EP1-1『鉄血襲来!』
―時は遡る。
「えーっと、配給の肉や米と野菜にパーツ類と弾薬・・・基地に持って帰るのはこれで全部でしたっけ?」
「はい、そうですよ。すいませんロックマンさん、手伝ってもらって」
「いえ、元々僕はお手伝い用の自律人形ですからね。これくらい大丈夫ですよ」
グリフィンが管轄している地域にて必要な物資を運搬用のジープに乗せながら、ロックは黒い髪を長く伸ばしたセーラー服の少女と会話をしていた。
一見普通の少女に見える彼女であるが、彼女もまた人間ではない。『一〇〇式機関短銃』、通称一〇〇式。
同じ名を持つ日本製SMGを操る戦術人形である。
「一〇〇式ー、物資もう積んだー?」
「はい、AK-47さん。全部積みました、いつでも出せますよ」
ジープの運転席から金髪を長く伸ばした女性、戦術人形『AK-47』が一〇〇式に問いかける。一〇〇式は頷きながら答えた。
「それじゃあ基地に帰るか。ボスや博士も待ってるだろうしな、見張りをしてる奴等も呼ばないとね」
「そうですね、それじゃあ・・・」
『ワンワン!』
「ラッシュ?どうしたんだ?」
一〇〇式が無線で仲間に呼びかけようとすると、ラッシュがロックの元にやってきた。
『ワン!』
ついて来て!と言わんばかりにラッシュは踵を返すと走っていく。
「どうしたんでしょうか?」
「さぁ・・・。でも、ラッシュが徒にあんな事する訳ないし何かを見つけたんだと思います。行ってみましょう」
「それもそうだね」
3人は相談の末、ラッシュの後を追う事にした。
ラッシュを追ってたどり着いたのは廃墟の小屋。そこで、ここだよ!と言わんばかりにラッシュが吠えていた。
その傍らには少女が横たわっていた。
「この子は・・・格好からしてみると戦術人形らしいな」
そう言って、ロックは戦術人形に駆け寄る。
その戦術人形は酷い怪我ではあるものの、まだ息はあるようだ。
「急いで基地に帰って、ライト博士に診せれば助かるかもしれない」
「そうだね、一〇〇式急いで皆を呼んで。すぐに帰るよ」
「分かりました」
ロックの言葉に、AK-47はそう返すと一〇〇式に言う。
一〇〇式の呼びかけに戻ってきた仲間達と合流すると、ロックらはジープで基地へと移動。
そして、前回に至る。
―現在、司令部の医務室。
SIDE ???
(・・・?)
ゆっくりと目を開ける。
目を開けた私の視界に映ったのは知らない天井だった。
(ここ、は・・・?)
ここは何処だろう?何でここに居るのだろうか・・・?
そう思いながら私は体を起こす。
「私は確か・・・、鉄血の追手から逃げてて・・・」
「あっ、気がつきました?」
気を失うまでの自分の行動を振り返ってみると、金髪のポニーテールの少女が入って来た。
「貴方は・・・?」
「私?私はロール、ロール・ライトよ」
どうやら彼女はロールと言うらしい。ライトと言うファミリーネームにふと、どこかで聞いたような・・・。でも、今はそんな事は重要ではない。
とりあえず、ここは何処なのか聞いてみることにした。
「ここは何処ですか?」
「S09地区の司令部よ」
幸か偶然か、合流するように言われた司令部に保護されたようだ。
恐らく、この司令部に所属している戦術人形が巡回中に発見して保護してくれたのだろう。
「ロールちゃん、彼女の容態は?」
そう考えていると、ドアを開けて特徴的な髪型の男の子が入って来た。
「今、目が覚めた所よ。あ、紹介するわね。彼はロック、貴方を発見してここに運んでくれたのは彼よ」
「本当はラッシュが見つけてくれたんだけどね。始めまして、ロック・ライトです。貴方の名前は?」
「M4A1、M4でいいですよ。助けてくれてありがとうございます、見つけてくれなかったらあのままスクラップになってたかもしれません」
彼、ロック君に自己紹介をし助けてくれた事にお礼を言う。
ロック君ははにかみながら、「いえ、そんな」と私に返した。
「礼ならラッシュに言ってください。さっきも言ったように、ラッシュが傷ついた貴方を見つけたんですから」
「ワン!」
ロック君の傍らで尻尾を振っている赤いロボット犬が居た、彼がラッシュなのだろう。
「ふふ、ありがとうございますラッシュ」
「ワン!」
ラッシュにもお礼を言うと、嬉しそうに尻尾を振りながら吠えた。
そこへ、白衣を着た白い髭が特徴的な男性と、軍服姿の少年さが残る男性が入って来た。
「あっライト博士に、リツカ指揮官。M4さんが目を覚ましましたよ」
「リツカ・・・?もしかして、ペルシカさんが言っていた例の指揮官・・・」
ロック君の言葉に、私はポツリと呟く。
そんな私に指揮官は声をかけた。
「えーっと、M4A1・・・だよね?俺は、リツカ・フジマル。この司令部の指揮官だ」
「はい、M4A1です。気軽にM4と呼んで下さい」
互いに自己紹介をする。その後、まずは指揮官から話を切り出してきた。
「君の事はペルシカさんから聞いてるよ。鉄血に関して何かしらの機密情報を持っていて、それで奴らに狙われてるって事もね」
本来なら、ヘリアンさんから指令を受けてから君を捜索するつもりだったんだけど。と肩を竦め続ける。
「ロック君が、君を見つけてここに運んできてくれたから手間が省けそうだよ。後は、この事をヘリアンさんとペルシカさんに伝えたら任務完了・・・」
そう言いかけたその時だった。
―ビィーッ!ビィーッ!ビィーッ!
突如として警報音が鳴り響いた。
それと同時に、緑色の完全機械タイプの自律人形が慌てて入ってくる。
「た、大変ダスー!リツカ指揮官、ライト博士ー!」
「ライトット、どうしたんだ?!」
ライトットと呼ばれる人形は、息を切らしながらゆっくりと呼吸を整えると私達にこう言った。
「鉄血の人形達がここの司令部に攻めて来たダス!」
SIDE OUT
―数分前、司令部付近にて・・・。
「ここにM4が居るんだな?」
「はい、このスパイカメラにもあの司令部に運ばれる姿が確認されました」
司令部を双眼鏡で見ながら部下であろう女性に問いかける、大剣を持ち黒髪を長く伸ばした女性。
無論、彼らは人間ではなく、人形である。だが、一つだけ違うのは彼らは『鉄血』と言う人類の平和を脅かす集団である事だ。
彼女は双眼鏡をしまうと、片手を上げる。それと同時に背後に待ち構えていた大勢の鉄血人形達が立ち上がった。
「野郎共、聞こえたな!?今から目の前の司令部にカチコミをかけるぞ!出来るだけ無傷で捕らえるのはM4A1のみ、それ以外のグリフィンのクズ人形どもは全て始末しろ!」
「「「了解しました!
声を揃え、返事をする戦術人形達に処刑人と呼ばれた女性は満足そうに頷くと、号令を放った。
「突撃!
その一声と同時に、鉄血人形達が司令部に攻めて来た。
今、S09地区司令部に未曾有の危機が迫ろうとしていたのである。
英雄、再び。―Rockman,Reboot―
NEXT EP1-2・・・。
次回、英雄再び戦場へ。