派遣死神のせいで死んだ俺が、メダロットの世界に転生したらしい   作:コーヒー@

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やっと主人公のメダロット登場。


3話

原作キャラのひとりであり俺の双子の妹でもあるキクちゃんがお父さんからプレゼントされたペッパーキャットと親睦を深めている。

 

その様子に俺はもちろん、洗い物をしているお母さんやペッパーキャットをプレゼントをしたお父さんは温かい目で見守っていた。

 

「ランマル、キクちゃんを眺めているのは構わないが、誕生日はキクちゃんだけではない。ランマルも今日が誕生日だろう。ほら、これが君のメダロットだ」

 

キクちゃんの様子に満足したのか、お父さんは俺に向き直りこちらにそばに置いてあった別の包みをそっと差し出す。

 

「ランマルはどんなメダロットをお願いしたの?」

 

「したの~?」

 

ペッパーキャットとの親睦に満足したのか、キクちゃんは俺のプレゼントを覗き込む。その横ではキクちゃんのまねをしたペッパーキャットの姿もある。

 

どんなメダロットなのかは俺もわからない。ランマルの記憶を思い起こすが、お父さんに希望のメダロットの話をした記憶もなければ、それを問いかけられた記憶がない。

 

だがお父さんが自分のために用意したプレゼントなのだ、きっと何か思いや伝えたいことがあるのではないだろうか。そう思うと、このプレゼントの中身が気になる。

 

まさかとは思うが息子の誕生日プレゼントにバッドハッカーを用意する親はいないだろう。もし居れば、俺なら確実にグレる自信がある。

 

「お父さん、ありがとう。大切にするよ」

 

包みを受け取った俺だが、何か様子がおかしいことに気づく。先ほどのペッパーキャットの包みより明らかに今渡された包みの中身が大きいのだ。

 

俺が不思議に思っていることに気が付いているのか、お父さんはその理由を話し始める。

 

「ランマルにどのメダロットをプレゼントするのがいいのか悩んでいたんだ。キクちゃんは早い段階でペッパーキャットが欲しいことを教えてくれたが、ランマルは自分の希望を教えてくれなかったからね」

 

「そんなとき、悩んでいるお父さんにすごくきれいな店員さんが何を悩んでいるのか相談に乗ってくれたんだ。あぁ、今思い出しても本当にきれいな店員さんだったな」

 

キッチンのお母さんの気配がわずかに変わった。今は話に夢中でお父さんもキクちゃんも気づいていないが、ペッパーキャットは元が猫だからか、わずかに気配の違いを感じたのか周囲を見回している。

 

「その店員さんに思い切って聞いてみたんだ。双子の兄妹の妹は欲しいメダロットが決まっているんだけど、兄のほうが何を欲しがっているのか分からない。男の子はどんなメダロットを好んでいるんですかとね」

 

身振り手振りを交えてその場を再現するお父さん。

 

「男の子に人気のメダロットはいくつか種類がありますが、お父さんはどんなメダロットとお子さんに一緒にいてほしいですかと店員さんは答えた。私は考えた。子供に人気の機体を与えるのもいいが、できれば苦楽を共にし、善悪の区別がしっかりとつく大人に成長してほしいと店員さんに伝えたんだ」

 

「すると店員さんはにこりと微笑んで、それならいいメダロットがありますと私に二体のメダロットを紹介してくれた。店員さんはなぜこのメダロットを紹介してくれたか理由を説明してくれた。私はその説明を聞いて、これならランマルのパートナーにふさわしいと思った。私が購入する旨を伝えると、店員さんはなぜかほっとした様子で胸を撫で下ろしていたけど、あれはなんだったんだろうな」

 

それにしてもあの店員さんは美人だったな。機会があればまた行こう。お父さんの口からから漏れたつぶやきはキクちゃんには聞き取れなかったようだが、俺とお母さんの耳にはしっかりと聞こえていた。

 

お母さんの「あなた、ちょっと」という一言で裏に連れて行かれたが、事態に気づいたお父さん顔色は青を通り越して真っ白になっていた。事態が掴めないペッパーキャットはキクちゃんと顔を合わせて首を傾げている。

 

メダロッチが入っているであろう包みを開けると、時計部分がブラックでベルト部分がホワイトカラーのメダロッチが入っている。

 

俺はそれを腕に装着する。

 

昔ゲームをしたときに実物のメダロッチが販売されていたが、残念ながら俺はそれを手に入れることができなくて、うらやましい思いを当時はしたものだ。十数年の時を経てメダロッチを装着し、何ともいえぬ喜びがあふれてきた。

 

メダロッチに同封されていたメダルケースには、それぞれ天使と悪魔の姿を模したエンジェルメダルとデビルメダルが入っている、たしかこの二枚のメダルあまり数のない珍しいメダルではなかっただろうか。いやゲームをプレイしていたのもだいぶ前の話なのできっと気のせいだろう。

 

ふとメダルから視線のようなものを感じたのだが、メダロットに装着されていないメダルにそもそも視線というのも変な話だと視線をメダロットの包みに戻す。

 

続けてメダロット本体が包まれている包みに手をかけると、そこには俺の予想外のメダロットが並んでいた。

 

一体は天使をつかさどるメダロット、ワンダエンジェル。

 

元祖「いやらし」系メダロットと呼ばれ、メダフォースの吸収から味方メダロットのパーツの修理・回復と、味方からすると非常に頼もしいが敵に回すと非常にいやらしい働きをするメダロットである。ちなみにポニーテールである、非常にポイントが高いね。

 

もう一体は悪魔をつかさどるメダロット、ブロッソメイル。

 

作品中では"赤い悪魔"と呼ばれ、圧倒的な力を持つ強大な敵として描かれていた悪魔型のメダロット。悪魔型では唯一の女型メダロットでもある。

 

「あほかっ!?」

 

俺の突然の叫びにキクちゃんとペッパーキャットを驚きの声を上げる。

 

「ランマル、どうしたの?」

 

「いや、キクちゃん。大声をあげてごめん」

 

いいよーと微笑むキクちゃんを見て心を落ち着ける。

 

「ワンダエンジェルとブロッソメイルなんて何者かの悪意しか感じないんだが」

 

何者かというのも実は心当たりがある。いや、むしろそういうことをするのはひとりしか心当たりがない。

 

何事もなかったかのように戻ってきたお母さん、その後には頬に季節外れの紅葉をつけたお父さんも続く。

 

「お父さん、ちょっと聞いてもいい」

 

「どうしたランマル」

 

まさかとは思いながらも、店員と思われる人物の特徴をあげてみる。

 

「よくわかったな、もしかしてランマルの知り合いの人か有名人なのか?」

 

あたってほしくなかった予想に頭を抱える。やっぱりあの馬鹿みさまかよ!?

 

きっとこのメダロットが俺の手元に来たのはあの神様の仕業なのだろう。

 

「ヒールエンゼルがなおし、ブラックメイルがこわす。まさに最強のコンビだよ。」

 

とはメダロット作中で語られる最強の組み合わせの一つだが、その後継機が俺の手元にくるとは、馬鹿みさまの悪意を感じざるを得なかった。

 

だが、本当の意味で馬鹿みさまの悪意をかんじるのは、このすぐ後のことだった。

 




今日のメダロット

ブロッソメイル(女)
山羊の頭をもつ悪魔が
血に塗れ紅に染まった
暴虐のメダロット。

その抑えがたき獣性は
赤い悪魔という異名とともに
恐れられている。
メダロット7より

ワンダエンジェル(女)
エンジェル型メダロット
がんそ いやらしけい・・・ですわ
メダロット4より

バッドハッカー(男)
ゴキブリのように
すばしっこく
きどうりょくにすぐれた
メダロット。
たくみなトラップをあやつり
さらに、じこかいふく
のうりょくまでゆうする。
そのしぶとさは
まさにゴキブリなみ。
メダロットDSより

追伸:日曜日までに書き上がれば次話投稿できますが、月曜日から一週間海外に行くので、更新が飛ぶ可能性があります。
(この書き込みは次話投稿時削除します)

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