ゴッド★ロックシューター   作:榊 樹

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すみません。
本来は幼女視点の予定だったんですが、思った以上に進まなくて息抜きに書いてた本編の方が先に出来上がったのでこちらを投稿します。

ちょっと短めです。



第8話:一年ぶりの再会

幼女と出会って・・・大体どれくらい経つだろうか?

 

ざっと数えてたけど、一年経つかどうかくらいだと思う。気が付けば、ブーツの少し上がった踵込みの俺の鳩尾辺りまでしか無かった幼女の身長が今では肩くらいまでには成長した。

 

あ、因みに俺の身長やらその他諸々は全く変わってません。・・・まぁ、薄々分かってたけどね。別に成長しない事に気付いて心が折れそうになって、そんな雰囲気を感じ取った幼女に心配されたとかそんな珍事件は無いから。無いったら無い。

 

 

・・・・・・胸の大きさで完全に敗北を期した時は流石に少しの間、寝込んだけど。で、案の定心配した幼女が必死に慰めようと抱き着いたりなんなりしてくるんだけど、その度に当たって逆効果という悪循環。

 

流石に大人気無いと思ってすぐに切り替えたんだが、どうしても完全に切り替える事が出来ずに元の世界での豊胸方法でどんなのがあったか思い出してたら、揉めば大きくなるという迷信があった事を思い出した。

 

早速試してみようと胸に手を当てたら、揉む胸すら無ぇよと、自然と膝から崩れ落ちてしまった。

 

あぁ、地面のアスファルトがまるで俺の胸のようだ・・・。

 

 

そんな俺を見て、例の如く幼女が駆け寄って来て、また必死に外国語をちょくちょく喋りながら理由が分からずに慰めようとして、気付けば俺に馬乗りして遊んでた。なんか、もうどうでもいいやって思えて慰めようとしてくれたお礼として大人しく馬になって一緒に遊んだ。

 

 

閑話休題

 

 

成長したって事はつまり、身体が大きくなったって事である。何が言いたいかと言うと、幼女がコートに収まりきらなくなったって事。いや、一応、まだ収まるには収まるんだけど、かなりギリギリになってきた。

 

 

体重に関しては重くなろうが誤差の範囲なんで問題は無いんだが、身長に関してはそろそろコートを卒業してもいいかもしれないと思っている。数ヶ月前くらいからはトライクに乗る時に顔を胸元からひょっこりと出して、そこからの景色を嬉しそうに見るくらいには外界に対して精神的な余裕もある。

 

 

てな訳で、後ろに乗せてみた所、最初は最近結構な頻度で使うようになった外国語(多分、幼女の母国語)で抗議しながら渋ってたが、コートを脱いで着せてやったら嬉しそうに座って、前に座る俺にひしっと抱き着いてきた。

 

俺の背中に頬擦りする程嬉しかったらしく、少し(くすぐ)ったかったものの、まだまだコート離れ出来ないなと心の中で溜め息を吐いた。

 

 

一日は基本的にアラガミの掃討や食料調達、幼女の特訓やらで終わる。そんな生活ばかりだと流石に飽きが来る。だから、食料調達とは別に海へ行って釣り糸を垂らしてボケーっとしたり、アラガミが掛かったら引き上げずにそのまま糸を伸ばしたり偶に巻いたりして、文字通り泳がせてたりする。

 

そんな時、幼女はどうしてるのかって?後ろでコートをはためかせながらトライク走らせてる。

 

 

 

・・・・・・平和だなぁ。

 

 

 

あぁ、うん。

分かってる。

ちゃんと説明する。

 

食料調達に行く時、道中は殆どの場合は起きていられるようになった幼女をトライクに置いて、海へ潜って帰ってきたら走らせようとしてトライクを弄ってたのが始まり。足がギリギリ届くようになったらしくてね、あと走らせてる時の景色が気に入ったりしたのかな?

 

俺のを何度も見てたからか、それなりにいい線は行ってたけど、どうしても分からない部分があったらしく、走らせる事は叶わなかったって感じだった。

 

 

近付くと俺に気付いたらしく、なんか慌てて言い訳しだした。言ってる事は分らんが、これあれだ。

 

親が買い物とかで車の中に子供を一人にした時にその子供が運転席に行っていろいろと弄ってた所で親が戻ってきた時の気まずさだ。

 

 

いや、そんなに必死にならんでも、怒ってないから大丈夫だぞ?

 

 

落ち着かせようと頭を撫でようとして手を伸ばすと、幼女が目をギュッと瞑って身を強ばらせた。軽く頭を撫でてやると恐る恐る目を開けて、ポカーンとしだした。

 

 

才能があろうと、強くなろうとやっぱり子供は子供だな。

 

 

そんな当たり前の事に気付きながらも手を離し、幼女を抱えてシートに座って膝に座らせた。トライクの状態を幼女が弄る前に戻して、そこからゆっくりと操作を見せていった。

 

状況に付いて来れてなかった幼女も途中から俺の意図に気付き、真剣な眼差しで操作方法を見ていた。

 

一通り終わらせ軽く走らせて、すぐに止めて最初の状態に戻す。幼女を抱えて俺は立ち上がって、シートに幼女一人を乗せた。

 

 

幼女はトライクと俺を交互に見ると、意を決したのか思い出すようにゆっくりと操作していった。間違えれば止めようと思ったが、なんと一発で成功させた。

 

 

楽でいいんだが、なんだか教え甲斐が無いなー、とか思ったが、幼女の嬉しそうにハンドルを握る姿を見て、ま、いっか、と反射的に思い直した。

 

 

その後も普通に発進させて、俺は念の為に並走して後を追った。最初は自転車よりちょっと速いくらいのペース。操作をミスるかなぁ?とか全く心にも思ってない事を考えていたが、予想通りというか期待を裏切らないというか、まぁ兎に角、ビックリするくらいの安定性で走った。

 

三輪付いてるから、自転車よりは安定性あるのは確かだけど、ホントに凄いよな。これでまだ幼子なんだから。

 

 

 

まぁ、そんな訳でさっさと乗りこなした幼女は暇があればこうしてトライクを走らせるようになったって訳だ。

 

注意しなくてもあんまり遠くには行かないし、アラガミを一掃してから走らせてるので基本的に自由にさせてる。ある程度、走って来たら普通に戻ってくるからその時にドライバーを交代して拠点に帰ってる。

 

本人的にも偉く気に入ったらしく、乗り始めてからは笑顔が増えた気がする。別に消耗品でもないからいい事づくめだ。

 

 

 

 

さて、いきなりだが、俺は幼女をどうやって人間の集団に戻すか、割と真面目に考えている。どうしたいきなりとか、何を今更とか思うかもしれんがこれには理由がある。

 

前にアラガミの声を聞いた時があっただろ?あの殺す、って聞こえたって言ったヤツ。

 

なんか引っ掛かると思ってずっと考えてたんだが、漸く思い出した。アラガミの行動理念って本来は食べたい、なんだよな。人間に対してもまた然り。

 

いや、もっと他にもあるかもしれんが、最終的にこれに帰結する・・・多分。

 

 

つまり、「〜たい」といった風の別にそこまで執着してない言い方なのに対し、俺にだけ「殺す」という執念すら感じる感情を向けてるんだ。

 

どんな事をしていても、例え食事中だろうと睡眠中だろうと近付く俺の存在を認知した瞬間から、見えなくなっても暫くは追い続ける程の殺意を俺に向けて、他は眼中にすら無い。

 

幼女が攻撃を喰らわずにあっさりとオウガテイルやらを倒せた理由の一つがこれだ。そして、周辺のアラガミを一日という短期間で一掃出来る理由も。この謎の特性を利用して誘導してる。それに一点に沢山集めるとコンビネーションも疎かになるという利点もある。

 

 

だが、なんやかんやあって今まで生き抜いてきたが、それはあくまでも周囲にいる敵がディアウス・ピターを除いて弱いヤツらばかりだからだ。

これからはそうもいかない。極東の話になるが、ヨハネスが死んだ後からアラガミ側の戦力がインフレする。

 

ゴッドイーター2があるから、対処できない程ではないのだろうが、俺一人でははっきり言って自信が無い。ディアウス・ピターは冗談抜きで強過ぎる。それに幼女は幾ら強くても人間だ。俺が軽く小突くだけでも死に至り兼ねない程に脆く、弱い。

 

 

ここは大丈夫かもしれないという可能性もあるが、進化を呼吸のようにするアラガミ達に限って、その可能性は絶望的だ。

 

 

以上の理由から、結構真剣に考えてはいるんだが━━━

 

 

「・・・?〜〜〜♪」

 

 

右手を見ると隣で手を握りながら嬉しそうに歩いてる幼女が、俺が見ている事に気付き、えへへー、みたいな擬音が聞こえそうな笑顔で手をにぎにぎしだした。

 

 

━━━━あ〜、心が浄化される〜。

 

 

偶にはのんびりする事も大事だろうと思い、数週間前からアラガミを一掃した後に手を握って廃都やらを散歩してるんだが、これが幼女に大変お気に召したらしく、歩いてる時は終始笑顔だ。

 

 

それ以来、アラガミを一掃した後はこうして歩いてるんだが、俺もこの時間は結構好きだ。景色は良いとは言えないが、人が居ないし、アラガミも狩り尽くしてるから静かな時間をまったりと満喫できる。

 

慣れてるとは言え、それなりに身体も火照る。冷たい風が当たって結構気持ちいい。まさか、こんな世界でこれ程までにゆっくりできるとは思わなかったがな。

 

 

 

だけど、ここは人間の天敵であり、掃除屋のような存在であるアラガミが跋扈する世界。平和なんて一瞬で崩れ去るし、どれだけ備えても足りないくらいだ。

 

そこんとこは、それなりに分かってた筈なんだかなぁ。

 

 

 

 

 

ザシュッッッ!!!

 

「っ!!!??」

 

 

 

 

 

上から降って来たディアウス・ピターに、背中辺りから生えたその鋭利な翼で、幼女と手を繋いでいる右手を肩からコートごと綺麗に切断された。




はい、そんな訳でいろいろと考えた結果、こっち側のルートにしました。
どんなルートになるかはこれからのお楽しみで。
ついでにもう一つのルートがどんなのかも、このルートの内容がある程度分かったら、説明みたいなの後書きかなんかで入れます。

一応、補足みたいなの書きます。
最後の方は主人公がコートを着ています。
幼女が来てなかったのは、大した理由は無いんですが、強いて言うなら着る理由が無かったからです。
あと、書いててトイレとか風呂とかどうしてんだろ?って思ったので考えたのですがいい案が思いつかなかったのでその辺はスルーしてくれるとありがたいです。
ただ、その種族上、主人公はどちらも必要としません。

それと、次回は展開的にも幼女視点は絶対に入れます。
思ったよりも長くなりそうなので、何話かに分けると思います。
因みに主人公と出会うちょっと前からです。



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