血迷いました。
今回は本格的にキャラ崩壊注意です。
春。
それは新たな出会いの季節でもあり、冬という厳しい季節に耐え抜いて来た者に訪れる光の季節でもある。
俺も春は嫌いじゃない。しかし、かと言って好きという訳でもない。その理由は…
「ぶへぇぇぇくしょい!!」
そう、花粉症だ。
昔からスギやヒノキといった花粉には弱く
毎年マスクとティッシュは常備品となる。ホントスギとヒノキの花粉なんかゲルマニウムの半球をくっ付けて青い光と共に消し飛べば良いのに。
そんなことはさておき、俺は今羽沢珈琲店に向かっている。本当はもう少し早くつくべきなんだが生憎、父親が野菜の分け前を持って行けと言ってきたのでそれの袋詰めに時間がかかった。
とかなんとか言ってる間に目的地に到着。
そのままドアノブに手をかけ、入室した。
「あ!遼、やっと来たー!遅刻だよ遅刻!」
「ああすまんすまん…って何それ。」
俺の視線の先にはアロマキャンドルのようなものがあった。しかも火がついてるためもう匂いは充満してるものと思われる。
「日菜先輩から貰ったんだ〜。自信作のやつなんだって。」
「ふーん。まあ俺、今花粉症で匂いわかんないんですけどね。」
ズビビと鼻を啜り匂いを嗅いでみようとするがやはり鼻詰まりを起こしていて匂いがわからない。ひまりには「ええー!?勿体ないなー。いい匂いなのに。」と言われたが、タイミング悪いすぎるんだよなぁ。
「あ、蘭。この間頼まれてた作曲の方なんだけどさ…」
「え?なになに?」
「まあ蘭の歌詞見ながら作ってはみたんだがペースが合うかわからないから少し調整してくれないか?一応これにデータは入れといたから…」
「ありがとー!やっぱ遼に頼むと捗るね〜。」
「………ん?」
蘭にUSBメモリを渡したところで俺は違和感に気づいた。なんだか先程から蘭のテンションがやけに高い……というかなんか別人になってるような感じがするのだが…。
「遼?どしたの?あたしの顔に何かついてる?」
いや、なんかおかしい。うちの蘭がこんなに素直ではっちゃけてる筈がない。蘭と言ったら友希那先輩相手にイキっててツンデレ気質でぶっきらぼうだけど寂しがり屋な奴な筈。
「なあ…蘭。今日どうしたんだ?なんかやけにテンション高くないか?」
「やだな〜!あたしっていつもこんなだよ?」
「……ドユコト?」
マジで訳が分からなくなってきた。何?こいつ風邪でも引いてんの?それともなんか変なもの食ったか?
そう考えてるとその傍につぐみがいることに気づき、俺は彼女にヘルプを求めることにした。
「なあつぐみ、蘭のやつどうしたんだ?なんかすごく違和感しか無いんだけど「あなたはいいよね…」はい?」
話しかけたらなんかつぐみから物凄く負のオーラが発された。えっ?今度はつぐみがおかしくなってるんだけど?
「どうせ私なんて皆みたいに特徴無いし…。それに皆みたいに人気もないし…。どうせ私なんか……どうせ私なんか……」
いやなんか闇堕ちした兄貴みたいなこと言ってるけどマジでどうしたんだ?
「えっと…つぐみ?どうした?」
「よしたまえ。そやつは今、己と向き合っておるのだ。」
「いやそうは言っても………うん?」
変な口調の人物がいた気がしてその方角を見るとそこには腕を組んでエレガントっぽく立っている巴がいた。うん、なんか雰囲気的に瀬田先輩混じってませんかね?
「人は時に心に闇をもたらす。特に1人になると心が泣きそうになることはあるだろう。
しかし、その心とどう向き合うか…。それこそが試練なのだ。」
「なんかそれっぽく言ってるけど全然答えになってないぞ…?」
やっぱこいつ瀬田先輩混ざってるわ。
にしてもどうしたんだもんかね…。この状況、1人で纏めるには骨が折れるぞ。ただでさえモカ相手にも少しやれやれなところはあるというのに…。
「なあひまり、これどうしたら良いんだ?」
「わかりませんよ…。というか、あなたがダメなら私でも手に負えませんよ。」
「そうそう。流石にリーダーのお前でも……ってまさか…。」
「なんですか?私に何か?」
もうヤダ。ひまりまでおかしくなったよ…。
「それより遼さん、次のライブのセットで相談があるんですがセットリストどうしますか?」
こんなしっかりしたひまりなんてひまりじゃない…。
ホントなんでこんなことになってしまったんだ…。というかついさっきまでひまり正常だったのに突然こんな癪変を起こしてしまって…。
「ってそういやモカは?モカどこいった?」
先程からモカが姿を表していないことに気づいた俺はとりあえずその人物を探してみることにした。ワンチャン、モカなら無事でいるかもしれない。いや、いて欲しいと思い続けた。
「モカー?どこ行ったー?」
他の面々を他所目に俺はモカを探した。普段ならみんながいれば消去法でモカも居るはずだ。しかし、今日に限っていないと言うことはもしかしたら休んだか…?いや、いくらあいつでも休むなら先にひとこと言ってくれる筈…。
「ねえ…遼…。」
そんなこんなしてると後ろからそれらしい声が聞こえた。
モカだけは…せめてモカだけはまともであってくれ…。そう願いながら俺は振り向こうと…
「ん?」
したのだがどういう訳かモカに後ろから抱きつかれており、俺は動くことが出来ずにいる。あれ?モカってこんなに腕力強かったっけ?
「……む。」
いや、「む」って何よ。正直顔も見えないから上手いことモカの状況が理解できないんだけど。
「あのーモカさーん?俺動けないんでちょっと離れてくれません?」
「ヤダ」
あれれ〜?こいつこんなに甘えん坊キャラだったかな?いや違う。俺の知ってるモカは甘えて来たとしてももっと遠回しに気付いてもらおうとしてるような奴だ。
「離したら…また会えなくなるもん…」
もう何が何だか分からなくなってきた。それにしてもどうすれば良いのやら…。流石にこの状況を捌くのは難しいんだよな。
正直今すぐ帰りたいんだけどこれこのままにしていいのかわからないし、何よりしがみついてるモカが離してくれないから帰れないし…。
「おはようございます!」
と、この混沌の場に北から来たサムライが満を持して降臨した。
「って皆さん!どうしたのですか!?」
「あ、なんかさっきからこんなおかしなことになってる。」
「なるほど…もしや悪霊の仕業ですか!?」
「わからん。とりあえず今こいつらをどうにか正気にさせようと思ってるんだが…」
「なるほど…ところでリョウさん、何か香りがしますが…」
「それひまりが日菜先輩から貰ったって言ってたアロマキャンドルの香りね。」
「コレですね!いい香りです!」
アロマキャンドルに近づき、真近で匂いを嗅いでいた。
「それはそうとどうすれば良いと思うこれ?」
「・・・・・・」
「筋肉です!」
「そうそう筋肉……は??」
「…?どうしました?」
「お前さ…ここボケるところじゃないんだけど?……もしかしてお前も…」
「なんのことですか?」
もしかしたらイヴまでおかしくなったかと思ったが一見普通そうだった。まあそうだよな。そんなポンポンおかしくなられても…
「それよりリョウさん!お困りでしたら筋トレをしましょう!筋肉は全てを解決します!」
前言撤回。
やっぱこいつまでおかしくなってる。
「リョウさん!そういえばこのお野菜って何なんですか?」
「ああ…それはチンゲン菜なんだが…」
「チンゲン……サイ?」
「サイ?」
「サイ…」
「ハイっ!サイドチェストォォォ!!!」
「何がーーーー!?」
ダメだ。ただでさえ手に負えない状況だったのに余計訳分からんことに…。
この手は使いたく無かったが仕方ない….。
「イヴ、すまん。」
「ウッ!?」
俺はそのままイヴの首筋に手刀を打ち込み気絶させた。
「イヴちゃーん?大丈夫〜?」
「……若宮…」
「ああ!しっかりしたまえ異国の侍プリンセス!」
「若宮さん!若宮さん!」
「・・・・・・」
と、イヴに対して5人が集まったところに1人1人に手刀を打ち込んだ。後巴、お前の2つ名のセンスさっきから一昔前すぎない?
さてはともあれ一旦落ち着いたことだし原因を探さないと。まあ、検討は着いてるんだけど…
「大方これなんだよなぁ」
そう、ひまりが持ってきていた日菜先輩特製のアロマキャンドルだ。
根拠は2つ。まずイヴが癪変したのはこれを思いっきり嗅いだ後だからだ。そしてもう1つはこの空間でおかしなことになってないのは鼻詰まりを起こして匂いがわからない俺だけだ。
「とりあえずこれ消して換気するか…」
◆ ◆ ◆ ◆
数分後、6人は無事目覚め性格も元に戻っていた。
「うーん……ここに来てからの記憶が少し無いんだけど…」
「あたしも…」
「あたしもだ。」
「あたしも〜」
「私も途中から記憶が…」
「それになんだか少し首の後ろが痛いのですが…」
目覚めた彼女らには癪変していた時の記憶が無いらしい。とりあえず俺はそれらに関しては知らないふりを通しておいた。
後首の方は俺のせいですねごめんなさい。
「ひまり。このアロマキャンドル俺が持っておいて良い?」
「えっ?いいけど…。もしかして気に入った?」
「あーいや。ちょっとな。」
とりあえず後で日菜先輩にはこれ作るの禁止って釘打ちに行こ。
「じゃあ今度は私が作ったアロマキャンドル使お~っと。」
「……もう、アロマキャンドルはええわー!!」
この日以来、俺はアロマキャンドルに多少の苦手意識が芽生え始めてきたのだった。
完全に時空がガルパピコになってしまった…。
ちなみにこれ思いついたのは真夜中ですね笑。深夜テンションって怖い。
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