ゴッド★ロックシューター   作:榊 樹

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第1話:ブラック★ロックシューター

ブラック★ロックシューターというゲームをしていた。

 

ラスボス手前のスキル?武器?を解放させる為の強キャラがバグかなんかで出現しなかったので、ありとあらゆる敵を倒したり、クエストをクリアしたりしたが、結局出なかった。

 

仕方無く、初めからやり直して徹底的にクリアして来たが、結局現れることは無かった。もう面倒臭くなったので電源を切ると同時に視界が暗転した。

 

 

 

 

次に目が覚めると一面何も無いだだっ広い荒地が広がっていた。空には大きくて丸く白い月が世界を照らしていた。

 

 

わぁ、綺麗・・・・・・じゃねぇよ。何処だここ?

 

 

どうやらしゃがんで居たようなので、取り敢えず立とうと手を地面に突く為に下を見れば、今までの男のようにゴツイ脚ではなく、少女のような華奢で白い生足があった。序でに左手にはゴツくて、大きくて、黒光りする太い棒が。

 

 

ん?あれ?俺、男だよな?

 

 

今は左手に持っているものは地面に突き刺して後回しにし、立ち上がって自分の記憶を探りつつ、身体を確認する。

 

まず、性別は元は男だが今は女になっていた。そして、黒髪を右側が短く左側が長い、左右非対称のツインテールにしている。長くても腰くらいかな?肌は雪のように白く、健康そうには見えない。

 

 

服装は上はビキニのようなものと裾がコートのように長い前開きの黒いパーカーを羽織っている。パーカーの背中と左胸には白い星マークがあり、袖には白のラインが走ってる。

 

下は黒いホットパンツに白いベルト、黒のロングブーツを着用している。あぁ、それと両手には黒い手袋をしてる。生憎、容姿に関しては鏡のようなものが無いので確認出来ないが、大体見当は付いた。

 

 

ふむ、と自分の状態を確認した後に突き刺した物に目を向ける。自身の身の丈程もある余程の事が無ければ壊れる事なんて無いだろうと思わせるような機関砲。

 

凄く・・・大きいです・・・。

 

 

これを俺は何か知ってる。というか、さっきまでこれを振り回して敵を爆発四散させまくっていた。ゲームの中だけど。

 

“★Rock Cannon”、これがこの機関砲の名前で合ってると思う。

 

 

と、まぁここまでダラダラと確認して来たが、さっさと結論から述べよう。俺、ブラック★ロックシューターのゲームの主人公のステラになってました。

 

 

イヤッホォォォイ!!!

 

 

 

 

自分では無くなった事に発狂しそうだったが狂喜乱舞する事で回避した。あれ?これ結局、狂ってね?ま、いいか。

 

落ち着いてから冷静に思考してみた。って、寒いな。今までそこまで気が回せ無かったけど、冷静になるとかなり寒いぞ。肌も寒さで少し痛い。

 

まぁ、今は置いておこう。でだ、話を戻すが俺は今ステラになっている。多分、憑依とかそんな所だと思う。

 

 

もうこの際、ステラになった事はいいよ。美少女で可愛いしな。

 

ただ、問題なのはこの世界だ。多分、ステラに憑依した事からここはゲームの方のブラック★ロックシューターの世界の可能性が高い。周囲を見た限り、アニメ版の裏の世界?という可能性は限りなく低い。

 

そして、ゲーム通りの展開だと何が問題かって言うと、ステラが目覚めた時には既に人類が殆ど滅亡しちゃってんだよね。序でに言うと、目覚めた時に周囲は町の中で地球最後の人間達が戦ってる。

 

最終的にこの人達も死んじゃうけどな。だが現状は周囲に人どころか建物すらない。

 

何が言いたいかと言うと、下手したらステラが一人ぼっちになった所で俺が憑依した、とかの可能性がある訳だ。

 

 

・・・ふっ、どないせぇっちゅうねん。

 

 

あと気になる所は侵略しに来た宇宙人を倒したかどうかなんだが、今の所は判断が付け難いんだよな。一面見渡しても本当に何も無くて、地平線が続いているだけなんだよな。不安しかないです。

 

 

そんな訳で宇宙人の有無は後回しで今は・・・食料調達か?いや、情報収集が先か?うーん・・・よし、どっちにしろ歩いて建物とかを見つよう。自然とかでも可。

 

 

360度、同じような景色なので、“★Rock Cannon”を引き抜いて適当に立てて倒れた方に行く事にする。

 

さぁ、はじめの一歩を踏み出そう、とした瞬間に周囲の惨劇を漸く認識した。

 

荒地である事は変わりないが俺の周辺は至る所に穴が空いていたり、地面が割れてたりした。狂喜乱舞した結果である。

 

 

あ、これは俺の身体能力が確実に上昇してますね。さっき“★Rock Cannon”を持った時に鉄の塊にしてはやけに軽いなと思ったが、身体能力も原作と同じくらいになってると考えるべきだな。

 

そこは良かったと喜んでも良い所だろう。武器があるといっても流石にそれだけだと心許なさ過ぎるからな。

 

そんな訳で、先に自分のスペック確認の為に全力で走ってみますか。

 

 

 

 

ざっと身体能力を確認してみたんだが、あれだな。

 

走った後に砂煙が舞ったり、踏み込みで地面が凹むのって、なんか興奮するな。つい、瞬歩とかしてしまった。まぁ、気持ちの問題であって全く一瞬ではないんですけどね。

 

検証の結果としては、先の仮定は殆ど正しいで合ってると思う。武器は軽々振り回せるし、息切れも中々起こらない。軽くジャンプしただけで数メートルは飛べる。本気で飛んだらかなり高く飛んで、バランス崩して頭から落ちた。まさか荒地で犬神家をする事になるとは思わなかったよ。軽傷で済んで本当に良かった。

 

後、身体能力か分からんが、平衡感覚やら身体を思い通りに動かす能力とかも強化されてた。

 

その例として、アニメとかでよくあるバク転しながら攻撃回避するという、無駄に洗練された無駄の無い無駄な動きをやってみた。

 

すると、まぁ回る回る。何回やっても平衡感覚を失わなくて、フィギュアスケートの選手ってこんな感覚なんだなぁと思った。

 

 

やり過ぎて放置してた“★Rock Cannon”を見失った時はマジで焦った。荒地だった事もあり、飛んだらすぐに見つかった。

 

 

“★Rock Cannon”を回収して思った事があった。武器を手放した状態でやっても何も意味無くね?と。そんな訳で“★Rock Cannon”を片手に持ったままさっきと同じような動きを一通りやった。

 

まぁ、重さに関しては考えなくていいようなものだから、粗方全部問題無くできた。強いて言えば、バク転とかで偶に引っかかる程度だけど、それもそのうち慣れるだろう。

 

 

以上が経過報告。

 

さぁ!地平線の彼方へと再び歩き始めよう!

 

 

 

 

 

日が登り始めた。

未だに周囲は荒地しかない。

その事に少し、疑問を持つ。

 

仮に宇宙人が侵略中だろうと、宇宙人を倒した後だろうと人間の文明(ビル等の建物)が消えると思えない。

 

最後にあったエンディング後のafterstory?は多分、南極か北極だから参考にはならないけど、ここまで綺麗に建物が無くなるとは思えない。

 

単純にそういう地域に居るって言う可能性が今の所濃厚。仮にそうだったとして、何の為にこんな所に居たのかはよく分からんがな。

 

 

なんて考察をしながら、刀を片手でブンブン振り回しながら、早朝の荒地を歩いていく。

 

ん?その刀はどうしたって?ゲームとかアニメで“★Rock Cannon”が変形、と言うよりも変態だな。いや、変換か?変換しているから、出来るかなぁと思って心の中で刀になれ、とか念じてみたらなんか出来た。

 

そんなに大雑把でいいのか未来の技術、と思うものの便利だからいいかと考える事を止めた。

 

 

他の武器に成れないかなぁ、とか思ってマシンガンやらスナイプやら念じてみたが、無理だった。でも、“★Rock Cannon”をランス?みたいなのに変形する事は出来た。今の所、初期装備しか出来ないって事だな。因みに、この武器変換は触れてないと駄目みたい。

 

後、変換だけじゃなくて、仕舞う事も出来る。つまり、何も持たない状態の事。この状態なら武器に触れてなくても問題無く変換できた。

 

刀、名前は確かイクサ・ブレードだった筈。いや、これスキルの名前か?・・・面倒だから、イクサ・ブレードって名前でいいや。

 

イクサ・ブレードを仕舞わずにブンブン振り回してる理由は単純に何か左手が物足りないなぁと感じたから。

 

“★Rock Cannon”では、純粋に邪魔なのでイクサ・ブレードにしたってこと。この呼び方も面倒だな。もう刀でいいや。

 

 

 

 

日が完全に登って、今は太陽が上の方にある。大体、昼くらいだろう。気温は夜に比べればマシだが、相変わらず寒い。時間の流れがあっちと同じか分からないから、正しいとも言えないがだからと言って特に問題は無いな。

 

 

昨夜から不眠不休で移動し続けているが未だに何の収穫も無し。身体的には何も問題は無いが、精神面でかなり疲労してきた。

 

この身体が幾ら凄かろうが、所詮は人間の身体。走り続けると体に負担が掛かるだろうから、こうやってある程度のインターバルを適当に設けてる。

 

でも、超人的なパワーを手に入れても元は平和ボケした日本人だからな。変わらない景色をただただ歩き続けるのは流石に堪える。

 

 

そんな訳で、一旦休息を取る事にした。

 

刀を収納して、横になる。いっその事寝てもいいかもしれない。きちんとした寝具があれば夜でもいいのだが、薄着の今は夜に寝るのはなんか危ない気がする。寒さ的な意味で。

 

だから、晴れで気温が少しはマシな今の内に寝ておくのがいいと思った。幸い、周囲に敵対生物はいなさそうだしな。

 

 

仰向けになり、空の雲の動きをボーッと眺めながら眠くなるのを待つ。太陽は上と言っても、真上ではないので心配する必要は無い。あっ、綿菓子みたいな雲。・・・どれも似たようなもんか。

 

 

 

眠気が少しずつ襲ってきた所である事を思い出した。

 

そう言えば、ここがゲーム版の世界線なら、あの三輪バイクがあるかもしれないな。

 

名前は確か・・・フェンリルだったか?

 

最高時速が360くらいだった筈だから、移動手段には持ってこいなんだけど・・・はぁ、無い物ねだりしても仕方無いか。

 

 

閃いたと同時に落胆して、眠気に身を任せて眠りに着いた。

 

 

 

 

目が覚めた。

視界に広がる夜空。

昨夜のような丸くて大きい月。

そして視界の隅に映るトライク。

 

 

・・・・・・トライク!?

 

 

夜空を少しの間だけ堪能していたが、右端に何か映ったので少し顔を横にずらすと三輪バイクとも呼ばれるトライクがあった。

 

予想してなく、無理だと思ったものがあり、驚いて飛び起きた。そして、想定していなかった故に、身の危険と不気味さを感じた。同時に低い姿勢のままトライクとは逆の方向に飛び退き、地面スレスレを飛んで落下し始めた所で飛距離を伸ばす為に左手を地面に付けて身体を押し上げる。

 

更に浮かんだ身体を捻りながら進行方向とは逆の向きに体の正面を持ってきながら“★Rock Cannon”を呼び出して、着地と同時に地面を滑りながらも対象に照準を合わせる。

 

 

身体が止まってから、銃口をトライクに向けたまま対象を観察する。

 

動く様子は無い。誰か乗っている訳でもなく、周囲に気を配ったが気配はしない。一応、空もちらっと確認したが、夜空が広がるだけだった。

 

今の俺の動きカッコよくね?という自己陶酔に浸りながらも、問題は無さそうなので、“★Rock Cannon”を小回りが利く刀に変換してゆっくりと近付く。

 

 

夜だから分かりにくいが、月明かりに照らされて色もある程度なら見分けられる。

 

まず、これはトライクだ。

二輪では無く、三輪のバイク。

色は黒が目立ち、所々に白の線が入った、全体的に刺々しい印象を受ける。

 

俺が欲しいと思っていたブラックトライクだ。

 

何故ここに?という疑問が湧いてくる。これは元々、ステラの専用装備という訳では無い。

 

結局は専用装備のようになってしまったが、元々はPSSの隊員が普通のトライクを改造しまくって常人では扱えなくなった代物だ。

 

周囲を見渡してみるがやはり人の影は無い。そもそもこのトライク、走行中は無音と言う訳では無いから、ここまで近付かれたら普通は音で気付く筈だ。

 

寝て起きたら、気付かぬ間にそこに欲しいものがあった。・・・そうか、サンタさんか。今が寒さ的に冬ならその可能性も無くは無い。

 

いや、ある訳無ぇだろ。なんだサンタさんって。こんな世紀末な世界線にいる訳ねぇだろ。居たとしても死神が精々だよ。

 

 

ボケるのもこの辺にして真面目に考えてみる。

 

音がしなかったから、誰かが乗ってきたと言う可能性は限り無く0に近い。なら、今考えられる中で一番可能性が高そうなのは・・・。

 

 

少し気になる事が出来たので、トライクに触れて戻れ、と念じてみる。すると、トライクは青い光を放ちながらその場から消えた。更にトライク、と念じてみると目の前で青い光を放ちながらトライクが現れた。

 

 

・・・まさか、ブラックトライクまで初期装備の中に入っているとはな。何を基準にしてこんな初期装備になったのか、もう分かんねぇよ。

 

 




武器の名前は基本的にゲームの方を優先します。
主人公はアニメは見たものの、ただ見ただけで調べてないのでアニメ版の武器の名前などはよく知りません。
なので、スキルの名前が武器の名前になる、なんて事があります。

憑依した身体の身体能力等はアニメ版の方が参考にしやすかったのでそちらを参考にしています。


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