ロリコン「エリック!!」
シスコン「上か!」
エリックが華麗に逝った。
誰かに聞いた訳では無く、なんとなくそんな感じがして、何処か暗い雰囲気のソーマを見て確信した。と言っても感傷に浸るかと思えばそうでもなく、「あ、やっぱりか」程度にしか思わなかった。
一応、ソーマ達が新人と任務に行くって言うから、密かに目星を付けていた場所に先回りし、クエストクリア出来ないが死ぬよりはマシと考えて周辺のオウガテイルを全滅させたが、それでも上田さんの運命から逃れる事は出来なかったらしい。
やはり、そういった運命力みたいなものが働いていたりするのだろうか?
「・・・そこの所、どうなの?」
〔は?・・・・・・って、今それどころじゃないだろ!?〕
質問を応えられずに怒鳴られたなう。
〔うぉお!!飛び込んで来たぞ!!〕
「よし来たー」
走っていた脚を止めて、振り返りながら拳を構える。飛び掛かって来た無数の眼が着いた顔に向けて思いっ切り振り抜いたら、一切の拮抗無しに押し潰された。
因みにロンはシレッと換装を利用して、少した後に離れた所に出現するという器用な避難の仕方で難を逃れていた。おい、右腕として仕事しろ。
〔おいぃぃ!?ちょ、おまっ!もっとやりようがあったろうが!馬鹿かお前!どう見ても無理だろアホ!!〕
「ふんッッ・・・ぬッッ!!」
〔おぉ・・・無事だったか〕
自身の数十・・・下手したら百倍以上はある巨体を垂直蹴りで蹴り上げる。蹴った位置的に若干向こうに飛んだのでそのまま所々
トライクを足場に、落下している蹴り上げた物体(と言っても浮かんだのは数メートルくらい)の腹に飛び乗り、フロントカウルを突き刺して、外れないように捻る。
「■■■■■■■■■!!!」
見事にひっくり返った巨体が重低音の咆哮で空間を震わせ、ジタバタと暴れるがその
「■■■!!■■■■■■!!!!■■■■ッ!!」
威嚇のような声が突如として悲鳴のように変わる。それに気を良くしたのか、ロンが嬉々とした様子で声援を送って来た。
〔おお!効いてるぞ!そこだそこ!もっとぶち込んでやれ!〕
「あ、弾切れ」
〔アホォ!!〕
仕方無いので飛び退くと同時に無駄に多い手足を回転斬りの要領で2、3本斬り落としておく。更に最高点に達したと同時に体を仰け反らせて、顔面に向けてフロントカウルを全力投擲。イメージは潔癖兵長。
無数に眼がある顔面に一直線に向かって行き、見事サクッと突き刺さった。本来ならもう一本で単純計算して二倍のダメージを与えられた、と考えるとやはり、どうしても右腕が無いのが悔やまれる。
「■■■■■■ッッ!!!」
馬鹿みたいにデカいのに相変わらずのマシュマロボディに安堵しつつも“★Rock Cannon”を呼び出してフロントカウルの柄に向けて撃ちまくる。
あっちに転がったりこっちに転がったりとのたうち回っているので全く当たりそうに無い。しかし、外れたとしても巨体に当たり、脆い装甲を次々に剥がすので特に気にせずガンガンぶっ放す。
「・・・・・・ふぅ」
“★Rock Cannon”を撃ち尽くすのと同時に柄に当たり、顔面部分が見事に吹き飛んだ。その衝撃で仰け反ったかと思うと、そのまま逆再生のように身体を地面に沈ませた。
“★Rock Cannon”を仕舞い、その巨体━━━━ウロヴォロスに近付く俺を戦闘が終わったと認識したのか、注意深く警戒しながらロンが近寄ってくる。
〔・・・・・・やったか?〕
「あ、馬鹿」
〔あ・・・〕
見事にやらかしてくれたロンに呼応するように突如として、無惨な姿となったウロヴォロスが動き出す。顔が無いので叫び声は上げれないが、顔が無くなったアリのように無差別に暴れ出した。
〔・・・じゃ、そういう事で〕
「ちょ、こら。逃げんな」
全て丸投げして換装で俺の中に逃げるロン。呼び戻そうにもウロヴォロスが残った触手をビタンビタン振り回しているのでそんな余裕が無い。
後方へ跳んで逃げようとしたが余裕で奴の範囲内らしく、横から鞭のように触手が襲って来た。
「ぐっ・・・!」
紙装甲だが見た目通りの馬鹿みたいな攻撃力を誇る一撃を諸に喰らえば、幾ら強力な回復力と防御力を持っていても割と洒落にならないダメージとなる。
てか、体重は軽い方なので面白いくらい吹き飛んでしまった。
「あぅ・・・ぐっ・・・・・・!」
なんか昔に似たような事をトライクでしたなぁ、なんて思いつつもバウンドしていた身体を制御して、身体をウロヴォロスの方に向けて片手と両足でブレーキを掛ける。
ウロヴォロスはと言うと、顔が無いから俺の位置が分からないのか、それとも単純にそんな余裕が無いのか、その場でジタバタと暴れ回っている。
しかし、腐っても超弩級の巨体を持つウロヴォロスが暴れ回れば、正直笑えない事態になるのは火を見るより明らか。具体的に言うと周囲の一切合切が瓦礫と化し、おまけに局地的な地震が発生したでごさる。
「おっ・・・とと・・・ほっ・・・あ、やば」
地震程度なら今更屁でもないが、その余裕が仇となった。適当に無事な足場を見付けてはそこへ跳んでいると、次の着地地点の地面が裂けた。所謂、地割れだ。
今更どうしようも出来なくて、簡単に地割れに呑み込まれてしまう。跳ぶ事は出来ても飛ぶ事は出来ないし、足場にトライクを呼ぼうにもさっき出したままでまだ仕舞っていない。
まぁ、落ちたとしても登るのが大変ってだけでその程度でダメージは受けないだろうけどね。
登るの面倒だなぁ、と呑気に思いながら落下し掛けたその時、横からさっきの一撃と比べると物凄く軽い衝撃が襲って来た。
何事かと意識を向けてみると、どうやら横抱き・・・つまりはお姫様抱っこをされているみたいだ。と思った瞬間、「痛ッてぇ!?」という悲鳴が響くと同時に落とされた。扱い雑だな、おい。
しかし、割れてない地面に投げ出されたのは幸いだった。互いに予想外の事態にゴロゴロと転がり、それぞれにのっそりと起き上がる。
「嬢ちゃん、大丈夫か?」
少し離れた位置から話し掛けて来たのは生前、お供として滅茶苦茶お世話になった人であり、個人的に同じ武器も愛用した張本人。『雨宮リンドウ』その人だった。
「・・・・・・」
「ん?おーい!大丈夫かー?」
「!・・・うん、大丈夫」
「そうか、大丈夫なのか・・・」
突然の登場にボーッとしていて心配されたので、立ち上がりながら返事を返せば、なんか奇妙な物を見るような目をされた。
Do you kotoyanen.
「いやぁ、すまんすまん。カッチョ良く助けようとしたんだがこのザマだ。色々と聞きたい事があるが・・・そうだな。取り敢えず、アレをどうにかするか」
「どうにかって・・・どうするの?」
「・・・・・・どうしようかね」
視線の先には懲りずに暴れまくるウロヴォロス。見た感じ、未だに旧世代のリンドウではどうしようも無い。決死の覚悟で突撃すればなんとかなるだろうが、相手が瀕死の状態であそこへ突っ込むのは愚策だと素人でも分かる。
「・・・そう言えば、さっき遠距離攻撃をしていなかったか?」
「・・・全部使い切った」
「・・・そっか」
正確にはもう片方のフロントカウルが残っているが、トライクに付けたままなので今この場には無い。リンドウは着地を失敗した時に放り出した神機を回収しに行きながら「どうしたもんかな・・・」と悩み始めたので俺もキョロキョロと見渡すと無事なトライクを発見。
だが奇跡的に被害を受けていないだけで、普通にウロヴォロスの攻撃範囲内に入っている。無闇矢鱈に回収しに行って、要らん反撃を喰らうのもなんか嫌なので今は放置しておこう。
そんな時、
「・・・何か思い付いたの?」
「あぁ、俺はこういう頭を使うのが苦手だって思い出した」
「・・・・・・」
新しく火を付けた煙草を手に持って、ワッハハハと笑うリンドウに阿呆を見るような目になってしまう。つまりは解決策は無しということ。
まぁ、このまま暴れさせていても更地が荒地になるだけだから、問題無いと言えば問題無い。なので必然的に傍観という形になってしまった。
「・・・嬢ちゃん、どうせする事も無いんだ。ちょっと暇潰しに質問させてくれないか?」
「ん、いいよ」
煙草を吹かしながら、雰囲気を変えたリンドウがそう語り掛けてくる。別に疚しい事なら答えれ無いと言えば、その場は納得してくれるだろう。そうじゃなくても、あまりこの人に悪印象は抱かれたくないので素直に答える事にしよう。
「一先ず、自己紹介からだ。俺は『雨宮リンドウ』。見ての通りゴッドイーターだ。リンドウでいい」
「分かった。ステラ」
「そっか・・・んじゃ、単刀直入に聞くぞ。お前は人間の敵か?それとも味方か?」
おぉう・・・答え難いのをいきなりぶち込んで来たな。いや、俺自身は人間の味方のつもりだし、現に人間を襲った覚えは無いけど・・・無いけどさぁ・・・。
アンタらゴッドイーターに敵認定されてんだよね。
「・・・敵ではない」
「んー・・・煮え切らねぇな」
「私、アラガミだし」
「ほー、そりゃまたエライこっちゃ」
再び、煙草を吹かすリンドウ。周囲の音はウロヴォロスが暴れる音だけが響き、いつになったら絶命するのだろうかといい加減焦れったくなってくる。いっその事、暴れる触手を引き千切ってやろうか。
「・・・・・・え、アラガミなのか?」
「・・・なにが?」
「嬢ちゃんが」
「え・・・知らなかったの?」
「・・・??」
何やら話が噛み合っていないような・・・もしかして、俺の情報ってそんなに知れ渡ってないのか?
ソーマもエリックも知ってる風には見えなかったけど、ソーマは父親と仲が悪いから話を聞く気が一切無くて、エリックは単純に戦闘力が低くてあまり階級が高くないから、とかだと思っていたがそうではないのか?
海の向こう・・・ここが極東だから中国辺りか?そこだとゴッドイーターに執拗に追われたんだが・・・うーむ、少し聞いてみるか。
「人型のアラガミって・・・聞いた事無い?」
「・・・
「そっか・・・」
嘘を吐いているようにも見えないし、ここでソーマやエリックの名を出すのはマズイかも。この人なら誰にも言わないとは思うけど、変に疑いを持たせるのも悪いし。
「なるほどな。だから、さっきあの巨体に吹き飛ばされてもピンピンしてたのか」
「・・・見てたの?」
「あぁ、ちょいと前からな。元々、アレを狩るように指令が出てたんだ」
「・・・一人で?」
「残念な事に一人だな。全く、支部長のドSっぷりにも困ったもんだ」
「ふーん・・・」
見られてたのか、全然気付かなかった・・・。あぁ、人だと思ってたから、さっき奇妙な物を見るような目で見られたのか。納得した。あんな攻撃、大男ですら生きてるか怪しいレベルだもんな。
ん?ちょっと待てよ。リンドウがウロヴォロスの討伐任務を受けたって事は・・・ふむ、そろそろメンバーが揃うのかな?
つまりはあの人も来るって事だから・・・生の下乳を拝みたいものだ、ぐへへ。ゴッドイーターやってる人なら誰もが思う。しかも、理由が『胸が大き過ぎて締められない』とか最高じゃね?
アングルを下から上が見える向きにして、何度覗こうと奮闘した事か・・・まぁ、見えないんだけどね。けど、そこがまたいい。
「なぁ、あのアラガミを狩ったのは・・・もしかして、食事の為とかだったりするか?」
いきなりどうしたんだろうか?仮にそうだとして、何か困る事でもあるのかな?
「いや、トライクで走ってる時に空から降って来て、そのまま襲われたから返り討ちにしただけ」
「そう、か・・・」
本当、あの時は度肝抜かれた。アニメで似たような光景を見た事はあったけど、本当にあの巨体が空から降って来るんだもんなぁ。お陰で見ての通り、トライクが一時的におジャンだ。
何をどうしたら、あんな高さまでいけるのやら。・・・もしかして、空で生まれたり?・・・まさかな。
「あー・・・こう言うのもなんだが・・・その、だな・・・卑怯だとは分かっているが・・・良ければ、あのアラガミのコアを譲ってくれねぇか?」
「え・・・」
「頼む!この通りだ!アレが無いと色々と面倒な事になっちまうんだ!この恩は必ず返す!」
ウロヴォロスがそろそろ力尽きて来たのか、ピクピクしているのを横目にリンドウが九十度の綺麗なお辞儀をした。
難易度は兎も角、アレを喰えばかなり大幅なパワーアップが出来るのは確かだと思う。これ以上追われるのは面倒というのもあったが、そう言った下心もあって迎撃をした。
だから、俺的にはご褒美を丸々お預けされた様なものなんだよな。
「分かった」
「本当か!?いやぁ、すまんな!マジで助かるよ!」
だがその申し出は素直に受けよう。うん、まぁ・・・確かに喰えないのは残念だけど・・・残念で残念で仕方無いけど、支部長の命令だしな。
下手したら俺が狙われ兼ねん。いや、もしかすればもう狙われているかもしれない。そうなると一番の障害はこのリンドウになるだろう。
単体では現時点で支部長の最高戦力だろうからな。リンドウの実力を見た訳じゃないけど、この人は強いってヒシヒシと感じる。何より瀕死とは言え、人間なのにあのウロヴォロスを前にして駄弁ってる程の胆力は中々のモノだ。
一対一でやって負ける事は無いだろうけど、その場合はこっちも多大な損害を受けるのは確実だろうな。
「お?そろそろいいんじゃないか?」
まるで肉が焼けたかのように言うリンドウの視線の先には物言わぬ死骸となったウロヴォロスが。流石にもう動かないとは思うが、用心するに越した事は無い。
そんな訳でカモン、
〔ん?・・・どうした、終わったの━━━━くぁ!?〕
アホ面晒してる投擲物を鷲掴みにし、後方に腕を大きく振り被る。そのまま身体をやや屈めて、渾身のサイドスロー。
〔ま、待て!悪かっ━━━━たあああぁぁぁぁ!!?〕
元々浮かんでいるので抵抗が少ないのか、ロンが横回転のまま綺麗にウロヴォロスにジャストミート。そのままめり込んでシュルルルルと摩擦音と煙を出して停止した。
我ながら惚れ惚れするような内角(直撃)に抉り込む見事なクロスファイアーだった。
「・・・なんだあれ」
「疫病神」
「にしてはヤケに可愛らしい容姿だが・・・ま、いいや。もう動かないみたいだし、サッサとコアを頂きますか」
全く、反省しろよ。フラグ建設は別にいいとして、自分だけ逃げるなんて何事だ。少しは仕事しろ。あの程度の肉質なら余裕で噛み千切れるだろうに。
「えーと・・・どの辺だ?」
「中心部とかじゃない?」
「・・・・・・これの中心部?」
「手伝うから、嫌そうな顔しなくても・・・」
「いやー・・・ははは、こういう地味な作業はどうも性に合わなくてな」
トライクを回収しつつ、近寄れば余計に強調されるその規格外の大きさに度肝を抜かれたのか、リンドウが遠い目をしている。分かる、と内心で同意しながらも埋まってたロンを回収。もう一仕事あるので叩き起こす。
ほれ、もっとキリキリ働け。
〔んがっ・・・あぁ、主人が鬼畜過ぎて吐きそう・・・〕
「・・・それは酔っただけ。後、何かを吐ける程の体積無いじゃん」
〔いや、諦めなければ何事も成せるやもしれん〕
「・・・その先は地獄だよ」
出てくる物なんて、身ぐらいしかないだろう。
下らない事を言っているロンの相手をしながら、“★Rock Cannon”を呼び出してそれに装着させる。軽く動作確認を手早く済ませ、捕食形態にしてガップリとウロヴォロスを喰らう。
コアは駄目でも身体の方は貰ってもいいだろう。・・・まぁ、コアと比べる微々たる物だが。
「・・・『人が神になるか、神が人になるか』ねぇ・・・」
「・・・ん?どうかしたの?」
「いや、なんでもない・・・嬢ちゃん、こっちも削っていていいか?それとも全部喰うか?」
「んー・・・・・・いや、コアを探してていい。見付けたら、気にせず回収して構わない」
「りょーかい」
モタモタしてるとあの激戦に加えて俺が居るから、アラガミが寄って来るだろう、と思って提案した訳だが・・・。よくよく考えてみれば、コアの回収ってそんなに時間が掛からないから、殆ど喰えないで消滅してしまうよな。
今更、前言撤回するのも格好悪いし、かと言って半分も喰えないのは勿体無いし・・・よし、急ぐか。
腰を落として狙いを定める。ある程度、溜めを作ってジャンプし、横薙ぎに“★Rock Cannon”を振るうと捕食形態のロンの上半分が一瞬で最大サイズになり、ウロヴォロスの肉を抉り取る。
元のサイズに戻る瞬間に下半分も少し大きくなり、抉り取った部分が落ちないようにバクりと口を閉じた。
「ふぅ・・・よし、次」
今度はダッシュや振り返り際だったりとその時その時で最適の捕食行動を行う。何をしているのかと言えば、捕食の簡略化。別に跳んだり等のモーションは必要無いがそこはイメージし易いからだ。
即座に捕食出来たり、攻撃範囲が一瞬で伸びたりと利点はある代わりに本家は知らんがこっちは切断力が二段階くらい下がる欠点がある。
だが倒してしまえば、肉質については気にする必要が無いのでこの通り、短時間でガンガン喰らい尽くせる。ハッキリ言って超便利。
「すげぇなアレ。・・・こんな感じか?・・・・・・おぉ、なんか出来た」
リンドウの邪魔にならない位置を中心に喰らい尽くしていき、3分の2程を喰らった時点でリンドウからコアを発見したとの知らせが届いた。
一旦、何処にあるのかを確認して、再び捕食再開。抜き取った後の消滅までの猶予が勝負。折角ここまで喰ったんだから、どうせならそれで全部喰らい切ろう。
「ふぃ〜・・・一時はどうなるかと思ったが嬢ちゃんのお陰で助かったよ。ありがとな」
「ん、モーマンタイ」
なんやかんやでアラガミが来る前にコアの回収も食事も終わり、あの場は地盤の緩みも含めて色々と危ないので今は一緒にピョンピョンと廃墟を跳びながら移動中。
割と話好きなのか、それとも単純に気になるのか、その間に俺の体質?の事だったりと色々と説明したりもした。
話し上手というか、聞き上手というか、いつもより口が饒舌に回った。やっぱ、個性的なゴッドイーター達を纏めるベテラン隊長なだけある。コミュ力が高いというよりも年長者としての落ち着きというか・・・将来的にはコウタもこの人と同じ立場になるんだよな。
・・・・・・うーむ、実物はまだ見てないけど、リンドウと比べるとやはり少し心細いよな。まぁでも、コミュ力に関しては個人的にコウタの方が上?と思うし、リンドウの頼もしさを知らなければ、コウタも充分な筈。・・・今はまだ新人だろうけどね。
それと時系列的に確か、リンドウがシオと会ったのはディアウス・ピターに襲われた後だった筈。それが一年以内に起こると仮定してもシオは普通に誕生していると見るべきか。
・・・未だに一度も会ってないどころか、その痕跡すら無いんだよな。自身の体質を考慮すると誘き寄せ易いとは思うんだが・・・本当に居るか不安になってくる。
「よっと・・・ここまで来れば充分だろ」
開けた場所に着地し、周囲にアラガミが居ないかと見渡してみる。取り敢えずは大丈夫みたいで、互いに警戒を解く。
「んじゃ、ここでお別れだな。・・・あぁ、心配するな。嬢ちゃんの事は黙っとくよ」
「ん、ありがと」
「いいって事よ。今日の事を考えれば、お釣りが出るくらいだ。・・・本当、助かったよ。ありがとな」
「・・・・・・聞かないの?」
「んー?何の事だ?俺にはサッパリ」
「・・・そっか」
別れの挨拶を軽く済ませ、その場から跳躍して移動する。対空中にリンドウの方を見てみれば、こちらを背にのほほ〜ん、と歩いて行っていた。
〔・・・気付かれていたな〕
「・・・そうみたい」
ビルを越えるとロンが出て来て並走しだした。何の事かと言えば、ソーマ達との関係だ。隠そうとはしていたみたいだが、やはりそう言った事は苦手なのか、割と直ぐに分かった。
全ては聞かされていないみたいだが、ある程度の概要は知っているのだろう。ビジュアル的に分かり易いインパクトを放つウロヴォロスを前にして、霞んで見えたのもあるかもしれない。
だが、あまりにも反応が淡白過ぎた。個人的にはそっちの方が助かるし、一応驚いてはいるようだった。それでも例え幾らかの恩があったとしても、もう少し警戒してもいい筈だ。
支部長か、榊博士か・・・あの天才共の本拠地に本当に何の機能も無いただのヌイグルミだけで侵入しまくっているのだ。バレてない方がおかしい。
ならば何故、なんのアクションも起こさないのか。恐らくだが黙認されているのだろう。となると、その可能性は榊博士の方が高い。
単にアナグラ内で暴れられたら困る、というのもあるだろうが、それならソーマという分かり易い目印があるので外で迎え撃てばいい。
どうせ彼の事だから、「実に興味深い」と頷きながら監視カメラとか眺めてるんじゃないかな。ロマンチストではあるが科学者でもあるあの人にとって、俺は物凄く興味深い対象に違いないのだから。
「・・・うぅ、悪寒が」
〔残念ながら、幼女は居ないから暖まれないぞ〕
「・・・分かってる」
〔エリn〕
「早く戻って」
懐かしき幼女。生きているなら、もう少女・・・いや、立派な女性になっていてもおかしくない年齢だ。最後に見た時は少女にしてはかなり歳とは不釣り合いな身体だったから、さぞや綺麗でご立派になっているだろうな。
会えるかどうかはさて置き、久しぶりに海を渡ってみるのもいいかもしれない。
エリナ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・知らない子ですね。
今年はこれで最後。
力尽きたので少しだけ冬眠します。
エリックに関してはその辺を書くとどうしてもシリアスになるので前書きのあらすじで丸々カット。なので、その時になったら閑話を挟みます。
リンドウさん、数も数えられない馬鹿らしいけど、ベテランカリスマ隊長なのでこんな感じのキャラになった。ステラの考察はあながち間違って無い。
だが、正確には最近のソーマやエリックを見ててピンッと来た後に榊博士にそれなりの情報を渡された感じ。
ウロヴォロス、リザレクションの時に一人で鎌をブンブン振り回してたら、ノーダメ&五分以内討伐が出来た時は流石に笑った。
それでは良いお年を〜!