その男蜻蛉の如く(仮)   作:新参者基本読み専

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戦闘訓練参

さて、とにかく今は作戦を考えるか。

 

 「とりあえずお互いの個性説明から始めるか?」

 「そうですね。その方が色々と作戦を立てやすいですし」

 

 八百万も賛成してくれたのでとりあえず説明するか。

 

 「俺の個性は加速。移動や攻撃等の速度を任意で変えられる」

 「では私も…私の個性は創造。生物以外でしたら体内の脂肪で創って素肌から取り出す事が出来ますわ」

 「…え?強くね?」

 「といってもその物を創るにはその構造を深く知る必要がありますわ」

 「なるほど…」

 「前田さんの任意とはどのくらいですか?」

 「今のところの最高速度は体力測定の速度だ。ようは一気にあの速度まで行くことが出来るし段階的に上げたり下げたり出来る」

 (まぁあれ(・・)を使えばもっと速く出来るが…今は黙っておくか)

 「なるほど…結構応用が効きそうですわね」

 「といっても肉体にダメージを負うのがネックかなぁ…まぁ飯田の個性とは似て非なるという感じだよ」

 

 お互いの個性を説明し終わり、作戦を立て始めた。

 

 「向こうは3人…不利ですわね」

 「砂藤と口田の個性は分からんが峰田の個性なら分かるぞ?」

 「本当ですか!?」

 「いや、体力測定で見ただろ…まぁあくまで仮説から出ないけどな」

 

 とりあえず自分の仮説を説明した。

 

 「自分にはくっつかず弾くが他のにはくっつくボールですか…」

 「どっちかといえば防衛向きだな…まぁそんなことは良いとして…」

 

 まぁ俺より八百万の方が適任かな?

 

 「八百万、作戦を立てて貰っても良いか?」

 「わ、私がですか!?」

 「ああ、さっきの講評の時の的確さには驚いたからな。俺が立てるより八百万の方が良いかなと思って…俺もちょっとした意見は言わせてもらうが…頼めるか?」

 

 俺もそれなりの観察眼や作戦を立てる上での知識などは持ってるが、八百万は俺よりもそれらが優れてるだろうしな…まぁ細かい所は俺が臨機応変に対応すれば良いし…って何ポカンとしてんだ八百万?

 

 「…はい!お任せください!!むしろドンドン頼って下さい!」

 「お、おう…分かった」

 

 何かプリプリしてんな…もしかして承認欲求が強いのか?

 あれ?これはまた癖が強いタイプ?もしかしてあいつ(発目)と同じ?

 八百万が作戦を考えてくれてる間、正直不安にかられていた…

 

 「…という感じですが如何でしょうか?」

 

 作戦は今は核兵器を置いてある場所の入り口のドアを封鎖して、それを突破してきた所を迎撃、捕縛といった感じである。まぁ…これでも多分勝てるんだろうが…

 

 「ちょっと良いか?」

 「はい!何でしょうか!」

 「物を創る際にかかる時間ってどのくらいだ?」

 「物によりますね…構造が複雑だとそのぶん時間がかかりますし…それがどうなさいました?」

 「いや、ちょうどここは階段を上がって一方通行の先の部屋だ…そこでだ。八百万、こんなのは創れるか?」

 

 八百万に耳打ちで創って欲しい物を教える。すると、

 

 「創れなくもないですが…少し時間がかかりますわ」

 「よっしゃ!創れるんなら問題ねぇ!そのぶんの時間は俺が稼ぐ。また何か必要になったら連絡するが…頼めるか?」

 「はい!お任せください!!」

 

 …何だろう、八百万は良い言い方をすれば純粋なんだろうが悪く言えば世間知らずといった感じか?あれ?何か将来が心配になって来たぞ?

 八百万の将来を不安に思いながらも俺は移動を始めた。

 

 

◆◆◆◆

 

 (うむ…前田少年と八百万少女は見事に作戦を立ててるな。良いチームワークだ!さて、こっちのチームはどうだ?)

 

 オールマイトは内心敵側のCチームの手際の良さを誉めていた。そしてヒーロー側のFチームを確認すると…

 

 「向こうは2人でオイラ達は3人だから余裕だろ」

 「おいおい峰田、前田のスピード見てるだろ?言っちゃ悪いが俺ら何か直ぐに捕まえられるだろ」

 「(コクコク)」

 「んなの砂藤か口田が押さえ込めば良いだろ」

 「お前はどうするんだよ?」

 「オイラは核兵器一点狙いだ!そうやって活躍すれば女子からモテるだろうしな!!」

 「お前なぁ…」

 「(落ち込んだ表情)」

 (うーん…峰田少年、確かに人数ではそちらが勝ってるからか楽観視してるな。砂藤少年や口田少年は警戒しているが…)

 内心オールマイトは峰田のモテたい願望の強さに若干驚いていた。

 

 「でぇはぁぁぁ…スタァァァトォォォオ!」

 

 

◆◆◆◆

 

 「とりあえず数の多さで攻めれば勝てるだろ」

 「だと良いけどなぁ…」

 

 アジトに入っても余裕そうな峰田に対して砂藤、口田はあまり浮かない表情だ。そこに

 

 「アジトに入ったってのに随分と余裕だな」

 「げぇ!」

 「マジかよ!」

 「(驚きの表情)!」

 

 入って少しの通路の真ん中に敵側の前田が立っていたのだ。

 

 「いくらなんでも早すぎだろ!?」

 「んなの知るかよ。さて…どうする?このまま尻尾巻いて逃げるか?」

 「そんなわけないだろ!ここを突破して核兵器を確保してやる!」

 「意気込みは良いな…じゃ来いよ。相手してやる」

 

 そう言って前田は右手の人差し指をクイックイッと挑発した。

 

 「峰田、口田行け!前田は俺が何とか抑える!!」

 「おっしゃー!任せた!」

 「(コクコク)」

 

 そうして砂藤が前田に殴りかかった。その後ろに峰田と口田付いていった。

 

 「オッラァ!!」

 

 砂藤が殴ると前田は余裕で避けた。何回も殴るが全部避けられた。その間に峰田と口田は階段を探しに奥へ行こうとするが

 

 「何普通に通れると思ってんだ?」

 「はぁ!?」

 「(驚く)!!」

 

 さっきまで砂藤が抑えてた前田が峰田と口田の前にいつの間にかいたのだ。

 

 「オラァ!!」

 「ぐはぁ!」

 「!?」

 

 その二人を前田は蹴りと殴りで吹き飛ばした。

 

 「おい砂藤!抑えられてねぇじゃんか!!」

 「俺も知らねぇよ!さっきまで攻撃を避けてたのにいつの間にかそっちに行ったんだからよぉ!!」

 

 突然の事に驚いてるヒーロー側のメンバーだが…

 

 「一々驚いてんじゃねぇよ。お前ら本当にヒーローかぁ?敵のアジトにんな生半可な覚悟で来るんじゃねぇよ」

 

 前田は帽子で目元を隠すように帽子を抑えながらゆっくりとヒーロー側に近づく。

 

 「こっちはてめぇらを潰すつもりでやってんだ。そっちも俺らを倒すつもりでやりやがれ…じゃねぇと」

 

 何にも出来ないまま終わっても知らねぇぞ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 口角が三日月の様に上がり、帽子から僅かに見える目元からは狂気が混ざった様な目が見えたのでヒーロー側のメンバーは震え上がった。




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