幻の原石ガチャを求めて   作:実質無課金

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捨て駒にされるかも知れないと覚悟を決めていたが、渡される仕事は、お使いや軽い荷物の運搬など簡単なものばかりだった。

虚弱な中学生に出来ることなんて限られているから、よく考えれば当然のことである。

けれども、ただ移動するだけのこの仕事でも自分の貧弱な肉体では辛い。

パワードスーツ的なものが欲しいけど、それを買う金があるなら、間違いなくガチャに使う。

 

毎日数十回以上、能力を発動しているが、俺の能力の詳細はあまり分かっていない。

俺の主観では、使った瞬間に体の様々な場所が壊れ、頭痛によって気絶する能力だ。

しかも、使う度に体への負担が大きくなっている。

レベル3になったおかげで10回連続で能力を発動出来るようになったのも、それに拍車を掛けている。

研究者たちが言うには、能力発動直後の俺の体に法則の異なる何かが存在し、それと超能力とが反発し合って体を傷つけているらしい。

何かって何だよ。

 

 

 

俺の能力を簡潔に言うと、ガチャである。

ガチャの好きな俺には相応しい能力だ。

某ゲームのパルプンテほどではないが、何が起きるか分からない。

 

自分の能力のことを考えていたらガチャがしたくなってきたが、金がない。

仕方ないから、超能力ガチャするか。

俺は自分専用になったいつもの病室に入り、ナースコールをした後、能力を発動した。

病室で行うと意識の回復が早いため、一番効率的に能力ガチャを回せる。

今回も能力ガチャの結果は微妙そうだなと思いながら俺は気絶した。

 

 

 

 

 

目を開けると、見知った天井と見知った蛙顔の医者が視界に写った。呆れた表情をしながら医者は口を開いた。

 

「君はもう能力を使うのを辞めるべきだ」

 

「それは無理。ガチャを回さないと死ぬ」

 

「いや、君の言っているガチャを回すと肉体的に死んでしまうよ。なぜ死んでないか不思議なくらい君の状態は酷い上に、見る度に悪化している」

 

「それがなにか?ガチャを回さない理由にならない」

 

「死んでしまうと世間一般で言うガチャを回せなくなってしまうよ」

 

「いや、世間一般で言うガチャを回す資金を稼ぐ為にはレベルを上げるのが効率良い。期待値を考えれば分かる」

 

「期待値の計算に死んでしまうリスクを入れてないだろう?死んでしまっては元も子もないと思うんだけどね」

 

「大丈夫だ。爆死には慣れている」

 

「いや、だから、肉体的に死んだらということを言っているんだけどね」

 

「俺にとって精神的な死は肉体的な死と同義だ。そしてレベルを上げないと精神的な死は間違いなく訪れる。それにガチャで死ねるなら本望だ」

 

「君の能力開発がレベル3になってから上手く進んでないのは知っているよ。でも、今までが順調過ぎただけでこれからじっくりと能力を上げていけば良いと思うね」

 

「それは非効率的だ。一刻も早くレベル4にならないと生涯年収、つまりガチャ用の資金の総量が減る」

 

「君は頑固だね。でも医者として自ら死に向かっていく患者を放ってはおけない。君はこの病院で暮らしてはどうかね」

 

「いや、バイトと能力開発があるから無理だ。原石ガチャも探したい。病院との関係は現状のままで良い」

 

「勝手に病室を陣取って倒れるのかい?病院にとって迷惑なんだけど」

 

「分かった。時間を決める。6の倍数の時間にこの場所で能力ガチャをするから後はよろしく」

 

「確かに今までの回数よりはマシだけどそういう問題ではないよ」

 

「研究所や他の場所で倒れてここに運ばれるのはカウントしないから病院の世話になる回数は増える」

 

「今より酷くなるのかい?!」

 

「じゃあ、そういうことで。あ、18時だから早速ガチャする」

 

「えっ、さっき起きたばっかり……」

 

これでもっとガチャを回せるようになると蛙顔の医者に感謝しながら、俺は能力ガチャを回した。あ、今回も外れだな、ついでに両腕も外れたなと思いながら、俺は吐血し、気絶した。

 

 

 

 

 

目を開くと夜だった。

まだ、夜のガチャの時間では無い。

小遣い稼ぎに行くか。

俺は外へ出て、研究所に向かい、初めて殺しの仕事をもらった。そして、銃と標的の写真を渡された。

さらに、ヘルメットの形をした便利な小道具をもらった。

脳波を制御することで気絶から強制的に目を覚ませるらしい。

以前、薬によって似たようなことを行おうとした時は、失敗したので本当に役に立つかと問い詰めた所、効果は検証済みだと研究者は言った。

その後、気絶を防ぐのではなく気絶から復帰するのに重点をおいたところ大成功だった、脳に負担が掛かるせいか数日で死んでしまう、これであの計画に嫌がらせしつつ成果の微妙な金喰い虫には死んでもらえて一石二鳥だ、などのどうでも良いことを長々と語り始めたのでその場を立ち去った。

効果が本当ならば、能力発動による気絶から即座に意識を回復出来ることになる。

つまり、今まで以上に能力ガチャを回せることになる。

こんな便利なものがあるならさっさと渡せ。

 

最近の研究所は資金不足だったり、レベル6か何か知らないが最強を作り出す研究からあぶれたりと活力が無かったが、この研究の成果なのか今夜はやけに羽振りが良かった。

そんなに、金があるなら、俺にも分けてくれよ。

 

指定時間に指定場所へと標的が来るらしい。

人がまったく通らない場所だなと思いながら指定場所に着くと、ゴーグルのようなものを着けた茶髪の女子が居た。

写真とは異なるが誰だ?

女装趣味なのかも知れない。

そう思っていると茶髪が口を開いた。

 

「あなたは実験の関係者ではありませんね、すぐに立ち去るべきです、とミサカは警告します」

 

「それは無理。むしろ、お前が立ち去るべき。俺はここに来る白髪の人に用があるのだが、お前実は白髪だったりしない?」

 

「これは、地毛ですとミサカは不満を口にします。実験の関係者ですか、そんな連絡は聞いていませんとミサカは疑います」

 

「俺もお前のことを聞いていない。お前は誰だ?」

 

「ミサカは……」

 

「なんですかぁ?屠殺に来たと……」

 

「あ、待ち人来たり、こんにちは」

 

「はっ?」

 

写真で確認した人が来た。

挨拶と同時に能力ガチャを回し、銃撃する。

凄く痛い。

頭痛もキツいし、手足も外れかけているが、それだけではない。

腹が撃たれていた。

周囲を見ても俺以外銃を持っていない。

暴発したのか?

それとも二人のうちのどちらかが早撃ちの達人なのか?

ガチャ結果も良くなさそうだ。

とにかくガチャを続ける。

 

「逢い引き見せられたり、勝手に死んだりと俺は何を見せられてるんですかねえ、ええ、説明しろよ!」

 

「連絡が取れました、その人は計画の妨害を行う研究所から来た刺客のようなので排除します、とミサカは報告します」

 

「ちっ、なら、さっさと排除しろ」

 

同じ顔の少女が複数現れた。

俺はガチャを回し続けている。

あっ、手足が完全に外れた。

俺の体は少女達に抱え上げられた。

うわ、内蔵が落ちてる。

あっ、首も外れたと思った瞬間に視界が暗くなった。

 

 

 

 

 

その日、ゴミ捨て場にゴミがまた少し増えた。

いつものことである。

ただ、いつもと違うのは、そのゴミが一瞬だけ光ったことだ。その光は華美絢爛な服の形をしていた。

 

 

 

 

 

俺は目を覚ました。

周りはゴミだらけ。ここは、ゴミ捨て場のようだ。

流石に死んだと思ったんだけど、何が起きたんだろう。

ヘルメットは無くなっている。

便利だったのに残念。

体の節々で激痛が続いている。

何が原因なのだろう。

 

研究所に戻るとそこは更地になっていた。

どうしよう。

病院はあったので、いつもの病室に入った。

時計を見ると24時、ガチャの時間だ。

ナースコールして、能力を発動する。

また外れか。

ついでに四肢も外れた。

まあ、いいか。疲れた。

これからのことは、目が覚めてから考えよう。

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