ゴッド★ロックシューター   作:榊 樹

5 / 20
お待たせしました。
今回は、ちょっと長め、
タイトルの時点で既にネタバレしてる気がする。
・・・今更か。



第5話:幼女

冷たい。他に宛が無かったから、飛び込んでみたが、やっぱりビキニとホットパンツ一丁で極寒の海は無謀過ぎたか。水を殆ど吸ってないのが救いだな。

 

てか、今更だが俺、ほんと凄い格好してるな。ビキニにホットパンツって・・・贅沢言えないけどさ、せめてビキニは何とかならんのか。考えれば考えるほど冷えた身体が熱くなってくるよ。

 

 

それにしても、いやぁ、大漁、大漁。案外、居るもんだな。途中でグボロ・グボロが泳いでたのは想定外だったけど、水中戦も割と楽しいな。これなら暫くは何とかなるだろ。

 

 

さて、コートは何処だっけ?・・・あぁ、そうだ。あの子に渡してたんだった。あまり一人にさせとく訳にもいかないし、早く帰ろ。

 

 

 

 

廃墟の中では割とマシな部類に入る一軒家に出来るだけ隠密行動をして到着。水は途中で乾いた。

 

中に入ると、部屋の隅に廃墟には場違い感が半端無いモッコリとした黒い物体があった。俺の上着+αである。

 

床が軋む音で気付いたのか、その上着の下にいる人物がビクッとすると、恐る恐るといった風に上着の隙間から顔を出してきた。

 

整った顔立ちに特徴的な白髪。それからハイライトが無い青眼の美幼女と言って差し支えない容姿。顔の特徴的に日本人では無い事は窺える。だからと言って、どこの国かは分からんが、アジア系では無いことは確か。

 

縋るような、助けを求めるような、そんな眼差しでこちらを見てくるので両手に魚を抱えたまま近付いくと、俺の足付近に抱き着いてきた。

 

 

おお、おお。怖かったな。

お姉さんが来たからもう大丈夫だぞー。

 

 

魚を落とさないように片手で持ち直して、張り付いてた幼女の頭を撫でてやるが、怯えは消えない。子供に甘えられる?頼られる?というのは悪い気はしないし、このまま愛でていたいが、まずはこの魚をどうにかしたい。

 

その気持ちが伝わったのか、幼女は一旦離れると、足の隙間に入り、俺の両足をがっちりと握り締めた。

 

 

・・・うん。君、何してんの?

 

 

現状の問題が何も解決してなかったので、首根っこを掴んで背中に貼り付けさせておいた。子供の暖かい体温を直に感じて、俺の体が冷たくないのかと疑問に思ったが、離れてないからいいって事にしよう。

 

俺も湯たんぽになるからWinWinってやつだ。手を足から離れさせるとき、暴れたというか錯乱したというか、とにかく大変だったが、知ったこっちゃねぇの精神で引き剥がした。

 

流石にこれ以上、この子が何も食べないというのは許容できない。

 

 

動けるようになって、切れ味抜群のブレードで作った簡易的な台所へ魚をドサリと置く。よし、捌こうと思ったが、捌き方なんてさっぱり分からん。何度かテレビや動画で見た事があるが、そんなもの事細かく覚えてるわけもないし、何より魚の種類が違う。

 

 

そんな訳で、最低限やる事を決めた。鱗を除ける、頭を切り離す、鰭を除ける、骨と内蔵を全て取り除く。

 

ふむ、まぁ数はあるから取り敢えず捌いてみよう。

 

 

 

 

あの時、ゴッドイーターに囲まれた時、背後から篭った子供の声が聞こえた。しかし、振り向いたが誰も居なかった。

 

 

え、なに?怖っ、とか思ったが声は止むことなく聞こえてくる。よく観察して見れば、古びたタンス?があり、その扉が少し開いていた。

 

半分青くなった視界で、暗い中は見難いかと思ったがいつも以上に鮮明に見えて、中に子供が居る事が確認出来た。 何故そこに?と思ったが、その思考はゴッドイーター達が何かを叫ぶ声に遮られた。

 

意味の無い言葉を発したからなのか、それとも言語が違うからなのか、とにかく何を言ってるのかがよく分からなかった。頭にクエッションマークを浮かばせていると、スナイパーの神機を持った一人が何かを投擲してきた。

 

強化された視力と動体視力をもってそれが何かを注視してみると、ピンのようなものが付いた筒状の何かだった。

 

 

咄嗟にグレネードだと判断し、逃げようとしたが子供の事を思い出した。巻き添えを出来るだけ避けるようにタンスの前へダッシュして、扉を閉める前に時間切れとなった。結果的に自分の無駄に頑丈な身体を盾にできたのは幸いだった。

 

 

だが、衝撃が来ることは無く、変わりに鼓膜が破れそうになる程の音と目を瞑ってても分かるくらい明るい光がやってきた。

 

 

グレネードではなく、スタングレネードだった。ゴッドイーターの世界線で考えれば、そっちの方が妥当なのに何故そう判断したのだろうか・・・。

 

 

収まって目を開いてみると、耳はキーンとしていたが平衡感覚はすぐに戻り、視界もある程度は良好だった。振り向くと、あちら側は投擲してきた残り一人を置いて目や耳を抑えて行動不能になっていた。

 

 

・・・・・・?

 

 

これにはマジで意味が分からなかったが、その疑問が解消される前に残ったスタングレネードを投擲してきた一人が錯乱したかのように銃を乱射してきた。アサルトでは無く、スナイパーだったので何故か強化された状態の俺には回避自体はそれほど難しくはなかった。

 

それに錯乱していたので命中率も悪かった。だからと言って悠長な事は言ってられない。今の内に背後に隠れてる子供を無理矢理引っ張り出して、抱えたまま建物の上を飛びながら退避した。

 

 

その後、今の住処を発見して、子供改め幼女は気絶してたみたいだから、朽ちた木材を粉々にしてその上にコートを被せて簡単な寝床に寝かせておいた。

 

その間に周囲を広い範囲で探索して、アラガミを軒並み排除した。そこそこ手傷を負ったが許容範囲内。拠点に戻ると幼女が部屋の隅で敷いてたコートを羽織り、両手で自身を包むようにして手を交差させてコートの端を握ってガタガタと震えていた。

 

慌てて近寄り、抱きしめてやったが一向に収まる事は無く、仕舞には俺に抱き着いて泣きじゃくった。何か同じ言葉を繰り返していたがやはり意味は全く分からん。

 

暫くあたふたして持て余していると幼女のお腹も同時に鳴り出した。本人は気付いていないようで、そのまま何かに怯えるように泣き続けた。幼女の悲痛な泣き声と喧しい腹の音を聞いて、俺の顔は一体どうなっていたのだろうかと現実逃避をしていた。

 

 

 

 

まぁ、そんでまたこの子が寝だしたからその内に食料調達をして、なかなか見つからないから行って戻ってを繰り返して、最終的に海に潜って魚を捕ってきた。体温に関しては上限はいまいち分らんがある程度下がるとそれより下に下がることは無く、神経が痺れるなどの行動に支障が出るような症状もない事が分かった。

 

隠密行動を取ったのは、アラガミに見つからないのも然る事ながらゴッドイーターにも警戒した結果だ。何でかって?途中で出会ったから事情を説明しようと近付いたら、何かを話し掛けてきたから聞き返そうとした。

そしたら、攻撃してきた。意味が分からんが、そんな訳で余り敵対したくないから逃げてる。

 

幼女を渡せればいいんだけど、これじゃ渡す時に巻き添えを喰らいかねない。

 

 

閑話休題

 

 

魚は結果的に食べられん事も無かった。ただ生臭いし、無駄も多かった。一番美味しそうな所やあんまり不味くない箇所を幼女に食べさせてみれば、黙々と食べた。俺の背中で。

 

気に入ったのかな?足の隙間よりはマシだからいいけど、作った椅子が無駄になりそうな気がする。まぁ、食べられるみたいで良かった。

 

数匹分食べるとお腹が一杯になったみたいで、ウトウトしだした。ほんと良く寝るな。健康的でいいと思うぞ。

 

さて、思った以上に残った魚を片付けるか。・・・あんまり口に合わねぇから、気が進まねぇんだよな。冷蔵庫の無いこの状況下では、あんまり保たないだろうし・・・・・・はぁ。

 

 

 

 

魚をある程度片付けてから、幼女の苦しむような声が聞こえたので様子を見てみると案の定、魘されていた。取り敢えず、右手で手を握ってやると腕に思いっきり抱き着かれた。

 

地味に関節極められてねぇか?・・・痛くは無いし、暫く動けなくても問題ないから別にいいか。

 

 

さて、漸く一段落付いたのでちょっと暇潰しをば。私のホットパンツの左ポケットから取り出しましたるは、途中で倒したオウガテイルのコア。

 

それを一口で口に含んで咀嚼して飲み込みます。

すると、あら不思議。左半分の視界が蒼くなるではありませんか!

 

 

はい、そんな訳でできちゃいました。ステラの戦闘モード時?みたいに左目が蒼い焔に包まれるあれ。・・・いやぁ、推測な部分が大半を占めてたから成功してマジで良かった。失敗してたら侵食されたかもしれんからな。

 

 

勿論と言うか、発動にはコアを丸々一つ分喰らわないと発動しなかったし時間制限有り。大体三分くらいかな?焔は熱くはない。

 

何が変わるのかはよく分かってないけど、ゴッドイーターに囲まれた時に身体が軽かったから、身体能力が高くなるのは確かだと思う。ゴッドイーター風に言うとバーストモードかな?

 

後これ、完全に余談になるかもだけど、コアって凄い美味いんだな。どう美味いのかは説明しにくいけど、少なくとも前の世界ではこれに勝るものは食べた事がないくらい。食感は林檎と桃が合わさったような感じ。個人的にポテチのような依存性があると思う。

 

 

試そうと思ったのは、気を失って正気に戻った時、何かを飲み込んでから視界が半分蒼くなったから。ここまでヒントがあれば猿でも分かるってもんだ。

 

 

んで、もう一つ割と重大な事だと思うんだが・・・俺ってもしかして、アラガミなのか?シオみたいな人型の。そうと仮定してみると、ビルの下敷きになっても無傷だったり、アラガミを倒せる自分の武器で傷を負ったりと不可思議な怪我の仕方に納得が行く。あと、コアを食べられるのも説明がつく。

 

なんで気を失ったかは・・・捕食行動をしてなかったから自動的に気を失ったとかだと思う。・・・かなりこじつけだけど。その後、なんであの場面で目を覚ましたかはよく分からんが、多分アラガミ的な本能かなんかで動いたとかだろ。

 

それに、ゲームの方でも一応、食事を摂らないと活動停止するとかなんとかあったから、食事はきちんと摂るべきだな。

 

 

・・・・・・そっか。アラガミか。だから、ゴッドイーターに敵対されたのか?その線が濃い気がするな。

 

あ、でもシオはレーダーに映らなかったはず。なら、シオよりも人間っぽい俺がアラガミと判断するのは難しいんじゃないか?・・・腕輪無いじゃん。

 

 

ビルとビルの間を飛んだり、アラガミを倒したりしてる所を見られてたら、ゴッドイーターだと思われるだろ?

その人物が制御する為の腕輪が無いとしたら?アラガミ化する恐れがあると思われて殺すだろう。

 

まぁ、元からアラガミだろうから、アラガミ化もクソもないんだけどね。だからなんだって話だけど・・・。

 

 

あ、榊博士に匿って貰えば・・・何処にいるか分かんねぇや。月にシオがいるかは、今まで見てた月を思い出す限り、居ないと判断できるからゲーム開始時よりも前か、アニメの世界線か、だな。

 

・・・どっちでも不都合は特に無いな。

 

 

そう言えば、極東って日本の事でいいんだよな?移動要塞のフライアが普通に走って行ける所だから、大陸続きの可能性もあるんだよな。 それとも、道が完成していたのか?いや、この世界に限ってそれはないな。あ、元からフライアが日本列島を走ってるって可能性もあるか。

 

まぁ、ゴッドイーターという宛が外れたから、暫くはこの辺の廃都をウロウロするつもりだから特に関係は無いか。

 

お?焔が消えた。消えた直後に身体が少し重く感じるけど、これは強化された状態と差があるからそう錯覚するだけだろう。

 

 

さて、本当に必要かどうかは分からんが、食事が必要だったから寝る必要もあるかもしれん。寝れる時に寝ておかないとな。

 

 

 

 

幼女と住むようになって大体二、三週間くらい経過した。まぁ、その間にいろいろあったし、試した。

 

取り敢えず、蒼い焔に関しての情報から。やはり、コアを半分に分けたりして、二口で食べても身体的強化はされなかった。半分だろうと何分割だろうと、丸々一個分を一度に食べれば強化はされる。効果時間は、脳内時計だけどやはり三分ってところ。

 

効果中に更にコアを食べた場合、時間が三分にリセットされるだけ。つまり、強化の上乗せとかはなく、単純に効果時間が三分に戻るだけ。この辺はバーストモードと同じと考えて大丈夫。身体能力は、何もしてない状態から七割プラスで強化した感じ。

 

あとは、弾丸を撃つ為のOPの消費量も減るし、消費した分はそこそこのスピードで回復していく。威力も身体能力程に激的な強化は無いけど、それなりに上がってると思う。

 

・・・これ、もうバーストモードとほぼ同じと思っても問題無いな。発動条件も似てるし、効果内容も似てる。違う所といえば、明確なのは効果時間が長いって所か?あ、二段ジャンプもできねぇわ。うん、そうだそうだ。二段ジャンプできなかったんだった。

 

あれは・・・無理だ。そもそも何で神機を解放した程度で空中を足場みたいにして更に跳べるのかが納得出来ない。この世界ではどうか知らないけどさ。あと、食べた時にOPと傷が全回復する。仙豆が頭を過った俺は悪くないと思う。

 

 

次にあの幼女なんだけど、あの子ね。外に出たがらないんだよね。それに、俺が外に出ようとしたら凄ェ必死に阻止するんよ。そう言えば、あの子の親はもう居ないって事でいいのか?

 

居ないなら居ないでいいんだけど、もし居るならきちんと返してあげたいな。今の症状を見るに、流石にそれは高望みし過ぎか・・・。多分、アラガミにトラウマ的なのを感じて、部屋から出たくないんだろうけど、そうすると食料が魚しかない現状では、幼女の身体的には割と深刻。

 

水はそれなりに綺麗な湖を見つけたからなんとかなった。氷が張ってたから表面を殴ると一気に罅が広がっていく光景は中々爽快なものだった。実を言うと、その時に立っていた場所が湖の上だったからそのまま落ちてまたずぶ濡れになったりした。勿論、水を吸わない衣服のおかげで移動してたら乾いた。

 

っと、話が逸れた。そんで・・・あぁ、そうそう。外出を必死に阻止する幼女の話だ。・・・・・・字面だけ見ると、その・・・色々と凄いな。

 

ま、まぁ、気を取り直して話を戻すけど、それを無視してまで外に出るのは多分、この子が一人になるからそれがかなりのストレスになると思った。だから、外出するのは基本的にこの子が寝静まってから、慎重にしてる。

 

 

昨日、ちょうど部屋から出た瞬間に幼女が目が覚めた事があって、その時は本当に本っ当に落ち着かせるのに苦労した。多分、俺がどっかに行くのが不安だったんだろう。ただでさえハイライトの無い瞳が更に曇っていったからな。おかげでその日の夜はがっちりとホールドされて寝る事になった。・・・アラガミだけに、ホールドトラップ。

 

そんな幼女の拘束をなんとか解こうと動いた瞬間に、幼女が目が覚めてこちらをじーっと見つめてくる。想像してみろよ。月明かりが少ない真夜中に目と鼻の先に光を失った瞳が瞬きすらせずにこちらを一切目線を逸らさずに覗いてんだぞ?

 

そこらのアラガミに感じた事の無い恐怖が俺を襲ったよ。因みに、そのまま何事もなく目を閉じて寝たフリをすると幼女も俺を抱き直して眠りに就いた。俺もその後は大人しく眠りに就いた。

 

 

あ、アラガミはちょくちょく狩ってるよ。ここら辺は初期の敵キャラばかりだから最近は無傷で終わる日もある。徒党を組んでくるのは未だに納得出来ないが、慣れればどうという事も無い。それに、倒した後のおやつ感覚で食べるコアが最高。ちょっと狩る目的が変わってきた今日この頃。

 

 

最近、この世界に完全に馴染んだというか慣れた感じがしてきた。




一体、何乳・アミエーラさんなんだ(すっとぼけ)

はい、そんな訳で時系列が判明。
貴重なぺったんこ時代。
因みに主人公はこの事に全く気付いてないです。
アニメと実写を見て、同年代ならまだしも、子ども時代で同一人物だと判断するのは難しくね?って事でそんな設定にした。
ディアウス・ピターが居るじゃんって?
そもそもロシアだとすら気付いていない。
考えればすぐわかる筈なのに、何故かそちらへ思考が働かない。

食料に関しては、気にしないでくれると有難いです。
仮にゴッドイーターから奪った場合、殺さないとしてもすぐに警戒されたり、討伐隊が組まれたり、そもそも危険区域なのでそんなにゴッドイーター来るか?などの理由から止めました。

極東に関しては、調べてみると普通に日本の事だとあったので、設定をそのまま使います。

数話後あたりで他者視点を入れられたらなぁ、と考え中。
アンダーワールドを読んでないのでこれから、独自解釈やらキング・クリムゾンが多発する恐れありです。
タグ追加するべきでしょうか?



それから、この回は割と重要かもしれなくもないので、何回か書き直すかもしれません。
その時は活動報告にてお知らせします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。