―――ちょっと待っててくれよ。
―――はい、待っています。
―――わりぃな、まだやらなきゃならないことがある。
―――はい…わかっています。
―――はっはっは! そんな顔すんなよ、悲しい顔でも綺麗な顔は綺麗な顔だけど、俺はいつもの無表情の方が好きだ。
―――笑顔を見せてくれると尚良しだ。
―――んじゃあ、まぁ…行ってくるわ。
―――ウルスの忠誠は永久、故に、何時までも待っています。
「すまん、シャーロック、もう一度言ってくれるか?」
「ああ、構わないよ」
俺とシャーロックはイ・ウーの中のとある一室で話をしていた。
なんで話をしているかというと、俺が自分の部屋で5-7とSAAを整備していたら、シャーロックに呼ばれたので来てみたら…。
「第一次世界大戦、前回の極東戦役、第二次世界大戦、最後にインドネシア独立戦争で君の存在が確認されている
、つまり、君は今回以外に、この世界に転生したことがあるということだよ」
「おいおい…マジか…」
確か、俺が一回の転生で第一次世界大戦、第二次世界大戦を経験したのは…前々回の世界だ。
極東戦役って名前の戦争もそのときの世界。んでインドネシア独立戦争で鬼たちと超人たちに殺された。
つまり…。
「ってことは…シャーロック、モンゴル北部、バイカル湖の南方の当たりに、いや、出来るだけでいいからその近くにイ・ウーから俺を降ろしてくれないか?」
「どうしてだい?」
「待たせてる人がいる、二人いるんだけど、そのうちの一人がそのあたりにいる」
俺がそう言うと、シャーロックは少し難しそうな顔をする。
「君が派手に暴れたせいで香港は規制が厳しくなっている、このイ・ウーが停泊出来る場所結構限られているんだ。それに、イ・ウーはその隠匿性が強み、同じ場所、というか地域に留まり続けるのは危険なんだ。君なら、わかるよね?」
ああ、わかってる…けどさ…。
あの世界に俺が生まれたのは1900年、そして死亡は1945年に始まったインドネシア独立戦争。あれのいつごろか忘れたけど、途中で死んだ。
オランダに待たせている奴は、俺と同い年だったはずだから、普通に考えて生きてるはずがない、生きていれば106歳になっているだろう。
もう片方は…まぁ、寿命とか関係なさそうな奴だったしな…。
待たせている彼女は死んでいるかもしれないが、せめて墓参りだけでも…そして、謝りたい…。
待たせて悪かったって…。帰れなくてごめんなさいって…。
「ふぅ…仕方がないね…。来夢くん、来なさい」
シャーロックが椅子から立ち上がり、部屋の奥の扉を開いて歩いていく。
「え…? お、おう」
少し驚いてしまった。
がまぁ、シャーロックについていく。どこに行くんだ?
しばらく、歩いたあと、暗い、そしてでかく、工具となんかよくわからない機械がたくさん置いてある部屋についた。
シャーロックが持っていた杖、というかステッキを地面でトンッとならすと電気がついた。
部屋の真ん中には壺が鎮座していた。
「んむ? シャーロックなりや?おん」
壺から可愛らしい声が聞こえる。壺の中に誰かいるようだ。
ん?ちょっと待て、この声どこかで聞いたことあるぞ…?
えーと、いつだっけか…。
「ああ、壺、悪いんだけど、彼をここから打ち上げて、バイカル湖まで飛ばせる、ロケットを作ってくれるかな?」
そんなもんで俺を飛ばすつもりだったのか!?
しかもロケット!? あと運が悪けりゃ撃ち落とされるぞ! それ!
「ふむ…」
壺が少し開いて、中から俺をうかがう気配がする。
この気配もどこかで感じた気がする…。
どこかで…? 会ったよな?
どこだろう…?
「…ッ……!?」
壺が突然その場で飛び跳ねた。
予想外過ぎてちょっとビクッてなってしまった。
それどうやって飛び跳ねたんですかねぇ?
「ななな、汝、何故生きておる!? 確かに死んだはず!おん!」
確かに死んだ…?
まるで俺が死んだところを見たような…いや、見たのか。
あ、あー!
「あー! なるほど、お前、
そう言いながら、手を少し開いて、少し脇を開ける。これでいつでも銃が抜ける。
目を細めて壺の様子をうかがう、一人では勝てないと思ったのか、向こうも動かずにこっちの様子を伺っている。
場に沈黙が訪れる…。と思ったがシャーロックが突然口を開く。
「推理していたよ。やっぱり君たちは知り合いだったんだね」
「おう、俺がハーレム状態で殺し合った仲だよな。壺」
「何故…生きておる? 確かに死んだ。確かにその命果てるところを見た」
「まぁ、確かに死んだよ、一回。転生した」
俺はそこで言葉を区切り、
壺は警戒はしているが動かない、ここで戦闘になったらほぼ間違いなく向こうが負けるから警戒するのは当たり前だ。
シャーロックは静観するつもりみたいだし。
俺を殺したときは俺が超人数人倒したあと連戦で鬼の一味がほぼ全員来たからな。
「んで? ロケット造ってくれないか? どうしても行かなきゃなんないんだ、というか、お前らのせいで約束破っちまったんだから責任とれよ」
「人の一生は短く桜のように儚く散り行くおん、約束した相手は死んでおる」
「それでも、墓参りくらいはしたいもんなんだよ、人間はさ」
「わからぬ」
「大丈夫だ。お前らはもうわかっているはずだから」
元々、お前らは人の一族、鬼という人種なのだから…。
そう言ったあと、俺は
「あと、お前らのことは恨んでねぇから安心しな。やられたらやり返すけど、あれは俺がやったからやり返されただけだしな。それに、お前らのことは嫌いじゃない」
俺は両手を上げて戦闘の意思はないと伝えると、いまだに警戒している壺に向かって聞く。
「んで? 協力してくれるのか?」
「………よかろう、力を貸してやろう、明日ここに来い、完璧に仕上げて見せようおん」
少し考えたようだが、なんとか了承してくれた。
これはシャーロックの存在も大きいのだろうな。
「そうかい、ありがとさん」
俺はその言葉が聞ければもうここには用がないので、先に部屋から出ようとしているシャーロックについていくようにして部屋からでようとする。
だが、途中で言い忘れていたことがあったので壺の方に半身だけ振り返って笑いかける。
「なんで壺なんかに入ってるのか知らないけど、今度は壺じゃなくて
そう言ったあとすぐに前に向き直り、部屋を後にする。
出た後、しばらく歩いたあたりで少し前を歩いていたシャーロックに声をかけられる。
「いやぁ…流石だね」
「なにがだよ」
「流石、僕が君以上の女たらしは存在しないと思っている人だ、あのタイミングで君と壺の関係性でさらにあの顔であんな台詞回しで彼女のコンプレックスを肯定してさらにほめることが出来るなんて、本当に凄いね」
いや、お前いっつも俺のこと女たらしとかなんとか言うけどさ、俺は本心を言ってるだけである、そこは譲らん!
だから別に女性をたぶらかしているわけではない。
「うん、君が考えてることは手に取るようにわかるけど、どう考えても君は女たらしだと思うよ」
「いやいや、あんなんで俺を好きになるわけないじゃん。俺は隠し事が苦手なだけだ」
「君の性質の悪いところは微妙に鈍感なところだよ」
シャーロックが何を言ってるのかわからない…。 個人的に敏感じゃないと生きていけなかったから鈍感ではないと思うんだけどなぁ。
「ほら、また一人増えたよ?」
「いや、何が?」
「君にたぶらかされた女性…かな」
「どういうことだってばよ?」
シャーロックが不可解なことを言っている。
思わずシャーロックを見るが苦笑いをするのみ…。
と思ったら手を上げて。
「じゃあ、私は自室に戻るよ」
そう言ったと思った瞬間消えた。
瞬間移動まで使えるのかお前…。
「あ、あの!」
誰かが近づいてきてるのはわかったが、シャーロックの瞬間移動に気を取られ過ぎてどれくらい近づいていたのかわからなかった。
敵意がなかったから放置してたけどさ。
でも突然大きな声で話しかけられるとは思わなかった…。まぁ、とてもびっくりしたということだ。
「あぁ、リサか。どうした?」
「助けていただいたので、お礼をと思いまして…」
「別にいいよ、礼なんてさ。俺は知り合いに死なれるのは嫌だったから助けただけだし…」
「いえ、それでもお礼くらいは…本当に、ありがとうございました」
うん、まぁ…いいか。別にものを貰うわけじゃないし、礼くらいは受け取っておこう。
「どういたしまして、だ。リサみたいな愛らしい子が死ぬのは俺としても耐えられないからな」
なんだろう? 俺は一言しゃべるごとにこういうことをつけたさないといけない呪いでもついてるのだろうか。
シャーロックに言われたから意識してみたら、気付いたら言ってたみたいな状態だぞ、おい。
「あ、愛らしいだなんて…そんな……」
「謙遜することはないぞ、君が死ねば人類に多大な損失が出たと言えるくらいには可愛い子だ」
「へぇ、そう、来夢…。何をしているかと思えば…口説いてないでさっさと部屋に戻るわよ」
気配消すのが上手くなったじゃないか伐乃、イ・ウーに来たおかげかな?
誰にならったんだその気配の消し方。
「はいはい、わかりましたよっと、じゃあ、リサ明日からしばらく会えなくなるかもしれないけど、またな。伐乃にも言っとくな、明日からちょっと旅に出る」
「随分急ね…。私も」
「ついて来なくていい。というか、ついて来ないでくれ。ちょっと、約束破っちまったからさ…俺の問題だし、大丈夫、帰ってくるよ」
そう言いながらリサにまたな、と言って自分の部屋に入り、扉を閉めてそのままベッドにダイブする。
明日はいつごろに行けばいいのかわからんが、取りあえず、朝に行ってみることにしよう…。
俺の意識はすぐにまどろみの中に落ちていった。
大戦の時代にウルスの子にフラグ建ててた来夢君。
女たらしですからね、しょうがないね。
こんな言動しといて童貞ですが何か?
感想待ってます。
次回も頑張ります。