クライマックス入りま~す。
ついてこれる奴はついてこい!
「蘭、サビの部分のギターもうちょっと肩の力抜いた方がいいぞ。後、ひまりはBメロからサビ行くときのリズムかなりズレてるからそこ気をつけろ。」
「わかった。」
「うう…バレてた…。」
あの一件以来、すっかり元通りになったAfterglowの面々は今日もライブに向けて練習に励んでいた。
「とりあえずさっきの反省も含めてもう1回やってみようか。」
「わかった。」
蘭の掛け声にあわせて再び全員が音を合わせ始めた。遼のアドバイスを受けてそれぞれが改善すべきことに気をつけて演奏し、少しずつ良い演奏を形にしていった。彼女達が演奏している間、遼は再びノートとペンを手に取りそれぞれの音のズレやミスなどを見逃さないように神経を研ぎ澄ましていた。
演奏が終わり、それぞれに改善点や前よりも良くなったところを伝える。そして時計を見ると時計の針はもうすぐ6時を迎えようとしていた。
「そろそろ終わりだな。」
「じゃあ片付けしよっか。」
つぐみの一声により、各々が自分の楽器を片付けに入った。遼もノートをしまい、彼女達の片付けの手伝いに加わった。
数分後、片付けを終えた一行はCiRCLEを後にした。
「遼~やまぶきベーカリーよってこ~?」
「わかった。俺も明日の朝のパン買っときたいしな。」
「おお~遼わかってる~。」
遼とモカはパンを買うためにやまぶきベーカリーに向かい蘭たちと別れた。
二人と別れた後、残った4人はというと…。
「遼とモカって本当にピッタリなコンビだよな~。」
「だよね~。私も本当に付き合ってないの?ってしょっちゅう思っちゃうよ。」
「それに遼くんってモカちゃんの対応に凄くなれてるし、私も二人は本当は兄弟じゃないのかなって思うときあるし。」
「だよね~。なんか出会うべくして出会ったみたいな感じだよね~。」
「・・・・・・。」
「蘭?どうしたんだ?」
「…何でもない。」
「─あっ、もしかして遼にヤキモチ焼いてんのか?」
「ち、違っ…!そんなんじゃないし…。」
「蘭はモカと1番仲良かったからな~。」
「巴っ!」
からかってくる巴の言葉に蘭は真っ赤にしながら声を上げていた。
◆ ◆ ◆ ◆
やまぶきベーカリーでパンを買い、モカを送った後自分の家に帰った遼は机に向かい今日出た課題をやっていた。
「ふう…世界史の課題は楽だったな。後は問題の物理か…。」
そう言いながら今度は配布されたプリントと教科書を鞄から取り出す。遼は基本的に成績は悪くなくどの科目も高得点を取ることは出来る。だが、数学や物理は別だ。この2つは彼の天敵ともよべる科目であり、テスト前はモカやつぐみの協力を得てなんとか平均点ギリギリを取れているようなものだ。
「とにかく、なんとかやれるだけやる!後はフィーリングでなんとかする!」
生真面目な性格ゆえに『やらない』という選択肢は存在しないものの難しいところは直感でどうにかしようとしてしまう。本当に彼女らの協力が無かったらどうなっていることやら。
それから30分ほど時間がたった。ある程度進んだところではあるが、どうしても解けない部分にぶつかってしまい少し休憩することに。
そして、その間に何か連絡が来てないかとマナーモードにしていたスマホを見るとある人物から一件連絡が入っていた。
『夜遅くに突然ごめん。明日予定が無かったら買い物に付き合って貰いたいんだけど大丈夫かな?』
◆ ◆ ◆ ◆
次の日
昨夜のメッセージアプリに届いた要件を承諾して遼は駅前である人物を待っていた。今は待ち合わせ時間の5分前。そろそろ来る頃か?と思っているとこちらに向かってくる見覚えのある人物がいた。
「もう来てたんだ。早いんだね。」
「まあな。早いに越したことはないだろう。」
帽子を被った黒髪の少女『奥沢美咲』は「さすが遼だね…。」といいながら待たせていたのを申し訳なさそうにしていた。
「それより何か用事があるんだろ?」
「あ、そうだった。ちょっとついてきて貰っても良いかな?」
2人はそこから離れて別の場所に歩いて行った。
それからしばらく歩き、やって来たのはショッピングモールの中にある糸や綿、布等を取り扱っているお店だった。
「つまり、今度ハロハピが幼稚園でライブするのに美咲の羊毛フェルトをプレゼントするってことか。」
「そ。こころったら『美咲の作るお人形をあげたら皆笑顔になるわね!』って言い出してさ~。皆も手伝ってくれるらしいんだけど正直不安の方が大きいと言いますかなんと言いますか…。」
ため息をつきながら美咲は呟いた。
「それで子ども達の中には男の子もいるわけだし、遼なら男の子ってどんなのが好きなのかなって思ってさ。」
「なるほど。実際に男の目線でからの確かな意見が欲しいって訳か。」
「まあ、それもあるんだけど…。」
「ん?」
「いや、何でもないよ。」
美咲は何かを言いかけたがそれを言わず買い物を続けることに。それからは男子にはどういった物が人気なのか遼の意見を参考にしながら考えたり、必要な道具を買い足したりして2人はお店を出た。
その後、フードコーナーでパスタを頼んだ2人は昼食を取っていた。
「ふう…これで材料は揃って後は作るだけか…。」
「大変…なのか?」
「まあ趣味でやってるから嫌ではないんだけど…何しろ量が量だからね…。」
「…もし差し支え無いようなら手伝おうか?」
「良いけど…出来るの?」
「経験は無い。」
「そんな自信持っていうことかなそれ…。」
遼の謎の自信に呆れながらも美咲の表情は笑っていた。
「じゃあ教えてあげようか?」
「よろしくお願いします。」
「あはは…わかった。」
その後、二人はパスタを食べながら会話を弾ませた。
◆ ◆ ◆ ◆
「で、これからどうする?」
「うーん…ちょっとこの辺見て回らない?」
「そうか。構わないぞ。」
美咲に誘われ2人でモール内をふらふらと歩いていた。
途中の洋服屋で美咲は色々な服を遼と見ていて、彼に「どっちがいいと思うかな…?」と恥ずかしながらも服を見せながら聞いたり、普段は履かないスカートに挑戦してみたりといつもの美咲とは少し違う姿を見せた。
服を選び終えた後、2人はゲームセンターに赴いていた。
「凄い色々あるね…。」
「ホントここのゲームセンターの品揃えの良さにはいつもの驚いてる。マイナーなジャンルの商品もおいてあるしな。この間なんかパンのクッションがあってそれをモカにとってあげたりしたからな。」
「青葉さんと来てたの?」
「ああ。あいつ急に家に押し掛けてきて出掛けようとか言ってきたからな。本当に参ったよ。」
「ふーん…。あのさ…遼って青葉さんのことどう思ってるの?」
「どうって…大切な幼なじみだし…気づけばずっと一緒にいたからな…。なんかわからんな。まあ…大切なことに変わりは無いな。」
「そうなんだ…。あっ…。」
突然美咲が歩いていた足を止め、ショーケースの中を見た。そこにはミッシェルそっくりな熊のぬいぐるみが並んでいたのだ。
「…ミッシェルに似てるなこれ。」
「だね…。また黒服の人たちがミッシェルぬいぐるみを商品にしたのかと思ったよ…。」
「そういや松原さんのところのバーガーショップのおもちゃが一時期ミッシェル関連になってたんだっけ?」
「そうだね…。花音さんから聞いたときはあたしも本当にびっくりしたよ。」
2人は苦笑いしながら話していた。美咲がショーケースの中の熊を「かわいいなぁ」なんて思いながら見ていると遼が美咲に1つ聞いた。
「欲しいのか?」
「えっ!?いや…まあ気になるのは気になるかな…って感じ?」
「ふむ…。…ちょっといいか?」
そう言うとポーチから財布を取り出して300円をコイン投入口に入れた。そしてクレーンゲームと格闘すること3分…。
「よし、取れた。」
「はやっ…。」
見事、熊のぬいぐるみを獲得した。そしてその際の遼のテクニックを見ていた美咲は驚きの声をあげていた。
「ほら。」
取ったぬいぐるみを美咲に渡す。美咲には完全に予想外な展開だったらしく驚いていた。
「もしかして…俺の勘違いだったか?」
「えっ?いや、気になってたのは確かだけど……本当に良いの?」
「ああ、美咲がずっと見てたから欲しいのかと思ってな。」
「…ありがと。凄い嬉しい…。」
受け取ったぬいぐるみを美咲は大切そうに抱えた。抱えた時に気づいたのだが、ぬいぐるみからはほのかに甘い桃の香りがした。
「それにしても遼ってクレーンゲーム得意なの?」
「いや、さっき言ったけど前にモカにもパンのクッション取った時あるんだけど…その時結構かかってちょっと悔しかったから密かに特訓してたんだ。今回のはその賜物だろうな。」
「…本当、よくわからないところで負けず嫌い出してくるよね…。」
「そうか?」
「でもありがとう。これ大切にするよ。」
美咲は顔を赤くしながらもう一度ぬいぐるみを見る。美咲の気のせいなのだろうか、ぬいぐるみはどこか暖かい眼をしているように感じていた。
さて、ここからの展開どうなるか…。
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@kanata_kizuna