幻の原石ガチャを求めて   作:実質無課金

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俺は今、海に浮かんでいた。

 

組織の金庫が無くなっていたことがきっかけだった。

俺はいくつもの組織に潜入してきたが、それらの組織でもいつも起きていたことなので、こういう組織ではそれが常識なのだと気にもかけなかった。

いつもと違うのは、今回の組織では冤罪を被せられたことだ。

俺は金庫の存在すら知らなかったのにその金を奪ったと言われた。

犯人が見つからないと面子が丸潰れだから見せしめがほしくて、処理しても組織に影響の無い新入りに責任を押し付けたのだろうが、こちらにとっては良い迷惑だ。

 

多人数に拘束され、ドラム缶の中でコンクリート詰めにされたことまでは覚えている。

今、海に浮かんでいるから恐らく何処かの湾に沈められたのだろう。

 

研究員に聞いた俺の暴走時の能力は、石を砕く能力だ。

コンクリートは石ではないと思うが、今、俺が海に沈んでないことから考えると、俺の暴走時の能力的には、コンクリートも固くなるから石の範疇に入るらしい。

おそらく、暴走し過ぎると骨も石判定になる。

我ながら頭悪いなぁと思うが、そのおかげで命が助かったことを考えると複雑な心境だ。

 

拘束された時に持ち物を全部奪われため、端末が手元に無く、ガチャが出来ない。

ガチャしたいなぁ。

 

それにしても何で目を付けられたのだろう。

魚介類がしっかり砂を吐き出してくれるので料理の度に能力を暴走させていたら、うっかり幹部の着けていた宝石を砕いてしまったせいだろうか。

それともガチャを回すのに集中していてろくに話を聞いていなかったせいなのだろうか。

 

骨折していて動けないのでぼーっとしていると学園都市のヘリが現れた。

空中から端末が落ちてきたのでガチャをする。

ついでにメールを確認すると、定期的に体内へ埋め込められている発信器によって場所が分かったと書かれていた。

24時間医者が見守ってくれているとは心強い。

 

ガチャで能力を落ち着かせた後、海から引き上げられた。

以前に2次被害をもたらしたこともあり、俺の能力暴走時の対応はマニュアル化されている。

座席代わりに新しい車椅子も用意されていた。

帰りに上空から港を見るとボロボロになっていた。

何が起きたのだろう。

 

 

 

 

 

俺の次の仕事は学園都市内の見回りだった。

怪しい人がいれば注意したり、通報したりすればいいらしい。

そこそこ手を抜いて仕事しようと思っていたが、初日から不審者を見つけてしまった。

ものすごい不良っぽいし、自称14歳にしては背が高過ぎる。

それに、日本語は流暢なのに何故か言葉に違和感がある。

14歳特有の病気なのかな。

 

怪しすぎたので同行を促すと拒否されてどこかに行こうとする。ますます怪しい。

通り道を塞ぐと車椅子ごと突き飛ばされたので防犯ブザーを鳴らすと同時に通報した。

 

不審者は俺を睨み付け、邪魔をするな、3000℃の炎に包まれたいか、などと言いつつ、火を出した。

3000℃という数字に14歳らしさを感じる。

それにしても、発火能力者か。

レベルは3かな、もしかしたら4かもしれない。

一般人の市街地での超能力の使用は禁じられていることを指摘すると俺は超能力者では無いと言いつつ、攻撃してきた。

俺は、病院(蛙顔の居ない方)からもらったお薬を口にいれて能力を暴走させた。

すると俺を中心に広範囲に渡って道路が壊れ、建物が崩れた。

コンクリートを石ころと思い込んでいる頭悪い子でごめんなさい。

足元が崩れたことで炎の狙いが逸れた。

 

超能力者では無いと言ったか。

それはそうだろう。

超能力者(レベル5)ならこの程度の妨害は妨害にならず、俺は今頃コンガリ焼かれていただろうからな。

 

薬の効果は一瞬で切れた。

薬の名前に晶なんて字がついているせいだ。

俺の暴走時の能力によって砕かれてしまう。

だから、ほかの人よりこの薬で暴走できる時間が短くなり、より大量に薬が必要になってしまった。

利点としては体内に入った傍から砕かれるせいであまり中毒症状が起きないことが挙げられる。

また、抜け道として、インシュリンの製造法のように、薬を生み出す細菌を体内に入れる方法が考えられている。

細菌が死なない限り、ずっと薬の効果を発動し続けられて便利なので研究中である。

 

俺が衝撃で車椅子から投げ出されないように掴まっている間に不審者は何かを設置して呪文を唱えた。

14歳らしいイタイタしい呪文だ。

これこそあの病気の特徴かと感心していると炎の巨人が現れた。

わざわざ炎に人の形を取らせるなんて効率悪いなぁ。

俺は少し高価な容器に入ったお薬を舐めた。

能力を暴走させると周囲の石認定のものを砕く。

未使用のお薬まで砕いてしまうので、特別な容器に入れておく必要があるのだ。

俺が能力を暴走させると炎の巨人が消えた。

どうやって消したのか分からないが、消えたから良しとする。

 

「それじゃあ、同行して……」

 

「何をしているのですか」

 

驚愕している不審者に同行を要求していると、新たな不審者が現れた。

本物か偽物かは分からないが、刀を持った奇抜なファッションの不審者だ。

署まで同行願ったが拒否された。

だが、俺も金蔓である不審者を見逃す訳にはいけない。

しょっぴいた点数によってお小遣いが貰えるのだ。

強引に連れて行こうとすると刀を差し出された。

お、賄賂か?いいぞ。

この刀を質屋で売ったらいくらになるかなぁ。

刀を掴もうとしたら引っ込められた。

 

「え?賄賂じゃないの?」

 

「なぜ私がそのようなことをしなければならないのですか」

 

バカな。俺を騙したのか。

期待させといて、取り上げるとはこの悪女め。

絶対逃がすものか。

 

「では連行します」

 

「出来るものなら」

 

俺は切り札の防犯ブザーを鳴らそうとして既に鳴っていることに気付いた。

そういえば鳴らしていたな。

え、なんで警備員が来ないの?

 

「人払いをしているので待っても誰も来ませんよ」

 

不審者は疑問に答えてくれたが、マズイ状況に変わりはない。

だが、ここまで同行を渋るということは、疚しいことをしているということだ。つまり、ポイントが高いに違いない。ますます金蔓に見えてきた。

俺はお薬を舐めようとした。

 

「弱いものいじめは好きではありませんが……」

 

俺が動いた瞬間、刀が振られた。

届くはずの無い距離で余裕かましていたら、車椅子が犠牲になり、オプションの非常用脱出装置が働いて俺は後方へと投げ出された。

俺はお薬を舐めたが、何も起こらなかった。

良くあることだが、この場面で能力不発はマズイ。

 

「降参する。車椅子が壊れたから俺を署まで運んでくれないか」

 

俺は両手を上げた。

能力は使えないし、車椅子も壊れたなら、どうしようもない。

 

「手段を選ばず、私達を署まで連行しようとするその熱意には呆れを通り越して感心しますが、拒否します」

 

俺を残して金蔓達は去って行った。

チクショウ、俺に力が有れば二人を止められたのに。

俺は車椅子の残骸を漁り、ドライブレコーダーを探しだした。

さきほどの映像がポイントになればいいなぁ。

 

 

 

 

いつのまにか人通りが戻ってくる。

いや、相変わらず人は通らないが、お掃除ロボットが近づいてきた。

お掃除ロボットが地面に倒れている俺をお掃除しようと頑張っている。

痛っ、痛い、痛い。

俺はゴミだけどゴミではないから引っ張るな。

最終的に、ゴミ捨て場に運ばれている途中で救助された。

救助された後、俺の口座を見るが、預金は0のままだった。

そういえばガチャで溶かしていたのだった。

初めから残高0なら能力暴走させても俺の懐は痛まない。

使いきっていて良かった。

 

 

 

 

 

その後、金の無心をする不良神父と女教皇の姿が見られたとか。

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