2019年12月31日 PM11時30分頃
「遼~、みかん2つとって~」
「ひとつずつ食えよ?」
常乃家ではリビングで遼とモカが炬燵で暖を取りながらテレビを見ていた。
「いや~やっぱり年越しはガ○使に限りますな~。」
「そーだな~。」
「それにしてもこのみかん甘味があって美味しいね~。」
「そりゃあお高いやつだったからな。それと1つ質問いいか?」
「何かね~?」
「何でお前俺ん家いんの?」
遼の質問にモカはまるで「なんでそんな質問してるの?」というような表情をしていた。
「いや~、せっかくの年末ですし~?今年も一人で過ごしてそうな遼の為にモカちゃんが一緒に年の始まりを過ごしてあげようと思いましてね~?」
「いや、お前自分の家族はいいのか?」
「ママもパパも許可してくれたから大丈夫~。」
「ふーん…まあいいんだけど…」
「あ、コーヒーのおかわりお願~い。」
「いや、まるで自分の家のような感覚で頼むな。」
と、相変わらずモカがマイペースに振り回して遼は文句を言いながらもモカの頼みを聞くと言う展開に。モカのコーヒーカップを受け取った遼は2人分のコーヒーを淹れてモカが待つ炬燵に行った。
「はいコーヒー。」
「ありがとー。」
受けとったコーヒーを啜り「ふぅ~」と一息をつく。
「やっぱり遼が淹れるとおいし~ね~。」
「誰が淹れても一緒じゃないか?」
「いやいや、こーゆーのは気持ちの問題なんだよ~。」
「そうか?」
「特に愛する人が淹れてくれると特別美味しく感じるんだよね~。」
そう言われて遼は思わず熱いコーヒーを思いっきり飲んでしまう。遼は猫舌であったためかなり熱がっていたが何とか飲み干した。
「お前な…そう言うこっ恥ずかしいことをしれっと言うな…。」
「え~?もしかして~遼照れてるの~?」
「べ…別に照れては無い…。」
「でも顔赤いよ~?」
「……炬燵の温度下げるからな。」
遼をからかいながらニヤニヤするモカを横目に遼は顔を隠すようにモカから反らしていた。
そんなこんなでダラダラと過ごすこと数分…。
2019年最後まであと少しとなった。
「もーすぐだね~。」
「ああ。」
「色々あったよね~。」
「あったな。」
「でもそのお陰でこうして遼と特別な仲になれたからモカちゃんとしては凄く良いことが起きたと思うよ~。」
「……そうか。」
暫くモカの言葉に相槌を打っていた遼だが、暫くすると視線をテレビからモカの方に向けた。
「なあモカ、年が開ける前に1つ言ってもいいか?」
「なに~?」
そう言い、少し時間をおくと遼は口を開いた。
「俺と…恋人になってくれてありがとう。」
「…………」
「来年もその先も……よろしくお願いします。」
そう言いながら心の奥で「慣れないことを言うもんじゃないな…」と思いながらモカの表情を見ると…
「……モカ?」
「…え?なーにー?」
「顔…赤いぞ?」
「うーん…炬燵の温度高いかな~?温度もうちょっと下げてくれる~?」
「いや、今温度1番低いぞ?」
立場逆転と言わんばかりに遼はモカをからかい始めた。モカはその展開に少しだけ頬を膨らませながら遼を睨んでいた。
「あ、そろそろカウントダウン来るぞ。」
時計の針が長針、短針共に12の数字を指そうとする数秒前…
「10…9…8…」
「7…6…5…4…」
「「3…2…1…」」
「「明けましておめでとう。」」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その後、2人でダラダラと思い出話に花を咲かせ数時間の眠りについた。そして午前7時に遼は目を覚まし、モカ、そしてAfterglowの皆と初詣に向かおうと思っていたのだが、神社の前で待ってて欲しいと言われて現在1人で彼女らを待っているところだ。
「おーい!遼ー!」
名前を呼ばれて振り向くとAfterglowの面々がぞろぞろとやって来た。しかも全員晴れ着を見事に着こなした状態で。
「よお。明けましておめでとう。」
「あけおめー!」
「やっぱりもう来てたのか~。」
「待たせちゃってごめんね?着付けに時間かかっちゃって…」
「いや気にすんな。」
「おお~見事なテンプレ~。」
「モカ、そういうこと言わない。」
と、いつも通りというべきのようなやり取りを交わしていた。
「それでどう?私たちの晴れ着!」
自信満々にそう聞かれた遼は5人の姿をざっと見た。
「まあ…いいんじゃないか?」
「うんうん……ってそれ去年も聞いた気がするよ!?」
「おお~この返答もいつも通り…」
そして相変わらずの展開に6人は笑みを溢した。
「とりあえずお参り行こうぜ。」
「そうだね!」
そのまま遼たちは神社に行き、お参りをした。
「よし、これで全員終わったな。」
「ねーねー、皆何をお願いしたの?」
ひまりが食い入るように尋ねて来た。本当にひまりってこういうの好きだよな~と思いながら遼は苦笑いした。
「私はもっとバンドもお店もうまくやれるようにお願いしたよ。」
「あたしはやっぱりもっとドラムが上手くなるようにかな~。」
「あたしは…いつも通りに過ごせれば…」
「へえ~。モカと遼は?」
急に話をふられた遼はビックリし、モカは「え~?」という感じでひまりを見ていた。
「俺は……まあ、皆とこれからも変わらぬ関係でいられますようにって。」
「あたしは…」
モカは遼は方をチラッとみるとこう言った。
「秘密かな~?」
「ええ~?」
「まあモカちゃんのお願いは美味しいパンをお腹一杯食べることですし~?」
「それいつもやってることじゃん!」
モカの返答にひまりは不満の声を漏らしていた。
「そーゆーひーちゃんはさ~、どんなお願いしたの~?」
「え?私?それは~…美味しいスイーツが沢山食べられますように…って…」
ひまりのお願いを聞いた面々は1度顔を見合わせると、プッっと笑ってしまった。
「え?なんで笑うの?」
「いや、ひまりちゃ?もいつも通りなんだな~って。」
「ホント、いつも通りだね。」
つぐみと蘭の一言に「どう言うこと~!?」と問い詰めていて、巴はその光景を見ながら笑っていた。
「これもまた"いつも通り"か…」
「それがあたし達だからね~。」
遼が横を向くとそこにはどこで買ったのかわからないチョコバナナを食べていた。
「お前どこ行ってたんだよ」
「そこの屋台で買った~。」
「お前もいつも通りか…。」
そんな幼なじみにやれやれと思いながらもその感覚に安心していた。一方のモカは美味しそうにチョコバナナを食べなから遼を見ていた。
「遼ー!モカー!早く帰ってお雑煮たべるよー!」
ひまりが自分たちを呼ぶ声がした。そこには蘭、巴、つぐみも待っていた。
「さて、俺たちも行くか。」
「おっけ~。モカちゃんまだまだ食べれちゃうよ~。」
「……腹壊すなよ?」
「大丈夫大丈夫~。お雑煮とパンは別腹ですからね~。」
「やれやれ、頼もしいけどちょっと心配な奴だ…。」
そう言いながら2人は歩き出した。
その時、遼の手をモカが握った。その瞬間、遼はビックリしてモカを見たがモカは「してやったり」というような表情をしていた。遼もまた、その手を握り返し再び歩き出した。
1年の初めの朝日が昇る空の下、どれだけ変わろうとも変わらない絆を誓い遼たちは新しい未来に歩みだした。
『これからもAfterglowの皆と、それと遼とずっとずっと変わらず一緒にいられますように。』
1人の少女の願いを知るものは彼女だけなのか、それともいるかもしれない神様がそれを知るのか……それは神のみぞ知る、と言うものだろう。
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!