最後らへんに、コラボの導入があります。一体どの作品とコラボするのかは・・・お楽しみに!
では、始まります!
―S09地区市街地
(うう~・・・緊張する・・・)
S09地区の街にある映画館、そこにM4は居た。ガチガチに固まった様子で。
「えーっと、ポップコーンのペアセットを下さい。ドリンクはオレンジジュースとサイダーで」
「かしこまりました、1000ゼニーとなります」
M4の視線の先に居るのは、ポップコーンやドリンクを買うロックの姿。そんなロックの後姿を見て顔を火照る思いになりながらも、M4はゆっくりと深呼吸する。
(大丈夫、落ち着いて・・・落ち着いて。これはタダのお礼、お礼のデートよ・・・。一番隊の皆やAR-15とSOPには感謝よね・・・本当に)
そう胸中で呟き、こうなるまでの経緯を思い出す。
―数日前・・・S09基地の談話室にて。
「ロックマンさんにお礼がしたい・・・ですか?」
「ええ、まぁ」
最近仲良くなった一番隊の面々と、AR-15、SOPとでのトークの際に思い切ってそう切り出したM4。
彼女としては、この基地に着任してから今まで助けられっぱなしであったロックに対し、お礼に軽いプレゼントを。と思ったのだが、ある問題にぶつかってしまう。
それは『男性にプレゼントする際、何をプレゼントすれば喜ぶのか?』であった。戦術人形として生まれてこの方、男性にそう言ったプレゼントをした事のない彼女は頭を悩ませる。
そう言う訳で思い切って、相談を切り出したのである。
「プレゼントかぁ・・・男の子ってどんなのが好みなのかなぁ?」
「男の子って言ったら、やっぱりカッコイイ奴がいいんじゃないかな?」
「カッコイイ奴・・・、やっぱり刀とかナイフとかかなぁ?」
「何で武器ばかりなのよSOP・・・。そこはスニーカーとかバッグでしょうに」
わいわいとあーでもないこうでもない。と話しあう少女達。そんな中、97式がこんな変化球を投げてきた。
「プレゼントもいいけれど、デートに誘うってのはどう?」
「ファッ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまうM4。そしてアタフタとしながら、97式にいう。
「デ、デートですかぁ!?そ、そういうのは・・・」
そういうのは付き合ってからじゃあないと・・・。と言おうとしたその時である。
「成る程ねー、それいいかも」
97式の提案にグリズリーがM4に割り込むように言う。
「でしょでしょ?んでもって、食事とかして~。そして、最後は幸せなキスをして終了!男の子にとってこれほど嬉しいプレゼントは無いよ~?」
「ちょ!?何言ってるんですか!?それもう、完全に恋人同士のそれですよ!ま、まぁ・・・でも、ロック君はカッコイイし、頼りになるし、何度も助けてもらってるから・・・多少は気になりますけど・・・それとこれとは・・・ブツブツブツブツ」
グリズリーの言葉に、にこやかな顔でそんな事を言う97式にM4は反論。だが、そういうのもまんざらではないのだろう、小声でブツブツと呟き始めた。
そんなM4を尻目に、「あっ、そうだ(唐突)」と一〇〇式が『でんじゃらすび~すと-真夏の夜の恋-』と言うタイトルのペアチケットを取り出した。それを見たSOPが問いかける。
「それ何~?」
「映画のペアチケットです。運試しとおもって応募したら当たったんですよ」
「あら?それ、どこかで見たなって思ったら最近話題の恋愛映画ですね。もしやそれをM4さんに?」
「そうですね。私はあまりこう言うの興味ないですし、M4さんにあげようかな。と」
95式の言葉に、頷く一〇〇式。SOPもまた、合点がいった感じで口を開いた。
「成る程~、映画デートって奴?それいいかも!ねぇ、M4もそう思うでしょ?」
「え?SOP、何が?」
SOPの言葉に、ブツブツモードから強制的に引き戻されキョトンとした様子で聞き返した。
「一〇〇式さんが、映画のペアチケット持ってるからロックマンと一緒にどう?だってさ~」
「え?なんでそう言う流れになってるの!?
と言うか、何でタイミングよく映画のペアチケット持ってるんですか、一〇〇式さん!?」
自分が思考の海に浸っていた時に、なにやら話が進んでいたことに戸惑いM4は早口にまくし立てた。
「運試しに応募したら当たりました。・・・ですが、この映画はあまり興味ないのでM4さんにあげようと」
「き、気持ちは嬉しいですけどまだロック君と一緒に行くって決めた訳じゃ・・・」
一〇〇式の言葉に顔を真っ赤にし、モジモジとしながらいうM4。そんなM4を、AR-15が叱咤する。
「M4、AR小隊のリーダーがそんなのでどうするの?
よく言うでしょ、『女は度胸、何でもやってみるもの』って」
「そうだよ(便乗)。M4、今やらなくて何時やるの?・・・今でしょ!?」
便乗するように、SOPも言う。
「AR-15ちゃんと、SOPちゃんの言うとおりだよ。
映画を見て、楽しい思い出を作るのもロックマンに対する恩返しだと思うよ」
「う、う~ん・・・ロック君喜んでくれるでしょうか・・・?」
97式の言葉に、不安がりながらもM4は問いかける。その問いに、一〇〇式が変わりに答えた。
「『案ずるよりも産むが安し』ってコトワザがあります。兎に角行動あるのみです、M4さん」
「行動あるのみ・・・ですか。わかりました、やってみます!」
「ガンバレ、M4!」
「ファイトですよ!」
皆からのエールを受け、意を決したM4はロックの元へ行き、明日映画に行かないか?と誘い、今日に至るのであった。
―話は元に戻り、S09市街地の映画館。
「お待たせ、M4さん。はい、オレンジジュース」
「あ、ありがとうございますロック君」
ポップコーンペアセットを買い、M4の元へ戻ってきたロックはオレンジジュースをM4に手渡す。それをドギマギしながら受け取るM4。
(うう・・・、覚悟を決めたとは言えドキドキが止まらない。
あの時、初めてロック君に助けられて以来、ずっとこの調子だよ・・・。今まではこんな事なんか無かったのに、どうしちゃったんだろう私)
ドキドキと高鳴る自身の胸に手を当てながら、思案にふけるM4。今まで感じた事のないドキドキに戸惑っていた。一体これはなんなんだろうか・・・?そう思っていると。
「M4さん、どうしたの?」
「ふぇ?・・・ひゃあああああああああっ!!?」
ロックの声と共に、現実に引き戻される。目の前には、ロックの顔が視界いっぱいに広がっていた。顔を真っ赤にして、ズザザザっと後ずさるM4。
「なななななな、何ですか!?」
「そこまで、驚かなくても・・・。もうすぐ映画が始まるから行こうって言おうとしたんだけど」
「へ?・・・あー、もうそんな時間だったんですね。驚いてすいません・・・」
ロックの言葉に、時計を見ると上映10分前となっていた。気恥ずかしさから、ロックに頭を下げる。
「大丈夫だよ、M4さん。それじゃあ行こうか」
「はい、行きましょう」
そう言って、二人はその映画が上映される部屋へと向かって行ったのであった。
映画の内容は、王道的な甘酸っぱい感じの青春純愛モノだった。
優しく、笑顔が爽やかな主人公と、彼の事が好きだけれど素直になれないツンデレな先輩ヒロインの青臭く、微笑ましい恋愛模様を描いた作品であった。
(へぇ~・・・面白いですね、人気なのも頷けます)
映画を見ながら、M4はそう胸中で呟く。そして、ポップコーンに手を伸ばしたその時だ。
「「あ」」
手と手が触れ合う。見てみると、ロックも同様にポップコーンをつまもうとしていたらしい。
「ご、ごめんなさいロック君」
「ぼ、僕の方こそ」
お互いに顔を赤らめながら謝罪し合う二人。・・・気まずい。
そうこうしているうちに、映画はクライマックスへと向かう。
『貴方の事が好きだったのよ!』
『・・・先輩!』
星が瞬く夜、ヒロインの自宅の屋上で主人公に想いをぶつけるヒロイン。そんなヒロインを主人公は、優しく抱きしめた。
『僕も、先輩の事が好きです』
そう言って、幸せなキスと共に曲と共にエンドロールが流れた。・・・どうやらこれでエンディングのようだ。
(いいなぁ・・・、いつか私もああいう恋をしてみたいな・・・)
エンドロールを見ながらM4は、そう思う。戦術人形でも、歳相応の思春期の少女と変わらないM4。
願わくば、自分もああ言った恋愛をしてみたい。と多少ながら憧れを抱いたのであった。
―その後。
エンドロールも終わり、映画館から出た後ロックとM4は映画の感想を語り合っていた。
「映画面白かったですね」
「うん、そうだね。あまり恋愛映画とか見ないけど、面白かったよ」
(喜んでもらえて良かった~、ペアチケットを当ててくれた一〇〇式さんに本当に感謝です)
にこやかに言うロックを見て、映画デートは大成功だと確信し、一〇〇式にお礼を述べるM4。さて、そろそろお昼だし、どこかで昼食を食べよう。そう思い、ロックに声をかける。
「もうそろそろ、昼ですしどこかで食べませんか?」
「そうだね、ここら辺で美味しい店は・・・あれ?」
M4の言葉に、ロックは頷き辺りに美味しい店が無いかを探そうとし、ふと動きを止めた。
「どうしたんですか?」
「・・・何だ、この店?こんなのS09地区にあったかな・・・」
そうM4に答え首をかしげるロックの視線の先には、茶色を主体とした木造風の外観の喫茶店があった。
「ひょっとしたら、新しくオープンしたお店じゃあないですか?」
「う~ん、そうかもしれないね。・・・とりあえずお腹すいたしあそこでお昼にしようか」
M4の言葉に、顎に手を当てながら暫く考えていたものの、お腹がすいていた為、その喫茶店で昼を食べる事と決まった。そして、喫茶店の重たい木製のドアを開いた。
そして、出迎えたマスターらしき人物を見て固まる。何故ならば・・・、
「いらっしゃいませ、ようこそ鉄血喫茶へ」
「お・・・お前は・・・ッ!?」
「鉄血のハイエンドモデル、どうしてここに!?」
そのマスターが、鉄血のハイエンドモデル『エージェント』であったからだ。
Next コーヒーブレイク その3・・・。
いかがだったでしょうか?
やはり、デートの描写を書くのは難しい・・・(汗)
もっと上達せねば・・・(使命感)
んでもって、最後らへんでいろいろ=サン作の『喫茶鉄血』からマスター代理人ちゃんが登場。一応、導入部分だけなので本格的なコラボは次回からとなっております。
勿論、コラボ元のいろいろ=サンには許可は貰ってますよ。ありがとうございます、いろいろ=サン。
次回もお楽しみに、それでは~。