ゴッド★ロックシューター   作:榊 樹

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何とか今年中に間に合った。
年内はこれで最後になります。


第4話:廃都

顔に冷たい何かが当たる感触がして、目が覚めた。空は青空では無く、分厚い雲が覆っていた。自然に起きたのではなく、起こされたので頭が上手く働かなかったから、目覚めた原因が分からなかった。空から冷たい液体がポツポツと降って来ているのを確認して、漸くあの冷たい何かが雨である事に気が付いた。

 

 

それに気付いてからは、即座にエンジンを起動し、トライクを走らせた。目的は雨宿りする所を探す為。だが数十分後、結局雨を凌げるような場所は見付からず、大雨になり冷たい雨が身体を打ち付けていく。

 

 

ヤバいなー。ちょーヤバい。もうこの際、建造物とか自然とかじゃなくていいから、兎に角、雨を凌げる場所を探さなければ。幾ら頑丈とは言え、体温に関しては別だろう。現に体温が徐々に下がっているのを感じる。

 

日本だとまだマシだったろうが、今いる所は推定氷点下並の寒さ。手がまだ(かじか)んでいなのは、不幸中の幸いかもしれんな。と言うか、さっきから目に入ってくる雨が非っ常に鬱陶しいんですけど。ゴーグルとか無いんかな?無い?あ、そう。

 

あ、目から蒼い炎を出したら、少しはマシになったりしないかな?・・・炎、どうやって出すんだ?

 

 

不思議に思い、運転に集中しながらも目に力を込めるイメージをしてみたりと、出来る事を試したが出る事は無かった。

 

 

うーん、戦闘中は・・・どうだっけ?正直な所、そんな事まで覚えてないから、あまり期待はできんか。

 

 

 

 

雨で先が見え難くなって、道間違えて無いかなぁ、と不安になりつつも走っていると、黒く大きな影が見えて来た。

 

 

お?景色に変化あり、と思って早る気持ちを抑え切れずにスピードを上げて、その影へ走った。

 

 

影の正体は倒壊したビルやマンション、家などがある廃都だった。

 

 

うぉぉぉしゃぁぁぁ!!!ktkr!!!

 

 

早速、トライクを止めて収納しようとしたが、車体を横向きにして止めようとしたので、思いっ切りスリップした。めっちゃ焦って身体が固まって冷や汗が出たものの、建物に激突する前に自分だけ飛び退いて直撃を回避。トライクはそのまま民家へ向かって行き、綺麗にボッシュートした。

 

倒壊して行く家を死んだ目になりながら眺める俺。

 

 

瓦礫の山を探したらトライクはちゃんとあった。かすり傷が付いていたがそれ以外に問題は無かった。トライクを収納して、取り敢えず近くの穴だらけの家に入った。数分後、その家が倒壊し、瓦礫の山を飛ばして何とか脱出。

 

 

ぶはっ!?ビックリしたー!何で階段に足を掛けただけで倒壊するんだよー!?

 

 

家が思った以上に脆く、収穫無し。

 

続いて、簡単には倒壊しなさそうなビルへと入った。中は確かに壊れる心配は無く、雨もある程度凌げたので探索が捗った。中層辺りまで終わり、上へ登ってみたが文字通りの廃墟だった。

 

他の所も探索しようと下へと降りていき、最後の階段を降りた所で目の前の床から何かが飛び出して来た。飛び出して来たのは人間の数倍大きく、全体的に金色のような色をして、背中に赤く大きなパイプのようなものが付いたアラガミ、『コンゴウ』だった。

 

 

完全に予想外で見上げたまま呆ける俺。コンゴウも予想外だったらしく、見下げたまま止まっていた。

 

 

見合った状態が少しの間続き、正気に戻ったのは互いに同時だった。取り敢えず、距離を取るべきだと判断して、体制が整っていなかったので後ろではなく横に跳んだ。だが、視界いっぱいに拳が現れ、顔をぶん殴られた。吹き飛ばされ、壁を容易く突き破って外に出た。

 

 

あぁ、やっべ。ただのパンチだけで頭がぐらっぐらする。おまけに痛過ぎて感覚が麻痺してやがる。

 

 

体勢を整えていると、ビルの中からコンゴウが風を纏って回転しながら突っ込んで来た。慌てて横に跳んで回避はできたものの着地に失敗して転げ回り、コンゴウは民家へ突っ込んで行った。

 

起き上がり、コンゴウの方を見ると民家からのっそりと出て来た。こちらの姿を認識すると体を起こして後ろ脚だけで立ち上がり、両手を上げて万歳のような動作をした。

 

ゲームで見たことがあるような動きだったので恐らく、空気を圧縮して空気砲のように撃ち出すか、今俺がいる地点に風を起こすかのどちらかだろう。どちらにせよ、撃った後が隙になるので“★Rock Cannon"を呼び出して神経を集中させ、その機を窺がった。

 

してきたのは撃ち出す方だったので大体前方四十五度くらいに瞬歩(笑)、ゴッドイーターの世界だからダッシュってことにするか。ダッシュして回避し、予想通り隙が生まれたコンゴウに“★Rock Cannon"の照準を合わせて引き金を引いた。

 

三発放ち、最初の一発が外れたものの、残りは全て直撃し爆炎が上がった。因みに最初の一発は奥にあった建物に当たり、建物が倒壊した。その衝撃で周囲の建造物まで幾つか崩れていき、その中に先程まで探索していたビルもあった。

 

つまり何が言いたいかと言うと、見事にこちらへ倒れて来たって言う事だ。

 

 

畜生ーーーー!!!こっちの世界に来てから碌な事が無ぇーーーーーーーー!!!!

 

 

回避が間に合いそうになかったので、兎に角“★Rock Cannon"をぶっ放したが、奮闘虚しくビルはそのまま倒れ、下敷きになった。

 

 

 

 

収まった時は周囲は真っ暗で瓦礫の中であることだけが辛うじて分かった。身体は埋まっているらしく、動けない事は無いがそこまで大きな行動は出来そうになかった。精々、腕が少し持ち上がるくらい。あと、殴られた傷は気付いたら完治してた。

 

幸い、“★Rock Cannon"は握ったままだったので、どうにもならないという訳では無い。暫くの間、解決策をじっとして考えた。

 

 

腕が自由になったとしても、体勢的に重さ的に持ち上げる事は無理そうだし、立ち上がる事も出来そうにない。

 

瓦礫を少しずつ退かすにしても終わるのが何時になるのか分からない。ビルが倒れて来た事を考えると少なくとも数時間は掛かる事を覚悟しなければならない。ビルと言えば、それの下敷きになってもピンピンしてる俺の身体は正直引くレベルの耐久力だな。コンゴウに殴られた時よりも何倍もマシだという事実になんか違和感を覚えるが、この際それは置いとこう。

 

さて、以上の事から俺が取った選択肢は“★Rock Cannon"をこの状態で撃って爆発の衝撃で瓦礫を吹き飛ばす、だ。

 

・・・いや、もっと他にあるかもしれないよ?それは俺も分かってる。分かってるけど、撃ったらどうなるのか、それが気になった瞬間にどうしてもやりたくて仕方なくなってしまった。

 

 

てな訳で、景気良くイッてみよー!

 

 

 

 

結論から言うと瓦礫からは脱出できた。変わりに身体がボロホロになった。所謂、自爆と言うやつだ。

 

まぁ、ここまではいいよ。覚悟してた事だし、傷は一瞬で治ったからな。

 

問題は脱出してからだ。周囲を見渡せば、『オウガテイル』に『ザイゴート』、『コンゴウ』に『シユウ』や『ヴァジュラ』まで勢揃いで居やがる。これが四面楚歌ってやつか。

 

・・・フフ、フフフ・・・・・・アッハハハハハ!!!

やってやろうじゃねぇか!!!纏めてかかって来やがれや神様共!!!

 

 

 

 

動かないっす。もう無理っす。指先一つとして動く気配無いっす。傷も治んないっす。

 

何なんだよアイツら。強過ぎでしょ。アイツら互いを喰い合う仲じゃなかったのかよ。日を跨いで何とか倒せたけどさ、即席の癖にコンビネーションが相変わらずスゲーよ。仕舞には全部倒した瞬間に帝王ことディアウス・ピターまで来やがったからな。

 

あの帝王様、本当に敵が弱った時に出てくるの好きだよな。なんやかんやで逃げ切ったけどさ、右の腰部分を突き刺されてさ、もうくたくただよ。

 

 

こんな世界で戦うゴッドイーターはどんな化け物達だよ。てか、生き残ってる人間が居る事が信じられなくなってきたレベルだぞ。居るよな?まだ絶滅してないよな?流石にこの世界で一人はキツイぞ。

 

はぁ、それにしても疲れた。本当に疲れた。あ、視界が霞んで来た。おお、瞼が自然に落ちていく。徹夜明けの授業にも似たような事あったな。このまま寝たらさぞかし気持ちいいんだろうが、雨の中で寝るのは流石に勘弁して欲しい。

 

うぐぐ、腕だけでもいいから動け〜・・・あ、ダメだ。力すら入らね。あぁ、視界が暗くなっていく。

 

 

 

 

・・・・・・コア寄越せやー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もぐもぐ・・・・・・ウマー!はっ!?俺は今まで何を?視界が半分蒼い?あれ?人?おお、人じゃん!もっと言うならゴッドイーターじゃん!なんかボロボロになってるけど・・・。

 

よかったぁ、まだ残ってた。ん?何か踏んでる?うおっ!?コンゴウ!?なんか身体が裂けてるし至る所に傷が出来ててこっちもボロボロになってる。

何があった?

 

 

んー、ま、いっか。

死んでるみたいだし結果オーライ。

 

ところでさ、何で君ら(ゴッドイーター)────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────俺に神機、向けてるん?




良いお年を~(^^)/



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