【旧版】GOD EATER〜神喰いの冥灯龍転生〜   作:夜無鷹

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前回書いた私の疑問への考察等々、本当にありがとうございます。

設定集買えば?というコメントがあり、「その手があったか」と本屋へ直行。
結果、買いませんでした。
ゼノ情報のためにこの厚さと金額は……と渋りました。
面白そうではあったんですがね。


第十六話 ゴールドフィッシュ

唐突だが、最近アモルがお洒落に目覚めてきている気がする。

 

切っ掛けらしい切っ掛けに心当たりはないが一週間ほど前の遊園地で、何気なく拾ったオモチャのアクセサリーをアモルにあげてから、それらしい行動を見受けられるようになった。

 

もともと光り物に目がないアモル。嗜好に磨きがかかったというか、拍車がかかったというか、自分でアクセサリーを拾ってくる回数が増えた。

 

指輪を見付ければ頭に乗せてクルクル回り、ネックレスなら尻尾にくぐらせて自慢気に振ってくる。

一向に喰おうとしないもんだから、アラガミの本分忘れてるのかと思ったよ、その時。

そこで、パッと思い至った。

 

ああ、お年頃ですか。いや、アラガミがお年頃ってなんだよ。

けどリアクションが、お洒落を覚え始めた幼女……おっと、少女のそれだった。

 

そして、現在進行形でアモルのファッションショーが行われている。

 

さあ、会場はここ空港跡。アラガミによって、奇形に抉られた数機の旅客機が転がる地。

真っ直ぐに延びた滑走路がエアポートアモルコレクションのステージです。なんも面白くねぇ。

 

えーと……太陽は頂点に差し掛かろうという時間帯であります。

観客は俺のみ。真正面の特等席で一人占めです。

本日このステージを通るのは幸運の白いアラガミ、お洒落に目覚めたアモル。

 

丸く白いフォルムは、地上を浮遊移動するフグそのもの。

集めた金属のアクセサリーで着飾り、ショーに挑みます。

……俺は一体、誰のために実況してんだ。

 

おっと、どうやら準備が整ったようです。

控え室代わりの機体の陰から、アモルが満を持して登場。

 

目上の角にルビーの指輪を引っ掛け、首にエメラルドのネックレス。ヒレには金色の花を模したアームレット。

締めの尻尾には、隙間なく埋め込まれたダイヤのブレスレット。

 

モデル歩きを匂わす動きで、自信満々に俺の方へ真っ直ぐ移動してきます。

 

あらら、随分と豪華になっちゃって。

つか、それ全部どこから見付けてきやがった。機体の貨物室か。目ざといやつめ。

 

「ピギッ!ピギィ?」

 

俺の前で止まると、アモルは「どう?似合ってる?」とでも語るように身体を傾ける。

 

そうだな。金に糸目をつけない貴婦人が、ありったけのアクセサリーを身に付けているように見える。

行き過ぎた、と言えば分かりやすいか。

ルビーの指輪だけで十分(じゅうぶん)だと思うんだがな。

 

俺がなかなか反応を示さないことにアモルは不安を覚えたらしく、距離を詰めて覗き込んでは尋ねるように小さく鳴く。

 

何かリアクションを……とりあえず、俺は顔を近づけて喉を鳴らした。

本人ならぬ本アラガミが満足してる様子だし、それでいいのならいいのだろう。

俺がとやかく言えるもんじゃねぇし、言ったところで伝わらないだろうな。

 

「ピギィ!ピギィ!」

 

アモルは数度跳び跳ねると、くるりと回って俺の鼻先に身体を擦り寄せてきた。

どうやらポジティブな方向に受け取ってくれたらいい。

 

いやぁ……チョロい。ご機嫌取りとか考えなくていいから、正直言って楽だ。

 

「ピギッ、ピギッ!」

 

自身の着飾った姿を見せて満足したらしいアモルは、振り返って来た道を戻っていく。

機体に向かってるな、あれ……え?もう一回やるつもりなの?

 

俺の気なんぞ知らず、アモルはルンルン気分で側面に空いた穴から機内に入っていく。

 

……別にいいか。

 

最後まで付き合おうと覚悟を決めたとき、視界の端で一瞬何かが光った。

一度目のお披露目でアモルが隠れていた場所。

正体を探るように目を凝らし、アラガミであることを想定して姿勢を低く保ちながら慎重に一歩ずつ近付く。

 

機体が目と鼻の先に差し掛かって機体の裏側を脇から覗こうとすると、今度は滑走路傍の海で複数の水飛沫が上がった。

 

舞い上がった白い飛沫の合間に、ちらりと金貨のような輝きが目に入る。

勢いよく海面から飛び出し、地上に着地したソイツら。

 

うざいくらいのゴールド……フィッシュ……。

じゃない、六体の黄金グボロ。

ゴールドフィッシュラッシュ。耐久力最低の雑魚要員。

 

アモルのいる機体を背にして、吼える黄金グボロと向き合う。

 

「ピギィ?」

 

機内から顔を覗かせるアモル。

しかし、俺を隔てて黄金グボロを目にし、サッと機内に姿を隠した。

分かってらっしゃる。

 

その隙に前衛を務める黄金グボロ三体が、真正面から進行開始。どこの直線番長だお前ら。

 

俺は両の前足を地面に押し込み、集中させたエネルギーを流す。

初めは手前で数ヵ所の爆発。

続いて、前方へ連鎖的な爆発が扇状に広がっていく。

 

直線番長三体が腹に爆発を受け転がる後ろで、後援の三体が砲塔を構えていた。

 

打ち出すまでのモーションが長い。

脳天直撃弾の類いか?

よし、アイツらの肉質は最弱だ。俺も直線番長するとしよう。

 

俺は前足を引き抜き、爆発を追うように地面を蹴る。

レッツパーリィィィィィ!!

 

両翼を地面と平行に広げ、爆発に巻き込まれ怯む黄金グボロ三体に突撃。

中央一体の砲塔を噛み砕いた上で、再度噛み付き走る速度を緩めないまま引き摺る。

左右の二体には翼腕部分を引っ掛け力ずくで押す。

 

後援の三体が火球を打ち出してから、まず咥えているグボロを持ち上げ、射出された火球目掛けてぶん投げ相殺。

後方一体が、飛ばされた黄金グボロの巻き添えを食らい二体揃って海へ落下。華麗な水飛沫だ。

 

直後、飛んできた二つの火球をブレスで打ち消す。

 

次、走る速度を落としつつ、いつの間にか刺がある部分に喰らい付く形となっていた二体を、翼腕を突き刺す要領でクールタイム中の後援二体にぶつける。

 

力任せに叩き付けた翼腕の刺がグボロの口内を通り、下敷きになっている黄金グボロ共々貫く。

 

数秒悶え、四体は無事沈黙。

 

ぐちゃぐちゃと絶命したグボロ四体を貪りながら、コアを回収、捕食。

んー……全体的に科学の味がする。今後、率先して喰おうとは思わないな……。

 

瞬間、海から三度目の水飛沫が上がった。

陸地に現れたのは、砲塔とヒレが結合崩壊している一時帰還組二体………プラス五体。

 

ん?五体?どこから湧いたそのプラスアルファ。

ゴールドフィッシュが増殖してもさ、俺はあの独眼竜筆頭みたいにハイテンションパーリィは長続きせんのよ……。

 

先手必勝レッツパーリィィィィィ!!

 

黄金グボロは右手側に三体、左手側に三体、正面に一体。

結合崩壊の二体は左右に別れて一体ずつおり、全数七体のゴールドフィッシュフィーバー。

 

金ピカ魚類が何匹いても嬉かねぇよ。

俺がゴッドイーターだったら換金素材キャッホイしてたろうが、今は何それ美味しいの?状態なんだよ。

 

そういうことで、ゴミは消毒だ!

 

まず、正面の金グボロと突進対決。

俺に押し負け怯んだところを頭上から噛み付き、砲塔とヒレを粉砕。

そのまま尾ひれを手で抑え、グボロの上半分を引き千切る。

 

顎を上下に引き裂く形になったグボロは、コアが剥き出しの状態で絶命。

 

例の如くコアを抜き出そうとした瞬間、翼や背中に微熱が広がる。

両サイドにいる黄金グボロ計六体の参戦意思表示だ。

 

もう面倒になってきたので、左手側の三体に薙ぎ払いゼノビーム。

コア回収する間も無く霧散。

 

逆サイドの残り三体は砲撃を継続。

 

当たってはいるが、(たい)してなんだよなぁ……。

だからと言って、いつまでも大人しく的になっているつもりはない。

 

走って三体との距離を詰めながら、射程圏内に入った火球をブレスで対応。

眼前に捉えた結合崩壊済みの一体目掛け至近距離ブレスを放った後、口を開けた流れで正面からグボロの顔面を噛み潰す。

 

俺の接近に危機を感じた他二体は飛び退いたが、逃げる気はないらしい。

近距離戦では不利と判断したのか、さっきから砲撃が攻撃の主体となっている。

 

いや、あの……対処がパターン化してるから。そんな数打ちゃ当たるみたいな……いや、当たってるけども。

火力が……ねぇ?

 

一体はアモル用に残しておくとして、もう一体は……いらないな。即刻処分してしまおう。

 

ということで、本日二度目のゼノビーム発射。

 

連れ添った相棒(黄金グボロ左)がゼノビームを(もろ)に喰らい、抵抗の隙もなく融けていく惨状を目の当たりにした黄金グボロ(右)。

一直線に放たれたエネルギーが収縮し、黄金グボロ(左)の姿が跡形もなく消えている。

 

赤熱したアスファルト。

黄金の目に、強い光が宿る。

 

残された黄金グボロは意を決したのだ。

先に逝った相棒を脳裏に焼き付け、その報復相手を睨む。

自分を奮い立たせるように咆哮をひとつ。

両のヒレをバタバタと動かし、全霊をもって走り出した。

 

 

俺と真逆の方向へ。

 

おいコラ、待たんかい!

カッコいいナレーションしてやったのに、何だその潔い脱兎は!

少年漫画の主人公的扱いしたのに、骨折り損じゃねぇか!

逃がすかゴルァ!

 

魚類の全力疾走を見せ付ける黄金グボロ。

だが、追いかける俺に尾ひれを踏みつけられ捕獲完了。

ギャンギャン鳴き喚いているが、まあ知ったこっちゃない。

空いている右の前脚で薙ぎ払い、平手打ちを食らわせてやる。

 

一発目……じたばた鳴き喚く。元気だ。

二発目……爪が僅かに当たり、傷付く。まだ元気。

三発目……暴れなくなる。まだ生きてる。

 

お前が!死ぬまで!殴るのをやめない!

外道非道なんぞ言われようが関係ねぇ!

アモルが物欲しそうに見てんだよ!仕方ねぇだろ!

世の中、弱肉強食なんだよ!

いい加減ご逝去あそばしてください、何卒(なにとぞ)

 

ハンマー武器があるんだからさ、これもダメージ入ってるはずだよな……。

粉砕、玉砕、大喝采の体現武器だろ?あれ、違う?

俺はバスター、ブラスト、バックラーでジャスガしてたよ。え、話が逸れてる?そっか……。

 

かれこれ七発は殴って、やっと虫の息。

グボロは、ボロボロだった。

 

全力で殴ったら、頭がお吹っ飛びあそばされる気がしてなぁ……だが、思い切りが大事らしい。

 

内角低め、爪で抉るように……殴るべし。

ほら、命を刈り取る形をしているだろう?

 

で、実際にその気で振るったところ、黄金グボロの頭が「パァンッ!」しました。

ホントに命を刈り取る形だったよ……。

 

目から上が消し飛んだが、まあ大丈夫だろう。

 

黄金グボロを手土産として、アモルの隠れている機体へ運ぼうと咥えようとした時。

 

「ピギィィィ!ピィギィィ!」

 

けたたましい鳴き声を上げながら、猛スピードでアモルが俺の前脚の陰へと滑り込んで来た。

 

あ?何だ、アラガミか?

 

「ああ、どうして逃げるのですか我らが神よ。我々はこんなにも懇願していると言うのに!」

 

ゆっくりと歩みを進め、仰々しく両腕を広げる神父風の男。

その後ろには同様の衣装を纏い、焦げ茶色のボロい外套を羽織る十人前後のみすぼらしい男女。

 

「おお、そちらの龍の神よ。我らの魂をどうか、どうか導いてはくださりませんか!」

 

いえ、チェンジで。

ああいや、この場合は違うか。

 

神は死んだ!

これだな。いや違うか……?この際、どうでもいいか。

 

俺がそんな事を考えていると、神父風の男がズイッと一歩踏み込む。

 

「先程の理不尽振り……貴方こそ我々を導く神の遣わした淘汰者!身体は消滅すれど、魂は貴方という神と共にあり、不滅!さあ、身を委ねるのです……」

 

男の言葉を合図に、本人含めその同士達も両膝を地面に付き、胸の前で両手を固く結び祈りのポーズを取り始めた。

 

何だよコイツら……。

俺はゴメン被るぞ、そんな………知るか!

その物言い、その姿勢、その無責任な精神……理由は分からんが腹が立つ。

 

失せろ!

 

沸々(ふつふつ)と沸き上がる言い知れぬ嫌悪感のままに、抑止を効かすこともなく何かのタガが外れたように咆哮を放った。

 

感情に影響を受けたエネルギーが、口の端から白炎のようにゆらゆらと漏れ出る。

 

虫酸が走る。

理由は分からない。

だが、ひとつだけ断言出来る。

 

こういう人種は憎悪が湧く程に、反吐が出る程に……。

 

 

 

 

───大ッ嫌いだ。

 

 




今回はリクエストのゴールドフィッシュ……じゃない、「黄金グボロ出して」というものでした。
金グボロ関連はもう一件あったのですが、そちらはまたの機会に。すみません。

主人公さん、怒りをあらわにしたのは初……?

狂信者の思考回路ってこんな感じ?

次回もリクエストの流れにする予定です。
狂信者(カルト信者?)関連とだけ……。

それでは、また。
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