FGO二部二章・改「狂焔之巨人王と三人のセイバー」   作:hR2

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第七話 冬の少女は一人想う

 

 女王の城の奥深く、少女は一人想う。

 

 

 この異聞帯に召喚されるもすぐに捕縛され、行動の自由を大幅に制限されている身ではあるが、激突の時が迫っていることぐらい感じられる。

 

 二つの陣営、二つの在り方、二つの信念、二つの生き方。

 それは決して交わらない。

 戦わずして終わることはない。

 血が流れ、死が訪れずして決着することはない。

 

 

「早かったかな。

 もうこの異聞帯が成立するか消滅するかの、決着の時を迎えようとしている。

 

 うーん。

 本来なら、そうね、竜殺しの英雄に招かれるように、その花嫁が現界するはずだった。

 それが英雄の望みであり、彼女の望みでもあるのだから。

 

 どうかな、勝算はあるつもりなのよね。

 勝てる、見込みはある。

 竜殺しの英雄はその花嫁でなければ普通は倒せないといえるけど、あの剣士はすっごく昔に普通を捨ててしまった強さだから。

 でも、()()()と戦うことになったら…………?

 なくはない、勝てるという可能性はゼロじゃないわ。

 けれど、花嫁じゃない、ってのは吉と出てくれるのかしら?」

 

 

 言葉が中断され思考に入る。

 

 感じているのは一つの存在、一つの悪意、一つの終焉。

 この異聞帯の状況を鑑みれば現界して当然であるブリュンヒルデ。

 大英雄の花嫁がいないことから裏付けられる一つの推察。

 何よりも、微かに、いやはっきりと感じられる————炎の熱。

 

 

 勝てるのか、全てはこの質問に尽きる。

 しかし、そう叫ぶ自分がいるが、そんなことよりも重要なことがあるでしょう、と叫ぶ自分がいるのも事実。

 

 

「…………。

 みんなとお喋りしたかったな…………特に、()()()とは絶対に。

 今回はそんな機会はないみたい。

 

 失礼しちゃうわよね、私に気付かないでこの世界を終わらせちゃおうとしてるのよ?

 こんな可愛いレディをエスコートしないでほったらかしにしておくなんて、男としてありえないんじゃないしら?

 むぅーーーーーー、今度会ったらとっちめてやるんだからぁ〜。

 …………怒らない怒らない、お姉ちゃんは怒っちゃダメ。

 守ってあげないとね?

 

 この牢を維持できなくなるか、維持している場合じゃなくなれば会えるけど、そんな状況っていうのはつまり————」

 

 

 勝利を、何よりも再会を。

 今はまだ祈ることしかできないけれど、巡り会えるという運命の糸はほつれていないはずだから。

 

 

 

「汎用人類史の守り手よ、カルデアの者達よ、あなた達の健闘と勝利を祈っているわ。

 あなた達が守ろうとする明日を、私、見てみたいもの」

 

 

 

 

 

[第七話 冬の少女は一人想う]

 

 

 

 

 

 そして、

 

 戦いの時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(第八話へ続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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