改めて読み返したら台詞ばかりの章であることに気づきましたが、
今は訂正する技術もありませんのでこのまま投稿いたします。
読みにくいかもしれませんがこれが今の筆者の限界です。
御勘弁下さい。
「....じゃあ、言い方は悪いけど....サボってたって事かい? 益子さん....」
ズバリ直球だが....他に言い様も無いだろう。
「ああ・・・・そうだ・・・・オレはサボっていた。何か馬鹿馬鹿しくなったんだ....今までオレのやっている事、生活、任務も....ここに来てこの普通の高校で過すことに馴れてきたからな....」
「でも....ここに居るだけでも違うってマーちゃんもふくちゃんも言ってたじゃない....」
「そうだな....オレは慢心してたかもな。だからあんなヘマをした....」
「装備を外して校内にいた、という事がか?」
「ホウタロウ....お前ってヤツは....そうだ。刀使はいつでも御刀を身から離さないでいるのが本分だ。御刀が無ければオレ達の能力はほぼ個人差で決められてしまう。オレ自身の力はまだまだだってことだな」
「御刀を身に付けてないと実力が発揮出来ない、という事だね。じゃあ今夜荒魂がここに現れたというのは....」
「....御刀とオレが離れていたからだ。だから皆を危険に曝した。特に千反田....さんを....オレは....!」
「・・・・はい? 皆さん...? ここは? わたし、どうして....??」
ん! 千反田!? 目を覚ましたか!? 口調を観るに、ダメージは無いようだが....
「・・・・チーちゃん?・・・・ チーちゃんっ!! 大丈夫!?! どこも痛くない!?」
「千反田さんっ!?」
「・・・・ふぅ....お前....憶えてないのか....?」
「えーと・・・・摩耶花さん....?? どうして....あっ!! 原稿! 原稿は無事ですか!?! あれからわたしは....」
「バカっ!! バカバカバカっ!!! 原稿なんていいのっ!! チーちゃんが無事なら....
ウワーーーッ!!!」
「え、えっ? えーと・・・・泣かないで下さい? 摩耶花さん! わたしは無事ですよー?
フフっ!」
ハァ・・・・どこまでもコイツは・・・・でもこういう処がこの時点では救いだ・・・・
「千反田さん!! すまない!! オレのせいで千反田さんを危険な目に....!」
「あの・・・・薫さん? わたしはこの通りですから、そんな....お顔を上げて下さい? どうしたんです??」
「千反田、お前....本当に憶えていないのか....? あの時の事を....」
「そうだ! 千反田さん! これ! 見覚えあるかい!?」
里志....なにもこんな時に....いや、もうそんな事言ってられないぐらい時間は切迫しているのか....
「これ....ですか? ....はい!? どうしてこれがここにあるんです??」
「やっぱり千反田さんの....だね!」
「わたしの家に伝えられているお刀ですね? わたしの父が時々蔵から出して手入をしている処を見た事があります。持ち手の....ここにです!」
柄の小口に焼印が....○に千の印し....家紋か?
「間違いない、これは千反田さんの御刀だ....悪い、千反田さん、説明は後だ。これを握って構えてくれないか?」
「わたしがですか? いいですけど、どうして??」
「....チーちゃん立てる?」
「薫、お前....」
「おう、もうサボりの時間は終わりだ。今夜中にケリをつける....そしてホウタロウ....! お前に仕事の依頼がある....」
「なんだい....それって、推理のことかい?」
「・・・・そうだな....この時点でその依頼というのは....荒魂を引き寄せる『原因』のことだな....」
「流石飲み込みが早い....どうかオレと一緒にその『原因』を見つけてくれないか? ホウタロウ....」
「でもマーちゃん....その原因を観つけたら....」
「ここを去ってしまうのですか?」
千反田も察したか....でもこうなった以上早く解決しなければな....
「ああ....オレは皆んなの好意に甘えて二ヶ月の間任務を放棄した生活を送ってきたんだ....結果がこの有様だ。特別遊撃隊No.3の誇りに傷をつけてしまったんだ....だから今夜中に....」
「いやですっ!! 薫さんがいなくなるなんていやですっ!! ....もし今夜の事が薫さんの責任だというなら....わたしにも責任があります!!」
「チーちゃん!?....そうね....チーちゃんがそう言うなら私にも責任があるわね....」
「摩耶花....千反田さん....責任、て....」
「それを言うなら俺も....だな」
「....! そう言う事か....なら僕にも一枚噛ませてくれよ。僕だけ仲間外れというのもね」
「お前ら....! 皆んな....ありがとう....じゃ、ホウタロウ....オレの依頼を....」
「....わかった。出来るだけのことはする」
「折木さんっ!!」
「チーちゃん....仕方のない事なの....」
「そんな・・・・」
「千反田さん....オレへの好意には感謝する....だがここは堪えてオレの指示に従ってくれるか....?」
「・・・・はい」
「・・・・これを構えてくれ」
薫が千反田に刀を持たせ、鞘を抜かせて構えさせた....
「・・・・何か感じないか?」
「・・・・いえ、その....なんと言いますか....」
「....部屋の照明を切ってくれ....」
「ええ・・・・切るのかい?」
「覚悟しろ里志....いくぞ」
「・・・・チーちゃん....??」
「これは・・・・どういう事だい? 益子さん・・・・」
「おい・・・・千反田・・・・」
暗闇の中に....千反田の姿が....朧げに光を放っている....
「薫さん....これはどういう事です....?」
「『写シ』だ....御刀と千反田さんとの身体が共鳴しているんだ。つまり....貴女はこの御刀に選ばれたんだ。いや、選ばれていた....」
「じゃあ益子さん、この御刀が千反田さんの家に在ったというのは....」
「いや、おそらく千反田....エルさん....ではなく、女系を遡っての誰かが、という可能性だな。あるいは隔世的な....」
「わたしの家は代々男系ですよ? 母も祖母も曽祖母も外からお嫁さんとして嫁いで来たのです。それ以前のことは両親に尋ねなければ....ですが....」
「では、その外から嫁いできた誰かが刀使としての家系を引いていた、ということもあり得るかもな....」
「刀使って血縁で決まるものなの? マーちゃん....」
「まだよく分かってないところがある。一般家庭の子供が御刀に選ばれている事が多いからな....ただその血筋を一人一人辿るとすると....だな」
「マーちゃんはどうなの?」
「オレの家は代々刀使の家系だ....家の女が外から婿を摂って家を継いできたんだ。つまりオレのパ....親父も正真正銘の『ムコ殿』というわけさ!」
「そうなんですか....この御刀の由来は父に尋ねてみないと分からないのですが....」
「その御刀は益子さんの見立では昭和の初期ということだよ」
「昭和の初期....では! あの頃の....わたしの祖母の話では....先の大戦の戦中末期、戦後にかけて家の書類を少なからず処分した、とのことを聞き及んだ事があります。もしかしたらその時にこの御刀の資料も....」
「燃やした、という事だね。あの当時はよくあった事らしいけど....千反田さんの様な地方の農家にまで....いろいろあったんだね」
「で、現実は....千反田とこの御刀には共鳴関係....つまり千反田には刀使としての能力が備わっていた....そうだな薫」
「ああ....ただ、この御刀を『特別』刀剣類管理局にもちこんでも、『御刀』とは認知されないだろうな....」
「玉鋼では無いからだね、益子さん」
「じゃあどうしてチーちゃんとこの御刀が....」
「....クンクン....ねね....!」
「....どうした? ねね? ....この御刀か? エルさん、コイツに剣先を触れさせてくれないか?」
「....ねねっ!!」
「ん!? そうか....そういうことか....」
「どうしました? 薫さん、ねねさん?」