幻の原石ガチャを求めて 作:実質無課金
朝ガチャ後、昨日聞いた場所に出掛ける。
今回は表通りに建物があるから楽に辿り着いた。
着いた場所は病院だった。
もちろん住んでいる病院とは違う病院だ。
案内所で決められた言葉を言うとすぐに中に通された。
その後、医者から飲むとレベルアップ出来るらしい薬の試作品を大量に渡された。
全部服用して、何かの端末を体内に埋め込んだら、金をもらった。
「これで終わり?」
「ああ、それが欲しくなったらまた来ると良い」
「分かった」
病院に帰っている途中で一瞬視界が真っ白になって住んでいる病院に運ばれていた。
感覚的には特に何も変わっていない。
本当に効果はあるのだろうか。
昼ガチャをした後、また別の場所に行った。
昨日の情報第二段だ。
着いた場所は動物園だった。
合言葉を言うと中に通された後、目的地まで移動することになった。
動物と触れ合ったり、餌をあげたりする仕事らしい。
目的地にはたくさんの子供達が居た。
俺が入ってからしばらくすると入り口が閉ざされた。
そして、壁が動き、キメラみたいな変な動物が現れた。
それを見た他の子供達の大半が恐怖と苦痛の表情を浮かべながら自分の首を絞め始めた。
何やってるんだろう?
説明が欲しい。
とりあえず首を絞めるふりをするか。
いや、それだと苦痛の表情が足りない。
演技に自信は無いので能力ガチャを回して苦痛を追加する。
郷に入りては郷に従えの精神だ。
ちなみに、恐怖の表情はありとあらゆるガチャが無くなった世界を想像するだけでいいから楽だ。
首を絞めていた子供達が倒れ始めた。
倒れた先からキメラに取り込まれていく。
俺も倒れた方が良いの?
車椅子から降りて地面に寝転がる。
能力ガチャによる痛みのおかげで上手く演技できた。
というより、さっきから自発的に能力を止めることが出来ない
キメラが俺にも触手を伸ばしてきた。
引きづりこまれた。
と思ったら離された。
キメラが後退りしながら、俺から離れていく。
鬼ごっこかな?
離れてしまうと触れ合えないんだけど。
仕事をこなすためにキメラに近付いていくと、後退し続けていたキメラが壁にぶつかった。
そして、壁に頭を打ち付け始めた。
肉片が飛び散る。
何やってるの?
入り口が開き、銃を持った大人達が慌てながら入ってきた。
危ない、伏せよう。
大人達は麻酔か何かを打ち込んでいる。
しかし、それに反応したキメラが暴れまわり、立っている人すべてを蹴り飛ばした後、入り口から猛ダッシュで出ていった。
昨日会った人もキメラに潰されて死んでいた。
そういえば、前金を貰っていないから、金目の物は貰っておこう。
まだ生きている施設の人に成功報酬は何かと訊くが、助けてくれとしか言わなかった。
つまり、報酬は言い値で構わないということかな?
それなら、この場にある価値の有りそうなものを全部もらおう。
でも、一々拾っていると体力が持たない。
生き残った数人の子供達が近付いてきた。
こういう時に舐められると分け前が減るから偉そうにしておくに限る。
「あ、あの……」
「分け前か?仕方ない。敷地内を手分けして拾え。後で換金して、頭数で割る」
「そ、そうじゃなくて……」
「いいから早く拾え!俺はここで侵入者が来ないか監視する。サボるなよ」
「わ、分かったよ」
よし、これで楽が出来る。
俺は車椅子に座ってゲームと能力両方のガチャを回しながら待った。
何かしていないと意識が飛びそうだ。
そのうえ、何かが足りないと体が訴えているかのように手足の震えが止まらない。
まあ、ガチャしていると無視できるけど。
しばらくして子供達が拾った物を手に集まってくる。
ほかの実験動物達も脱走して暴れまわっていたらしく、園内の人は全滅していたらしい。
それは幸運だな。
「今から換金に行く。付いて来い」
「でも……」
「何よりも早さが大事なんだ。細かいことは後にしてくれ」
口座をロックされる前に動かないといけないから、そういう情報は鮮度が命だ。
俺は昨日聞いた最後の物件に訪れた。
質屋と情報屋を併せた店だ。
子供がゾロゾロ入ってきたことに文句を言いながら換金してもらった。
足元を見られて、貴金属以外は二束三文だった。
仕方ない。無いよりマシだ。
得られた金は一部着服し、後は人数で割った。
得られた金額は労力に見合っていない。
その分は、子供達に出世払いで返してもらおう。
多分全員死んでるだろうけど。
今度会ったらなにか奢れよと恩を強調しつつ、オバサンの所を紹介した。
後は自分達で頑張ってくれ。
子供達から離れ、ゲームに課金した後、俺は表通りで意識を失った。
目が覚めるといつもの病室だった。
散歩に繰り出すと浮浪者とエンカウントして、金を出せと脅された。
多分、質屋が情報を売ったのだろう。
常用される手口だ。
お手製の腹巻きを見せると逃げていった。
さらに移動しているとスーツを着たスカウト達に囲まれた。
無理矢理移動させられた後、腹巻きを奪われ、金を出せと脅された。
嫌な二段構えだ。
ボコボコにされたが、無い袖は振れない。
全部ガチャに溶かした。
そう言ったら呆れた顔をされた。
車椅子を取られそうになったため、スピーカーの電源を入れた。
ガラスを引っ掻いたようなとても不快な音が大音量で響き渡る。
付近の人々が何事かと顔を覗かせる。
スカウト達は逃げ出した。
なんで逃げ出したのだろうと周囲を見回すと筋肉がはち切れそうになっている全身黒タイツの集団がやってきた。
あの服装に何か特別な効果や思い入れがあるのだろうか。
黒タイツの集団は、無言のまま俺と車椅子を殴ってきた。
ヤバい、ガチャしないと。
車椅子は壊され、俺の手足を吹き飛ばしされた。
俺を焼きごてで止血した後、集団は去っていった。
何だったんだ?あの集団は。
花火を打つくらいしか出来なかった。
レベル3なのに普通の人に負けすぎだろう。
その後、見るからに栄養失調な亡者達が、車椅子に近付いてきた。
車椅子は部品1つ残らず剥ぎ取られた。
車椅子のローンも払ってないのに。
あ、やめろ。蹴るな。
俺はサッカーボールではない。
ずっと能力ガチャを続けているが、当たりが出ない。
正確には、何故か能力ガチャを止められない。
それに、何故か今朝の薬ばかり頭に浮かんでくる。
別に美味しい薬でもないのに何でだろう?
そんなことを思っていたら当たりが来た。
意識はギリギリだが保てている。
もしかしてレベルアップする薬の効果は本物だった?
「私は、ニコラ・テスラ。天才だ」
「誰?いや、誰でもいいからゴミ掃除を……」
亡者達に頭を踏まれて意識が落ちた。
そして、周囲は光と爆音に包まれた。
目が覚めるとオゾン臭と焼肉の匂いが漂っていた。
周囲には黒焦げのゴミが散乱している。
とりあえずゴミの中から回収できるだけ車椅子の部品を回収するか。
これでローンの金額減らしてくれるといいけど。
一旦立とうとしたが、体の節々が痛すぎて立つことすら出来ない。
あれ、そもそも吹き飛ばされていたはずの手足が何故くっついているんだろう。
まあ、いいか。
這いながら拾っていると足音が聞こえた。
また敵か?
何段構えで貧乏人から集金しようとしているんだよ。
その労力をもっと生産的なことに使えよ。
俺が身構えていると茶髪の少女が現れた。
「ジャッジメントですの。ってなにが起きたんですの……」
俺は少女をじっと見た。
何か思い出せそうだ。
こいつはたしか、俺らの界隈では、非合法なことをする時に注意すべき人物として少し有名な奴で、なおかつ俺の興味を引くような何かがあったはず。
写真を見せられた時、何の説明を受けたか思い出せ。
何か羨ましいとか便利とか思ったな。
となると能力か?
あ、思い出した!
「へい、タクシー。急患だ、病院まで頼む」
殴られた。