イリヤと不死身のサーヴァント【完結】   作:水泡人形イムス

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第37話 聖杯の呼び声

 

 

 

 そのモノの名は"悪"。

 破壊を招き、絶望を招き、怨嗟を招き、混沌を招き、死を招くモノ。

 汚泥の渦は嵐となって吹きすさび、世界を黒く黒く濁らせる。

 意識が剥奪されていく。

 肉体も精神も砕かれた剥き出しの霊基が、おぞましい泥にまみれていく。

 

 ――人間とはおぞましいものだ。

 

 おぞましく生き足掻き、散り散りとなった自我を掻き集めながらも、魔獣は深淵より逆月を睨み上げる。

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 ――2月15日、金曜日。

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと藤原妹紅の出遭いから3週間。

 一ヶ月にも満たない聖杯戦争の日々も、いよいよ終幕を迎えようとしていた。

 

 洗濯完了。久々にいつもの衣装を着用する藤原妹紅。

 白のブラウスに、サスペンダーのついた紅の袴。

 髪も下ろせば、長い毛先が足首まで届きそう。

 

 同じく、イリヤも今日はいつもの服に戻っていた。

 薄紫の上着に白いスカート。

 清楚かつ高貴で、銀色の髪によく似合う。

 

 そんな二人は朝食の席で顔を合わせ、前日の諍いが尾を引いているのか言葉を交わさない。

 黙々と朝食を進める。ご飯と味噌汁、そしてオカズ。実にシンプルだ。

 それがすんだら手早く家事。妹紅も皿洗いを手伝う。イリヤが後ろから見てる。

 いつもの光景。

 だが! その裏で暗躍する影があった――!!

 

 

 

 食後、一時間ほど経った頃。

 士郎と妹紅とで軽く掃除や洗濯などをしている間に、遠坂凛とアーチャーは外出してしまった。

 幾ら衛宮邸にサーヴァントが三人揃っているとしても、未だ姿を見せようとしないランサー組は明らかにおかしかった。

 それにイリヤがサーヴァントの魂を蒐集してしまう以上、知らないところで敗退されても困る。

 そうこうしてる間にイリヤは眠ってしまったので、暗躍の影が行動開始した。

 

「妹紅、何をしているのですか」

 

 見つかった。

 客室で眠っているイリヤを背負い、忍び足で部屋から出てきた妹紅を、日課の鍛錬のため道場に向かおうとしていたセイバーが発見したのだ。もちろん士郎も一緒にいる。

 妹紅は愛想笑いを浮かべて答えた。

 

「いやまあ、ちょっと旧い知り合いに会いに行こうかと」

「……イリヤスフィールを連れてですか?」

「そいつも年季の入った魔術師で聖杯戦争関係者だ。駄目元でイリヤを診てもらおうと思って」

「聖杯戦争の……? それは信用できる相手なのですか」

「大丈夫。そいつ"正義の味方"に憧れてるロマンチストだから」

 

 それは、士郎の理想を表現する言葉でもあるのだが。

 妹紅の口から聞くと、どうにも胡散臭くて仕方なかった。

 お構いなしに妹紅は歩き出し、中庭にいるバーサーカーに呼びかける。

 

「おおーい、旦那も来てくれ。霊体化してだぞ。いざという時は頼む」

 

 バーサーカーはみずからの霊体化によって応じ、光の粒子と化してイリヤの方へと流れてきた。

 イリヤのいる場所、そこがバーサーカーのいる場所だ。

 

「旦那はイリヤが絡むと物分りいいなー。じゃ、行ってくる」

 

 と、にこやかに妹紅が言うもので。

 士郎とセイバーは顔を見合わせ、うなずき合う。

 

「妹紅、俺も一緒に行く」

「貴女に任せるのは、少々不安なもので」

 

 よしと妹紅もうなずいた。

 

「じゃ、帰りにタケノコ買ってこう。イリヤも楽しみにしてるからな、タケノコご飯」

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 妹紅の旧い知り合いの家は御三家の一角、間桐の家だった。

 士郎は表札を見て驚きをあらわにする。

 

「――桜の家じゃないか」

「おや? 士郎、桜ちゃんとお知り合い?」

「学校の後輩だ。家にもよく、家事を手伝いに来てくれる」

「……通い妻?」

「違う」

 

 じゃあなんで家事を手伝いに来るんだと疑念を抱く妹紅だが、そんな些事で時間を食っても仕方ない。

 インターホンを押すと、少しして若い娘の声が応じた。

 

『はい、もしもし』

「どうも、藤原妹紅です。ゾウルケン君に会いに来ました」

『あっ――妹紅さんですか? どうぞお上がりください』

 

 あっさり通されて、玄関を潜ってみれば桜が丁寧に出迎えてくれた。

 

「おはようございます妹紅さ……先輩!?」

「や、やあ桜……おはよう」

 

 日頃、桜を家に迎えてばかりの士郎。

 今日は間桐家へ不意打ちの形で訪れてしまう。

 いつもの制服姿と違い、私服姿の桜は身体の柔らかなラインが伝わってきた。ふくよかなバストのインパクトも普段以上に強烈だ。

 

「えっ、あの……どうして先輩と妹紅さんが? それにセイバーさんと、そちらの……」

「この子はイリヤ。士郎のお父さんの隠し子」

「えっ!?」

 

 いきなりの爆弾投下。空気を読めない女、藤原妹紅です。

 桜は面食らってるし、士郎も頭を抱えている。この状況でややこしくしてどうするのだ。

 

「桜ちゃんこそ具合どう? 元気?」

「あ、はい。あの……お、お爺様も、気遣ってくれますから」

 

 ほんのり、恥じらうように赤面する桜。

 仲睦まじい幸せ家族っぷりが眩しい。

 

「そう、よかった。おじーさまどこ?」

「こちらです」

 

 妙にたどたどしい桜に案内されて、一同はリビングへ。

 窓から射し込む光が妙に清らかに感じられ、立派な調度品の数々もきらめいて見える。

 ソファーには腰掛けている間桐臓硯と、テーブルには二人分の湯呑みがあった。どちらも飲みかけである。

 妹紅はあっけらかんとした態度で乗り込み、イリヤを対面のソファーへと座らせる。

 

「ようマキリ。家族の団らんを邪魔して悪いな」

「フンッ。そんな大所帯で何の用じゃ。……寝とるのか?」

 

 臓硯は無防備なイリヤを見やり、妹紅は銀雪の髪をそっと撫でた。

 

「寝てる。……ちょいと相談がある。正直お前が役に立つか怪しいところだが、なりふり構っていられなくなってきた。手助けしてくれるか?」

「呵々々々々……お主が儂を頼るとはのう。正直ここから蹴り出してやりたいが、いいじゃろう、話を聞いてやる」

 

 憎まれ口を叩きながらも応じてくれる臓硯を見て、妹紅は嬉しそうにほほ笑む。

 人類を救うなんて馬鹿な夢を見るような男だ。妹紅ならともかく、イリヤのような女の子を見捨てるなんてするはずがない。

 

「桜ちゃん、悪いけど席外してくれる? お茶も要らないから」

「……はい。どうぞ、ごゆっくり」

 

 妹紅に言われるまま去ろうとする桜に臓硯が手で合図をして、飲みかけの湯呑みも持って行かせる。――去り際、桜と士郎の目が合った。

 

「ごめんな桜。結構込み入った話でさ……」

「いえ、いいんです」

 

 士郎のお父さんの隠し子なんて説明のおかげなのか、桜は遠慮しつつ素直に引き下がる。

 妹紅達もイリヤを囲むように座り、端から妹紅、イリヤ、士郎、セイバーの順に並んだ。

 その辺に霊体化したバーサーカーもいるはずだ。

 英霊二騎、魔法使い一人。そんな状況では臓硯の注意力も高まってしまう。

 

「で、話というのはその娘の事か?」

「本命はそれだけど先にひとつ確認だ。お孫さん帰ってきた?」

「いや。なんぞあったか」

「ギルガメッシュってのと一緒にアインツベルン城に来たんで返り討ちにしたところ行方不明。もしかしたら巻き添えで焼き殺しちゃったかもしれないごめん」

「自分の意思で聖杯戦争を続けたならば仕方あるまい」

 

 士郎は硬直した。

 今、酷くあっさり、間桐慎二のあれこれが流されなかったか。

 いやしかし、間桐臓硯も魔術師であるというならその辺の割り切りはできているのだろう。

 故に、魔術と関係ない桜の扱いに安心を覚える。

 仲良くお茶を飲んだりしているようだし、家族仲は良好なのだろう。

 

「それにな妹紅。慎二のような奴はあれで案外、しつこく生き残ったりするもんじゃよ」

「コメディリリーフのお約束か」

「憎まれっ子世にはばかる、かもしれんのう。目の前にどう足掻いても死にそうにない憎まれっ子がおるわ」

「憎まれっ子じゃない憎みっ子だ!」

 

 お互い前のめりになってヒートアップしていく二人。

 桜のお爺ちゃん、こんなキャラなんだと士郎は苦笑を浮かべてしまう。

 このままでは脱線していくばかり。そう判断したセイバーがため息まじりに口を開く。

 

「失礼。イリヤスフィールの件で話があったのではないですか?」

「む、そうだった」

「閑話休題じゃな」

 

 あっさり矛を収める二人。

 なんだか物足りなさそうだが、満足するまでつき合っていたらいつまでかかるやら。

 ソファーに身を沈め、臓硯は妹紅を睨み上げる。その目つきは剣呑だ。

 

「で、何が聞きたいんじゃ」

「こいつ人間とホムンクルスのハーフで寿命残り一年しかないんだけどなんとかならない?」

 

 ズバッと告げる妹紅。

 ズバッとしすぎているのではと士郎とセイバーは表情を引きつらせた。

 だが臓硯はろくに驚きもせずうなずいた。

 

「ふむ……聖杯戦争に不都合が無ければ構わぬと割り切った調整をした訳だ」

「そのとーり。話が早いな助かるよ。治せる?」

「手が無い訳ではないが、実現できるかというとな。まあ()()()()()()()()()調()()()()()()()()、もっと詳しく分かるかもしれんがの」

 

 臓硯の瞳が暗く濁る。

 その有様に士郎とセイバーは悪寒を覚え、断じてイリヤを渡すべきではないと直感した。

 きっと不吉な事が起こると。

 しかし妹紅はまったく気にも留めない。

 

「さすがマキリ。腐っても500年ものの魔術師だな」

()()()()……じゃと? 気に障る言葉を選びおって」

「すまん、干からびてもって言い直すよ」

「そんなにその小娘を見捨てて欲しいのか貴様」

「人類救済を謳うロマンチストが、小娘一人を見捨てるのか?」

「ぐ、む、むう……人類救済など、知らんわボケ」

「ハハハ、照れるな照れるな」

 

 臓硯の瞳がグラグラ揺らぐ。

 その有様に士郎とセイバーは倦怠を覚え、断じてイリヤを渡すべきではないと直感した。

 きっと残念な事が起こると。

 しかし妹紅はまったく気にも留めない。

 

「ところでこいつ、サーヴァントの魂を蒐集してるんだけど、やっぱ()()か」

「うむ。前回の聖杯戦争と同じじゃな」

「まったく、アインツベルンめ凝りもせず……」

「"小聖杯"を常に手元に置いておきたいという気持ちは分からんでもないがのう……」

「ああ、それそれ。まさかショウセイハイだったとはなー。私じゃ巧く説明できないし、ちょっとこいつらに説明してやってくれないか」

 

 臓硯の瞳が暗く沈む。

 老獪な魔術師はその老獪さ故に気づいた。小聖杯なんて単語すら妹紅は知らなかったと。

 

「貴様と話しておると、自分の知能が低下するのを自覚するわい……」

「あれだ、習性になってるんだよ。私に頼られたら何だかんだ逆らえないんだ。私の世話になりまくった恩義のせいでな」

「貴様のもたらすトラブルを解決すべく奔走した労苦が原因じゃボケ」

「脱線はいいから小聖杯についての説明寄越せ」

「脱線させたのは貴様じゃ。……はぁ。いいか、小聖杯というのはだな」

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 小聖杯とはサーヴァントの魂を一時的に溜めておく器であり、願望機でもある。

 第三次聖杯戦争までは本物の杯を小聖杯としていたが、破損により儀式は失敗し、第四次からはアインツベルンが小聖杯としてのホムンクルスを鋳造する事で自己防衛をさせるようになった。

 前回の小聖杯はアイリスフィール――イリヤの産みの母であり、セイバーと交流のあった女。

 今回はイリヤスフィールがその役目を担うべく調整された。

 願望機である以上、聖杯戦争の勝者の願いを叶えるのは小聖杯だ。

 小聖杯が願いを聞き、解釈し、奇跡を起こす――。

 そしてわざわざ"小聖杯"などと呼称する以上、"大きい方"も存在する。

 

 大聖杯――それは冬木の霊脈を利用した魔術炉心である。

 小聖杯が蒐集したサーヴァントの魂を"利用"する事によって大聖杯は起動し、絶大な魔力をもたらすのだ。

 小聖杯が願いを叶えるための"式"ならば、大聖杯は願いを叶えるための"エネルギー"である。

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

「とまあだいたいそんな感じよ」

「さすがゾウルケン君、分かりやすい。――じゃあ誰が優勝しようがイリヤが好き勝手に願いを叶えられちゃうんじゃないの?」

「その辺はちゃんと聖杯を手にした者の願いを叶えるわい」

「じゃ、私でも士郎でも行ける訳だ。よかったよかった」

 

 安堵の息を吐く妹紅と士郎。聖杯を使えるなら問題ない。

 ただ一人、セイバーだけは顔を伏せた。聖杯で願いを叶える。そのために契約したのに、今はその決意が鈍い。

 三者の様子を観察しつつ、臓硯は思い出したように訊ねる。

 

「……そういえば前回聞き損ねておったのう。妹紅よ。探し人を見つけた貴様が、聖杯にいったい何を願うと言うのだ」

「――死なせたい不死者がいてな」

「第三魔法に至れる聖杯ならば、その逆も然りという訳か。実際それを果たせるかは、やってみねば分からんがな。それにしても、呵々々々々々……第三魔法を夢見る世界中の魔術師に喧嘩売っとるのか。それほどまでに彼奴が憎いか? それとも――」

「それともこの世で一番旨い酒を願うべきか、悩ましいところだ」

 

 どうやら、妹紅が自死を望んでいるのは臓硯にも見抜かれているらしい。

 露骨に話題をそらしつつ、妹紅は視線を士郎へと投げつけた。

 私はこの話題イヤだからお前が何とかしろというアピールだ。

 士郎は、自身の願いが叶うのか確かめたい気持ちもあり、前のめりになって訊ねる。

 

「あの、臓硯さん」

「む、衛宮の倅か……何じゃ?」

「っ……聖杯……聖杯に願えばイリヤの寿命を伸ばす事もできるんだよな? 不老不死が可能なら人並みの寿命を与えるくらい……」

「…………」

「……臓硯さん?」

 

 臓硯は舐めるように見ると、意味深に笑む。

 

「のう、小僧。()()()()()()でいいのか?」

「なに……?」

「あらゆる願いを叶える願望機。それに託す願いが()()()()()()でいいのかと訊いておる」

 

 笑みが深まる。意地悪く、卑しく、嫌らしく。

 ゾクリと士郎は震える。まるで背骨に沿って蟲が這い上がったような気分だ。

 

「お……俺はイリヤが理不尽に死ぬのが我慢ならないだけだ。不老不死なんて望んじゃいない」

「そうではない。聖杯ならばもっと根本的な原因に切り込めると思わぬのかと訊ねているのだ」

「根本……?」

「たとえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「――ッ」

 

 士郎は思わず身を引き、背筋を正した。

 ――相反するようにセイバーが、わずかに前のめりになる。

 妹紅は双眸を鋭くして声を荒げた。

 

「おいマキリ。お母さんはともかく、イリヤを捨てた糞親父なんか助ける必要無いだろ」

「貴様は黙っとれ妹紅。儂はこの小僧と話しておるのだ」

 

 口を"へ"の字にして、妹紅は傍らに座らせてある眠り姫を眺めた。

 何だかんだ、士郎への復讐をやめてしまった少女。

 もし切嗣が生き返って、イリヤの目の前に現れて――切嗣当人への復讐すらやめてしまったら?

 きっと妹紅は酷く惨めな気分になるだろう。どういう理屈でそうなるのかは考えたくない。

 

「呵々々……小僧。そもそもアインツベルンの娘が寿命を狭められたのは、前回の聖杯戦争の結末に起因しておる。ならば、それらを()()()()()にできたらと思わぬか?」

 

 それは蜜のような願い。

 甘い、甘い、身を溶かし尽くすような甘い誘い。

 

「衛宮切嗣が聖杯戦争など投げ出して、妻と娘を連れて逃げ出していたら――その娘も寿命をいじられる事もなく、両親に囲まれて幸せに暮らしておったのかもしれんのう」

「それ、は――」

「そうなれば10年前、冬木を襲ったあの大火災……アレすら起こらなかったであろう。あの炎に焼かれて多くの者が死んだ……そのすべての犠牲者を救う事すらできる。()()()()()()()()もな」

 

 なんか意地悪しているなと、妹紅は冷めた目で士郎を見た。

 士郎は蒼白になっており、その隣、セイバーも硬直している。

 そういえばセイバーも過去をやり直せるならどうするか、なんて質問をしてきていた。ふざけた答えを返してしまったがセイバー自身は大真面目だったようだし、重要な問いかけなのかもしれない。

 それはイリヤにとってもそうだ。

 家族を取り戻す――誇り高い少女がそれを願うとは思えない。

 けれどそこに踏み込む権利を持つ人間がいるとしたら、それは同じ男を父とする衛宮士郎だ。

 もしも衛宮士郎が望むなら。

 やり直した、平和な世界を望むなら。

 身勝手にイリヤを巻き込むというのなら。

 それも、ひとつの――。

 

 

 

「――いらない。そんな事は望めない」

 

 

 

 ひとつの未来が、潰える。

 堪えるように、険しい表情で、絞り出すように、声を震わせながらも。

 

「死者は蘇らないし、起きた事は戻せない。――起きた事を戻しちゃいけないんだ」

 

 衛宮士郎ははっきりと拒絶した。

 そんな彼を見て、セイバーは我が事のように身体を強張らせている。

 願うように、願うように、士郎の横顔を見つめている。

 

「嘘にはできない。苦しみながら死んでいった人も、誰かを助けるため命を投げ出した人もいた。そして死を悼み、長い日々を越えてきた人達がいるんだ。それなのに何もかも無かった事にしてしまったら……一体それらは何処(どこ)に行けばいい……?」

 

 父親を取り戻す。

 悲劇を回避して、家族と幸せに暮らす。

 その誘惑をもし、自分がされていたなら。

 妹紅は少し考えて、すぐに結論を出してしまった。

 だから、衛宮士郎という人間の在り方を――美しいと思った。

 

「俺は――置き去りにしてきた物の為にも、自分を曲げる事なんて、できない」

 

 朱い瞳が士郎を見ている。

 悲しそうな、淋しそうな、それでいて慈しむような。

 

 ――イリヤが目を覚ましている。

 

 それに気づき、しかし、妹紅は半分違うと感じた。

 イリヤが士郎を見ている。それは間違いない。

 でも違う誰かが、イリヤの瞳を通して士郎を見ているような錯覚がしたのだ。

 

「――――ユスティーツァ?」

 

 イリヤを見ていたのは、もう一人。

 衛宮士郎に魅力的な、そして意地の悪い問いを投げかけた間桐臓硯であった。

 誰かの名前なのか、何かの名前なのか、呪文の類なのかも分からない言葉を口にして。

 イリヤの瞳の向こうを覗き込み、誰かの姿を暗い瞳に映している。

 それは憧憬。

 悪友、藤原妹紅との騒々しくも愉快な日々とは違う、より深く、より強く、心に刻まれた誰かへの憧憬であった。

 

「そう――ですか」

 

 少年の意志に応じたのはセイバーだった。

 つらそうに、けれど納得したように微笑を浮かべながら、気高きマスターの横顔を見つめる。

 

 選定の剣を引き抜いたあの時、置き去りにしてしまったアルトリアという少女の想い。

 けれど、王となった彼女が信じたのは王となった自分のみ。

 それを否定してしまっては、彼女が奪った数多のモノを否定する事になる。

 ――王として育ち、王として生きた。そこに間違いなど無かった。

 その結果がブリテンの滅びであったとしても、それを受け入れるべきだったのだ。

 

「そういう事なのですね、シロウ」

 

 セイバーが何を思い、何を納得したのか。

 それは妹紅には預かり知らぬ事。

 しかし清々しい表情をしているのだから、悪い事ではないのだろう。

 

「――参った、降参だ。聖杯はお前が取れ」

 

 妹紅も白旗を上げる。

 どうせ聖杯なんて半信半疑で求めたものだ。

 衛宮士郎の信念を見せられてしまっては、それを奪うのは気が引ける。

 

「それでイリヤの寿命を――」

「無理じゃ」

 

 ポンと、イリヤの頭に手を起きつつにこやかに告げる妹紅だったが、不意に臓硯に遮られる。

 不可解な言葉は妹紅達を困惑させ、視線が臓硯へと集まった。

 士郎は眉根を寄せて訊ねる。

 

「――無理って、何でだ? 不老不死よりは簡単な願いのはずだ」

「そうじゃな。()()()()()であるなら、そなたらの願いは容易いものじゃ」

 

 意味深な言葉にイリヤが目を細める。

 

「それはどういう意味かしら、マキリ」

 

 その言葉にようやく、士郎はイリヤが起きていた事に気づいた。

 朱い眼差しは凍てつくような冷たさをたたえ、まっすぐにマキリ・ゾォルケンを見ている。

 老人はまっすぐに見つめ返し、一度口を開いて、何かを迷ってから語り出した。

 

「この聖杯戦争はの、最初から破綻しておるのだ。願いは正しく叶わず、災厄を撒き散らすだけの存在へと成り果てている。聖杯は呪われておるのだ」

「聖杯は無色の存在。それを呪うなんて不可能よ」

「第三次聖杯戦争を覚えておるか? アインツベルンが何を召喚したか、言うてみい」

「――この世全ての悪(アンリマユ)

 

 イリヤの声が無機質になる。

 様々な真実を隠してきた少女が、なお知らぬ真実に気づいて感情の色を失っている。

 相当よからぬ事態に転げ落ちつつあると直感した妹紅は、イリヤの肩を掴んだ。

 

「おい、アンリマユって何だ。私達にも分かるよう説明しろ」

「――――」

「…………おいマキリ! 説明しないと蟲蔵焼くぞ!」

 

 早々に御しやすい方、もとい脅しやすい方に矛先を替える妹紅。

 人類救済を夢見る正義の味方ならばという信頼もあったが、言うのは恥ずかしい。

 間桐臓硯は妹紅を一瞥すると、ゆっくり語り始めた。

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 第三次聖杯戦争において、アインツベルンは召喚してはいけないモノを召喚してしまった。

 エクストラクラス、アヴェンジャーとして召喚されたそのモノの名はアンリマユ。

 古代ペルシアに語られる悪神であり、この世の全ての悪を生み出したと言われる。

 

 聖杯は本来無色のものだが、アンリマユはその特異性から聖杯を汚染し、変質させた。

 この世、全ての悪であれ――その願いによって誕生したのがアンリマユというサーヴァントの正体であり、願いを汲む聖杯は、アンリマユを取り込んでしまった。

 

 聖杯は"悪"という色に染まり、願いを湾曲するようになったという。

 すなわち、願いを"死"や"破壊"という形でしか叶えられない呪物となったのだ。

 10年前の災害もそれが原因だった。

 

 衛宮切嗣が病に倒れたのも聖杯の呪いに触れたせいであり、衛宮切嗣がセイバーに聖杯の破壊を命じたのも、聖杯の正体に気づいたからである。

 衛宮切嗣の願いがどんなものだったにせよ、それを聖杯に叶えさせてしまったら必ずや災厄が撒き散らされてしまうのだから。

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 父と母の身に起きた事をほぼ正確に想像して、イリヤスフィールは愕然となった。

 お爺様は知らない。

 呪われた聖杯だろうと構わず入手しようとするとしても、最低限の警告はするはずだ。想定外の状況に陥ったら、どのような不確定が発生するか分からないのだから。

 

 世界平和、人類救済、そんな夢を見て、そんな願いを託そうとしていた切嗣。

 ――すぐ帰って来るという約束を守れなかったのは、アンリマユのせい?

 アインツベルンが呼び出してしまった絶対悪の仕業なのか。

 だとしたら、なんて愚かなのだろう。

 第三魔法を目指すあまり、いったいどれほどのものを見失っていたのだろう。

 急激に、様々なものが馬鹿らしくなっていく。

 様々なものが。様々なものが。

 

 同じように言葉を失っている士郎、セイバーに代わり、妹紅はつまらなそうに訊ねる。

 

「願いを悪意的に叶える――ね。ありがちな話だし、そういう危惧をした事もあったな。で、マキリよ。イリヤの寿命を人並みにって願ったらどうなると思う? 全人類の寿命を残り一年にでもしてくれるのか?」

「その小娘より長生きしている人間の方が多いからのう。余命一年などとケチ臭い事を言わずすぐに人類を殺して回るかもしれんな」

「ああ――ギルガメッシュの願いのがマシとか酷い」

 

 本当に酷い、ギルガメッシュより酷いなんて酷すぎる。

 人類一掃とは言っても、ギルガメッシュの場合、己の国民となるべき者は残るのだから。

 ――思い返せばギルガメッシュも意味深な事を言っていた。聖杯が何であるか未だ理解していないとか。聖杯の汚染を知っていたと考えていいだろう。

 

「呵々々――しかし妹紅。貴様が特定個人の"死"を願うなら、その通りその一人のみを殺すだけですむやもしれんの」

「士郎を勝たせるって決めた早々撤回か。せわしないな」

 

 気に入らないと表情を歪ませながら、妹紅は拳を握りしめる。

 悔しいのは士郎も同じだ。現状、イリヤを助ける手立ては聖杯しかなかった。その聖杯が最悪の存在だった。――イリヤを救う事はできないのか?

 

「第三魔法の起動には問題無い」

 

 だが、そのイリヤが冷たく笑う。

 しん――と空気が冷え、妹紅と士郎は呼吸する事を無意識に拒んでしまった。

 息苦しさの理由に気づきながらも、喉は硬直して動かない。

 この期に及んでイリヤは、何を言っている?

 

「……まあ、そうじゃろうな。第三魔法に必要なスイッチはすでに用意されておる。後は"根源"への"孔"さえ開けば天の杯(ヘブンズフィール)は――成る」

 

 臓硯がうなずきながら解説する。

 さあどうすると、妹紅と士郎に問いかけるように。

 臓硯は厳しい口調でさらに続ける。

 

「だが"孔"を開くため聖杯を降霊した際――()()()()じゃろうな」

「おい、マキリ、おい。――あふれるって何がだ。蟲か」

 

 これ以上、何があるというのか。妹紅はうんざりした口調で訊ねる。

 隣で、平然としてるイリヤをチラチラと見ながら。

 

「"聖杯の泥"じゃよ。触れた者を肉体、精神、魂さえも喰らい犯す――呪いじゃ」

「ハンッ、魂までも……ね」

「その泥が冬木にあふれる。10年前は新都が焼けたが、今回は深山町かのう? 我が家は結界が張ってある故、多少はしのげようが……それよりとっとと逃げた方が確実か」

 

 愉快そうに、意地悪く、臓硯は嗤った。

 冗談めかしてはいるが、きっと真実なのだろう。

 10年前の光景を知る士郎が、みずからの胸ぐらを掴んで震える。

 

 赤く、紅く、燃える街。

 もう顔も思い出せない両親によって家の外に出され、振り返ったら家が無くなっていた。

 火の粉を浴びて火傷を負い、裸足で歩いて擦り傷を負い、噴煙に巻かれて喉を焼かれる。

 助けて、助けてと嘆く人達を振り切って、自分一人が歩き続ける。

 

(――アレが繰り返される? この深山町で?)

 

 そんなの認められるはずがない。

 士郎も、セイバーも、ここにはいない凛とアーチャーも認めないだろう。

 だがイリヤは――それを許容してしまうのだろうか?

 まっすぐに臓硯を見つめるイリヤは。

 

「随分意地悪な言い方をするのね。"孔"を通った後すぐ閉じればいいだけじゃない」

「呵々々……なに、お主がそれを忘れておらぬかと不安になってな。儂とて泥の巻き添えなどまっぴらごめんじゃからのう」

「忘れる――ね」

 

 

 

 スッと、イリヤが立ち上がる。

 手足の機能を半ば停止させているはずのイリヤが、みずからの足で立ち、臓硯を見下ろす。

 

「問おう、我が仇敵よ。汝こそ、忘れてはいないか」

 

 瞳から光が消える。赤く、朱く、紅く、イリヤの瞳が沈んでいく。

 別人のような眼差し。しかし臓硯は、臓硯だけはそれを知っていた。

 それは遠い記憶にある女。未だ色褪せず心に宿る、アインツベルンの黄金の聖女。

 

「お――――、お」

 

 その時、臓硯の胸中をよぎったものなど、誰にも想像できないだろう。

 500年を生き、もがき苦しんで来た老人の、もっとも輝かしき記憶。

 古き悪友――臓硯が望んだ永遠の体現者。それを上回るほど恋い焦がれた女が今、目の前に。

 それだけで、それだけで、淀み腐っていた何かが消えていく。

 

 

 

 神聖で美しい、不可侵の何かが進行している。

 訳が分からないながらも士郎達は静観し、少女と老人を見守った。

 老人はソファーから立ち上がり、杖を手放して身体を震わせる。

 しばらく、二人は向き合い――イリヤがよろめいたのを、妹紅が抱き支えた。

 

「お話すんだ?」

「――モコウ」

「要するに私とイリヤの願いは問題なくて、士郎とセイバーの願いは無理って事だろ? そう難しい話じゃないな」

「単純なんだから」

「で、だ」

 

 仕切り直した妹紅は、イリヤをよいしょと抱き上げた。

 

「イリヤの寿命問題は、マキリに身体を調べてもらうって手もあるんだよな」

「無い。絶対イヤ」

 

 ついさっきまで臓硯と訳ありで通じ合ってた感じなのに、拒絶の言葉は絶対零度。

 アインツベルン産ホムンクルスとしての挟持なのか、乙女の柔肌を男に晒すとか馬鹿なの死ぬの案件なのかは謎だ。

 

「むう。これ聞く耳持たないモードだな」

「モコウ。わたし達、()()敵対関係に近いと思うんだけど」

「まあ、聖杯で願い叶えて問題なさそうなのは私達だけで、互いの願いは阻止したい訳だから、そうなるか。でもとりあえず()()そうも言ってられないだろ。ランサーとかギルガメッシュとか胡散臭くなってる訳で、まずそれを――そうだマキリ、ギルガメッシュの仲間とか黒幕とかそういうの誰か知らない?」

 

 慎二がギルガメッシュにいいように使われていた程度なのだから、知るはずもないだろうとまったく期待せず妹紅は訊ねた。

 

「言峰綺礼じゃ」

 

 答えは得た――。

 至極あっさりと答えは得た。

 

「……ことみね? って、あの、監督役の神父さん?」

「奴こそ第四次聖杯戦争におけるギルガメッシュのマスターじゃ。此度も聖杯を得るべく暗躍しておるようじゃのう。聖杯の汚染も知っておる。ランサーも奴の手中に落ちて従っておる」

「……? 待てマキリ。なんか情報がドッと押し寄せすぎてて困る。なに? ランサーが?」

 

 間桐臓硯による言峰綺礼情報まとめ。

 第四次の頃からギルガメッシュのマスター。ずっと匿ってた。

 聖杯戦争の監督役を務めながら、ギルガメッシュと組んで聖杯目当てに暗躍していた。

 聖杯の汚染を知りながら教会や御三家に報告せず、戦争参加者にも告げていない。

 ランサーは言峰綺礼に従って行動している。本来のマスターであるバゼットがどうなったかは不明だが、恐らく殺されて令呪を奪われたと推察される。

 

「ギルガメッシュを失った今、奴の手札はランサーのみ。されど侮るなよ。奴の執念、あるいは儂をも上回りかねん……」

「むう。500年も世界平和を夢見るロマンチックな執念を上回るとは厄介な」

「やめい、妹紅、やめい」

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 有用と思われる情報をひとしきり入手した一同は、早々にお暇する事とした。

 言峰綺礼が黒幕――この情報は一刻も早く遠坂凛に伝えるべきだ。

 口ではああだこうだ言いながら、凛は言峰を信じている。先手を取られたら致命的な不意打ちを受けてしまう。

 

 帰り際の玄関、桜が見送りにきてくれたので士郎は和やかに話しかける。

 

「急に邪魔して悪かった」

「こちらこそ、お茶もお出しせず……」

「いいんだ、本当に込み入った話だったし。……身体の具合はもういいのか?」

「はい。休校が終われば、すぐにでも学校へ行けます」

 

 和気あいあいとしている二人の横を、イリヤを背負った妹紅が通り抜け、靴を履きながら声をかける。

 

「桜ちゃん。お爺さんにはよくしてもらってるか?」

「あっ――は、はい。先日は、どうも」

「寿司は食わせてもらったか寿司は」

「はい。……あの日からお爺様、優しく……なってくれて。だから、ありがとうございました」

 

 妙に気持ちを込めて、間桐桜は深々とお辞儀をした。

 そんなにお寿司が美味しかったのだろうか? その後も色々美味しいものを食べさせてもらっているのだろうか?

 格好つけお爺ちゃんの化けの皮が剥がれて孫を猫可愛がりするお爺ちゃんモードになっちゃった訳か。愉快愉快。マキリの野郎をからかうネタが増えるってもんだ。

 

「そりゃよかった。今度はステーキをねだってやれ」

 

 家族仲が良好なのを確認し、妹紅はウインクをして立ち去る。

 その背中から――イリヤは意味深に桜を見つめていたが、声をかける事はなかった。

 桜もその真意を掴めず、訝しげに見つめ返すのみである。

 

 

 

 ひとつの呪いがあった。絶望があった。

 しかしそれは聖杯戦争に深く関わる事はなく、終焉を迎える。

 騒々しい思い出にかき回されて。

 光り輝く思い出に癒やされて。

 過去は無くならない。変えられない。

 でも、これからの未来は……きっと、優しいものになるのだろう。

 

 

 

       ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◆ ◇   ◆◆◆

 

 

 

 ――――帰り道は誰もが無言だった。

 妹紅は憮然とした表情で、イリヤを背負ったまま歩いている。

 背中越しの体温と軽さ。一年後に消えるか、あるいは永遠となってしまう命。

 みずから不老不死になる奴の気が知れない。しかしなるなら勝手になれ。

 妹紅はそう思っている。しかしイリヤには()()()()()()()しまった。

 自分と立場を重ね、代替行為を望み、笑い合ったり、喧嘩したり、守ってきた。

 今更見捨てられるものかと思う。

 

 だから。

 後ろを歩いていたセイバーが前に飛び出すのと同時に、妹紅は足を止めて眼差しを険しくした。

 一拍遅れて士郎も前へと飛び出す。一瞬見えた表情には焦りが浮かんでいた。

 背中でイリヤが身をすくめるのを感じ取る。

 

 間桐邸からそう離れていない、しかし人通りの少ない道に、神父姿の男が立っていた。

 ついさっき、黒幕だと聞かされた男が立っていた。

 言峰綺礼が笑みをたたえて立っていた。

 

「おや、久し振りだな。また麻婆豆腐をご馳走してくれるのか?」

「フッ――すまないが、用があるのは君が背負っているお嬢さんでね」

 

 イリヤの足を掴む腕に力がこもる。

 小聖杯だと分かった以上、イリヤが狙われる理由なんて幾らでも思いつく。

 が、どんな理由だろうと知った事ではない。こいつは敵だ。つき合う必要は無い。

 しかし、一人で現れたのが不気味だった。どこかにランサーを忍ばせているのか?

 言峰は余裕たっぷりの態度で、独特の響きを持つ声を投げかけてくる。

 

「あの家から出てくるのを待っていた、イリヤスフィール」

「――――何の用?」

 

 応じる。

 それはすでに臨戦態勢に入った妹紅とセイバーに、戦うなと命じるようなものだった。

 従う必要は無いが、彼女達も言峰綺礼が何を企んでいるのか気にはなった。

 言峰は堂々と告げる。

 

「決まっている、()()()()()のだよ。――アインツベルンの悲願を果たすためには、私と共に来るのが最適解だと思うのだがね」

 

 

 




 アーパー放火魔がジャブでガードを崩し、黄金の聖女がストレートでノックアウト。
 見事なワンツーフィニッシュでした。
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