歴オタミリオタ介護福祉士が異世界転生して外道鬼畜と言われようと手段選ばず天下と美少女の眼差しを受け続ける退屈じゃない毎日を目指す様です。 作:オラニエ公ジャン・バルジャン
鈍色灯台に入港した同盟軍主力艦隊はその地で整備を受けていた。座礁、ないしは降伏した艦の接収は四等以下の小型艦に任せていたのでこの地に停泊していたのは二等、三等と四等の半数であった。だが海戦の翌日未明、まだ勝利の余韻に浸っているはずの同盟艦隊の面々は重々しい表情を浮かべクイーン・オブ・サンの船楼に集まっていた。同盟軍の悲劇の始まりである。
オルガ
『こんな夜更けに皆に集まってもらって申し訳ないと思う。だが急を要する事態に発展しているので、やむを得ないのだ。』
シルバーフォックス
『一体何用です。歴戦の女海賊である大都督がここ迄焦りを見せるとは余程の事と存じ上げるが。』
オルガ
『うむ、先ず我らが先日沈めた補給艦の物資を入手したのだが、中身が空だったのだ。これからフィンガーフート五千人将がこの砦の司令官を討ち取った時に手に入れた書状の中身を踏まえて説明するからよく聞いてくれ。』
内容はこうである。先ず帝国各地の占領地悉く食糧を始めとした物資を全て没収したのは同盟軍の物資を民衆に提供させて戦わずして、そして進撃させずして痩せ細らせる為であった。だが同盟軍が如何に物資を提供しても後方から時間を掛けても届けさせれば最低限はどうにかなる事であるし、しかも進撃しなければその兵糧の減りも現地で農耕や狩猟を行えば抑えられる。だが現に同盟軍の補給は滞っている。理由もそこに書かれていた。それは…
同盟軍内部にて離反した者達が現場の惨状とそれに補給の訴えが書かれた書状や伝令を廃棄、買収、ないしは始末して揉み消していたのだ。
結果決まった通りの物資しか届かず、民衆にも配れば、自分たちの取り分は僅かになり、内部の結束は醜い争いにより薄れ、中には民衆から奪う者まで現れ、同盟に対して敵意を増長する結果を招いた。誰が離反したかまでは書いてなかったが、同盟の中央大陸の北から西に掛けて幾つもある補給路、連絡路全てに関与できる程である。その数と規模は大きい物である事は疑いのない物であった。
オルガ
『現に我が軍の司令官達からそのような書状は一切届いておらず、我が軍有利、肥沃な帝国の大地の恵みにより我が兵飢えを知らずとしか書かれておらぬのだ。』
諸将は顔面蒼白であった。しかも悪い事に初戦より戦力を温存していた帝国軍は第四都市を囲む飢えた同盟軍に襲い掛かるべく出陣したというのだ。そしてこの地に停泊していた第二艦隊の本当の役目はこの作戦に気づいた同盟軍を海から撤退させぬように艦隊を道連れにするか、ないしは傷物にして即座に動けない様にしろと言うものだったのだ。ザルツブルグ提督はこの事実知ってか知らずか最後の奉公として臨んでいた。
つまり帝国の夥しい民衆と兵と艦隊を捨て駒にして同盟軍を大いに疲弊させる策を帝都の者達は実行した事になる。そしてそれに同盟軍完全に嵌っていた。
シルバーフォックス
『現に我が艦隊は傷つき…今すぐ出港いう訳にもいかなくなりました。仮に出港したとしても同盟全軍を乗せて帰ることなど到底不可能です。』
オルガ
『勿論だ。恐らく最低でも三日は掛かるだろうが、三日後にはきっと同盟軍と帝国軍は戦っている、戦い終わってるのが関の山だ。だが見捨てる訳にもいかない。私は先程鳥を飛ばし、我が国とアルトヘイムの王城に鳥を飛ばした。海からならば裏切り者共も止められまい。内容は今話した事と、あるだけの商船を徴用して撤退船にしろというものだがそれでも全体の半数近くは陸路から帰られねばならん。少しでも犠牲を減らすには今行動するしか無い。フィンガーフート五千人将、一番早い六等戦列艦を貸してやる、それで同盟軍に伝えろ。時間がないから身軽な友周りだけつけていけ‼そうすれば明日の朝には着く!︎』
シルバーフォックス
『残りの兵は私に任せておけ。オクシアナ号だ、分かったな!』
モーティアス
『オクシアナ号ですね。分かりました!』
オルガ
『残りの者は整備に専念しろ!だが住民には気取られるな‼︎‼うかうかしていると第一艦隊が我等を閉じ込めに来るぞ!』
こうしてモーティアスは最悪の事実を携えてオクシアナ号で陸地を目指した。場所は代わり、そして時を少し遡り、第四都市包囲中のオグマ軍の本陣では、オグマとマサユキが二人で僅かに残った干し肉を肴に晩酌していた。
オグマ
『フリードリヒよ…この短い間でよくワシの教えに耐えたものよ。お主はまごう事なき暗黒騎士の逸材じゃ。』
マサユキ
『いえ、まだまだ未熟者です。師匠の様には出来ません。』
オグマ
『弛まぬ努力よ、それを続ける事じゃ。さすれば…暗黒騎士の騎士団、『黒鉄騎士団』の復活も夢ではないかもしれん。』
マサユキ
『なんです、それは?』
オグマ
『ある時暗黒騎士の始祖オルファン卿は女神の騎士達が合い争わぬ様にしなければならぬと考える様になったそうだ。その為にはどの国にも属さぬ中立の立場にあり、力のある存在を創らねばならぬと行動したのだ。それが黒鉄騎士団じゃ。(名前の由来は女神の騎士達が皆白い鎧や装束を纏っていたからその対を為すという事でこの名前になったんじゃぞ。因みに暗黒騎士団という名前で最初呼ばれたこともあったがオルファン卿はダサくてその名前で呼ばれるのが嫌じゃったから黒鉄騎士団と名乗る様になったんじゃ)力のある者達を集め、鍛え、如何なる主義主張、国家に忠誠を誓わず、ただ天下平定の為に尽力する集団であった。騎士団であるから全員が暗黒騎士だったが、お主の知っての通り暗黒騎士はその力故に堕落し調停する存在の筈が仲間同士で殺し合い、衰退した。今や暗黒騎士は国家に帰属し、国家に忠誠の誓う力の優れた騎士になってしまった。ワシは生涯戦に投じてきたが、ワシは戦は大嫌いじゃ!』
オグマはそういう時杯の中を飲み干し、酒を注ぎ、そしてまた話し続けた。
オグマ
『戦のない世をみたいと思ったワシは自らの願いを共に叶えてくれる者とこの騎士団を復活させたいと思った。最初の一人は息子と、だが息子は死産し、我が妻も産後の状態が悪く、失意のうちに死んでしまいおった。二人目の優衣は…。』
マサユキ
『それは…ご愁傷様でございました。…そう言えば優衣さんの話は途中でしたな、この機会にどうかお聞かせください。同じ世界の人の話は私にとって大事な事です。』
オグマ
『話の続きが合ってるなら優衣は出陣したまでなら話したな?優衣は戦功を稼いでいたが、ある時ワシはある宿敵の男と戦う事になった。大兵同士がぶつかる大戦じゃ。奴はワシの気を逸らす為に大軍でぶつけてきたのじゃ。犠牲を顧みず、ワシはワシで騎兵の先頭に立ち、突っ込んでいる最中でそちらに気が行っておった。あの時はワシも大概な阿呆だと思ったわい。奴がそれを囮にワシの横腹を食い破ろうとしているのにも気づかず。気づいたのは優衣だけじゃった。優衣は手勢に側面移動を命じてその男と真っ向からぶつかった。凄まじい戦いだったとその場に居た者から後に聞いたが優衣はその男の手によって討たれてしまった。ワシが気づいて駆けつけた時にはもう優衣は冷たくなっておった。閉じた瞼から涙が流れておった…身体全身から血が出るほど手傷を負っておった…痛かっただろうに、だがなんとしても彼奴をワシの元に行かせまいとしたのだ。…気がついた時には返り血と傷で血塗れになり、怒り狂ったであろうワシを抑えるまだ小僧だったシモンやジード、そして胴から大量に出血した奴、皇帝ミヒャエルが側近に守られながら引いていく様を見ておった。』
マサユキは言葉を失っていた。だが師の話をじっと聴き続けた。
オグマ
『マサユキよ、フリードリヒという名はな、我が息子に与える物だったのだ。その名をお主に与えたのは我が息子が生きて居ればそのくらいの歳だと思ったからよ。お主にはワシに何かあればこの夢を託したいと思うのじゃ。』
マサユキ
『師匠⁉︎何をおっしゃいます!縁起の悪い事を申さないで下さい‼︎‼︎』
オグマ
『フッ…ワシも歳を取った。さぁ、フリードリヒ卿お主はそろそろ下がれ、明日もまた忙しくなる。英気を養うのも戦士の役目ぞ。』
マサユキは一例すると自らの天幕に戻っていった。一人残されたオグマはただ一人虚空を眺めながら明日に思いを馳せていた。
オグマ
(明日、ホルサスの奴が来る。恐らく現状の事態を全く知らずにここに来る事になるじゃろう。然し、何故この悲惨な状況が奴の下に届かないのかが気がかりじゃ。よもや奴が帝国に降っているとは思えぬが…。)
当のホルサス卿は第四都市から少し離れた位置で野営していた。そして彼は今更届いた前線の陳情書と自身が送った補給や伝令と送られた伝令や報告書の内容との差異に言葉を失っていた。
ホルサス
(馬鹿な…予め用意していた秘密諜報路すら完全に把握されていたとは…。もはやこれは我が軍の中に裏切り者が居るとかそう言う状況ではない。この同盟国各国全ての軍勢だけで無く各国に残った貴族や政治家にも裏切り者が居なければこれだけの事はできぬ。一体、何時から漏れ出したのだ…いや今はそれより第四都市を包囲している同盟軍を逃さねば、幸いにも艦隊は勝利した様だ。送られてきた鳥はサン・モシャス大都督専用の珍しい種だ、これは事実だろう。)
ホルサスは天幕の出口にチラリと映る影が自身の息子の物だと認識すると彼を呼び寄せた。
ホルサス
『シルヴァン、そこに居ないで入りなさい。私がお前に閉ざす戸を持っていると思うのか?』
シルヴァン
『父上、その…お手伝いできることはございますか?せめて何か飲み物でもお持ち致しますが。』
ホルサス
『いや、有難いが無いとしか言いようがないな。まだ夜が耽るまで時間はある。今のうちに槍と魔法の鍛錬をして、よく食べ、眠りなさい。もうろくに休む事も出来なくなるだろうから。』
シルヴァン
『はい、父上。』
シルヴァンは一例して天幕を出ようとしたが父に呼び止められた。
ホルサス
『シルヴァン、ホルサス家の務め、決して忘れるな。我等王家の為に槍を振るい…』
シルヴァン
『王家の為に死す。この槍に懸けてお約束致します。母上が死の床で私に望んだ事でもあるのです。蔑ろに出来ましょうか?』
ホルサス
『それなら良いのだ、行きなさい。』
ホルサスは自身の甘さを呪ったが軍政面の最高責任者としての責務を投げ出す様なことはしなかった。そして自身達の後背を掠そうとする裏切り者共への対処をするべく一筆認めると呼び鈴を鳴らした。すると一人の小肥りの男が現れた。
ホルサス
『ポドリック君、君にこれから『暇』を与える、宜しいな?』
ポドリック
『長い間お世話になりました。して図々しくも最後のお願いが御座います。私の次の奉公先としてどこか当てが欲しいのですが?』
ホルサス
『では王都の中でも『一際大きな御屋敷』は常に人手不足と聞く、ここに『紹介状』があるからこれを出したまえ。道中遠かろう、負傷者を後送する馬車が出てるから便乗させてもらうと良い。君は確か先程腕を怪我したな。さぁこの真新しい包帯を贈ろう、養生したまえ。』
ポドリック
『ハッ、それではおさらばです旦那様。』
ホルサスはこの従者に暇を出すと、一人目を閉じ、オグマと同じ様に明日に思いを馳せた。
翌日第四都市を攻囲する同盟軍高級将校は全員集められた。ハドシア軍総大将オルランス伯爵、教皇庁聖騎士団ヴィルジャンス総長、アルトヘイム軍筆頭大将軍クブルス老と言った総大将格三名を始め、後方司令官であるホルサス、前衛指揮官であるオグマ、筆頭白魔道士兼中堅指揮官に赴任したエルフラーシュ筆頭選王侯アリアンヌ、アルトヘイム三龍騎士団の内、炎龍騎士団総長リューネ、聖龍騎士団総長アーシェ、と言った大将軍、将軍クラスの諸将の他にマサユキやシルヴァンといった名のある五千人将以下の将も集まっていた。
先ず軍議に於いてホルサスは自身の下に現場の状況が全く伝わっておらず、自身もすぐに前線に来れなかった事を謝罪し、改めて同盟軍内に内通者がいる事を包み隠さず話した。これはホルサスの賭けであった。ここで敢えて自分が包み隠さず言えばここに居並ぶ者達の反応が見れる。そしてそれ如何では内通者を炙り出せる、そう考えたのだ。寧ろこの場にいる事を願った様な一面がホルサスにはあった。もしここに内通者がいれば先ずその者を吊し上げ全軍の敵意を押し付けられるし、寧ろ後方にいる内通者が動きにくくなる、ないしは居なければ同盟軍内に於ける病原菌が居なくなったことを意味するからである。
しかし彼の賭けは失敗に終わってしまった。それを聞いた諸将の阿鼻叫喚を見ているが明らかに困惑の顔であった。誰も焦燥の顔をしていないのだ。寧ろ全軍の結束を乱してしまったのだ。
クブルス老
『静まらんかぁぁ‼︎‼︎』
老将軍の一喝はその場を静まり帰らせた…流石は最高齢の大将軍であった。
クブルス老
『今ここで裏切り者を炙り出そうとしても無駄じゃ。今何をするかはワシらが生き残る事を考える事じゃないのかの?今こうしている間にも兵達は飢えに苦しみながらも健気に任務に当たっておる、ワシら将校の勤めはそんな兵達を一人でも多く生き残らせる事じゃ‼︎』
オグマはそれを聞くや否や立ち上がり高らかに口を開けた。
オグマ
『珍しく小心者のクブルスがまともな事を言いおったわ。皆、これが戦じゃ。考え直してみぃ、ワシらの相手はあの皇帝ミヒャエルじゃ、幾らでも陰気な策を考えてくる、そう言う奴じゃ。あんな奴の手管に殺されるのはワシはまっぴらごめんじゃ。こうしてる間にも奴の事じゃ、もう近くに大軍で来とるかもしれん。だが今のうちに逃げればどこに居ようとも逃げられる。』
そう言い切った刹那、息を切らしたモーティアスが天幕に飛び込んできた。将の一人が要件を聞こうとしたがモーティアスは息が上がって喋れなかった。しかし、手にはオルティガの書状が握られており、それを手渡した。手渡された書状を見た将は直ぐに顔色を変え、ホルサスに渡した。
ホルサスは驚愕の表情を浮かべ、声を漏らした。
ホルサス
『アルサス帝国軍が…負けた…。』
絶望感が天幕を支配せんその場にいた人間に伝染した。更にアルサス帝国軍側に向かわせていたノーロット帝国軍が合流して、二倍以上の兵力で向かっていると言う事実、敵が徹底的に焦土作戦を敷き、後方にはかなり有力な内通者の存在がいると言う事実がもたらされた。
ホルサス
『とにかくこの場にいれば皆女神の下に旅立たねばならなくなる。全軍直ちに包囲を解き、後退する‼︎途中の港で艦隊が多少の兵を引き取って乗せてくれるそうだ、可能な限り急いで国境と港を目指せ!途中の村や町に決して立ち寄るな‼︎』
諸将は慌ただしく天幕を出た。皆が狼狽の顔を見せてしまって兵達にも伝染し始めてしまった。そんな酷い有様の状態で同盟軍は空中分解寸前の状態で撤退を開始した。オグマはホルサスに殿は自分がやると言い出した。
ホルサス
『オグマさん、それじゃあ貴方が‼︎』
オグマ
『どうせ長くない。それにここまで来て帝国打倒の嵐を消えさせる訳にはいかんのだ。そこでお主にしか頼めぬ頼み事があるマサユキ、いやフリードリヒや若い兵達が後追いしない様に見てやって欲しい。』
オグマの決意が硬い事を知ったホルサスは小さく頷いた。
オグマ
『諦めず、戦えクリストフ。必ずフリードリヒとお主の息子やフィンガーフートの孫が帝国を打倒する。ワシには分かる。』
オグマは出口に向かって歩き出し、ホルサスに別れを告げた。
オグマ
『さらばじゃクリストフ、ワシは結衣の元へ行く。宜しく伝えておくぞ。』
ここから数時間後カノッサの撤退戦が幕を開ける。第一次ノーロット帝国打倒戦争の幕が閉じようとしていた。
こんにちわ、ジャン・バルジャンです。長らくの応援誠に感謝の極みです。
遂に帝国との戦争も佳境に入りました。もうフラグだらけですが、まぁのんびり回収していこうと思うのですが大変申し訳無いのですが、この小説、今回の話を持って一時休止とさせてもらいます‼︎理由は今まで温めていたFF14のマイキャラを主人公にしたオリジナル短編小説を作りたいからです‼︎もちろんその間次話制作は続けますのでどうか気長にお待ちいただきたい。
そしてこれを見ているヒカセンよ、これがジャン・バルジャンのFFだ‼︎‼︎