ROCKMAN CROSSLINE   作:じゃすてぃすり~ぐ

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今回は『いろいろ』=サンの小説『喫茶鉄血』とのコラボです(前回もちと登場させましたが今回は本格的)
いろいろと拙い部分がありますが、温かい目でお願いします。


コーヒーブレイク その3『ようこそ、喫茶鉄血へ』

「どうかしましたか?そんな驚かれた顔をして」

「え?ああ、いえ・・・なんでもありません(な・・・何故、鉄血のハイエンド・・・しかもエージェントがここに・・・?否、それだけじゃあない!)」

 

 このおしゃれな喫茶店で鉄血のハイエンド・・・しかも、そのハイエンドの中でも地位の高いエージェントがいる事に、驚きを隠せないロック。

 何故、彼がエージェントの事を知っているのかというと、蝶事件の折にTVをジャックして鉄血が人類に対して宣戦布告を行った際に、声明を発表したのがエージェントだったからだ。

 ふと、ロックは周りを見てある事に気づく。

 

(従業員も、鉄血の戦術人形だ!・・・拙いぞ、ここは鉄血のアジトだったのか!?

 こんな事なら、休みだからって『ロックオンシステム』は勿論、バスターと全特殊武器のチップをメンテナンスに出すんじゃなかった)

 

 従業員も、一般鉄血兵であるイェーガーやリッパーである事からロックは、この喫茶店は鉄血のアジトだと判断。基地にロックマンへとチェンジする為に必要な装置『ロックオンシステム』と、戦闘に必要なバスターと全特殊武器のチップをメンテナンスに出してしまったウカツさを悔やんだ。ロックマンになれなければ実際ただのお手伝い用自律人形でしかない。

 M4もM4で、オフであるため武器は持っておらず、もしも戦闘になれば確実に潰される。もしくはあっさり捕らえられてしまうのは明らかである。

 

ど、どうしましょう・・・

と、とりあえず落ち着こう。今の僕達の格好は普通の私服だから、グリフィンの人間だってバレてはいないはずだ。

 見たところ、一般人のお客さんも居るみたいだし・・・一般人の振りをしていれば大丈夫の筈・・・多分、きっと、メイビー

 

 冷汗ダラダラ、小声で会話を交わすロックとM4。まぁ、ロックの言うとおり、現在の二人の格好はカジュアルな私服(ロックは黄色いシャツに青いジージャンとジーパンと言った格好。M4は、緑のパーカーシャツと緑のスカート)であり、喫茶店内には一般人のお客が座っており賑やかだ。一般客の振りをしていればバレる危険性は少ないかもしれない。

 

「お客様?どうかなされましたか?」

「「ウェイ!?」」

 

 エージェントの言葉に、思わず上ずったような声で返事してしまうロックとM4。

 

「な、ななななな何がでしょうか!?」

「いえ、物凄く汗をかいておりましたからどうかなされたのかと」

「だ、大丈夫ですよ。ちょっと軽く走ってきただけですから」

「そ、そうですか・・・(はっきり言って、軽く走ったというレベルではないほどの汗をかいてるのですが・・・とやかく聞かないでおきましょう)

 ・・・あら、M4?よく見たらM4じゃないですか」

 

 ロックの言葉に、エージェントは内心訝しみながらもそう答え、ふとM4を見て言った。

 

―ギックゥ!

 

 その言葉に、ロックとM4の肩が跳ねた。やばい、と電脳で警鐘を鳴らす中。M4は、どうしましょう。と言いたげに、ロックを見やる。

 

「珍しいですね、男の子と一緒にここに来るなんて。貴方の友達ですか?」

 

 そんな事を知ってか知らずか、親しげにM4に言うエージェント。当のM4本人は絶賛困惑中である。

 

(誰だお前?誰だ、お前!?貴方、そんなキャラじゃなかったですよねぇ!?もっと冷酷無比でしたよねぇ!?

 あの時、思いっきり首締めて殺そうとしてましたよね!?なのに何でこんなにフレンドリーなんですか!?)

 

 内心でものっそいキャラ崩壊気味にツッコミを入れる。一度、対峙した際に首を締められ殺されかけた相手がこうも180度変わったら、そりゃそうなる。

 一体何があったんだ?何か変なコンピュータウィルスでも仕込まれたのか?何がなんだか分からない。

 その時であるッ!

 

―がちゃり。

 

「あら、いらっしゃいませM16」

「よォ、代理人(・・・)

 

 扉を開け、入って来たのは黄色のメッシュをしたお下げの黒髪。そして、右目に眼帯をした女性が入って来た。

 その女性に、ロックとM4は見覚えがあった。・・・とは言っても、ロックの方は任務のブリーフィングで映し出された写真でだが。

 

「え、M16姉さん!?どうしてここに!?」

 

 M4が思わず叫ぶ。ん?と、女性・・・M16は不思議そうにM4の方を向いた。

 

「M4何だ、その格好h」

 

 今のM4の格好を見ながら、ロックの方を見て固まる。そして、震える声で言葉を紡いだ。

 

「おい、M4・・・。何だ、その男?彼氏か?」

「「・・・へ?」」

 

 何か様子のおかしいM16に、間の抜けた声をあげるロックとM4。咄嗟に、ハッと気づいたロックが慌てて弁明する。

 

「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいM16さん!僕とM4さんはそんな関係じゃないですよ!」

「・・・じゃあどんな関係だ?」

「僕と、M4さんは仲間ですよ」

「仲間?」

 

 押し殺すようなM16の言葉に、M4がはい!と代わりに頷き答える。

 

「かけがえの無い仲間です。私が安心して背中を預けられる、大切な仲間です!」

「大切・・・、そうかぁ・・・」

 

 M4の言葉に、俯いたM16。分かってくれたのか・・・?と思い、安堵するのもつかの間・・・。

 

「大 切 な 仲 間 か ぁ ・ ・ ・」

「「怖ッ!?」」

 

 ガバっと顔を上げたM16の顔を見て、思わずそんな声をあげる。なぜならば、顔は微笑みめいた笑顔ではあるものの、目がイっておりヤバイ事になっているのだ。

 それだけではない、目からは血涙を溢れさせ、何処を噛めばそうなるのか?口からはダラダラと血が流れており、恐怖を更に掻き立てる。ぶっちゃけ某SAKIMORIの絶唱顔みたいになっていた。

 

「大切な仲間なら、それはそれで仕方ないさ。私は、とやかくは言わないよ。M4、お前が幸せならそれでいいんだ」

((せ、盛大に誤解されてる・・・!))

 

 そんな絶唱顔のままケタケタ笑いながら、M4に言うM16を見てロックとM4は胸中でそう思った。エージェントはエージェントで何か考えているのか、顎に手を当てている。

 

「んで?アンタ、名前はなんて言うんだ?」

「え、ええと・・・ロックです」

 

 ガシっと、ロックの肩を組みながら問いかけるM16にロックは素直に自己紹介をした。そうか~、ロックか~。とケタケタ笑いながらM16は続ける。

 

「良い名前じゃあないか。なぁ、ロック」

「な、なんでしょう」

 

 グイっと、ロックを引き寄せながらM16はロックに言う。

 

「M4の事を幸せにしてくれよな~・・・頼むよ~・・・可愛い妹だからさ~」

 

 んでもって、おいおいと泣きながらロックに言うM16。こんな空気の中で、「恋人じゃなくて仲間ですよ」とツッコむ気にはなれなかった。嘘を言うのは少し気が引けるが、嘘も方便。

 意を決して、「はい、M4さんを幸せにします」とM16に言おうとしたその時である。

 

「はい、えm「こんにちは~、M16姉さん来てませんか?」M4さんが二人ィ!?」

「えっ!?私!!?」

「はい?」

 

 突如、この喫茶店に来店してきたのはM4に瓜二つの少女。あまりに瓜二つである為、ロックとM4は驚愕。M16は、眼を点にして何がなんだか分からないような顔をしていた。

 

「ど、どうなってるんだ!?AR小隊の戦術人形は、同じ個体は存在していなかったはず・・・。

 まさか、コピーロボット!?鉄血の奴らが、こんな技術まで持っていたなんて!」

「コピー?一体何の話ですか?私、れっきとした『M4A1』なんですけど」

 

 ロックの狼狽するような声に、M4に瓜二つの少女は困惑した様子で返す。

 ちなみにコピーロボットと言うのは、ワイリーの第一回目の世界征服計画の際、対ロックマン用として三次元コピーシステムによって作り上げられた戦術人形の事である。

 三次元コピーシステムで読み込まれた戦術人形と同じ姿をしている為、このM4に瓜二つの少女はそれによって作られたコピーロボットだと思ったのである。

 

「どうなってんだ、コリャ?まさか、AR-15や代理人の時と同じような自立可能なダミーなのか、このM4は?」

「いえ、私立派なオリジナルのM4ですが」

 

 こっちもこっちで、困惑気味なM16に、同じく困惑気味なM4が返す。なんともカオスな空気な喫茶店。そんな中、その空気を断ち切るかのように声をかけた人物がいた。

 

「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

 そう、エージェントだ。一斉に、エージェントに注目するロック達。それを見て、エージェントは続ける。

 

「来店した当初から、お客様方の様子がおかしいと思っておりましたが・・・この事態を見て確信に変わりました」

「確信・・・って言うと、どう言うことだよ代理人」

 

 エージェントの言葉に、M16は首をかしげながら問いかける。

 

「まぁ、単刀直入に申し上げれば・・・こちらのお方とM4は『違う世界の人間』と言う事です」

「「・・・は?」」

 

 それを聞いたロックとM4はポカンと口をあけながら、そう返した。

 

 

―代理人説明中・・・。

 

 

「・・・信じがたい話ですね。『この世界』が『僕達のいた世界』とは全く別の世界だなんて・・・。並行世界ってコミックだけの話だと思ってましたよ・・・」

 

 立ち話もなんだからと、イスに座り、エージェントもとい代理人から『この世界』についての話を聞き、半信半疑な様子で、ロックはサービスで出されたコーヒーを飲みながらそう答えた。だが、実際代理人が取り寄せてきた資料などを見て、彼女の話が真実だと思い知らされる。

 

「『貴方達の世界』では鉄血(わたしたち)が人類に宣戦布告する以前に、悪の天才科学者が世界征服を企んでいた・・・ですか。・・・何と言うか荒唐無稽ですよね」

「だな。しかも、それを阻止するために生みの親に頼んで戦術人形に改造してもらってそいつと戦うって・・・ぶっちゃけ、アニメかゲームになってそうだよなぁ」

 

 代理人も代理人で、ロックから聴かされた『ロック達がいた世界』に対しそんな感想を述べる。後から便乗して言ったのはM16だ。

 

「それはそうと、元の世界に戻る方法ってあるんですか?」

「ありますよ」

 

 M4の問いかけに対して代理人は即答で答える。

 

「・・・マジですか?」

「ちょっとキャラ崩壊してませんか、私」

 

 目が点になりながらも問いかけるM4。そんなM4に、『この世界』のM4はツッコミを入れた。

 

「ええ・・・、何でか分からないですけどね。皆様無事に帰られましたよ」

 

 頷きながら答える代理人。ふと、気になったことがあり今度はロックが問いかける。

 

「『皆様』って言うと、僕達以外にも来た人がいるんですか」

「はい、こういう事例は結構あるんですよね。・・・どういう訳か知りませんが・・・」

「「えぇ・・・(困惑)」」

 

 なんともメルヘンかファンタジーめいて現象がここで過去何回も起こっていた事実に、ロックとM4は困惑を禁じえなかった。だけど、まぁ帰れるのであればそれはそれでいいか。と割り切る事にした。

 

-グゥ~・・・。

 

「「あ」」

 

 帰れると知って安心したのか、腹の虫が鳴り出すロックとM4。そう言えば、お昼まだ食べてなかった事を思い出す。

 

 

「お腹がすいているみたいですね」

「ええ、お恥ずかしながら。昼食を食べようとおもって、ここに来たもので」

 

 代理人の言葉に、苦笑しながら答えるロック。そんなロック達に、それじゃあ。と代理人が口を開いた。

 

「ちょっと待ってください、今からお二人のお昼をお作りしますので」

「え、いいんですか?」

「勿論です」

 

 ロックの言葉に、代理人は茶目っ気たっぷりにそう返すと、厨房へと向かっていった。

 

―暫くして・・・。

 

「お待たせしました。サンドイッチです」

 

 代理人が二人分のサンドイッチの入った皿を持ってロックとM4の所へと持ってきた。シンプルながらも、どこか美味しそうな感じのサンドイッチである。

 

「お・・・」

「美味しい・・・」

 

 手にとって食べてみると、実際に美味しくロックとM4は幸せそうな表情で呟いた。

 

「喜ばれて何よりです」

 

 そんな二人を見て、代理人はニッコリと微笑んだ。

 

―ロック&M4食事中・・・。

 

「「ごちそうさまでした」」

「いえ、お粗末様でした」

 

 サンドイッチを完食し、ロックとM4は両手をあわせる。そして、ふと何かが聞こえてきた。

 

「何だろうこの音・・・」

「音?何も聞こえないが」

「私も聞こえます。・・・これは・・・」

 

 どうやら、ロックとM4だけのようでM16と『この世界』のM4は首をかしげる。代理人は何かを察したらしく、声をかけた。

 

「どうやら、そろそろお帰りになるようですね。恐らく、ここを出ればすぐ『元の世界』に戻る事ができると思います」

「そうなんですか?」

「ええ、実際に『この世界』に来られた方は皆そうでしたので」

 

 結構、すぐ帰れるんだなぁ・・・。と頬を搔きながらロックは呟くとM4に声をかける。

 

「それじゃあ帰ろうか、M4さん」

「はい、では代理人コーヒーとサンドイッチご馳走様でした」

 

 席を立ち上がり、喫茶店を出ようとするロックとM4。ふと、代理人が何かを思い出したかのように何か袋を渡した。見てみると、コーヒー豆と茶葉の入っていた。

 

「これは?」

「お土産です、基地の皆さんと飲んでください」

「ありがとうございます。あっ、そうだ・・・ここって、『ゼニー』は使えませんよね・・・」

「『ゼニー』?ああ、『貴方達の世界』の通貨ですか。取り扱ってませんね」

「そうですか・・・、このまま金を払わずに帰るのはなんか後味悪いや」

 

 頬を搔きながら申し訳なさそうに言うロックに、代理人はでしたらこうしましょう。と提案を出した。

 

「今度こちらにお出でになられた時に、ロックさんには店の手伝いをしてもらいます。それならば、今回の件はチャラになるのではないでしょうか」

「・・・そうですね、いつこちらに来るかは分からないですけどもし来たら、お手伝いします」

「ふふっ、楽しみに待ってますよ」

「はい、ではまた」

 

 M4もペコリと頭を下げ、ロックとM4は玄関のドアを開け、喫茶店の外へと出た。暫く歩き、後ろを振り返ってみると先ほどの喫茶店は影も形も無くなっていた。あれは夢だったのだろうか?

 ・・・試しに抓ってみたが痛い。それに、ロックの手にあるコーヒー豆と茶葉の入った袋が先ほどの出来事が夢じゃない事を物語っていた。

 

「グリフィンと鉄血が対立しない世界・・・か」

 

 空を見上げ呟く。あそこの世界は鉄血の人形もまた、人間達と笑いあっていた。人間と人形の共存、それは自分の父親(ライト博士)が望んでやまなかった世界。

 

「いつか、僕達の世界もああいう風に鉄血だろう悪い人形だろうと、人間と一緒に笑いあえる世界になるのかな・・・?」

「ロック君・・・」

 

 羨望の篭った声音で悲しげに空を見上げるロックに、M4はロックの名をそっと呟いた。

 今まで、ロックの事を恐れしらずの笑顔で人々を守る完全無欠のヒーローだと思っていた。だけれど、今にも泣き出しそうな彼の表情を見て、その認識は誤りだったと知る。

 その瞳はどれほどの地獄を見てきたのだろう?その身体は人々を守る為にどれほど傷ついたのだろう?M4の目に写る今のロックは脆く崩れてしまうそうに弱々しく見えた。

 

(支えなきゃ、私が・・・)

 

 M4は決意する。

 

(私が、ロック君を守護(まも)らなきゃ・・・)

 

 そう思い、ロックの手をそっと握った。緊張で顔が真っ赤になるがそれでも構わない。

 

「M4さん・・・?」

「わ、わた・・・私・・・」

 

 首をかしげるロックに、どもりながらもM4は言葉を紡ぐ。

 

「私も手伝います!私達の世界が、代理人達のいた世界のようになるにはまだ時間がかかるかもしれませんけど・・・なれるって信じてるから!だから・・・私が貴方を支えてもいいですか?」

 

 顔を限界まで真っ赤にして、言葉を紡ぐM4。そんな彼女の一生懸命さが伝わったのだろう、ロックは微笑みながらM4に礼を述べた。

 

「ありがとう、M4さん」

「ど、どーいたしまして・・・。にゃああっ!?いきなり手を掴んでごめんなさーい!!!」

 

 手を握ったままだったため、頭から湯気を噴き出しながらロックから手を離すと猛スピードであさっての方向へ走っていくM4。

 

「え!?M4さん!?M4さーーーーん!!!」

 

 そんなM4を見て慌ててロックは、追いかける。

 こうして、不思議で奇妙なM4との初デートはぐだぐだな感じで終わったのであった。

 

 

Next コーヒーブレイク その4・・・。




初のコラボ、上手く代理人ら『喫茶鉄血』のキャラを書けてるだろうか・・・心配です(ガクブル)
本来なら、ロックマンになって一触即発な空気になる。・・・と言うひと悶着を考えていたのですが、どう足掻いてもそのままドンパチやらかしそうな空気になりそうだったので、「ロックマンになれる装置をメンテナンスに出したため、一般人の振りをしてやり過ごそうとするも次々にトラブルに見舞われる」と言った展開になりました。すまない・・・、微妙なひと悶着になってしまってすまない(すまないさん)
なお、コラボ元の『喫茶鉄血』はドルフロキャラが平和にほのぼのとしている作品で、面白いですので読んでみましょう(宣伝)
次回もお楽しみに!
それでは~。

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