【旧版】GOD EATER〜神喰いの冥灯龍転生〜 作:夜無鷹
ほぼシリアス展開は疲れました。
大まかな筋は考えてたんですが、意外と難産だったなと思います。
それと、あと少しでゴッドイーター3発売ですね。
まあ私は、プレステ4から買わないといけないんですけど………。
数秒の
………下手に動かないほうが良いなコレ。
シリアスまっしぐらだが、あえて言おう。
ぶったね!?親父にもぶたれたことないのに!
ま、親父の顔忘れてるけど、状況的に言ってみたかったヤツ。サーセン。
「………な………てんだよ………」
巨体に似合わずビクついてる中、消え入るような声に視線を送ると、茫然としていたショウが拳を握り締め俯いていた。
俺を見据えていたリンドウもショウの異変に気づいたらしく、煙草をくわえたまま耳を傾けている。
するとショウが、伏せていた顔をバッと上げた。
「いきなり何してんだよアンタッ!!」
薄い水色の瞳をギラつかせる怒りに満ち満ちたショウの絶叫。
怒りを真正面からぶつけられたリンドウは予想外の事態に目を丸くさせ、くわえていた煙草が地面に落ちる。
あー……心中お察しします。
アレだよね、ゴッドイーターとして人を守ろうとして、それが裏目に出ちゃった感じだもんね。複雑だわー……。
「
ショウの訴えるような物言いに、リンドウは反論するどころか困り果てた様子で頬を掻いていた。
あ、あのですねショウ君?俺の肩を持ってくれる分には非常にありがたいんだけどね?それは主観的な話であって、リンドウさんからしてみりゃあ俺は危険生物以外の何物でもないんですよ。
よって、リンドウさんに非はないわけでして、分かっていただけ……。
「ゼノちゃんは悪くないの!ホントだよ!」
激昂した兄に触発されたのか、俺とリンドウの間にリイサが割って入って来た。説得……というより、両手を左右に目一杯広げて明らかに俺を庇っている。
兄妹揃って何してんの。いや、嬉しいよ?嬉しいけども。目的を忘れてないかい?確か、ゴッドイーターになる為に極東支部へ向かう予定で……。
「……
ん?あの時?両親はアラガミに喰われたと言ってたが……その事か?まあ、外にいればアラガミに襲われることは当たり前だろうし、両親のこととは限らないかもしれないな。
相当ナイーブな部分なんだろうとショウの様子を見ると、悔しそうに唇を噛んでいた。
「母さんと父さん、それから他の人達も……みんな、アラガミの餌になった。何回も、何回も、何回も……けど、ゴッドイーターは一回も助けに来てくれなかった」
険しい表情のショウの口からポツリ、ポツリと言葉が紡がれる。
一つ一つの音は静かだが、一切の言葉を挟まず聞き入るだけの想いがひしひしと伝わってくる。
「『何があっても護るから』って笑ってた母さんも、『アラガミなんかに負けねぇよ』って豪快に笑ってた父さんも……死んだ……!」
一旦言葉を区切るとショウは、口を固く結んでその足を進める。
俺の前へ、リンドウの前へ……リイサと横並びで両手を広げ、まるで立ちはだかるかのように……。
「母さんと父さんみたいに、一度も助けてくれなかったゴッドイーターを信じるより……オレは、一度でも助けてくれた
言い切ったなショウ。
リイサも何も言わないあたり、兄と意見は同じようだな。
立ちはだかる二人を前にしたリンドウは、いつのまにか臨戦態勢を解いていた。俺を睨み据えていたあの鋭い視線さえも外れ、今は固い意志を宿す子供二人と向き合っていた。
……えーと、俺さぁ……長いシリアスモードってのは得意じゃねぇんだわ。それに、人間同士仲良くすべきだと思うんだよね。
俺は、鼻先で少し強めにショウの背中を押してやった。
不意打ちで転びそうになったショウは寸でのところで踏ん張ると、振り返った勢いのまま俺に怒鳴ってきた。
「な、何すんだよゼノ!危ないだろ!」
加減してたんだから、そう怒んなよ。和解のキッカケを作ろうと思ってたのにさ………。
俺がショウの言葉に耳を傾けず顔を
「お兄ちゃん、ずっと怖い顔してたからじゃない?ゼノちゃんは、ケンカはダメって言いたいんだよ!」
「リイサだって同じ事してただろ!何でオレだけ……」
どうやら不服そうだな。そりゃ決まってんだろ。
え、なに?ロリコン?いやいや、オニオンは好きだけれども。
怪物を前にしていながら和気藹々とした雰囲気の二人を見たリンドウは微かな戸惑いの色を浮かべたが、それはすぐに消え掛ける言葉を探すように頬を掻く。
そして、新しく取り出した煙草に火をつけると、気まずそうに重々しく口を開いた。
「あーなんだ………悪かったな」
煙を吐いて苦笑した。
これで一件落着かと思いきや、ショウが食って掛かる。
「アンタが謝るのは、オレ達に対してじゃない。アイツに対して、だ」
そう言うとショウは俺を指さした。
ん?俺?俺なの?いやだって、リンドウは別に間違ったことしたわけじゃないはずなんだが?
しかし当の本人はショウの言い分には一理あると解釈したらしい。笑っていた。
神機を地面に刺し、左右に退いた兄妹の間を歩いて、垂れた俺の顔の横で立ち止まった。
「………悪かったな」
それは、心の底からのものだった。。敵対の意思、態度、言葉、表情………どれをとっても兄妹の説得によって南下し、また削がれていた。
俺は人の言葉が話せないから、爪で地面に文字を書く。
"あんたは、ゴッドイーターの仕事をしただけだ"
「………!こりゃ一体どういうことだ………?」
俺が書いた文字を読んだ瞬間、リンドウは瞠目する。
「ゼノ………ゼノ・ジーヴァは、オレ達の言葉を理解してる。文字も知ってたから、それで会話もできるんだ」
「とっても賢いんだよ!ゼノちゃんってすごいの!」
ショウは淡々と補足的説明をし、リイサは嬉々として褒める様に語った。
「ゼノ・ジーヴァってのは、このデカブツの名前か?」
「うん、そうだよ?」
「自分でそう名乗ったんだ」
二人の回答を聞いたが、リンドウの中ではまだ疑問が渦巻いているらしい。
その証拠に、眉を
「お前さん、本当にアラガミか………?」
彼の疑問はもっともだ。
言葉、文字を知らないであろう
たまったもんじゃないだろうなぁ。捕食した対象の形質を学習するだけじゃなく、そいつが持ってた知識まで取り込んでいるなんてなったら…………。全てが全て人間にとって良い方向に転ぶとも限らないからな。
ま、アラガミがそんな特性持ってるかは知らんけど、俺の記憶じゃあ学習するだけだった気がする。それでも、
それに、俺の行動はアラガミの基礎行動に背いてるからな。
自分と似た形質のものは食べないのがアラガミの基本的な捕食傾向だが、それを考慮すると周り全てが俺の捕食対象になるはず。なのに喰うどころか襲ってないからね。
そこが一番引っかかってんだろう。
まぁ俺は、アラガミだけ喰って人には尻尾振りますが。精神が人だから、人に殺されたくないんですよ。俺はそう思います。
あ、でもアラガミにも殺されたくないなぁ………どーしよ。
「死にたくない」でファイナルアンサーだな、うん。
ともかく、リンドウの「お前アラガミ?」という質問に対しての俺の返答は………。
"さぁ?どうだろう"
俺自身、正直よくわかっていない。
だから全部ひっくるめて、『暇な神の悪戯』だと考えている。
それで納得できるかと訊かれたら、納得出来ないと答えるだろう。しかし、今はそれで納得するしかない。
そして、俺の素性なんかより、優先すべきことがある。
“何かの縁だ。ゴッドイーターのあんたに、折り入って頼みがある”
「頼み?」
唐突に持ち掛けられた化物からの頼み。
子供二人が俺を信頼し
それに、リンドウは面倒見がいい。自堕落な部分もあるにはあるが………この際関係ない。
"二人は極東支部を目指して歩いていた"
"そこを俺が拾った"
「………そういうことか」
俺の言わんとしていることを、リンドウは察してくれたようだ。
同時、ショウとリイサも俺の真意を悟る。
「なんで………」
最初に声を発したのはショウだった。
悔しそうに、今にも泣き出してしまいそうなほどに顔を歪め、俺が書いた文字を踏み乱暴に掻き消した。
「オレは、本心からゴッドイーターになろうなんて思ってない!ただ偶然………そう、ただ偶然パッチテストで適性があるって出て、それで仕方なく………」
泣きそうな声で言葉を紡いでは、何度も何度も、何度も、何度も、すでに消えた文字の
俺の頼みを、無かったことにするかのように。
「それにほら!ゼノは他のアラガミより何倍も強いんだ!外にいたって何も心配ねーよ!リイサもそう思うよな?な?」
「お兄ちゃん……」
リイサは悲しげに呟く。
身振り手振りで話す様は別れを惜しんでいるというよりも、一緒にいたい理由を無理矢理取り繕っているように見えた。
いや、違うな。俺が離れにくくなるように、感情に訴えているんだ。
でも何故?嫌なら嫌だと正直に言えばいい。思春期か?
「アラガミが来ても倒してくれるし、護ってくれるし、死んだり……しないから……」
あー……なんだ、そういうことか。
妙に回りくどい言い方をすると思えば……俺を、今はいない誰かに
「なあ!ゼノも楽しかっただろ?だから」
違う。ショウ、それは違う。
楽しくなかったと言えば嘘になる。だがその慕い方は、『今はいない人達』に向ける慕い方だ。
焦燥の眼差しで俺を見上げるショウを鼻先で押す。軽くじゃない。人なら確実に倒れる力で、突き放すように押した。
そんな俺の行動は、ショウにとって思いもよらない事だったのだろう。何の抵抗もなく尻餅をつき、今度は困惑の眼差しで俺を見上げていた。
「な、なんだよ。なんか気に食わなかったのかよ」
“お前、俺を何だと思ってる”
「なにって……オレ達を助けてくれた、おかしな
“違う”
「え……」
“お前、俺を死んだ親と重ねてやがるな?”
「ッ!そ、れは……」
ショウは言葉を詰まらせると俯いた。
『護る』、『アラガミに負けない』、アラガミと対峙しても『死なない』。これらは、死んだ両親がショウとリイサに対して交わした『守られなかった約束』。
その基準をクリアした俺は、
だが俺は、それを許容してはならない。
“俺と会うまで、お前は誰に生かされた?”
“誰の為にアラガミから逃げた?”
“なぜゴッドイーターを目指した?”
“誰の為にゴッドイーターを目指した?”
矢継ぎ早に書いた質問を、ショウは沈黙したまま目で追う。
最後の一文。最後の一文で、彼は息を飲んだ。
“両親の死を、無下にするつもりか?”
それが分からないほど、精神が幼い訳じゃないだろ?
さて、長居は無用だ。
言い方は、キツかったかもしれない。後悔はしていない、してはならない。
これが、俺にとっての正しい選択。
俺は項垂れているショウを横目に、今度はリンドウに向けて文を書く。
“二人を頼む”
「ああ。俺が責任持って連れてってやるよ」
“リンドウがそう言うなら、安心だな”
俺は立ち上がって、尻尾が当たらないよ気をつけながら身体の向きを変える。
「ゼノちゃん!」
振り向く。
リイサが大粒の涙を流して、ボロ布を握り締めていた。
「わたしね、ゼノちゃんをもう一人のお兄ちゃんみたいだなって思ってたの!優しくて、面白くて、とっても強いお兄ちゃんみたいだなって!だから……ありがとね!あんまりしゃべれなかったけど、楽しかったよ!」
そう言ってリイサは、目一杯に笑った。
あ、ヤバイ何コレ。あれだよ、なんか俺の中で目覚めそうだよ。ヤバイよコレ。
いかんいかん!
俺は一歩二歩と足を進め、キャンプから距離を置いた場所まで来てから翼を広げる。
羽ばたけば砂が舞い、全身が空へと浮き上がる。
そしてまた、アテもなく空を行く。
俺はアラガミを喰う。
それが、人の助けになるならば。
◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️
「……オレも、なれるかなぁ」
化物が書いた文字の前で項垂れていた少年は、そんな呟きと共に立ち上がる。
「アンタと一緒に訓練とかしていけば、オレも強くなれるかな」
「ん?さーな。まず、極東支部に行くことからだな」
「そうか……そうだよな!」
吹っ切れたように少年は笑う。
「ゼノちゃんも、そうしてほしいって思ってるよ、きっと!」
「ああ!」
少女の言葉に少年は力強く応えた。
そして、化物が飛び去った空に拳を突き上げる。
「アイツに自慢できるくらい強くなって……一緒にアラガミと戦おうって言うんだ!」
心の中で少年は、巨躯の人外を『友達』と呼んだ。
「アイツ、何で俺の名前知ってんだ……?」
ただ一人、リンドウは煙草をふかし、疑問を口にするのだった。
色々と強引でしたかね………?
リンドウさんほぼ空気だし、口調分からないし………。
あともう一話挟むかもしれないです。
原作前か入ってからか、扱いが微妙な話なので。
それでは、また次回。