歴オタミリオタ介護福祉士が異世界転生して外道鬼畜と言われようと手段選ばず天下と美少女の眼差しを受け続ける退屈じゃない毎日を目指す様です。   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

12 / 18
12話 三将模擬戦・五ヵ国協議(後編)

マサユキ達が模擬戦を繰り広げていた頃、ソフィアは王都アルトヘイムより西北に位置する国、商業王国ハドシア王都ハドアニアにホルサスを伴って彼の地に居た。商業によって発展した国だけあってそこに住う人々は皆豊かであった。街には商人や平民、警邏の騎士や兵士で行き交っていた。アルトヘイムと似て異なる景色にソフィアはただただ驚いていた。何よりアルトヘイムでは少数派のドワーフが数多くおり、更にはコボルトやホワイトオーク(文化的生活を送る少数派オーク。比較的人間に近い見た目をしている。女神の神話時代に聖騎士や女神の元で戦った者達の末裔。基本的に兵士、傭兵、剣闘士、炭鉱夫、農奴として暮らす。)まで居るからソフィアは一種の興奮状態になった。多種族融和共存を掲げる彼女の理想的な未来が今彼女の目の前にあるのだから無理もない。だが彼女の理想は全世界規模であるからこの国の光景を世界の光景にしなければならないのだ。そしてこの会談はその一歩とも言えた。

 

王城ハドアニアに入った二人は直ぐに会談を行う広間に通され、そこに着席する様に言われたのでそのまま言う通りにした。どうやら一番乗りはソフィア達であった。その後続々と各国の代表が入室してきた。

 

海洋国家サン・モシャス女大都督(元大海賊) 

オルテガ・ジョヴァンナ・カルバーニ。

 

森林国家エルフラーシュ戦王侯次期女王筆頭

アリアンヌ・ヨーク・パラヴォン。

 

教皇庁改革派急先鋒、聖大教会騎士団総長

マルス・ド・ヴィルジャンス。

 

そして商業王国ハドシア女王

マラナ・オンパーニュ・ハドアニアが、ハドシア王家親衛騎士団団長、カドック・オルラス伯爵を伴って現れ、女王は上座に座した。

 

この会談に於いて最初に口を開いたのはマラナ女王であった。マラナは出席者を見渡すと口を開いた。

 

マラナ

『皆、遥々良く来てくれた。集まってもらったのは他でもない、対帝国戦に向けて我らが手と手を取り合う為じゃ。我々はそれぞれ帝国の手先と化した諸侯や隣国を滅ぼし併合した。これは当然帝国に対しての宣戦布告である事は皆も承知の筈じゃ。』

 

マラナの言葉に皆が頷いた。次に口を開いたのは席を立ったソフィアであった。

 

ソフィア

『我々は帝国に対してあまりにも無力です。ですが我らが手を取り、力を合わせる事が出来れば、必ず帝国に勝てます。』

 

次に口を開いたのはサン・モシャス大都督オルテガであった。

 

オルテガ

『手を取り合えればの話だ。この盟はアルトヘイムからの申し出だそうだが、裏切りの騎士の末裔が約定を違える事なく手を取りあるのか?』

 

これに対して反論を述べたのはホルサスである。

 

ホルサス

『メノス王国が滅んだことによる貴国が被った交易収入の借りを返せと言うなら素直に申せば良かろう。そも貴国は特に帝国に対しての狼藉が目立つ。我々は今この場で貴国を人柱にする事が出来るのもお忘れなきよう。貴国はあくまで海賊、犯罪結社の集まり、テロリスト集団と同義。国としての体を為せているのはその裏切り者の騎士が数十年前に国としての承認を出したお陰であることも忘れないで頂きたい。』

 

この様子を見て口を開いたのはエルフラーシュ選王侯アリアンナである。

 

アリアンヌ

『今は我らの確執を表に出すべきではありますまい。今問題なのは如何に帝国と戦うか?そうではありませんか?オルランス伯、稀代の戦術家としての意見をお聞かせ願いたい。』

 

伯爵と呼ばれたガタイの良い如何にも戦士と言わんばかりの風体をした男はマラナ女王の後ろに掛けられている地図を指しながら語り出した。

 

カドック

『現在帝国との国境線に位置しているのは我がハドシアとエルフラーシュ、そしてアルトヘイム。つまり帝国への侵攻ルートは三つ。我らの五カ国はそれぞれの戦力を連合軍として出し、この三つの国門より侵攻する。帝国は現在アルサス帝国との戦争で海岸線領土奪還ないしは侵攻阻止の為主力は全て東方に展開している。よって帝都周辺の国防戦力は決して多くない。そこを突く。陸軍国家としてのこの3カ国と海軍国家として実力は帝国以上、そして新兵器火薬のお陰でその艦隊戦力はもはや秘匿しれなくなる程強大になった()サン・モシャスによる海上攻撃を行い帝都に電撃進撃する。』

 

ホルサス

『だがそう簡単には行くまい。まず物量においての劣勢を抱える我らがこの通りに戦えるか如何は緒戦で我が軍が敵を倒しつつ犠牲を最小限に戦う事が前提だがそれは不可能だ。質も向こうが上だ。』

 

カドック

『左様。これをやるにはやはりアルサス帝国に軍を出してもらう他無い。』

 

オルテガ

『彼らは動いてくれるのか?』

 

此処に来て静観して様子を伺っていたマルス・ヴィルジャンスが口を開いた。

 

マルス

『…無理だな。西方戦線は完全に膠着だ。西方大陸より援軍が続々と到着してるが西側描く城塞都市はどれも難攻不落。更に今日までに起きた幾つかの会戦は全てノーロット帝国軍が勝利している。アルサス帝国は当面の進撃は事実上不可能だろう。』

 

ホルサス

『兵の当ては幾らでもあります。ヴィルジャンス卿、此の期に及んでも姿を現さぬ教皇猊下が戦場に出馬し一言女神の敵はノーロットなりと言えば如何に強引に世俗分離政策を執る帝国と言えど未だに多くの民や兵が女神教の信者である以上それが離反すれば瓦解するはず。何故猊下は居られぬのです?』

 

さも挑発的な物言いをするホルサスにソフィアは焦り注意した。

 

ソフィア

『宰相、教皇猊下は苦しいお立場なのです。猊下とて帝国を倒したい思いは同じ筈、あまり強く当たるようなことは…。』

 

するとヴィルジャンスは頭を下げた。一同は呆気にとられた。更にヴィルジャンスの言葉が続く。

 

マルス

『ホルサス教の言い分はもっともです、ソフィア殿下。ですが教皇猊下の名誉に賭けて言わせて頂くと教皇猊下はこの会談において全ての権限を私に譲られた。如何なる結果になったとして猊下の心は皆さんと同じだ。そして帝国の圧力から領民を守る為大聖堂から出ぬ自分に変わり謝意を述べてほしいとも仰せつかっています。もしその時が来れば猊下は必ずや帝国を倒すための全ての努力は惜しむことはないと此処でお約束しよう。』

 

会談が少し煮詰まった事を感じたマラナ女王は少しの休憩を設ける事を提案し、それぞれ自室に戻った。ホルサスと控え室に入ったソフィアはこのやり手の宰相から課題を出されたのである。

 

ソフィア

『私がこの会談での主導権を握る⁉︎どうやって‼︎⁉︎』

 

ホルサス

『殿下、この場にいる全員の共通の認識は誰よりも犠牲を抑えたいという事です。つまり彼らより先んじてこの会談、ゆくゆくは同盟の主導権を握る為には具体的な解決策を今この場で提示する事です。』

 

ソフィア

『私に出来るのかしら…?』

 

ホルサス

『出来なければ貴女の理想は叶いません。殿下、貴女の体に流れる血筋と魂と想いは必ず貴女に答える。だからこそ貴女も今答えを出す時なのです。』

 

ソフィアは世界地図を見た。何か思い悩んだ時いつも眺める世界地図。そしてソフィアの視点は帝国領の北方雲で薄く隠すように描かれた地に向けられた。

 

ソフィアは策を思いついた。それをホルサスに語った。宰相は驚いた。だがとても面白いと同意した。そしてその策が認められたら我々の本気を見せる必要が有るとも伝えた。そしてその役目にうってつけな『極めつけの愚か者の若造』が三名程出てきたと今知らせが来た事も伝えた。

 

暫くして一同はまた会談の場に集まった。先に口を開いたのはマラナであった。

 

マラナ

『やはり此処は無理は承知でもアルサス帝国に対して再度挟撃を要請し、我らも犠牲を覚悟で帝都までの道のりを阻む敵を出血を覚悟で切り倒していくしか無いと妾は思うのだが皆はどうだ?』

 

オルテガ

『致し方なしでしょうな。』

 

マリアンヌ

『女神の加護を信じましょう。』

 

ソフィア

『待って下さい‼︎それで勝てたとしても私達には何が残ります‼︎国土も民も荒廃し力を失った我らはそれこそアルサス帝国に飲み込まれます‼︎それでは本末転倒ではありませんか⁉︎それにお気づきでは無い筈でしょう!』

 

カドック

『ではアルトヘイムには策が有ると仰るのですな、ソフィア殿下よ。』

 

ソフィアは口を開いた。聞いたものたちは口と目を見開いた。

 

『『『北方の騎馬民族と同盟する⁉︎‼︎⁉︎』』』

 

マリアンヌ

『バ、バカな⁉︎よりによってもあの蛮族達と同盟するのですか‼︎女神の威光にも平伏さないあの蛮人たちと‼︎』

 

オルテガ

『流石に火遊びが過ぎるな。ノーロット帝国軍から此処四十年近く侵入を防ぎ、逆に襲った村や街を平気で焼き払う連中が我々の言葉に耳を貸すとは思えない。』

 

ソフィア

『それでもやらなければ勝てません‼︎‼︎今、私達が手と手を取り合って団結して挑もうとしているように彼らも本心は友を求めている筈です。彼らは私達のような生活の基盤を家畜と襲って手に入れた戦利品に頼って生活しています。でも彼らはもう限界、住む土地が欲しい筈、居住圏の確保を約束すれば必ず応えてくれます。』

 

カドック

『何故そう言えるのだ。彼らは自力でも帝国から民衆を守れる。我々との同盟は何の利益もない筈だ。』

 

ソフィア

『私は…一度彼らに会った事が有るのです。住う土地が欲しい。赤子を育み雨風に晒される事なく眠りたいと彼らは言いました。民は痩せ細り明日をも知れぬ暮らしをしている人達が殆どです。その言葉に嘘は無いとその時の私は幼児でも理解できました。…私には夢があります。此処に居る皆さんを始め人間、エルフ、ドワーフ北方の騎馬民族、ノーロット人、ホワイトオーク、コボルト、西方の猫人にセパルコ人、東方の大陸に住む東日人、眞人(東方大陸オリエンスを二分するもう一つの大国眞帝国に住う主に人間族を始めとする民族の総称)種族、宗教の垣根なく暮らせる世界を作る事です‼︎私はそれを出来れば和で作りたい‼︎そしてそれを邪魔するものは何が何でも倒す‼︎‼︎絶対に‼︎‼︎その為なら私は何でもする‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎不惜身命の覚悟は出来ている‼︎‼︎』

 

一同はソフィアの想いをただ黙って聞いていた。そして皆が同時に席を立つとそれぞれの佩刀や杖を抜きこう叫んだ。

 

『『『アルトヘイムの姫君の言や良し‼︎‼︎我ら力を合わせ共に戦わん‼︎‼︎』』』

 

ソフィアの一途な想いは彼らを動かしたのだ。ソフィアは涙を流した。それを見たホルサスもまた魔杖を抜くと優しく声を掛けた。

 

ホルサス

『殿下、剣をお抜き下さい。皆待っていますよ?我らの証を立てませんと。』

 

ソフィア

『ええ…ごめんなさい。』

 

ソフィアは剣を抜き高らかに声を挙げた‼︎

 

ソフィア

『女神の騎士アルトヘイムの血を継ぐ者として此処に力合わせ神敵を討ち滅ぼさんと王に代わり此処に誓う‼︎‼︎‼︎』

 

『『我らが同盟に栄光あれ‼︎‼︎』』

 

此処に対ノーロット帝国同盟後に鷲獅子同盟と言われる同盟が誕生した。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。