【旧版】GOD EATER〜神喰いの冥灯龍転生〜   作:夜無鷹

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無い物を捻り出してホコリしか出なかった感覚です。

リクエストについてですが、本編で難しそうなものはキリのいいところで、番外編として書いていこうと思います。
直近だと無印編終了あたりですかね……番外編は基本パラレル扱いになるかと。


第十五話 ペイラー・榊の考察2

「まるで、死んでいるように見えないかい?」

 

そう問うペイラーは、さぞ楽しそうだった。

モニターに映し出された比較の画像。

自発的に光り輝く方を生きていると表現するなら、確かに、光を放つことをしなくなった方は死んでいると言える。

 

「本体から切り離され、今この細胞群はコアを失っている。けれど、霧散せずに形を留めたまま存在している。実に生物的だ」

「あれを生物って、えぇ………威圧感が凄かったんスけど………」

 

単なる生物とは次元が違うと、コウタは顔を引き攣らせている。

アリサ以外のメンバーも同様に腕を組んで、報告の一つにあったアラガミの群れを殲滅するゼノ・ジーヴァの姿を想像する。

………生物的、と言うには少々難がある気がする。

要領を得ないメンバーの為に、ペイラーは分かりやすい例を口にする。

 

「極端に言うと、頭がなくなるか、心臓が止まるかで彼は完全に機能しなくなる。細胞が霧散することも、違う場所で別の個体が形成されることもなく、死ぬという事だよ。唯一無二の『ゼノ・ジーヴァ』という存在自体が消失する事でもある」

「………それで、アラガミじゃない、と?」

 

確認する様にサクヤが問うと、ペイラーは確信を持った面持ちで頷く。

オラクル細胞研究の第一人者である彼がそう言うなら、その考察はほぼ確実なものと言っていいだろう。

事実上、駆逐が出来ないアラガミと違い、理論上、殺すことが可能なら外見が化け物だろうと生物的と言える。

 

「それなら」

 

アリサが平坦な声色で言葉を発する。

 

「数が減らないアラガミよりも、簡単ですね」

 

眉ひとつ動かさず、あっさり言ってのけた。

今まで集められたゼノ・ジーヴァの目撃情報や、その脅威性を歯牙にもかけない物言い。

極東に来て日が浅いこともあり、あれこれ言うまいと控えていたが、この場にいない上官に代わりサクヤが頭を抱える。

 

「アリサ……そうもいかないから『歴戦王』なんて異名がついてるの。それに、人と同等の知能があるなら……」

「過大評価しすぎなんじゃないですか。先日のように背後を取られても気付かず、気付いても無反応だったんですから。討伐できるなら、それに越したことはないと思います」

 

ロシア支部で積んだ訓練成績のせいか、彼女は危険予測の頭がほとんどないらしい。だが、それで実戦が覚束ないのならいざ知らず、高慢な態度になるだけの成績に見合った実力を持っている。

そんな相手に、ゼノ・ジーヴァの戦闘シーンを見せず危険性を説いても意味がない。

 

「じゃあ、次に遭遇したら、何があっても討伐するのが先決って言うのか?」

 

落ち着いた口調のショウから普段の少年らしさが薄れ、細めた瞳はその色に相応しいほど冷ややかだった。

意思確認や牽制などという込み入ったものがない、ただ純粋な怒り。

アリサは冷淡な視線を正面から見返し、短く息を吐いた。

 

「当たり前じゃないですか。今、実害が無くても、今後無いとも限らないのですから。おかしな人ですね」

「おかしくて結構だよ。随分と仕事熱心だなぁって、感心してたんだ」

「はい。人類の敵を討伐するのがゴッドイーターなので。アラガミでも、そうでなくても変わりません」

 

怒りを表に出さず、静かに火花を散らす二人。

似た境遇を持っていながら、そりが合わないとは行かないまでも、両者の意見が合致しそうにないのは明白だった。

 

「えーと………は、博士!考察の続きお願いしまッス!さ、サクヤさんも聞きたいッスよね!ね!」

「え、えぇ、そうね………」

 

ギスギスと息苦しい雰囲気の中、空気の重さに耐えきれず、コウタが流れを切り替えようと努めて明るく振舞いだした。

話を振られたサクヤも、急だったため戸惑いながら同意する。

 

「そうだね。喧嘩なら後でしてくれるかな?」

「喧嘩じゃない」

「意見が合わないだけです」

 

二人の反論にペイラーは眼鏡を上げて何か言おうとしたが、返答を予想したのか口をつぐんだ。触らぬ神に何とやら。

一時調子を乱されたが、立て直すように咳ばらいをひとつ。

 

「………さて、この『ゼノ・ジーヴァ』の一部が輝きを失った原因は、私も推測の域を出ない。例えるなら、蓄電する電球の様なものだと考えている。各細胞にエネルギーが蓄積され、外見に影響を与えていた」

 

あくまで、サンプルと同種の部位がゼノ・ジーヴァ本体から離れない限り、永続的にその輝きを失わないことを仮定としている。

電気……言うなればエネルギーの供給、蓄積自体が本体から離れたことによって行われなくなり、時間が経過するにつれて蓄積分が消費され、死んだように輝きを失った。というのが、サンプルの状態変化に対するペイラーの見解である。

 

「蓄積されていたエネルギーというのは、何か分かっているのですか?」

 

サクヤの疑問にペイラーは首を横に振る。

 

「いや、さすが『未知(ゼノ)』と言うだけはある。そこは、彼という特殊な存在が持つ能力なのだろうね」

 

研究対象を称賛しているとも取れる言葉だった。

今語った考察全てが確証のない推察で成り立っており、根本的な解明に至ったわけではないのにも関わらず感心している口振りなのは、未知を探究する生粋の研究者ならではの(さが)なのだろう。

 

「ショウ君、行動を共にしていた間、彼自身から体質や特殊性に関して何か聞いた事はあるかい?」

 

ペイラーに問われたショウは腕を組みながら目を瞑り、小さく唸って交わした会話の記憶を掘り起こすが、一向に欠片すら思い出せない。

そもそも、あの時は色々と抱えて切羽詰まっていた。

アラガミである事を信じて疑わず、何か不可思議な能力を行使しても「アラガミだから」という一念で済ませていた。

 

「……聞いたことない、ですね。あの光とアイツ特有の攻撃に使うエネルギーが同色だから、同じだと思うんだけど……アイツ自身、仕組みが分かってなかったり……多分」

「ほお、それは興味深い」

 

何気なく口にした言葉だったが、糸目の奥に光るものを見た気がする。

探究心をくすぶる発言だったようで、ペイラーは興味のままに距離を詰める。

ショウは仰け反り驚きの声を漏らす。

 

「続き、話してくれるかい?」

「は、はい……」

 

返事を聞いたペイラーが距離を取った時、圧に負けたショウは安堵の息を吐く。

だが、話すと言っても理論立ててというのは無理だ。

そもそも、苦手なのだ。

 

「えーと、そういうものとして知っている感じ……って言うか……」

 

聞こえだけでもそれらしくなるように、頭の中で単語を探しながら文言を取り繕う。

 

「方法を知識として持ってるから、確実に結果を得るため考える……思案してる様子が多かったなぁって……」

「方法を知識として持っている、というのは?」

「ゼノ独自の攻撃のことですよ。エネルギーの根本は知らねーけど、使える事は知ってるから使ってる。消費後の補充にあたる行動が無かったなぁ、と。絶対っていう感じのが……」

 

短期間であったが、その間ゼノ・ジーヴァが意識的に行っている行動は、思案くらいしか見受けられなかった。

あとは、アラガミの捕食。あれは空腹から来るものだろう。深く考える事ではない。

浮かんだ記憶を自己完結させ、この人の前で思ったことを易々と言わない方がいいな、とショウは人生経験を積んだ。

 

「方法を知識として……それって本能とか、そういう部類のものじゃないかしら?」

「あー……そう、ですね……はい……」

「ショウがへこんでる……」

 

サクヤから指摘され、ショウはゆっくり視線を誰もいない壁の方へ逸らしていく。

そんな姿が久々なのか、珍しいのか、コウタは少し驚いたように呟いた。

 

「本能、か……やはり、彼は分からないことばかりだ」

 

今聞いた話を、近場に置いといた資料にメモ書きするペイラー。

頭を使って言葉を選んだ結果、先輩に論破されへこむショウを、コウタは肩に手を置き慰める。

立場が逆転している。

 

「アイツさ……一切自分のこと話さなかったんだよ」

「あー、だったら知らなくて当然だよな。うん」

「どうせ、尋ねたって言うとは限らないんだけど、やっぱり過去の一つくらい聞きたかったなぁ……」

「気になるよな。そーいうの」

 

と、なぜか友情が深まりつつあるのは目に見えて分かる。

その二人に、アリサは呆れた。

 

「全然分かりませんね。バケモノの過去なんて、どうでもいいと思いますけど」

「ああ、分からないだろうな。アリサには」

「全くあなた達は……」

 

同じ新型でありながら、絶望的なまでに馬が合わない。

ここまで来ると口裏を合わせているのか、意識的にそうしているのか、と余計な疑いが(よぎ)ってしまう。

今後も悩みそうと呟きサクヤは頭を抱えた。

 

「博士。最後にどうして私達だけが呼ばれたのか、教えていただけますか?」

 

ペイラーがメモを取り終わる頃合いを見計らい、召集された当初からの疑問を口に出す。

 

「ああ、君達は討伐班だからね。彼に遭遇する確率が高いだろうから、敵対していない可能性を頭の片隅に留めておいてほしかったんだ」

「それは、私達だけに話しても意味がないのでは?」

 

ペイラーは首を傾げるサクヤから目を離し、無関心なアリサをチラッと見やる。

 

「君達には悪いが私は現状の総戦力でも、ゼノ・ジーヴァを討伐出来るとは考えていないんだ。けれど、第一部隊には血気盛んなゴッドイーターがいるようだからね。沈静化しようと思ったのだよ。だが……」

 

糸目が細く開かれ、眼鏡を押し上げる。

本心を読ませない振る舞いは相変わらずだが、垣間見えた暗い表情は、本音が表層に浮き出たのだと一目で分かるほどに濃く滲んでいた。

 

「意味が無かったようだ」

 

血気盛んなゴッドイーター、アリサはペイラーの思惑に気付いてはいない。

非常に残念だが、言って聞かないのなら仕方がない。

 

「ああ、そうだ。これは、彼がアラガミではない事を前提とした話なんだけれど」

 

まだ続くのか、と全員が一様にペイラーへ視線を送る。

しかし当の本人は気にしていないようで。

 

「どこかに、ゼノ・ジーヴァ生誕の地があるはずだよ。範囲を狭めるなら、そうだね……最初に観測された場所。そこが可能性として有り得る」

「あの、どうしてそんな事を……」

 

ペイラーは独自の考察を終えるため、手に取ったリモコンでモニターの電源を切る。

 

「彼は、人間ともアラガミとも違う貴重な生物だ。死んでしまっては分からない事もある。私は、彼が生まれた場所に生態解明のヒントがあるのでは、と思っただけだよ」

 

直接、捜索してくれとは言わない。

気になるなら捜索してみるといい、という自発性を促すような物言い。

食えない研究者だ。

最後にペイラーはメンバー全員を見回して。

 

「見付けたら、教えてくれると嬉しいね」

 

と、付け足す始末。抜かりない。

事実見つけたとして、自分達で突き止められるかと聞かれたら、まず即決でノーと答える。

そうとなったらペイラーを頼らなくてはいけなくなるわけで。どうにも物事は上手いこと繋がっているらしい。

ペイラーの考察が幕を下ろし、順番にメンバーが研究室から出ていく際、最後になったショウが振り返る。

 

「どうして、あんたの考察は前向きなものだったんだ?」

 

ふと気になった。

何か意図があるわけではなく、ただ頭に浮かんだ。

ペイラーは手に持った資料から目を離すと、ショウを見据えて口を開く。

 

「私は、アラガミと共存出来る可能性を見出したいんだよ」

 

変わらずの狐顔だが不思議と、その言葉だけは本心なのだろうと思えた。

エレベーター前でコウタが呼んでいる。

ショウはその呼び声に返事をするとペイラーに向かって軽く頭を下げ、研究室の扉を静かに閉めるのだった。




まだ少し完全には解明出来ていない状態。
なんだろう……終始書き進めていくのがしんどかった気がする。
アリサ、お前の改心はいつになるんだ。私にはわからないよ。

それと、最近の疑問が……ゼノって何をもって歴戦王になるんですかね(致命的な疑問)。
成体と幼体の境界が分かりま(殴
検索して読み漁ってるんですが、何とも……。分かる方がいたら情報ください。お願いします。

それでは、また。
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