何気ない1日の朝。俺はいつものように布団から出てパンを口にする。そんな中、母親が冷蔵庫を見ながら何かぶつぶつ呟いていた。
「どうしたんだよ母さん、さっきから冷蔵庫とにらめっこして。」
「昨日の夜連絡があってお姉ちゃん長期休暇で暫く大学休みになるから帰って来るの。だから久しぶりにご馳走しようかな~って思って。」
「ご馳走ね~。というか姉ちゃん好き嫌い多いからどうする……ん?今なんて言った?」
「久しぶりご馳走しようって」
「その前!その前になんて言った?」
「お姉ちゃんが帰って来るって言ったけど?」
・・・・・・・・・は?
「嘘だろおい…。」
◆ ◆ ◆ ◆
午後1時。
「どーするんだよ…。」
家から出てきた遼は羽沢珈琲店に行っていた。
「はい、カフェオレどうぞ。」
「ありがと。」
つぐみから受け取ったカフェオレを飲む。いつも俺用にぬるめの温度で作ってくれるのでありがたい。
「ところでどうしたの?さっきからぐったりしてるけど。」
「ああ…実は姉ちゃんが今日帰ってくるみたいなんだ。」
「えっ?照さん帰ってくるの?」
「そーなんだよ…。突然過ぎて本当にな…。」
そう言いながらカフェオレを啜った。
「そういえば照さん今どこにいるんだっけ?」
「確か…広島辺りだった気がするな。大学がその辺りだから。」
「広島か~。結構遠いね。」
「まあ行きたい学部が盛んなのがそこだったから仕方ないよな。」
つぐみと話してるとお店の扉が開き、1人の女性が入ってきた。しかもサングラスかけてレディースハットを被っていた。……なんか知ってるような気がするのは気のせいか?
「お1人様ですか?」
つぐみの案内で俺から少し離れたところに座る。まあそれより今は少しあの事を忘れてこのカフェオレとパンケーキを楽しもう。
「相変わらず甘い物好きね~。そういうところは相変わらずだよね~。」
「は?」
俺が顔をあげるとさっき入店した女が俺の前の席に座っていた。
「あれ?半年ほど会わないだけで私のこと忘れちゃった?」
すると女性は帽子とサングラスを外した。
「えっ…。」
思わず声をあげた。何故なら…。
「久しぶり、遼。」
「姉ちゃん!?」
その女性は俺の姉『常乃照』だったのだから。
◆◆◆◆
「で、何で相席してんだ?」
「いいじゃんいいじゃん!」
しれっと俺の向かいに座ってきた。いや、このあと多分モカ達来ると思うんだけどな…。
「つぐみちゃん、抹茶ケーキとアメリカンコーヒーお願い。」
抹茶ケーキとアメリカンコーヒーか…。相変わらずのセンスだよな…。
「それで~?あんた彼女とか出来たの?」
「第一声がそれかよ…。」
相変わらずだ。というかひまりといいこの人といい女ってどうして恋愛話が好きなのかね?
「いい?乙女にとって恋愛は………」
突然何か言い始めた。いや、まさかとは思うけどこの人地の文読んでんじゃないよな?
「命よりも重いからなんだよ!」
うん、正直なところどーでもいいわ。
と、考えていたところメニューで頭を叩かれました。
カランカラン…
「つぐ~来たよ~。」
「あ、遼来てたんだ。」
「おお~遼やほ……」
そこにやって来たモカと蘭。いつものように二人で来たか。
いや、ちょっと待て。何がおかしい。というかなんかモカが固まってる。どうした?
「……遼が…女の人と…。いったい誰…?」ボソボソ
しかもなんかさっきからボソボソ言ってるし。
「おっ!蘭ちゃんとモカちゃんじゃない!久しぶりー!」
「「えっ?」」
突然話しかけられた二人は驚いた。なんせ突然謎の女性に自分達の名前を呼ばれたんだ。無理はない。
「えっと…何であたし達のこと…。」
「いやいや何言って……えっ?忘れちゃったの?」
いや、そんなあからさまに「嘘でしょ!?」というような表情されても知らんて。
「……誰ですか~?遼と一緒にいますけど~?」
「も~モカちゃんも忘れちゃったのー?私よ私!」
「私私詐欺は間に合ってますが~?」
「違うわい!照だよ!遼のお姉ちゃん!」
そう言うと二人は「あ。」と言って思い出したようだ。
「もしかして~照さんですか~?」
「思い出してくれた!?」
「良かった~!」と言いながら二人に抱きつく姉ちゃん。いや、その二人困惑してるから止めたって。
「ところで何でこっちに?大学は大丈夫なんですか?」
「あれ?遼から聞いてない?」
「いえ…聞いてないですけど…。」
蘭の返答に姉ちゃんは俺を見た。そして…
「な・ん・で・あんたはそう言う大切なことを言っておかないのかな!?」
俺に対して頭と首をがっしりとゴリゴリし始めた。
「痛い痛い痛い痛い!?というか俺だって朝知ったんだよ!?連絡が急過ぎるんだよ!」
「じゃあかしいわい!お前はともかく蘭ちゃんたちにはちゃんと連絡しときなさいよ!」
「実の弟よりその幼なじみ優先かよ!?」
ギャーギャー騒いでる中、その傍につぐみのお父さんが来た。
「二人とも、仲が良いのは良いことだけどさ、あんまり騒ぎすぎないでね~。ここ、お店の中だから。」
「「……サーセン。」」
この時、つぐみのお父さんが初めて怖いと思えたのだった。
「で、何で唐突に帰って来たんだ?」
「だから大学がしばらく休みになるの。」
「それで?連絡寄越したの何時?」
「昨日の24時前ね。」
「それは知らない筈だ。」
なんせ俺昨日は23時には寝てたからね。
「それにしてもさ、誰があたしの未来の妹なのかな?」
ブフォオオオオ!
その言葉のせいで俺は思いっきり口にしていたカフェオレを吹いてしまった。
「だからさっきから何言ってんだよあんたは!!!」
「え~?でも気になるじゃん。」
「というかその前に姉ちゃんはどうなんだよ!彼氏とかいるのかよ!?」
「あんたね~。」
「でもびっくりしましたよ~。まさか遼が他の女の子といたのでモカちゃん驚きましたよ~。」
「そっかそっか~。ねえ、1つ聞いていい?あ、ちょっとあっちで話そうか。」
すると姉ちゃんは席を立ち、モカを連れて離れた場所に行った。
「あ、つぐみ。あたしブレンドコーヒーお願い。」
その間に蘭は注文をしていた。
「ねえ、何でモカ連れていかれたの?」
「さあ?姉ちゃんの考えることはよくわからん。」
そのまま俺はコーヒーを啜る。
◆ ◆ ◆ ◆
「さて、と。」
あたしは照さんに少し離れた…カフェの外に連行されていた。
「モカちゃんは遼のこと好きなのかな?」
「えっと…好きというかその…。」
突然問いかけれられた。
「だってね~。あたしが遼と話してたとき凄く面白くなさそうな顔してたじゃん?だからもしかしてと思ってね。」
まさかそこまで見られてたなんて。昔からそうだったけど照さんの観察力には驚かされてばかりだ。あたしも意外と顔に出やすいタイプなのかなと改めて考えさせられた。
「で、どうなの?」
「えっと…正直言ってわからないんですよね~。」
「わからない?」
「はい~。遼と一緒にいるのは昔からだしあたしも遼は大切な幼なじみだと思ってますよ~。でも…」
「うん?」
「正直なところ言いますと~。遼のことは好きなんですけどどういう形でと言われるとよくわからないんですよ~。幼なじみとしてなのか…それともって感じなのか。」
あたしがそう言うと「うーん」と軽く考えていた。
「というかさ、好きって気持ちにそんな深く考えるものなのかな?」
「えっ?」
「いや、人に対する思いって確かに考えた方がいいかもって言うのはわかるよ?でも好きの気持ちは理論で出てくる答えじゃないと思うな~。」
「そんなものなんですかね~?」
「多分。まあ、どれが正しいのかなんてのはその人にしかわかんないことだからね。とりあえず一言で言うなら素直になるというか……考えるな、感じろ!ってやつかな?」
「……わかりました~。ならあたしもあたしなりに感じてみようかな~と思いま~す。」
「そかそか!」
「じゃあ戻ろっか。」と言って照さんは中に戻っていった。…考えるな、感じろか~。だとしたらあたしは本当に遼のことそう感じてるのかもね。
「……こんなところひーちゃんに見られたら逆にからかわれちゃうかもね~。」
そう言ってあたしも遼たちのところに向かう。
「おお、モカ。大丈夫か?姉ちゃんになんか言われたのか?」
「大丈夫大丈夫~。女同士の秘密のお話ってやつ~?」
「……そか?ならいいけど。」
そう言って遼はカフェオレを口に含む。
「ね~遼~。あたしパン食べたいな~。」
「お前ホントにぶれないな。」
今は…このいつも通りを過ごしながら前に進む準備をしよう。そうあたしは心に決めた。
とりあえずさっさとこいつらくっつけてイチャイチャさせたい(n回目)
新しく☆9評価をくださった風薊さん、ありがとうございました!
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そして最近短編集も始めました。良ければそちらもよろしくお願いいたします。
@kanata_kizuna