FGO二部二章・改「狂焔之巨人王と三人のセイバー」 作:hR2
砂漠にオアシスがあるように、この雪原にも緑はある。
銀世界に咲いた翠緑の草むらで暖かさを享受できるのは、
「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
体格甚大の力強き巨人だけと決まっている。
その園に、異物が侵入。
「うーーーーーん、でかぁぁぁーーーーーーい!
いっちょやってやりますか。
二人とも、ゲルダちゃんをお願いね!」
ならば生じるのは、闘争。
どちらが正しいのか間違っているのか、そんな問題ではない。
生命が持つべき闘争の最も原始的な形には、綺麗事は一切存在しない。
そう————、
▷ □ 「武蔵ちゃんはそいつらをお願い!」 □ ◁
□ 「マシュ、周囲に警戒を!」 □
□ ゲルダと手を繋ぐ □
あるのは二つ、生きるか、死ぬか————その二者択一から闘争が生まれたのだ。
「ひと、ふた、み………………やつ、ここの、とを、あまりがひと、ふた。
十二か。
柳生の爺様よりは多いけど、お兄さんには足りない、か」
武蔵、腰より双剣を抜刀。
構えなくだらりと刀を下げ、
「気をつけてください、武蔵さん!
数が多いので、くれぐれも慎重に!
体格の割に、意外と素早いです!!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
戦場を、疾駆する!
向かう先は十二人の巨人の群れ。
もはやそれは筋肉の絶壁と呼んでも良い、圧倒的なマッスル密度。
紛れ込んだ乱入者を叩き潰すべく————
総勢都合十二の塊が、一斉に、武蔵へと、振り降ろされる!!
武蔵が両手に持つ大小二刀が、その切先の先の先まで剣気に満ちる。
「ハァァァァァァァァァァァ!!」
その剣気こそが空間を斬り裂く断界となり、
巨人達にとって決して逃れられぬ死神となる————!!
「————————えっ?」
走り抜けた武蔵、巨人の圧撃を躱すだけでなくその後ろへ抜けている。
確かに見えた美しき剣煌。
世界そのものすら斬り拓くような、宮本武蔵にしか放てない斬線。
時の針の動きを止めなければ、その剣戟が何回だったか数えるのは不可能。
その数、右が六、左が六の、計十二太刀。
それは正しく、己が斬り捨てた巨人達と同じ数。
▷ □ 「 えっ?」 □ ◁
武蔵、双剣を大きく振って血振るい。
同時に鞘に収め————、
鍔が鯉口と接触、そして聞こえる短く甲高い金属音が二つ。
「 !?」「 !?」
「 !?」「 !?」
「 !?」「 !?」
「 !?」「 !?」
「 !?」「 !?」
「 !?」「 !?」
吹き上がる鮮血。
断末魔を上げることすらできない、一方的で絶対的すぎる斬殺。
斬り飛ばされた肉体が、重い音を立てて何個も何個も大地へ落下する。
そして、その武威を誇っていた巨人達の体躯が、命なき死骸として崩れ落ちる。
緑の楽園に、血の湖が突如として出現する。
その抜刀から納刀まで、九秒とかかっていない。
「またつまらぬものを斬ってしまった…………、
とは言えないな。
この人達もこの人達なりに必死に生きていたはず。
それをつまらないものって言っちゃうのは、うん、ダメですとも!!
うーーーんーーーーー、何かないかな?
決め台詞的な…………?
うーーーーーーーーんーーーーーーーーーーーー……………………悩ましーー!」
秒殺にして瞬殺。
剣の頂を極める剣士の技は、
ある意味、死という厄災の一側面なのかもしれない。
「………………え?
…………………………え?
…………………………………………え、え?
せ、先輩…………?」
▷ □ 「な、何かな、マシュ君…………?」 □ ◁
□ 「な、何でござるか、マシュ殿…………?」 □
「ま………………、
ま…………、
………………まじっす、か………………?」
□ 「ま、まじっす、みたい、っす、です…………っす…………」 □
▷ □ 「結果おーらい、だから、ツッコミは、や、止めやめとく?」 □ ◁
「………………。
い、いえす、です、まい、ますたー…………」
[第三話 彼女という剣]
空には漆黒。
夜を彩る星達が、今日も輝きを見せる。
ロシア異聞帯と同じく、この異聞帯でも、星々の輝きは————同じように見える。
ゲルダの村で迎えた夜。
村の皆がベッドの上で寝静まる中————
彼女はやはり、剣を振るっていた。
「ほい、終わり」
□ 「パチパチパチパチ」 □
▷ □ 「ブラボー、オオ、ブラボー」 □ ◁
一刀での素振りから始まり、二刀、座居合、立居合、そして二刀居合と一通り終える。
それは型と称されるものなのだろうが、武蔵としては格別形式張ったことではない。
名前が何の、初伝中伝奥伝が何で順番がどうのと、そんな無駄な形式を付け加えることはない。
己が思う身体の鍛錬法と、双剣の操作技法を、確認・研究し続けているだけ。
だがそれは————
剣士であるならば誰でも、お師匠様弟子にしてくださいと、額を地に打ちつけながら叫ばずにはおられないほどの美しさ。
「ふー…………」
そのため息、長く、そして重い。
▷ □ 「どうしたの?」 □ ◁
「ん、ちょっとね。
こっちか、元のか…………、かぁ…………。
キミの歩く道の重みは分かってたつもりだったけど、…………甘かったな、私」
そしてまた、特大のため息が聞こえる。
▷ □ 「それでも、やらなきゃいけない」 □ ◁
「ええ、そうよね…………」
□ 「武蔵ちゃんは、」 □
▷ □ 「もしかして反対?」 □ ◁
「————いえ、これは、キミのいう通り、やらなきゃいけない道だと思う。
でも————…………」
その手が腰に差す刀の柄を叩く。
「私にとって小さい子っていうのは、
だから、かな…………」
▷ □ 「………………」 □ ◁
□ 「——————」 □
「そう考えると、自分が情けなくなっちゃって」
▷ □ 「情けない?」 □ ◁
「だってね、私にとっての旅っていうのは————、
どこまで強くなれるのか、
私より強い使い手はいるのか、
いるのであれば、そいつを私は斬れるのか————、
ただ、それだけだったから…………随分、安っぽい道だったな、って。
斬られたところで私一人がおっ死ぬだけ終わり。
キミのように、自分達が倒れてしまったら世界全てが終わってしまう————、
そんなものを刀に背負えたのは、
キミと一緒に、旅した時だけだったから。
キミが歩いてきた道の重みを思うと…………さ…………。
もちろん後悔なんかないわよ。
剣に生き、剣に笑い、剣に死す————って、まだ死んでないつもりけど。
剣士として望みうる最良の人生だった、って、言い切ることはできる。
でも、ね————」
▷ □ 「そんなこと、ないよ」 □ ◁
□ 「人はそれぞれ背負っているものが、」 □
▷ □ 「もともと違うんだから、」 □ ◁
□ 「どっちが安くて、どっちが重いとか、」 □
▷ □ 「そんなの全然関係ない」 □ ◁
▷ □ 「大事なのは、」 □ ◁
▷ □ 「自分の信じる道を、きちんと懸命に生きられているかどうか」 □ ◁
▷ □ 「…………じゃないかな?」 □ ◁
「……………………」
□ 「僕は、」 □
□ 「私は、」 □
□ 「俺は、」 □
□ 「あたしは、」 □
▷ □ 「武蔵ちゃんに助けられたよ、何度も何度も」 □ ◁
□ 「下総国の時だって、」 □
▷ □ 「ロシアの時も、」 □ ◁
□ 「武蔵ちゃんが気付いていないだけで、」 □
▷ □ 「本当は数え切れないほど大勢の人を、」 □ ◁
▷ □ 「その剣は、救ってるはずだよ」 □ ◁
▷ □ 「だから、言わないで」 □ ◁
▷ □ 「安いとか、情けないとか」 □ ◁
□ 「マシュ達と一緒に歩いてきた道も、」 □
▷ □ 「武蔵ちゃんが一人で歩いてきた道も、」 □ ◁
▷ □ 「どっちも同じくらい大切で、尊いもののはずだよ」 □ ◁
□ 「うん、」 □
▷ □ 「百パーセント、保証する」 □ ◁
「………………うん、
ありがとう——————。
キミと巡り会えて、本当に良かった」
剣士の顔から、迷いが消えていく。
「本当はね、私はもう
▷ □ 「終わっている?」 □ ◁
「私は————
本来ならば旅をするんじゃなくて、旅を止め、あるべきところへ行かなきゃいけないはずなの」
□ 「それって、」 □
▷ □ 「つまり…………?」 □ ◁
「そう。
それは絶対にここじゃない。
極楽————に行くのは難しいだろうから、地獄…………になるのかな?
さしずめ修羅地獄か、他のどこかに飛ばされちゃいそうだけど…………。
それは、絶対にここではないはず」
▷ □ 「そんな…………」 □ ◁
「だからね、私、露西亜でキミと再会できた時、本当に嬉しかった。
お釈迦様が、最後の御慈悲でお別れを言わしてくれたんだって思った。
それなのに、伝えなきゃいけないこと全く伝えられないままここに飛ばされちゃったもんだから、ほんとーーーーーにガックリきてた。
けど…………」
その瞳が、剣気に燃え上がる。
「露西亜で、あいつを斬った時に分かった。
例え今回が最後だとしても————、
それでも! 何度でも、何度でも! キミのところへ戻らなきゃいけないんだって!
だって————、
▷ □ 「————うん」 □ ◁
「ねえ、私を、キミの剣にしてくれないかな?
私には、もう、斬れないものは何もない。
鬼も、龍も、仏も、神も、天も、世界や、理すらも————
私の剣は、全てを両断できる、
————そう、キミが、そばにいてくれるのなら」
▷ □ 「…………うん」 □ ◁
「私が、全てを斬り伏せる。
キミの道を遮るものは、何だろうとこの刃で。
だから、キミは、そのままのキミでいて。
いつだって真っ直ぐで、どんな暗闇だって真昼のように照らしてくれる、
そんな、貴い勇気を持ったキミのためになら————、
私は、どんな奴が相手だろうと、絶対に、負けることはないから」
▷ □ 「——————うん!!」 □ ◁
「以前、見せてたけど、正式にはまだだったよね、
これが私の————、
(第四話へ続く)
「ほらー、隠れてないで出てきちゃってーーーーー!
もう私一人よーーーー?」
「…………ど、どうも…………。
あ、いえ、その、あの、
ねねね寝付けなくて、少し散歩しようかなと、はい。
べべ、別に武蔵さんと先輩のお話を盗み聞きしようとか、そいうのではないです、はい!
ただ単にちょーっと外歩こうかなぁと。
だってほら、不思議な、夜空ですし。
月も綺麗じゃないで…………………………
————————————うェィぃいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい!?!?
つつつ、
だ、だめです!
い、いえ! だめじゃないです! でもだめです!!
お二人がですね、どういったおつきあいをしようとも、わわわわ私には、ええ、そうですとも、関係ないわけでありますが、
しかし、先輩の保護者である身としてはええ、とその、なんとかかんとか、どうのこうの、
何と言ってもクラスシールダーですので、はい! です、から、あああ、あああぅぅぅ…………
あぅぅぅぅ………………」
「ほらもー、こっちこっち。
ここに座って、座って。
ね、一緒にお話ししましょ?」