いつも通りの日常に夕焼けを   作:キズカナ

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このコンビニバイトは退屈しない(色んな意味で)

 

 

「年齢確認お願いします。」

「あ?何でそんなことしなきゃいけねえんだよ。めんどくせえな!」

「ルールですので。」

「知るか!テメエは俺が大人に見えねえのか!?」

「少なくともルールを守れないような人は大人とは言えませんけど?」

「お客様は神様だろうが!黙って見過ごせよ!」

「神様なら常識をわきまえてくれませんかね?」

「もういい!店長出せ!テメエのこと言いつけてやる!」

「神の癖に店長に頼りやがって。」

 

 

 いきなり見苦しいものを見せて申し訳ない。見てわかる通り俺はコンビニでバイトをしているのだが俺が入ったタイミングで見事にめんどくさい客が来てしまった。というのも目の前のこいつが缶ビールを持ってきたのだが、お酒を販売する場合は年齢確認が絶対なのでそれをお願いしたところ見事に逆ギレされている。

 

 

 

「おい責任者出てこい!」

「店長、達の悪いクレーマーが来ました。」

 

 

 これ以上相手にするのはめんどくさいので後は店長に変わってもらおう。

 

 

「おいおい、今度はなんだよ。」

「酒買いたいって出してきたから年齢確認頼んだら怒られました。」

 

 

 事情を話すと店長はクレーマーと話にレジへ行き一応俺も近くで確認する。説得しようとするものの一向に言うことを聞く気配はなく挙げ句の果てにわめき散らして帰っていった。

 

 

「………店長、これ缶若干へこんでますけどどうします?」

「処分しといてくれるか?」

 

 

 マジで勘弁していただきたいものだ。そう思いながら俺はビール缶を処理した。

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー。」

「さんしゃいん~。」

 

 

 隣で気の抜けそうな挨拶を横でする幼なじみ(モカ)の横のレジで当番をしながらお客さんを出迎える。最初の頃はこれに突っ込んでいたのだが馬の耳にも念仏…というのだろうが全くどうにもならないので放置状態である。

 そして来たのはエメラルドグリーンのような色の女性だった。……なんだろう、オーラでわかるが彼女とは何か近いものを感じる。

 

「モカちゃん水分補給いってきま~す。」

「お前さっき入ったばかりだよな?」

「でも飲み物飲むの忘れちゃって~。」

「わかったよ。早めに戻ってこい。」

「それで遼に1つ伝言~。」

 

 

 それから2分ほどしてモカは戻ってこない…って一体何してるんだあいつは。というかなんだよ「次来る人にポテト増量中のお知らせしておいてね~」って。うちはファーストフード店じゃないんだけど。

 

「いらっしゃいませー。」

 

 とりあえずさっきまでの人がレジに来たので会計をする。そして最後の商品をレジに通したところで彼女の視線が横のショーケースに泳いでるのが見えた。そしてその先にあるのは……Lポテト増量中の文字。うん、大体わかった。

 

「お客様、現在ポテトが増量中キャンペーンを行っておりますがいかがですか?」

 

 自分で言ってて思う。マジでファーストフード店じゃないんだぞ。というかこれでお客さんが買うとは…

 

「それなら…お願いします。」

 

 あ、買うんだ。そのままお客さんがLポテトを2つ注文して帰ったら入れ替わるようにモカが奥から出てきた。

 

「遼~あたしもLポテト食べた~い。」

「自分で買え。」

 

 相変わらずである。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「ふえええ…。」

 

 

 迷子の迷子の松原さん あなたのお家はどこですか♪

 

 

「遼くん…駅ってどっちだっけ…?」

「ちょっと待ってください。美咲に連絡しますんで。」

 

 とりあえずその場をモカに任せて俺は奥に入り美咲に連絡を入れた。

 

『もしもし?』

「美咲、すぐ俺がバイトしてるところのコンビニに来てくれ。松原さんが迷子だから。」

『あーうん。というかそこまで行ってたんだ花音さん…。』

「そこまで?」

『うん。というかあたし達…これから3つ先の駅前に行こうと思ってて電車の時間までショッピングモールにいようってことだったんだけど…。』

「じゃあ松原さんが駅探してたのは?」

『最初の待ち合わせ場所が駅だったからかな?』

「わかった。とりあえずこっちで保護しとくからなるべく早く頼む。」

 

 ピッ…

 

「遼~どうだった~?」

「すぐ来るって。とりあえず松原さんは休憩スペースにいて。後それまでこのコンビニから出ないように。」

「うん。」

 

 

 

 

 それから待つこと数分。

 

 

 

 

「お待たせ。」

「お待ちしておりました。」

 

 美咲が到着し無事松原さんを引き取ってコンビニを出ていった。

 

「……あいつも苦労するなぁ。」

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

「かのシェイクスピアは言っていた『輝くもの、必ずしも金ならず』と。」

「……なんて?」

 

 今度のお客さんは瀬田先輩なんだが…この人さっきからいつものシェイクスピアがどうのっていってて一向に会計進まないんどけど。まあ他のお客さんが今いないのが救いだな。

 

「つまり…そういうことさ。」

「すみません。さっぱりわかりませんが。」

「つまり…必ずしもお金が輝くものではない…ということさ。」

「さっきと言ってること何も変わってませんけど?」

 

 と、このやり取りが3分ほど続いている。というか商品のお雑煮だけ置いてお金出してくれないんだけど。というか何でこのコンビニはコンビニラーメン方式でお雑煮売ってるんだよ。もう春だぞ?

 

「とにかく、お金払ってくれないと会計出来ないんですけど?」

「ああ、人生と言うのはどうしてこうも試練が待ち受けるのか…。だがこれも儚い。」

「本当あなたの儚いの基準どうなってるんですか…?というか何でもかんでも儚い言ってれば良いってもんじゃないですよ?」

「かのシェイクスピアは言っていた『過ぎ去った不幸を嘆くのは、すぐにまた新しい不幸を招くもとだ』と。」

「その不幸が今俺に回ってきてるんですが?」

 

 なんかポケット探った後で少し黙ってからこんな感じになった。本当財布出してくれれば…。

 

 

 

 

 

 ん?財布…不幸…。

 もしかして…。

 

 

 

 

 

 

 

「瀬田先輩…財布忘れたんですか?」

 

 俺がそう聞くと一瞬動揺していた。どうやらビンゴらしい。

 

「いや、それが唐突に無くなっていてね。私は罪を犯してしまったみたいだ…。」

「それもしかして落としたってことですか!?」

「つまり…そういうことさ。」

「『そういうことさ』じゃないだろ!大事じゃないですか!とりあえずこれは後からでも大丈夫ですので今すぐ交番行ってください!優しい人が拾ってたら戻ってくる可能性があるので!」

「そうか。手間をかけたね子犬くん。」

「早く行ってください!それと誰が子犬だ!」

 

 そう言うと瀬田先輩はコンビニから出て交番に向かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「かのシェイクスピアは言った『道に迷ったら心の中に答「何で戻って来たんだよ!はよ交番行け!」でも限定のお雑煮が「まだ売り切れはしないから!夜来ても多分まだ残ってるから!とりあえず交番行ってこい!俺が落ち着けないから!」

 

 

 

 このあと、何故か俺が交番に瀬田先輩を連行して財布は無事戻って来たが俺は当然の如く店長に「一言断って行け」と注意されました。因みにその間のレジはシフトに入ってたリサ先輩がやってくれた。マジですみませんでした。

 

 

「遼~。お雑煮の賞味期限切れたの1つずつ持って帰って良いって行ってたけどど~する~?」

「うん…それお前にやるよ。」

 

 

 なんか…ボクもう疲れたよパト○ッシュ

 

 

 

 

 





コンビニのバイトやったこと無いんですがこんな感じですかね?(多分違う)

ここ最近こっちの作品なかなか投稿出来ずにすみません。とりあえずなんですが最近こっちのネタが切れ始めた…というのもあり執筆が進まないんです…。
とりあえず皆さんの方で「これやってほしい!」っていうネタがあれば是非送ってくださると嬉しいです!送り先はコメント欄でも私のtwitterでも構いませんので!

新しくコメントをくださった夜龍丸さん、ユニバースファントムさん、ありがとうございます!

コメントや高評価くださると執筆の励みになりますので是非お願いします!

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@kanata_kizuna



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