はあ・・・・またも身を乗り出してのPS無視のどアップ....千反田、いつもの事ながら近寄りすぎだぞ....!
「・・・・わかった。じゃあ俺の『意見』を述べるぞ....言っとくが、これは『推理』なんてものじゃ無い、妄想に近いものだ。膏薬の上に湿布を貼り付けるぐらい無駄な話かもしれないんだぞ。それでもいいのか?」
「ああ、構わない」
「OK! ホータロー!」
「まあ、その妄想につき合ってあげるわ」
「では、早速! どうぞ!!」
「では、....里志、この前の帰り道の話、思い出せるか?」
「この前って? ....ああ、この話の流れでいくと『例の』アプリのことだね」
「なによ、そのアプリって....折木、話の腰を折るのも....」
「いや摩耶花、そのアプリというのは去年この学校で講習会をやった荒魂対策のアプリのことだよ」
「何で今そんな話を....」
「俺もあれから興味を持って関連するサイトを開いてみたんだ。特に荒魂発生の位置情報をな。今年の四月から今頃にかけてどれだけの荒魂が全国で発生したかをサイト内のマップで検索していたんだ。今年の初め頃に比べたら確かに関東の荒魂の発生件数は減っている。その代わり地方に分散したこともな。そして、ここの神山地区....」
「うん、今年に入って三件だね、ホータロー」
「より正確には四月に入ってからだ。しかしだ、全国規模の地図情報ではここ神山地区は一つのマークしか表示されていない」
「どういうことです? 折木さん」
「そこで神山地区を拡大して改めて確認した....ここ神山地区での三体の荒魂はかなり近い間隔で発生している事をだ」
「つまりなによ....」
「つまり近過ぎて遠くからだと一カ所と変わらない、という事だ。そこで全国の他の場所で同じような発生地区を検索してみたが....」
「他には無かったのかい?」
「ああ、ここ神山地区だけだ。つまりここだけ密集して荒魂が発生しているんだ。素人の俺でもさすがにおかしいと思った。さらに位置を確認してみると....」
「どうした、ホウタロウ」
「荒魂が鎮圧された位置しか表示されてないが、明らかにこの高校に近付いてきている....」
「本当かい! ....えっと....これ! 確かに!!」
里志め....流石反応が速い....スマホですぐ検索しやがった。
「一体ごと....確かに鎮圧された場所は違うけど日が近づくにつれ荒魂も...」
「じゃあ....あの時の、グランドのあれって....偶然じゃ無いわけ? 折木....」
「本当なんですか....でもなんで....」
「理由は後だ。注意深く観れば俺でも気付く異常事態だ。上の方....つまり刀剣類管理局ならとっくに気付いていることだろう。そこで、調査隊をここへ派遣した....」
「それがオレだ、て言いたいのか? ホウタロウ」
「いや、それはまだ置いておく。それにこれは秘密裏に活動しなければならなかった。おおっぴらになったらこの辺りは大混乱だからな。荒魂の出現はあくまで偶然であることを装わなければならない。まだ二件めの時のことだ。しかし....」
「ここのグランドに現れたわけだね。三週間前に」
「そこで、止むを得ず『たまたま』通りかかった武者修行中のとあるお方に鎮圧して頂いた、ということだ」
「ちょ! オレキ〜!!」
「それがこちらの....」
「千反田、これは俺の妄想だ。真に受けることは無い。今のところはな....」
「・・・・面白いじゃないか、続けてくれ・・・・」
「そこでこの事に感じ入った我が高校の校長先生様が是非御礼にと、この御仁をこの校舎の宿泊場所へと案内した....」
「それがあの物置、てわけ?」
「この御仁も改めて恩義を感じたんだろう、泊めてもらう替わりに用心棒を買って出ることにした。それでこの辺りの荒魂の出現がパッタリと止むことになったとさ! めでたしメデタシ!」
「アンタね〜っ!!」
「妄想だからな....ただ、もっと妄想を逞しくすると、さらにこんな事実が判明した。この用心棒、表向きは猫を被ってはいるが、実は....夜な夜な校内を徘徊し教室を物色しているという....」
「ええ! そうなんですか!? 薫さん!!」
「おい千反田....これはゲームだ....当の本人には関係の無い話だ。よな? 薫」
「おう・・・・そうだな・・・・」
「つまり、この学校の校舎には誰にも知られていないあるお宝が隠されていた。この用心棒は、偶然を装いながらまんまとこの校舎に宿泊し、夜中になったら宝探しを始める、そんな生活を送ってきたわけだ。そして今に至る、そういうことだ。どうだ? 薫の旦那....いや、刀剣類管理局並びに特別祭祀機動隊所属『特別遊撃隊』隊員! 益子薫殿!」
「・・・・今なんて・・・・おい、ホータロー!!」
「チョット!! なに言ってんのよっ!! 折木!! アンタ気は確か!?」
「えっと・・・・つまりはどういうことです・・・・? 折木さん・・・・??」
「言っただろ、これは妄想だって。ゲームだったな。あとはこの薫の旦那が納得するかどうかだ....」
「・・・・見事だ、ホウタロウ。流石オレの見込んだだけのことはある・・・・」
「え・・・・嘘でしょ? 冗談よね....折木の話に面白がって乗っているだけよねマーちゃん!!」
「冗談ではないのかい? 益子さん....じゃあホータローの言ってたことも....」
「ああ、面白可笑しくデフォルメしているが大筋は正解だ。大したモンだぜ折木の旦那!!」
「じゃ、デフォルメ無しで真面目に説明してもいいのか? 薫」
「ああ....もうこうなったら構わん。だが、ここだけの話だ....」
「わかった....真面目に説明すると、この薫は岡山の長船からじゃ無い、鎌倉の特別祭祀機動隊から....面倒だから鎌倉としとくが....直接ここに派遣された鎌倉直属のエリートということだ」
「でも何で! ....特別遊撃隊の隊員、て分かったのよ....」
「簡単だ。この前、伊原が身悶えてたあの機関紙があるだろ、あの写真の中に一枚薫らしい姿が写っていた」
「なによそれ.....でも機関紙はここに....」
「ありますよ! この準備室に! このまえ摩耶花さんがわたしに貸して下さいましたから!」
「・・・・これね、写真は掲載されてるけど....どの写真なのよ!」
「....これだ。これは今年の春の刀使の全国大会の写真だな、剣術の。ここにアップにされてるのは誰あろうあの獅童真希様だが....この写真では無く、このページ....大会の優勝者が写っているこの写真のその背後....大勢の観客に混って体格に不釣り合いな刀を背負っている刀使が....小さいが写っているだろう、後姿だが....そしてその制服がこの獅童真希様と同じ色とデザイン。そして遊撃隊員の名前はこの機関紙では第一席、第二席しか載せていない」
「こんなに小さく....それでマーちゃんも遊撃隊隊員、て....話が拡大解釈しすぎじゃない?」
「まあ言うだけタダだからな....当人も認めた訳だし、運がよかったんだ」
「それで、この高校の校舎の中に....ですか?」
「校長が恩義を感じて....ていうのはウソだが、おそらく事前に鎌倉から連絡があったんだろう。その目的は校舎の中の調査にあった。あの時の荒魂の動き、教室の窓から見ても明らかにこちらの方に向かってきた。その前の二件の調査の結果、この校舎に荒魂を引き寄せる何かがあると鎌倉は踏んだんだ。で、予測より早くここに荒魂が出現したので鎌倉側はあせった。止むを得ずこの薫が鎮圧して、事なきをえたが、この様子を全校生徒に観られてしまった....」
「この高校に荒魂を引き寄せる何かがある、ということをここの生徒さん達に知られたらいけない、ということですね。それで、巡回中の薫さんが偶然ここに居合わせて荒魂を鎮圧した、という事にして、さらにこの高校に転入させることで本来の目的を隠した、というわけですね? 薫さん?」
「....ああ、ここでの任務は夜中の校舎の中の調査だけでよかったんだ。だが調査の前に荒魂が現れちまった....それに、この高校に転入する事だって上が決めたことだ。おそらく表向きは福部の旦那の推測通り、刀使の受け入れ態勢の確認とかいってな。さらに、伊原の旦那の推測も含めて、用心棒としてもな....また現れるかも知れんし....」
「なにもこんなに手の混んだことしなくたって....休校にでもすれば簡単に調査出来るじゃない....」
「言っとくがこれは極秘裏に、ということだ。徒らに事を大きくしないためにもな。ここ神山高校は部活動が盛んだし、運動部員なんて日曜にも学校に通ってくる。それに、まだ鎌倉への反発も根強いということもある....」