「おう、じゃ、俺からだ。いいな?」
「駄目です! 折木さんは最後です! 最後に皆さんの答えを纏めて....です! 前もそうでしたよね?」
「異議なし!」
「そうね、悔しいけどあんたが一番正解率が高いんだし」
「おお、やはり真打は一番最後か....頼むぜホウタロウの旦那!」
一番最初に適当に馴らしてからそのまま途中で....という俺の計画が....おのれ千反田め! どこまでも俺の人生灰色計画を邪魔しにくるとは....!
「それではですね、わたくしからまいります! 薫さんがここに来た理由、一つにはこの地域での巡回、これは今までもあった恒例行事みたいなものですからね。それで長船での指示に従ってこの辺りの荒魂を監視していたんです! もう一つの説は....武者修行です!」
「へ・・・・千反田サン? それ本気なの??」
「もちろんです!! 薫さんは学校での慣習で長船から独り武者修行の旅に出て荒魂を鎮めることを命じられていたのです! そしてここ神山に訪れたときたまたまわたし達の学校に荒魂が現れたのでこれを鎮めて下さったのです! それを恩義に感じた校長先生が一宿一飯の宿としてこの校舎での寝泊まりを認めたんです! もちろん長船の方にも連絡は通してですよ?」
千反田・・・・オマエという奴は・・・・
「つまりね....マーちゃんが知らなかった、ていうのは一宿一飯の恩義、ということ? チーちゃん....?」
「あ、そういうことになりますね! きっと薫さんはここにとどめ置かれている理由を知らされないままこの学校に宿泊しているんです! どうです? 薫さん!」
「おお! そうだったのか....道理でここの待遇がいいわけだ....なにせ三食昼間付きだからな! 昼も購買部に行かなくて済むし」
「ちょっと待て....じゃお前がいつも食べているあのサンドイッチは....」
「ああ、購買部からの横流しだ。特別に分けてもらっている」
なん....だと....!? 俺はあの購買部の混雑に嫌気が差しているからわざわざ行きのコンビニで割高の昼食を購入しているというのに....! この世界での暗部を見てしまった思いだ....
「残念だけど千反田さん、それは無いと思うよ?」
「あら、そうですか??」
「いくらそんな理由でも校内で宿泊とはね....校長の一存で決められるものでもないだろうし。でも実際校内で寝泊まりしているんだけどね、益子さんは」
「どこで寝泊まりしているの? マーちゃん」
「ああ、この特別棟の一階、西側の階段の下の部屋だ。元は物置だったんじゃないか?」
「まあ、もともとこの学校には宿泊施設なんて無かったからな。急拵えとはいえそれなりに準備をしていたんだろう。それに武者修行というのは....千反田、想像力があらぬ方向に向き過ぎだぞ....!」
「そうなんですか?? 薫さん?」
「武者修行、てのは無しだチタンダの旦那! オレも笑いを堪えるのは得意な方じゃないからな! ヒヒっ!」
「何か....昔話みたいね....チーちゃんのって....」
皆んな堪えている、というより呆れているんだが....まあ千反田の発想がやはり説話向け、ていうのが判ったが。
「じゃあ、次は私ね。マーちゃんがこの学校にいる理由....そうね、やっぱり....荒魂狩りかしら....!」
「・・・・なんだい? それ、摩耶花・・・・」
「荒魂狩りですか? それは薫さんの本来の任務のはずでは....?」
「....そうじゃ無いのよチーちゃん....! 実はマーちゃんは.....『必殺荒魂狩り人』なのよ!!」
「おい伊原・・・・ちゃんと順を追って説明しろ」
「わかったわよ....実はね、マーちゃんは昼間あんなに眠そうにしているけど....実は!....夜皆んなが寝静まった後、独り夜陰に乗じてこの一帯を探索し、未だ完全に形成されていない荒魂を発見次第! ....闇から闇へと葬り去っているのよ....だから! あれ以来荒魂が白昼に現れる事が無いのよ! そうよねマーちゃん!!」
お、おう....確かに....あれからここ三週間ほどこの地域で荒魂が発生した、という話は聞かないがな....しかし伊原の奴め、また古いネタを....
「お、おう....つまりはオレはあの『ムコ殿』の如く昼行灯を決め込んでいるが....しかしてその実態は! てとこか....? で、オレに知らされていない事実、てのは? 伊原の旦那」
「ええとふくちゃん....何だったったかしらこのお題って....」
勝手に暴走して勝手に自滅か....まあ伊原らしいが。
「まあまあ摩耶花の発想もなかなか面白かったけど、飛ばし過ぎたみたいだね....」
「イヤ〜っ!!もう恥ずかしーっ!! ・・・・オレキ〜!!!」
何でまた俺に....いや俺は悪くない! 千反田が悪い!!
「実際のところどうなんですか!? 摩耶花さんの言うとおり....!」
「....まあ、後の二人の意見を聞いてからにしようじゃないか、チタンダの旦那」
「じゃっ! 僕の番だね! 僕の推測では....テストケースかな?」
「なによ....そのテスト、て....」
「ん? つまりさ、これから刀使の子達が地方に派遣されるだろ? だからその地域の受け入れ態勢の確認、あるいはモデルを創りだすためじゃないのかな、て」
「なるほどです! これまで刀使の方々はこの辺りに在住されていませんでした! ですから薫さんをここに派遣して、て事ですね!」
「たぶんここ以外にもそういう事をしている学校はあると思うよ。あるいは地域一帯で。交番みたいに刀使の子を交代で駐在させるとか。でも、刀使の任務と学業を両立させるためには学校での宿泊が一番現実的かな? と思ってね」
「おお、確かに....あり得ることだぞ....! 上の方は何を考えているか分からんが....だったら、校内の照明、何とかならんかな....」
「どういうことです??」
「学校の校舎ってのは....恐ろしいもんだぞ....夜中は....! これなら学校の怪談だの七不思議だの! ....あり得るとさえ思えちまう....」
「夜中に校舎を....なの? マーちゃん」
「ああ....用を足す時とかさ....オレのいる長船ってとこは学校としてだけじゃない、荒魂発生時の司令塔としても機能してるから二十四時間いつも関係者が詰めているんだ....生徒も交代で待機してるからな....」
これもまた現実的だな....あの程度の怪談話で怯えていた、てのはそんな理由からか....
「里志のがこれまでの推測の中で一番まともだったな」
「なによ....悪かったわね!!」
「わたしのは....そんなに可笑しかったですか??」
千反田....あれでウケを狙ってなかったとしたら、むしろ大したモンだぞ。今年の文集のネタはそれで決めとけ....!
「もうこれで結論が出ただろう....里志の案が一番現実的だったし薫も納得している。もおいいんじゃないのか....」
「そうね、私も折木の推測を聞く手間も省けるし、丁度いいじゃない」
「でも、僕の推測というのは推理、というほどじゃ無いよ。現実的に考えて、て事だからさ」
「じゃあふくちゃん、推測と推理の違いって?」
「はは....僕にもよく分からないけどね。でもこれだけは言える、僕の説明は推理じゃ無いってね。それに、データベースは....」
「結論を出せない、て....ふくちゃん謙遜しすぎなんだから....」
「そうですか....では折木さんならどうです? 折木さんの説明なら推理、になるのでしょうか?」
「俺は....もういいだろう。推理だろうが推測だろうが現実的な説明で皆が納得するなら....」
そう、もう切り上げてはよ帰りたい....
「・・・・いや、ホウタロウ....お前の意見を聞きたい」
「意見なら....里志の説明で十分、て意見だが....」
「そうじゃない。お前の『推理』が聞きたいんだ、ホウタロウ....」
ん....? 薫の目....前の三人の時とは違ってずいぶん真剣だな....
「そうだね、やはり最後はホータローの『推理』で締めなくっちゃ!」
「まあ、ふくちゃんがそう言うなら....つき合ってあげるわよ。折木」
「そうです! 折木さんはいつも意外なところから事件を解決してきたじゃないですか! 今回はゲームでも....折木さんの『推理』が聞きたいんです!! わたし....気になります!!」