ゆっくりしていってね!
伐乃をお持ち帰りしている途中。
早朝ということもあり、通行人はいない。
早朝というか、まだ夜だろう、日が昇ってないしな。
人がいたらいろいろ面倒だからうれしいことだが。
「なんで私も連れてきたの?」
伐乃は目がそろそろ治ってくるだろうが、まだ目を閉じたままで聞いてくる。
そんな当たり前のこと聞くなよ。
「俺は男だ、美少女が大好きな男だ、男ってのは女を守るもんだろ?それに言ったろ?顔が結構好みだってさ、あのまま置いといたらお前、逃げるのに結構手間取るだろうし、ナイフもたくさん消費していたんだ、捕まってたんじゃないか?」
「そうかもしれないわね…はあ、でもあのお嬢さんには捕まらなかったけどこんな女たらしに捕まるなんてね」
「残念だったな、それは運が悪かったと諦めてくれ」
女たらしね…そういやフィールにも言われたな。
俺は本心を言って、常識を言ってるだけだというのに、みんな失礼だなぁ…。
こんな美少女をお姫さま抱っこできて嬉しいことは嬉しいがな!
でもな伐乃はあんまり赤面しないからタイプだが、赤面させればギャップでとてもかわいいと見た!
どうすりゃ赤面するかな?
いや、こんなどうでもいいこと考える意味ないけどさ。
「今はどこに向かってるの?」
まあ、そりゃきくだろうな。
自分の身の安全とかのために、その辺知っておきたいだろう。
「俺の家だな」
「あら?私をあなたの家に連れ込んでどうするの?」
「勘違いすんなよ? 同居人もちゃんといるぜ? だからお前の貞操は大丈夫だ、まことに残念ながらな」
「あらそう」
そうなんだよなぁ…どうしようか?
説明どうしよう…殺されそうになった、違うやつに襲われて一緒に逃げてきた。
よし、これで行こう!これなら許してくれるはず!
無理でした…。
今俺は正座を強いられております。
何故かななかも加わって頬を膨らまして怒っております。
フィールはとてもいい笑顔で。
笑顔が怖いよ! 笑顔は本来攻撃的な表情で云々ってどっかで聞いたけど本当だったんだな!
それもこれも…全部…伐乃のせいだ!!
まず普通にななかとフィールが勘違いする。
それの事情を説明しようとしたら伐乃が嘘を言う…そりゃあもう俺が悪役になるようにな…。
この二人…純粋すぎて簡単に信じやがった。
ちゃんと話はするべきだと思われる。
「ライム?少し…お仕置きをしてあげましょう」
や、やばい!このままじゃなんでお仕置きを受けてんのかわかんなくなる!
というかお仕置きを受ける理由が俺にはない!!
「NO!! ちょっ! 待てって! 俺の話を聞け!!」
「来夢さん?見苦しいですよ?男の子ならちゃんと責任は取ってください」
ななか! 俺は確かに男の子だが、取るべき責任もないのに、責任を取ることはしないぞ!?
そいつは流石に女尊男卑が激しすぎるんじゃないかい!?
「俺はわるくねぇだろ!! そもそも責任を取るようなことしてねぇ!!」
「私みたいな美少女をここまでさらってきたのに?」
「伐乃は黙ってろよ!!」
くっ!このままでは伐乃の手のひらの上で踊らされて、俺はこのままお仕置きされるだろう…。
だが! 絶対にそうはならんぞぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!
見せてやる! 伊達に長い間たくさんの人生を経験してないんだよ! 俺のコミュ能力でこの場を見事に切り抜けてみせ――――
駄目でした。
今ね…ロープでみのむしにされてね、吊られています。
というかなんで俺の体重を支えられるほどの強度があるんだよ…この天井…俺の部屋だけどさ。
というか、どこからこんなロープ持ってきたんだ?
もう夜遅いなぁ。帰ってきたのが今日の朝で、フィールとななかの説得をしようとして昼が過ぎ、抵抗虚しく捕まったのが昼の三時くらい。
あ…ちなみに俺たちが住んでいるのはマンション? 見たいなところだ、ファミリー用マンション? みたいな? 家族で入っても楽々でおさまるようなマンション。
一人一つずつ部屋がある…。
そんなことを考えていると…
俺の部屋に伐乃が入ってきた。
「こんな時間になんのようだよ?夜這いでもかけてくれんのか?」
「そうね?それもいいけど、今その状態でそんなこといっても面白いだけよ?」
「ああ、わかってる…」
みのむし状態でそんなこと言ってもなんの意味もないな。
というかむしろ滑稽にうつるだろう。
なんのコントだよまったく…。
こんな状況でも口説き文句が出る俺の頭はいろいろどうかしている可能性が高いかもしれない。
「んで?なんの用だよ?殺しにでも来たか?」
正直本当に殺しに来たんなら俺、どうしようもない…こともないけど、危ないがな。
縄抜け出来るかな? 出来なきゃ死ぬが。
「そうね、殺そうとも少し考えたわ」
考えたのか…。
やめてくれよ、この状況で襲われたら流石に危ない…。いや、何とかして見せるけど。
「でもね、ここであなたたちと一緒に暮らすのも悪くないわね」
「ああ、そうかい…美少女の頼みなら俺は基本的になんでも聞くぜ」
「あら、ありがとう」
伐乃は微笑んだ後。
「私はあなたに惚れるかもしれないわ、貴方みたいな面白い人、そうそういないだろうしね…」
と言った。
まあ大歓迎だ、伐乃は美少女だからな。
可愛い女の子に好意を寄せられてうれしくない男などいるはずがない!
「そうかよ、お前ならいつでも大歓迎だぜ?美少女だしな」
「そう、ありがと」
そういって伐乃は部屋から出て行った。
あの微笑んだ顔可愛かったな!
あっ…降ろしてもらえばよかった…。
俺って実はかなり馬鹿なんじゃね?
次の日、早朝…。
「はあ…これは…やばいな…」
――ピンポーン
というチャイムの音がする。
誰か来たな…。というか、誰かはわかるんだけどさ。
俺は縄抜けで縄を抜ける。
俺の予想が正しければ…
急いで部屋を出て玄関に行こうとしているななかをしゃべらずに肩をとんとん、と叩いて止める。
そして、小声で話しかける。
「裏の窓からフィール、伐乃と一緒に逃げろ。いや、まあこの面子ならここで返り討ちにできるが…面倒だし、フィールにイギリスを出るからその準備を頼むって言っといてくれ」
そういうとななかは首を立てに振ってリビングに戻る。
玄関にいるのは一人。
ちなみに準備って言うのは知り合いの…なんというか…まあ説明しづらいそいつに外国へ渡るためのの手配をしてもらうためだ。
俺たちは戸籍がないから国を出るのに偽装パスがあるが、それを使うつもりだったんだが、あいつに頼めば大丈夫だろう。
伐乃も自分のを持っているようだし、ななかは持っていないのでこの間知り合いに頼んで偽装パスを作ってもらった…なのに使わないとか…はあ、本当は穏便に飛行機で出たかったんだけどなぁ。
まあ、そんなことを考えていたらみんな出たみたいだな。
そしてもう一回ピンポーンとなる。
そろそろ怪しんで無理やり入ってきそうだな。
俺は至って普通に玄関を開ける。
いつもの装備で…ショルダーホルスターに5-7をしまった状態でな。
「やぁ…ワトソンちゃん?」
玄関開けるとエル・ワトソンがいた。
うん、思ったとおりだね。
ワトソンはいきなり銃を突きつけて撃とうとしてくる。
俺はそれを銃を持っているワトソンの右腕を右手で抑えて止める。
ワトソンは左手にナイフを持って刺そうとしてくる。
左手首を左手で止める…。
両腕がXの形にクロスしている状態で互いに動かなくなる。
「いきなり危ないなぁ」
「ぼ、僕が女だと言うことを知った君を生かしておくわけにはいかない!ワトソン家のために」
「へぇ~でもさ、君に俺を殺すのは無理だぜ?」
「自信がすぎると死ぬぞ?」
「そうかもな、でもワトソンちゃん?君も随分な自信家だと思うけど?」
事実何回か死んでるしな…俺。
でもワトソンは俺を殺せないのも事実だ。
まだ死ぬつもりはないし、実は俺も自信はそこまでない。
元々ただの凡人だったんだからな、ワトソンの方がよっぽど天才、俺なんかとは比べようもない天才だ。
「人生なんて死ぬまでの暇つぶしだ、死ぬまでに何をなすかは特に重要でもない、死ぬまでにどう過ごすかが重要だ…お前みたいに何かを成そうと必死になるのもいいが、少しは休むべきだ、もし俺が死んでもそれは暇つぶしが終わっただけだからな」
「僕には理解できない考えだ」
「そうだろうな。でも、せっかく可愛い顔してるんだから、ちゃんと楽しめよ」
「なっ…か、かわ…可愛い…い、今…可愛いって…」
随分可愛い反応だことで、ななかやフィールと同じ反応だな。
いや、フィールはこの反応をしてくれるときとそうでないときがあるからな。
「そうそう、可愛い顔してるんだからさ」
「ふざけるな!そんなわけない!僕は男なんだ!」
「ふーん…男…ねぇ?こんな可愛い男がいるかよ、まあ、俺には関係ないな。じゃあ、俺は他の女もまたせてるからこの辺で」
俺がそういうとワトソンは途端に殺気を出す。
顔は少し赤いままなので可愛い。
というか、この子はからかい甲斐がありすぎて面白い。
「させると思うのか?」
「残念、俺は逃げるよ」
俺はそういいながらワトソンからバックステップで離れる、そのときに薬のカプセルみたいな小ささのあるものを投げておく、俺はバックステップで下がりながらその投げたものをインヴィジビレで打ち抜く。
その投げたものに銃弾はあたって、当然投げたものは砕ける、そしてもう一つの太陽が出来たかのように光だし、キィィインと独特な耳を刺激する超高音が響く。
「また同じ手にかかったな…ワトソン」
さあて、逃げるかな。
待ち合わせ場所は今は使われていない、海辺の倉庫…がいっぱいあるところ。
ついたが…みんなはもう来てるのかなぁ?
うん、もう乗ったんだな。
なんでわかるかって?
目の前に潜水艦があるからだよ。
うわぁ…でかいなぁ。
「久しぶりだね!ライム!」
ボーっとしていると元気な声が聞こえてくる…。
黒髪のショートカットで14歳相応のスタイルの美少女。
「ああ、久しぶりアリル」
アリル・ティーチ…有名な海賊エドワード・ティーチ…通称黒髭の子孫にあたる少女だ。
まあ今は船じゃなくて、船にもなるなんでこんなものができてるのかよくわからん潜水艦に乗ってるけどな。
「ようこそ、私の船へ、といっても今回で六回目だっけ?」
「そうだな、みんなはもう乗ってるのか?」
「うん、みんな乗ってるよ、私の部屋でポーカーしてたよ」
「ポーカー?へぇ…」
俺とアリルは近況報告という名の割とどうでもいい会話をしながら一緒に部屋まで行く。
またもや出てくる子孫…黒髭さんの子孫でしたね
感想待ってます!
更新が遅くてすいません
次回も頑張ります!
2015年3月22日修正