プロローグ
7月のある暑い夏の日、第7学区第34警備員出張所の教師たちは各々雑務をこなしていた。今日もいつも通り真夏日である。
「今日も外は暑そうだなぁ・・・。迷子の通報とか無けりゃいいけど。ね、隊長?」
隣に座っている男性教師が話しかけてくる。
「そうだなぁ、確かに熱中症の危険もあるし、暑くなってくると変な輩も沸くからなぁ。パトロールは気を引き締めていかなきゃならんな。」
それに対し、俺は適当に答えを返す。
「そうですよねぇ・・・。まぁ最近はいたって平和だし、今日はまだ落し物の届け出が2件だけですからね。調子良いですよ。」
「ま、確かにいきなりデカいのがドカンと起こる気配はないよな。良いことだ。」
そう、最近は目立って事件が起こることもなく、平和な日々が続いているのだ。
この出張所の人員は18人3交代制、1シフト8時間当たり6人態勢で24時間365日、学園都市の治安維持にあたっている。しかし、この規模は出張所か支部か、あるいは本部直轄か等で変わる上に学区ごとにもまちまちであるが、大方1シフト当たり4人~12人程度である。それに各学区の治安状況にも左右され、治安が悪いところでは20人以上の人員を配する支部もあるので、その警備員の詰所の人数を見れば、大体の治安状況を推察できるのは警備員のみが知る裏事情というやつだ。
この出張所のある第7学区は比較的治安がいいうえに、名門校である常盤台中学などもあるのでスキルアウト等もそれなりにおとなしい学区である。がしかし、油断はできない。相手がスキルアウト、無能力者や、低能力者~強能力者程度の能力者であれば制圧も容易である場合が多いが、大能力者以上の能力者が暴動などを起こした際は我々に犠牲者が出かねないからだ。幸いなことに最近は大きな事案や事件は起こっていないが、それは風紀委員の力によるところも大きいだろう。
風紀委員と警備員、この学園都市の治安維持を担う2つの組織は互いに連携、協力して防犯・安全の確保に尽力している。ちなみに、風紀委員は学生が、警備員は教師が希望して加入するので、いわゆる有志の集まりである。もちろん両組織とも治安維持を担う以上、命の危険にさらされることもままあるが、風紀委員は学生が所属しているために基本的には危険な事案、事件は警備員が担当する。ちなみに、この第34警備員出張所では、1シフトに入る6人が一個分隊として編成されており、出張所全員を合わせると一個小隊規模の警備員がいることになる。もちろん緊急時や応援が必要な時には非番の教師も呼び出しをすることはあるので、最大で18人一個小隊規模の戦力展開ができると考えれば相当な規模になる。まぁ、そんな事態にはならないのが一番だが。
「そういえば今日と明日って、『見学ツアー』の日でしたっけ?」
再び隣の男性教師が話しかけてくる。
「あー、そういえばそうだったか。まぁ特に問題ないだろ。一応パトロールでも強化しとくか?」
そう、今日と明日はこの学園都市に来年度の入都市希望者たちのための見学会が催されているのだ。やはり科学の粋を集めた天下の学園都市の一つの大きな目玉といえば、「能力者開発カリキュラム」だろう。
一般的に、学園都市の中と外では20年~30年の科学技術の差があるとされているが、一歩踏み込めばそれは一目瞭然であり、まず目に留まるのは自動清掃ロボットに自律型警備ロボット。天気予報や様々なニュースなどを表示する大型電光掲示板を備えた飛行船、そして大きな風力発電用の風車などだろう。
そしていたるところにいる能力者たち。彼、彼女らはこの学園都市で特別な時間割を経てその能力を手に入れているのである。能力に関しては個人差が大きく、その能力の高さや能力の種類など十人十色であるが、中でも有名なのは学園都市に7人しかいないといわれている「超能力者」の能力者たちだろう。そして、その7人は学園都市に来るすべての人たちの憧れとなっている。
とりわけ有名なのは第1位の「一方通行」というベクトルを自在に操る能力者や、この第7学区で言うなら常盤台中学の超能力者である電撃使いの「超電磁砲」、そして精神支配系最強と言われている「心理掌握」あたりだろうか。
「いやぁ、遠慮しときますよ。いつものパトロールスケジュールで十分です。」
隣の男性教師が外に出たくないと言わんばかりに断りを入れてくる。
「ったく、だらしないぞ。こういう時にこそ気を引き締めてだな―。」
―突如として警備員出張所内のすべての電子機器が作動を停止した。
まずはここまで読んでくださりありがとうございます。いかがだったでしょうか。是非みなさんの評価・感想などをお聞かせいただければ幸いです。また、できうる限りとあるシリーズを知らない方にも読みやすいように書いたつもりですが、改善点などがあれば教えてくださるとうれしいです。ちなみに、今回のプロローグではアニメ版「とある科学の超電磁砲」第1話の美琴が不良たちに絡まれるところから、「見学ツアー」の観光バスが信号トラブルに巻き込まれ、事故を起こすところまでのお話になっています。
次回、第1話「信号トラブルと電撃使い」また読んでくだされば嬉しいです。ではまたいつか。
2018.11.22追記
細かい部分及び、指摘された該当箇所を修正いたしました。
同日23:54追記
再度細かい部分の修正を行いました。
修正箇所「今日って『見学ツアー』の~」、「そう、今日はこの~」を「今日と明日って」、「今日と明日は」に修正。
2018.11.23追記
より読みやすくするための大幅な修正を行いました。
2018.11.24追記
細かい部分の修正を行いました。
2018.11.25追記
「用語解説」を削除しました。
2018.11.27追記
より読みやすくするための細かい修正を行いました。