ROCKMAN CROSSLINE   作:じゃすてぃすり~ぐ

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今回から始まる息抜き回。
戦いの合間のロックマン達の日常・・・なのですが、今回はちとスカルマンに対する補完をば・・・。
有賀先生の『ロックマンメガミックス』を読んでないとなんのこっちゃ?と思われるかもしれませんが、温かい目でよろしくオナシャス!


幕間『こ~ひ~ぶれいく:ロックマン達の日常』
コーヒーブレイクその1「再会の親子」


―ハンターとの戦いから4日後のDr.コサックの研究所。

 

 Dr.コサックがそれを知ったのは、リングマン達からの報告が来てからであった。

 

(これは・・・私は夢でも見ているのか・・・?)

 

 そう思い頬をつねってみる。その痛みが夢ではないという事を教えてくれた。

 モニターに写っているのはかつてその力に恐れ封印してしまった存在。本来ならこの世にはいないはずの存在。それが、モニターに写っていたのだから・・・。

 

「スカルマン・・・」

『よぉ、久しぶりだな博士。・・・ちょっと老けたか?』

 

 かつて死なせてしまった息子、スカルマンとコサックはモニター越しの再会を果たしていた。自分を気遣うスカルマンに、少し涙が滲んでしまうもそれを拭いコサックは答えた。

 

「ああ、もうあの事件から随分経っているんだ。老けもするさ・・・」

『だよな。・・・昔話の確か「浦島太郎」だっけか?そいつの気持ちが分かる気がするよ』

 

 苦笑交じりでスカルマンはそう答える。しばしの沈黙、その後切り出したのはスカルマンであった。

 

『あのさ』

「何だ?」

『明日・・・空いてるか?』

「ああ、空いているが・・・どうかしたのか?」

 

 コサックの問いに、スカルマンは頬を掻きながら気恥ずかしそうに答えた。

 

「その、さ。折角こうして生き返ったんだし、親子水入らずでどっか飯食いにいかねぇか?」

「飯・・・か?まぁ、別に構わないが」

 

 スカルマンの誘いに、コサックは承諾の意を示した。

 

「そ、そっか!ん・・・んん!明日、楽しみに待ってるぜ」

 

 それを聞き、一瞬ぱあっと明るい表情になった・・・と思いきやすぐさま元の仏頂面にもどり咳払いすると、そうコサックに言い、通信を終了したのであった・・・。

 

―所変わって、グリフィンC04(元鉄血支配区域)地区司令部。

 

「ど・・・どうしよう。後から緊張してきやがった・・・」

 

 かつてハンターに支配されていた基地。・・・今では、奪還され新たに『C04地区』と命名された土地に建っている基地の通信室のモニターで汗をダクダクと滝のように流しながら、スカルマンはそう言った。

 それはそうだろう、モニター越しとはいえ一度は襲い掛かってしまった上に殺そうとしてしまった人物との対話と食事だ。緊張しないほうがおかしい。

 

「どうした、スカル?」

 

 通信室に入って来たのはクルーガーからここ、C04地区司令部の指揮官代理として任命されたリングマンだ。

 

「ああ、リングか・・・。実は、明日博士と『どこかに飯食いに行こう』って言ったのはいいんだけど、後から緊張してきちまってな。・・・あの時の事気にしてるんじゃあないかって思ってもさ」

「緊張する必要ないんじゃあないか?あの時の事は博士も気にしてはいないしさ」

 

 スカルマンの言葉に、リングマンはそう答える。そ、そうか?と問いかけるスカルマンに頷くとふと気づいた事を問いかけた。

 

「ところで、お前飯食いに行くと言っても美味しい店とか知ってるのか?」

「あ”」

 

 考えていなかった、とばかりにカチンコチンに固まるスカルマンを見て、やっぱりな。と言わんばかりにリングマンはため息をついた。

 

「仕方ない、俺も協力しよう」

「・・・すまねぇ、リング」

 

 まぁ、そんなこんなで博士との食事の為に美味しい店探しをする事となったスカルマンとリングマンであった。

 

―C04地区の復興現場。

 

「んで、僕達の所に来た・・・と?」

「ああ、お前らの知恵も借りたいと思ってな。C04地区、鉄血(あのクソッたれ)共に荒らされてて無事な店はあまりないから、S09地区の美味しい店も聞いておきたくてな。『三人寄れば文殊の知恵』ってコトワザあるだろ?」

 

 荒れたC04地区の復興に必要な物資を運びにやってきたロックらS09地区の面々に、スカルマンはそう言った。

 それを聞き、うーん。と唸りながらロックは答える。

 

「そうは言っても、僕あまり分からないしなぁ・・・」

「それなら、私にお任せ下さい!」

 

 名乗りをあげたのは一〇〇式だ!

 

「この一〇〇式、S09地区の美味しい店いろいろ知ってますから私に何でも聞いてください!」

「おお、ありがてぇ!それじゃあ・・・」

 

 えっへんと胸を張る一〇〇式に、スカルマンは早速質問をしようとする。だが・・・、

 

「一〇〇式に聞いたら痛い目見るわよ?」

「アンタ、確かFALっつったっけ?」

 

 そこに待ったをかける者が。FALだ。

 

「だって、この子ラーメンばかりだからあまりセンス無いのよね。

 だから私に聞いてちょうだいな、イタリアンにフレンチ・・・美味しい店何でも知ってるわよ?」

「むぅ!それは偏見ですよ、FALさん!

 ラーメンだってリッパな料理です!大体それ、殆ど高いものばかりじゃないですか!それに、そう言うのって恋人同士で行く場所じゃあないですか?」

「確かにそうだけど、ピザやパスタはそれなりの値段の店もあるのよ?」

「ラーメンだって、色んな種類があるんです!」

「お、おーいお二人さん?」

「諦めなよ、スカルマン。こうなったらあの二人は止まらないから」

 

 FALの言葉にカチンと来たのか、反論をする一〇〇式。そして、そのままギャーギャーと口論に発展してしまう。突然始まった口論に、スカルマンは困惑し、ロックは遠い眼でそう答えた。

 

「とりあえず、他に聞くっきゃねぇか・・・」

「あの~・・・」

 

 とりあえず、二人の口喧嘩が終わりそうに無いので他をあたろうとした所に声をかける人物が。スプリングフィールドだ。

 

「アンタは、スプリングフィールドだっけか?」

「はい。食事の場所でお困りのようでしたら、私のカフェはどうでしょうか?料理とか和洋折衷なんでも出来ますし、値段もお手ごろですよ」

「ふむ、和洋折衷か・・・彼女のカフェでいいんじゃあないか?スカル」

 

 スプリングフィールドの提案に、顎に手を当てながらスカルマンに問いかけるリングマン。そうだな。とスカルマンも頷いた。

 

「それに決定だな。ありがとなスプリングフィールド」

「いえいえ」

 

 そんな訳で、スプリングフィールドのカフェに決まったのであった。一方の、FALと一〇〇式はと言うと・・・。

 

「ラーメンの方が・・・!」

「フレンチやイタリアンの方が・・・!」

「おーい、一〇〇式さんFALさーん・・・」

 

 まだケンカしてた。

 

 

―そして、翌日。S09地区の公園にて。

 

「よお、待たせちまったな」

「いや、今来た所だ」

 

 事前に指定していた待ち合わせ場所にやってきたスカルマン。そこには既に来ていたコサック博士がいた。

 

「そんじゃあ行こうか?どういう店か楽しみだな」

「おう、期待してくれよな」

 

 そう二人は会話をかわし、スプリングフィールドのカフェへと向かうのであった。

 

―スプリングフィールドが営むカフェ『春麗(はるうらら)

 

「いらっしゃいませ~、ご予約のスカルマン様ですね。こちらへどうぞ」

 

 二人が入るや否や、この店のマスターを務めるスプリングフィールドが出迎え、席へと案内する。

 席につくと、メニューを配りこういった。

 

「ご注文が決まりましたらベルをならして及び下さいね」

「ああ、わかった。んじゃあ何食べる博士?」

「そうだな、私は・・・」

 

 メニューを見ながら何を食べるか相談する二人。そんな二人を、店の窓から見守る者達がいた。そう、リングマンらコサックナンバーズとウェルロッドだ。

 

「スカルの奴、緊張せずに上手くやってるようだな」

「みてーだな~。ちこっと心配だから、見に来たんだども取り越し苦労だべ」

 

 リングマンとトードマンは窓越しに様子を見ながら会話をかわす。そんな中、ウェルロッドは店の様子を見ながら一人物思いにふけっていた。

 

(へぇ、凄くおしゃれな店ですね・・・。リング先輩とのデートにもってこいかも・・・)

 

 ぽーっと、そんなことを考えるウェルロッド。何を隠そう、彼女はリングマンに恋をしているのである。

 どういった経緯で恋をしたのかは長くなるので割愛させていただく。

 

「ん?どうしたよ、ウェルちゃん。ぽけーっと店とリングをチラチラ見て」

「ふえ!?ダイブさん、見てないでしゅ・・・あう、噛んだ・・・」

「嘘付け、ぜってぇ見てたゾ」

「と言うか、ウェルちゃんがリングに気があるって事しってるぞ」

「そうだよ(便乗)」

「あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあう・・・」

 

 ダイブマンの言葉に、動揺するウェルロッド。それに追い討ちをかけるかのように、ダストマンやドリルマン達からも言われ、顔を限界まで真っ赤にしちゃうのであった。

 

「では、私はコレにするか」

「じゃあ、俺はコレだな」

 

 一方その頃店内では、注文する料理を決め、ベルをならす。

 ご注文はお決まりになりましたか?と、スプリングフィールドがやってきた。

 

「私は、この『豚肉炒めライスセット』を」

「俺は『スプリングフィールド特製クリームシチューセット』で」

「わかりました」

 

―そして、数十分後。

 

「出来ました、『豚肉炒めライスセット』と『スプリングフィールド特製クリームシチューセット』ですね」

 

 コトリと出来上がった料理をテーブルに並べるスプリングフィールド。並べ終えると、一礼して去っていった。

 

「ほんじゃ、食べるか」

「ああ」

 

 そう言って、いただきます。と両手を合わせて会釈し、料理を食べ始める。

 暫くの沈黙。不意に口火を切ったのはスカルマンだった。

 

「美味ェな」

「?」

「・・・俺ってさ、一度死ぬ前は録にメシとか食べた事無いんだよな。

 生まれて当初は、ワイリーの野郎にこき使われてたし、事件が解決したら封印されて、封印が解かれたら解かれたで、ゴタゴタ起こしてロックマンに倒されて・・・」

 

 シチューをすすりながら、スカルマンは続ける。

 

「そんで、ずっとあのまま蘇らずに俺は永遠に眠り続けるんだなって思ってた。

 だけど、奴らに蘇らされてもう一度兄弟に会う事が出来た。・・・んでもって、アンタとこうして飯を食べる事が出来た。蘇るってのも悪くねぇな」

「・・・それは私も同じだよ」

「あん?」

 

 コサックの言葉に、どう言う意味だ?と言いたげに、スカルマンは声をあげる。

 

「あの時、死んでしまったお前が生き返ったと聞いて、私は耳を疑ったよ。

 そして、実際にお前と話をして、『飯を食べに行こう』と誘ってくれた時、嬉しい反面で私は不安も抱いた。・・・『私にそんな資格があるのだろうか?』とね」

 

 自嘲気味に、コサックはそう言って続ける。

 

「私がお前を恐れてしまったばかりに、あんな事になってしまいその結果、お前を死なせてしまった。

 果たして、お前に合わせる顔なんかあるのだろうか?とそう思ってしまった。悩んだ挙句、やはり断ろうと思ったよ。だが、そんな私を後押ししてくれたのが、リングマン達と、カリンカだ」

「リング達と・・・お嬢様が?」

「ああ、『いい加減、自分を許してあげてくれ』そう言われたよ。それと、カリンカから伝言を貰っているんだ」

「伝言?」

「『あの時、あんなひどい事を言ってごめんなさい』・・・だそうだ」

「そっか・・・」

 

 スカルマンの目が涙で潤んでいく。そして、いつの間にか涙が溢れ出し止らなくなっていた。

 

「ごめんなさい・・・!ごめんなさい・・・皆に迷惑をかけて・・・!」

「謝るのは私の方だ、スカル・・・!辛い目にあわせてすまなかった・・・!」

 

 対するコサックもまた泣いていた。二人は、あの事件から今に至るまでの空白を埋めるかのように静かに泣き続けていた・・・。それから数分して・・・。

 

「なぁ、博士。アンタにあったら、伝えたい事があるんだ」

「何だ?」

 

 ひときしり泣き終え、どこかスッキリした表情でスカルマンは言う。

 

「ただいま、『父さん』」

「お帰り、『息子』よ」

 

 スカルマンの言葉に、コサックは晴れやかな笑顔でそう答えた。

 こうして、長い年月を経た親子の再会は終わりを告げたのであった。

 

Next コーヒーブレイクその2・・・。




はい!と言う訳で、コサック博士とスカルマンを再会させちゃいました。
・・・本音を言えばカリンカちゃんも登場させたかったのですが、ちと話が長くなりそうなので伝言のみと言う形に・・・スマヌ、スマヌ。
第二戦役のラストらへんでスカルマンを復活させる辺り『復活させたんだしメガミでのスカル救済をやろうかな?』と思って書いたのがこのお話。
メガミほんへでは、今際の際の一瞬だけの和解だったスカルマンとコサック博士。せめて、この小説では完全に和解し、和気藹々と仲良くして欲しい。そう思って、書きました。蛇足かもしれないけれど、スカルマンには幸せになってほしかった。たとえ、上質な料理にハチミツをぶちまけるような行為であると言われても後悔はしていません・
さて、次回は何にしようか・・・。いっその事、ロックマンとM4をデートさせちゃうか・・・?迷うなぁ・・・。
何はともあれお楽しみに!
それでは~。

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