※当作品のオリジナル設定をまとめた設定資料を新規作成しました。※
皆さんこんにちは。前回「身体測定と無能力者」では飾利と涙子が初登場し、そしてなんだかんだで平和な学校生活の放課後に入るところでお話が終わりました。芝浦先生たちは朝から大変だったみたいですが・・・。今回はアニメの方では美琴、黒子、飾利、涙子の4人がファミレスで落ち合い、その後クレープを食べに行くところのお話となります。
それではお待たせしました。ごゆるりとお楽しみください。
学校での残りの仕事を終えて、最後のセキュリティチェックを済ませた俺は古賀と共に駐車場へと向かった。そして駐車してあるパトロールカーへと乗り込み、無線機で出張所と連絡を取る。時刻は12時を回っていた。
「こちら芝浦。これから出張所に帰投する前に、一通りパトロールしていくよ。特に大きな事案はなかったか?」
「こちら出張所、神田です。了解しました。特に大きなものは無かったですよ。パトロールお気を付けて。」
「こちら芝浦、了解。ありがとう、何かあればすぐに連絡する。」
そして無線機を置き、帰るついでに学区内を一通りパトロールすることにした俺は古賀に巡回する順路を一通り指示すると、車窓の外に目を光らせた。しかしパトロールを始めてすぐに古賀が話しかけてくる。
「隊長、ちょっと聞きたいことがあるんですけど。」
「どうしたんだ改まって?遠慮せず聞いていいぞ。」
俺は若干驚きつつ聞き返してみる。
そして古賀はやや深刻な顔になりつつ「じゃあ聞きますけど・・・、隊長って初春ちゃんと佐天ちゃんのこと、ぶっちゃけどう思ってるんですか!?」と意味不明なことを聞いてきたのである。
当然、俺は一瞬何を言われたのか意味が分からずフリーズしてしまったがそれも束の間、ものすごい勢いで古賀に振り替えると「お、おま、お前は何を言っているんだ!?」とやはり意味が分からないので盛大に聞き返してしまった。
それに対して古賀は「いやぁ、だって隊長あの二人と結構仲いいじゃないですか。だからてっきりそういう思いもあるのかなぁーって思いまして。」とニヤニヤしながら聞いてくる。さらに追い打ちをかけるように「しかも隊長ってまだ20代前半でしょ?全然チャンスありますって。」と言ってくる。
俺は最初こそ取り乱したものの、すぐに冷静になり「いや、古賀、お前は俺をなんだと思ってるんだ?」と聞き返す。
そして古賀の返答は「んー、ロリコン教師?」であった。
ふむ、これは一発蹴りを入れないといけないようだな・・・。と思った矢先、車外から女性の悲鳴が聞こえてきた。どうやらひったくりのようである。
「古賀!」と青色灯のスイッチを入れながら声をかけると、勝手知ったるとばかりに「任せてくださいよ隊長!」とパトロールカーを操り、犯人の前に停めたのである。
しかし犯人はいきなり現れた警備員を前にしても動じる様子はなく、むしろ敵意をむき出しにして今にも襲い掛かってきそうな雰囲気だった。
「(こいつはヤバい!)」
直感でそう感じとった俺はとっさに車外に出ると、テーザーガンを構えて犯人に警告を発した。
「動くな!それ以上近づいたら撃つ!」
しかし犯人はそれを知ってか知らずか、こちらに襲い掛かってきたのである!
「くそっ!」
テーザーガンの引き金を引き犯人に命中させる。バチチチチチチチ!と電流が流れる音はしたものの、犯人は止まらずパトロールカーの上を飛び越え俺に襲い掛かってきた。
「なっ!?電撃使いか!」
とっさにテーザーガンを捨て、特殊警棒を取り出し犯人の喉元めがけて一突きする。
「はっ!」
「ぐぇっ!」
警棒は犯人の喉仏を貫き、地面にたたき落とす。
「クソッたれ!手を後ろに回せってんだオラ!」
犯人は口から泡を吹きながらもなお抵抗し続けており、なかなか拘束できない。すると、犯人の体周囲が帯電し始めた。
「っ!まずいっ!」
俺は対発電系能力者用の無力化武器である超即効性の睡眠ガススプレーを、犯人の口元めがけて吹き付けた。それからものの10秒もしないうちに犯人はおとなしくなり、気を失った。帯電状態も解消されていく。
「隊長!大丈夫ですか!?」
古賀はパトロールカーから出るタイミングを見失い、どうやら出張所へ連絡してくれていたようだ。こちらに出てきて俺の様子を窺ってくる。
「ああ、なんとかな。しかし何なんだこいつは?暴力的にもほどがあるだろ・・・。」と手錠をかけ終わり俺は立ち上がる。
「そういえば、被害者は無事か?」
古賀にそう聞くと、古賀もいきなりのことで状況が分からないらしく、周囲を見回す。すると一人の女学生がこちらに駆け寄ってきた。
「君がこれの持ち主?」
俺が犯人の持っていたハンドバッグを見せると、女学生はそれを受け取りホッとしたのか、泣き出してしまった。見る限りでは
「うん、よしよし、怖かったよな。でももう大丈夫だ。ところで怪我はないか?どこか痛いところは?」
俺が背中をさすりながらそう聞くと、女学生は首を横に振った。
「そうか、それならいいんだ。さて、ちょっと立てるかい?落ち着くまで車の中にいるといい。」
俺は女学生の手を取ると、パトロールカーに乗せてドアを閉めようとした。しかし女学生がそれを制止し、俺も一緒に中にいてくれというのだった。
「うん、ちょっと待っててな。古賀、ちょっといいか?」
俺は古賀に声をかける。
「どうしたんです?」
犯人の所持品などを調べていた古賀が聞き返してくる。
「ちょいとこの子が落ち着くまで車内にいるよ。それとなく状況とかも聞き出しておくから、古賀は護送車が来るまで犯人の見張りと周辺の調査を頼む。」
「はいよ、イケメン隊長さん。」
なにやら意味深な笑みを浮かべつつ言われたセリフに言い返そうとしたが、服の裾を女学生に摘ままれてしまったため、仕方なく車内に戻ることにした。女学生はまだ肩を震わせ泣いている。相当怖かったのだろう。俺はその女学生の背中をさすり、落ち着くまでしばらく待った。
―しばらくして、落ち着きを取り戻した女学生は小さな声で「ありがとうございます、もう大丈夫です。」と言ってきた。
それを聞いた俺は背中から手を放し、改めて事情聴取に移る。
「よし、それじゃあ少し落ち着いたところで、まずは君の名前と学校を教えてもらえるかな?」
そう聞くと、女学生は頷いた後に「長点上機学園1年の、
「うん、新橋さんね。ありがとう。それじゃあゆっくり、話せるところからでいいから何があったか教えてもらえるかな?」と状況の聴取に入る。
新橋は一度、小さく深呼吸をしてからゆっくりと話し始めた。
「えっと、最初は私、セブンスミストに服を買いに行こうと思って歩いてたんです。そしたらいきなり後ろの方で男の人の怒鳴り声?みたいな、ものすごく怖い声が聞こえてきて・・・、びっくりして振り返ったらものすごく怖い顔でこっちに走ってくる男の人が見えて、その後は・・・。」
最後はもう消え入りそうな声で、半分泣いてしまっている。
「なるほど・・・、教えてくれてありがとう。しかしなんでコイツはいきなりそんなことを・・・、新橋さん、この人と面識あったりする?」
そう俺が聞くと、新橋は首をふるふると横に振った。しかし直後、新橋は俺の顔を見据えて「あっ」と言った。
「どうかした?」と俺が聞くと、新橋は「先生、ほっぺから血が・・・。」と言って自身の持っていた手鏡を取り出し、その傷口を見せてくれた。
血は滲む程度しか出ていないが、横に2cmほどパックリと切れてしまっていた。どうやら先ほど、警棒で犯人の喉を突いた際にやられたらしい。改めて犯人の右手を見てみると、携帯式のナイフが握られていた。あまりに突発的な攻撃だったために気付けなかったらしい。
「ああ、これくらいかすり傷だよ。」
ヒリヒリし始めた傷口を意識の外に追いやりながら俺はそう言ったものの、新橋は心配そうな顔をしている。そしてなにやら意を決したような眼差しになると、「あ、あのっ!」と声を出した。
「どうしたの?」
俺が聞き返すと、新橋は「私に傷の手当てをさせてくれませんか?」と言ってきた。
俺は遠慮したかったのだが、新橋は「さっき助けてもらったお礼も兼ねて」と言うことを聞いてくれない。
「分かった、分かったから。それじゃあお願いするよ。ちょっと待ってて、救急キットを今―。」
「あ、それなら私の持ってる治療パッドを使ってみてください。」と、見た目は普通の傷パッドなのだが、なにやらこの裏にジェルのようなものが塗布されているものを差し出してきた。
「これは?」
俺が聞くと、新橋は若干恥ずかしそうにしながら「これ、私が開発したものなんです。微生物の力と、植物の持つ治癒能力を応用しているんですけど、これを貼ってから24時間以内には比較的小さな傷なら完全に治っちゃうんです。ついでに言うと浸潤してきた体液や免疫細胞を傷口の周りに保つ
俺は素直に感心しながらその説明を聞いていたが、ふと疑問に思ったことを口にする。
「新橋さんって、もしかしてそういう方面で長点上機に入学したの?」
それを聞いた新橋は照れくさそうにしながら「あはは・・・、まぁ一応は研究者、って言えば聞こえはいいですけど、まだまだですよ。それに能力も強能力者の『集中治療』ですから、強度としては普通の学生と大差はないですよ。」と答える。
しかし俺は、聞きなれない能力名を耳にし、それを改めて聞いてみる。
「新橋さん、その『集中治療』って能力、もしかして治癒系能力の一種だったりするの?」と聞くと、新橋はきょとんとした顔で「はい、それがどうかしたんですか?」と聞いてきた。
「いや、だったらその能力で傷とか治せばいいのに、どうして医療分野の研究開発をしてるのかなって思って。」
そう俺が答えると、新橋は少し悲しそうな顔になり、「はい、確かにそれが理想なんだと思います。でも、私だけかもしれませんがこの能力は消耗が大きくて、傷の酷さにもよりますが多くても一日に2回くらいが限界なんです。それに、この能力そのものが希少で、皆がその能力を持っているわけじゃない。だからこそ私は誰にでも使える科学で人を治したい。そう思うんです。」と言い、しかしその後に赤面しながら「あはは、なんか語っちゃいましたね。お恥ずかしい・・・。」と俯いてしまった。
しかし俺はすっかり感心してしまい、「いや、恥ずかしがることないよ。すごくカッコいいと思うよ。」と称賛を送る。
それを聞いた新橋はさらに赤面してしまい、「さ、さぁこのパッドを貼りましょうそうしましょう!」とわたわたしている。
しかし貼る直前、お互いの顔が近いことに新橋が気付き、若干緊張した、赤面した面持ちでそっと傷口にパッドを貼ってくれた。パッドが貼ってあるところからひんやりとした、心地よい感触が伝わってくる。
―そんなこんなで新橋の緊張もほぐれ、一息ついていると警備員の護送車がやってきて犯人を拘置所まで護送していった。証拠品に関してはこちらでいったん預かった後に第7学区本部へと移送することになる。そして俺はいったん車外に出て、古賀が押収した証拠品を見せてもらった。
「ふむ・・・、さっき持っていたナイフと、携帯電話と、音楽プレーヤーか。」
「はい、犯人が持っていたのはこれだけでした。身元が分かるようなものは何もなかったです。」
古賀が若干悔しそうに吐き捨てる。
「まぁそこらへんはアイツが口を割らない限りははっきりしないだろうなぁ・・・。とにかくこれはウチでいったん預かるぞ。」と俺は証拠品を入れておくためのスーツケースをパトロールカーのトランクに入れつつ答える。
「あ、それと隊長、忘れ物ですよ。」と先ほど俺が手放したテーザーガンを古賀が返してくれた。
「お、ありがとな。」
カートリッジを交換し、安全装置をかけてホルスターにしまう。すると、車内から新橋が声をかけてきた。
「あのぉ、私はいつまでこうしてれば・・・?」
「おっとごめんよ、どうする?一人で帰れそうか?もし不安なら寮まで俺たちが送ってくけど、どうする?」
俺がそう聞くと、少し考えたのちに新橋は「えっと・・・、できれば送っていってほしいです・・・。」と答えた。
時刻は午後12時半過ぎ。長点上機学園は第18学区にあるので、行って来ると往復で30分はかかるだろう。帰り際にコンビニでも寄って昼食でも買っていこうか。
その後は他愛ない話をしながら新橋を学生寮まで送り届け、第7学区まで帰ってきた。時刻は1時を回るところだった。古賀が俺も思っていたことを口にする。
「隊長、コンビニでも寄って昼メシ買いません?さすがに腹がすきましたよ・・・。」
「俺もちょうどそう思っていたところだ。グリマ寄ってこうぜ。」
そしてパトロールカーのままコンビニの駐車場に入り、降りようとした矢先、無線機に緊急連絡が入る。
「芝浦隊長!こちら出張所神田です!たった今風紀委員第177支部より応援要請が入りました!第7学区ふれあい広場前、いそべ銀行にて強盗事件が発生した模様です!」
なんてタイミングの悪さだ。と思いつつも無線機を手に取り、「こちら芝浦、了解!直ちに現場に向かう!追加情報等あれば追って知らせてくれ!」と指示を出す。
古賀はすでにパトロールカーの青色灯のスイッチを入れ、サイレンを鳴らしコンビニの駐車場を飛び出していた。ふれあい広場まではここからなら10分とかからず着ける!急がなくては・・・!
まずはここまで読んでくださりありがとうございます。いかがだったでしょうか。是非皆さんの意見・感想などを教えていただけたら幸いです。また、誤っている点などありましたら遠慮なく教えていただけると助かります。
さて、今回のお話ではアニメ版「とある科学の超電磁砲」第1話の美琴、黒子、飾利、涙子がファミレスで落ち合い、その後向かったクレープ屋でたまたま強盗事件に遭遇するところのシーンまでを書いてみました。今回は原作キャラは出てきてないですが、その代わりオリジナルキャラクターが新たに出てきましたね。初めて完全に独立したストーリーを描いた感じがします。
警備員らしいアクションシーンも書けたので、個人的には書いてて楽しかったですね。まぁ毎回楽しいんですが。
次回、第4話「守るべきものと護りたいもの」また読んでくだされば嬉しいです。ではまたいつか。
2018.11.27追記
細かい部分の修正を行いました。
2018.11.28追記
細かい部分の修正を行いました。