなじで男の人のことなんか知らないじゃない‼︎それにゴブリンや北方のオークに犯されたらもう人と結ばれなくなるのよ‼︎』

 

ソフィアとアリスが言い合いをしている最中昌幸は一人のクロスボウ兵にクロスボウを借りていた。そして装填と扱いの仕方を習うと最前列に戻ってきた。

 

クロスボウを構えた昌幸に気づいたアリスは昌幸を止めようとした。

 

アリス

『おい、貴様何を…‼︎』

 

昌幸はクロスボウを放った、放たれたボルトは大盾に括り付けられた娘の顔を逸れたところで突き刺さり、その後ろにいたゴブリンの顔を傷つけた。敵陣から一匹のゴブリンの悲鳴が鳴り響いた。一方の娘は犯され、暴行を振るわれ、光を無くした瞳でボルトを見やるとまたそのまま項垂れた。

 

アリスの制止を聞かず昌幸は第二射を放った。今度はボルトは大盾刺さる程度に留まり、後ろにいるゴブリンも娘も無事だったが矢面に立たされ、自身の腹の真横に当てられた娘は恐怖で叫び始めた。死にたくないと連呼するゴブリンは娘を黙らそうと暴行を加えるが泣き叫んで止まらずゴブリン達に無理やり猿轡をはめさせられた。

 

ソフィア

『昌幸さん‼︎貴方自分が何やったか分かっているんですか‼︎』

 

流石にこれにはソフィアも怒りを示した。だが昌幸は険しい表情を変えない。そして周りを見回すと両翼の騎乗する騎士達を見て、さらにその横に自分達とゴブリンを囲むように生えている森を見た。

 

話を聞かず周りを見回す昌幸にソフィアは平手打ちを放った。昌幸の首は左に大きく傾いたまま止まった。

 

ソフィア

『無抵抗の人間を撃つなんて…最低…。』

 

昌幸

『君こそふざけているのか?あの女の子達は生きて辱められて居るんだぞ。』

 

ソフィア

『分かっています!だからこそ‼︎』

 

昌幸

『だから無事に助けようとしていると言うつもりならそんなの救いではないぞ。彼女らには人生があり、愛すべき夫や子供、恋人が居たであろう。だが目の前で殺され、ゴブリンに犯され、孕まされたんだ。生きるのも辛い筈だ。そんな娘に生きろというのは酷なものだ。それでも復讐に生きるというのなら止めはしないがな。それにこの前平行線のままで居ても意味が無い。我々は二重の意味で侮辱されているという事も忘れるな。一つは自国の民を委ねてしまった事。もう一つは敵の汚い策略に臆して弱腰な連中と見られた事だ。ソフィア、君は人の上に立つのなら非情になる事も重要だ。五を救う為に一を犠牲にしろ‼︎多くを救え、少なきは切り捨てろ!それが嫌なら死ぬか、より強くなれ‼︎』

 

ソフィアは昌幸の言葉にハッとなった。確かに昌幸の言葉に従えば多くを救え、ゴブリン達の意表を突くことが出来るだが、彼女の性格がそれを邪魔した。結果迷いが生まれた。

 

そこに囚われたリューネが叫んだ!

 

リューネ

『やるのです‼︎攻撃をなさい、姫様‼︎』

 

ソフィア

『リューネ…。』

 

リューネ

『私も、この娘らも散々痛めつけられ、犯され侮辱の限りを受けました。生きて捕囚の辱めを受け続けております。愛した者に抱かれる事叶わぬくなった者達は既に未練が有りません。抜け殻なのです!救おうとしましたが同じく囚われの身である私には救えませんでした‼︎ですがどうか、今の姫様なら救えます。どうか彼女らの名誉をお護り下さい‼︎』

 

ソフィアは顔を背け苦悩した。アリスを見るがアリスもまた苦悶の表情を浮かべ、兵達ももまた同じであった。だが昌幸だけはソフィアをじっと見つめた。そして手を伸ばし、力強く頷いた。

 

(やるんだ。その罪を共に背負ってやる‼︎)

 

ソフィアは覚悟を決めた。

 

ソフィア

『分かりました…リューネ貴女達の願いを聞き届けます。これより我が軍は攻撃を開始します‼︎』

 

リューネはアハハハと笑うと涙を浮かべ応えた。清々しい笑顔で応えた。

 

リューネ

『姫様…アンタやっぱり強い人だよ。なぁ異世界人、アンタだろ?姫様にここまでやらしたのはよぉ?』

 

昌幸

『選択肢を与えただけさ。決心したのはソフィアさんだ。なぁ赤髪のお姉さんよ?あんたさっきの泣き叫んだ女の子みたいに目の光は消えきってないし生きるのを諦めた雰囲気を感じない。これから全力で攻撃を仕掛けるがもしよしんば生き残ってたらどうしたい?』

 

フィーネは一瞬項垂れたがドス黒い焔を瞳に宿し、こう応えた。

 

フィーネ

『もし生きてたら…コイツらの後ろ、アマルで踏ん反り返ってるコイツらの族長と防壁を崩したノーロット帝国のクソどもを老若男女問わずケツの穴から杭を突き刺してぶっ殺したいね…‼︎』

 

昌幸

『良いねぇ…。(綺麗な顔してヤベェな…この人近寄らんとこ)(ブーメラン←)』

 

ソフィア

『皆、聞いた通りです!これよりゴブリンの軍勢を我らが蹂躙し返す番です‼︎昌幸さん貴方、私と初めて会った時戦略戦術云々言ってましたね。兵法学に詳しいと思います。数こそ少ないですが今の我が軍はとてもバランスが取れている編成です。ゴブリン達を効率よく叩くならどうしたら良いと思います?』

 

昌幸は地面に図を書きながら説明した。

 

『先ずは騎兵を三部隊に分ける。一つは中央に配備する。残りは両翼の後方。配置し終わったら残りの歩兵と一緒に中央の騎兵は前進だ。射程に入ったら容赦無く矢とボルトと魔法と投石機を叩き込んでやれば良い。連中大盾を用意したくせに粗末な木材で作ったものが多いから、かなり簡単に貫けるし、娘達も比較的痩せてる子ばっかりだからボルトなら簡単に貫ける。敵が本当に容赦なく打ち込んで来たと分かればゴブリン達は慌てふためくだろう。向こうも弓矢で応射するだろうがこっちは耐え忍んで歩兵を前進させる。投石機の援護と歩兵の突入で陣形が崩れた所を騎兵で中央突破。風穴を開けて、敵の両翼を叩く歩兵の前進を促す。全力で戦っている本隊の陰にさっきの両翼に分けた騎兵が戦闘の隙を突き森の中を進み、敵の背面に展開して、敵の大将の首を取るんだ。両翼の騎兵は信頼出来る人間に士気を任せた方が良い。かなり危険な任務になるからね。』

 

ソフィア

『分かりました。アリス貴女がこの片側騎兵部隊の指揮を執って下さい。もう片方の騎兵の指揮官の任命も貴女に任せます。』

 

アリス

『分かりました。』

 

ソフィア

『そして私は何処に?』

 

昌幸

『この中央の騎兵の指揮をお願いします。』

 

アリス

『で、異世界人。貴様は何処で戦うつもりだ。堂々とこの策を講じたのだから当然貴様も戦うのだろうな。』

 

昌幸

『俺は、歩兵と一緒に行く。だって馬乗れないもん…(´・ω・`) 』

 

それを聞いたソフィアや、アリス、将兵達は笑いだした。

 

昌幸

『ウルセェな‼︎うちの国だともう馬車とか時代遅れなの‼︎馬に乗れる方が珍しいの‼︎牧場持ってるボンボンなんか滅多に居ないの‼︎昔と違うの‼︎(;ω;)』

 

それを聞いた隊長がこの御仁が歩兵を率いられるのであれば何か将旗なり隊旗が必要ではないかと提案したが昌幸が拒否した。

 

昌幸

『俺は兵卒でいい。アンタの隊に入れてください。槍働をして戦功を挙げないと平等じゃないだろう。だいたい俺余所者だし。』

 

ソフィア

『ではオーラン隊長昌幸さんをお願いします。実力は私が保証します。』

 

アリス

『何か此奴が怪しいと思えば即刻斬りすてるのだぞオーラン隊長。』

 

オーランと呼ばれた往年の兵士長は二人に首を垂れるとついて来いと昌幸に首を振り歩いていった。昌幸もまた宜しくお願いしますと一声かけ、くっついていった。

 

オーランの元で最前線の伍に配属された昌幸は自分の自己紹介をした。伍のメンバーは皆同じ村の出身であり、ヤートン、マシュ、ガストン、トマスという名であった。異世界の出身である昌幸に対して大らかな性格で暖かく迎え入れてくれたこの四人と直ぐに仲良くなった昌幸は共に頑張ろうと鬨の声を挙げた。やがてそれは伝染し、アルトヘイム軍歩兵軍団全部隊が鬨の声を挙げる迄になった。

 

歩兵の意気充分とみたソフィアは騎乗しレイピアを掲げ号令した。

 

ソフィア

『全軍進撃‼︎』

 

アルトヘイム軍

『おおおおおお‼︎‼︎』

 

足並み揃え進むアルトヘイム軍はまさしく壮観と言った光景であり、ゴブリン達はさっきまで泣き叫んで命乞いをしていた連中とは思えなかった。やがて全軍のクロスボウと弓矢の射程に入った。ソフィアは胸を締め付けられる感覚に襲われたが、それを振り切り、レイピアを振り上げ、そして勢い良く振り下ろした。

 

ソフィア

『放て‼︎』

 

無数のボルトと矢が一斉にゴブリンに向かって飛んできた。そしてゴブリンと貼り付けられていた娘達の断末魔が戦場一帯に鳴り響きゴブリンの生き残りは矢を受け死んだ、又は傷つき動けない仲間や人質の娘達を置いて後方に退避し始めた。

 

オーラン

『今だ‼︎歩兵隊突撃じゃあー‼︎』

 

歩兵隊が一斉に走りだし、ゴブリン達の後を追いかけ始めた。大盾が置かれた場所に辿り着いた彼らは生き残ったゴブリン達の悉くにトドメを刺し、幸運にも生き残った娘達を解放した。昌幸もまた同じようにゴブリンを殺して回った途中ボルトが腹に刺さった娘に会った。その娘は矢のお陰で大盾からは解放されたがボルトによって瀕死の重傷を負っていた。その娘の側で昌幸はひざまづくと娘のか細い声を聞いた

 

『コ…ロシ…テ…オネ…ガイ…。』

 

昌幸はナイフを取り出し心臓に狙いを定め突き刺した。娘は絶命する瞬間に感謝を述べた

 

『ありが…とう…。あの子…も…助け…てあげて…まだ大丈夫…。』

 

そう言って少し離れた先で倒れていた娘を指差すとそのまま絶命した。昌幸はその娘の瞼を閉じると示された娘を調べた。奇跡的にも矢傷は無く生きていた。彼はそのまま娘を後方から上がってきた神官に任せると自分の伍に戻った。戻った束の間敵の第二陣が迫って来たのだ。雄叫びをあげながら迫るゴブリンに対し同じように雄叫びをあげ待ち構えるアルトヘイム軍。歩兵同士の戦闘が今幕を開けようとしていた。

 

ヤートン

『迫って来やがった。』

 

マシュ

『何体来ようと私が蹴散らしてやる。』

 

ガストン

『とか言って手籠めにされんじゃねぇぞマシュ牛みたいに育った胸がお好みらしいぜゴブリンは、ハハハ。』

 

トマス

『ガストンにぃ、下品だよ。マシュねぇがめっちゃ怖い顔になったよ』

 

昌幸

『トマス君はまだ14なのにしっかりしてるね。きっと良い嫁さんが貰えるよ。さて…』

 

昌幸が矛で突き刺し、薙ぎ払い、横からヤートン、ガストンがガントレットと中に仕込まれた仕込み刃でゴブリンを殴り殺し、打突し、マシュが斧で叩き切り、トマスが槍で刺し殺した。ゴブリンの集団攻撃に対し、人間の集団戦闘は効果覿面であり、基本的な個体が人間に劣るゴブリンはこの伍という軍勢の中の小石にすり潰されていった。

 

昌幸を始め、伍の中にいるムードメーカーが伍をひいては全軍を鼓舞し続けたことにより歩兵の攻撃力は低下することはなく、遂にゴブリン第二陣が崩れ去り、両翼の主戦線が崩れ中央に食い込み始めた。そしてソフィアはそれを見逃さなかった。

 

ソフィア

『今です!全騎突撃‼︎』

 

騎士達が雄叫びをあげながら馬上槍を構え突撃していった。結果は馬の突撃によって生ずる衝突力プラス、馬上槍の威力プラス、潰乱した自分達の戦列=効果抜群 と相成った。

 

歩兵騎兵が入り乱れる戦闘の最中昌幸は敵の一軍の将と見受けられる大型ゴブリンを見つけた。逃げ惑う小型ゴブリンを叩きつけたり、食い殺したりして、戦わせようと強要していた。

 

昌幸

『みんな、あの暴れてるアイツを殺すから手伝ってくれ‼︎』

 

ヤートン

『待て昌幸、あいつは大型だぞ⁉︎』

 

ガストン

『下手したらミンチだぞ昌幸!』

 

マシュ

『昌幸‼︎』

 

昌幸は怯まず大型ゴブリンに突撃し、右腕を斬り落とした。堪らずゴブリンは叫んだがその勢いで左手を使い昌幸を殴った。鎧のお陰で助かったがあまりの衝撃の為吹っ飛ばされた昌幸はそのまま嘔吐した。そのまま潰そうとゴブリンが左拳を振り上げたが、ヤートンとガストンが受け止め、マシュとトマスが左手を斬りつけた。

 

ヤートン

『立て昌幸‼︎‼︎今のうちに奴の首を取れ‼︎』

 

マシュ

『何時迄もゲロってんじゃあないわよ‼︎』

 

昌幸

『やってやるよ畜生‼︎』

 

昌幸は思いっきり跳躍するとその勢いで矛を振り下ろし、大型ゴブリンをただの悍ましい肉塊変えた。

 

すると戦場の奥から雄叫びが轟いた。なんとこのゴブリンの総大将が前進しか出来たのだ。本陣で佇んでリューネを凌辱していたが今昌幸が首にしたゴブリンがやられたのを見て怒り狂ったのだ。リューネが捕らわれている磔を握りながら突進してきた。突進した先にはソフィアが居た。ソフィアも気づき、堂々と向かい合った。その前を昌幸達の伍が固める。リューネは磔を振り回された衝撃で気絶していた。ゴブリン大将が大斧を振り上げソフィアを昌幸達ごと斬り潰そうとしたが、振り下ろされる事はなかった。本陣急襲の為に迂回したアリスの別働隊騎士が到着したのだ。そしてアリスは一直線にその大将迄駆け抜け、家宝の二振りの剣で首を斬り飛ばさんとしていた。

 

アリス

『この不届き者が‼︎覚悟ォォォォォォ‼︎‼︎』

 

二本の剣がゴブリンの首を斬り飛ばし、斬り飛ばされた瞬間ゴブリン達は自身の敗北を察し、アルトヘイム軍は勝利を確信した。

 

アリス

『敵将はこのアリス・ド・ルフェーブルが討ち取った‼︎アルトヘイム軍の猛者達よ我が軍の勝利だ‼︎』

 

戦場一帯に歓喜の雄叫びが上がり、その雄叫びは王都アルトヘムにまで届いた。その後は背面展開が完了した騎兵と正面の歩兵にゴブリン達は悉く処分され王都アルトヘム郊外の会戦は幕を閉じた。

 

夕刻、アルトヘイム軍は勝利を高らかに宣言し、勲功授与を行った。敵将の首を斬り飛ばしたアリスは将軍から大将軍に昇進し、歩兵隊の中で最も勇敢に戦ったオーラン隊の面々も恩賞をもらい、オーランは将軍に昇進した。ヤートン、ガストン、マシュ、トマスはそれぞれ自分の伍を持つ伍長になった。そして昌幸は…なんとこの場に居なかったのである。皆でざわめき出し、昌幸を探しに行った。因みに昌幸は敵将の首を取ったことから200人の歩兵隊長の職を勝ち取った。

 

昌幸は直ぐに見つかった。昌幸は一人でゴブリンに捕まりこの戦いで死んだ娘達を生き残った娘達から身元を聞き、身を清め、棺に入れていた。勿論死者の埋葬も戦後処理の一環であるからやらねばならないが、昌幸は見るに耐えんと先に弔いを始めていたのだ。恩賞よりも昌幸が求めた事はこの悲劇の娘達を眠らせる事だった。そして結果的に殺めた張本人である昌幸の罪滅ぼしでもあった。

 

そんな昌幸を見つけた兵達は昌幸を手伝い、それが方々に伝わったアルトヘイム軍は、付近の住民も動員し、異例の勲功授与を途中で死者を埋葬するという行動に出たのである。

そしてこの日より、アルトヘイムの覇道が始まるのである。

第1話終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか?歴オタミリオタが異世界転生したらロクでもないコトがなんとなくご理解頂けたと思います。まぁこの後、ゴブリン殺して、人間殺して、教皇吊り上げて、ウンコと木炭と硫黄集めて火薬作ったり、活版印刷の発明したり、生夜戦したり、レイプされたり、触手プレイされたり、異世界転生した怨念とバトだたりなどなどなどやらかす予定ですが…どうなる事やら。無理しない程度で進めますが…あんまし期待はしないでください…。いや嘘です期待して下さい。沢山の方に見てもらいたいです。お願いします。何でもします(←⁉︎)からお願いします‼︎そして最後に…
この小説はDiscordの『日本パラドゲー総合グループ(非公式)』の皆様の提供で製作しました。
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