迷宮再走:もしくはTS幼女化■■■RTA   作:wind

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追加で39人に評価されてる(震え声)
お気に入りも514件超えてる(震え声)
本当にありがとう!

殆ど深夜のテンションながら、二話分書けたので投稿します。

◆なお本作は「シュールギャグ」です。
◆覚悟しろ!



パワーレベリング:キノコ・イン・フレイム

 

  

 

 

 

「どうしてこうなったんだ…?」

 

 

目の前の光景が理解できない。

事前にしっかりと調査はしたつもりだった。

だが、今目の前のこの光景はなんだ?

 

 

 

 

「ヒューーゴさん!ヒューゴさーーーーん!!」

 

 

 

 

傷ついた嬢ちゃんが叫んでいるのが見える。

嬢ちゃんはそのまま周りのキノコたちにもみくちゃにされていく。

 

 

 

「ヒューーーゴさーーーーーん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

…………

………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもの酒場。

いつもの食事。

いつも座る席。

 

 

とはいえ、今日はディナーだ。

周りは帰還した探索者で溢れ、皆賑やかに酒を飲んでいる。

明日への活力を得るため。

今日の、生還を祝うため。

そして、明日をも知れぬ我が身を慰めるため。

 

 

彼らは今日も酒を飲み、騒ぎ、己が生を味わう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんでお前も居るんだ、ザック。大人しくパーティメンバーと飲んでろよ。」

 

「なんだなんだ、随分な物言いだな?せっかく心配して来てやったってのに。」

 

「もっしゃもっしゃ。」

 

「メイファに聞いたのか?」

 

「おう。早速キノコに行くんだって?お前、自分が昔手こずったからって新人も同じ所に連れてくの止めろよ。」

 

「ふん、夜迷宮は嬢ちゃんのリクエストみたいなもんだ。まぁダメそうならすぐ戻ってくるさ。」

 

「そうかい。んじゃあ、酒でも飲みながら待ってるよ。

 嬢ちゃんも気をつけてな~。」

 

「ザックさん、行ってきます!」

 

「早!もう飯食べ終わったのかよ!もっと味わって食べろよな…。」

 

 

 

 

時刻は八時半。

 

短い仮眠と夜食を済ませた俺たちは、鴉の止まり木亭を出発した。

アイテムの補給は万全。

念のため嬢ちゃんにも巻物を持たせ、いざとなったら俺を待たず帰還するように言い含める。

新人に心配されるほど落ちぶれちゃいない。

 

 

「うーん、良い風。キノコ狩りには良い日っすね。うま味狩りっす。」

 

「…一応言っておくが、戦闘は可能な限り避けるぞ。少なくとも半分まではな。」

 

「何故!?」

 

「何のために脇道までマッピングして罠解除したと思ってんだよ…。

 時間も体力も有限なんだ、使わないに越したことはないだろ。」

 

「馬鹿な…そんなことは許されない…。」

 

「何言ってんだお前…。」

 

 

なんとなく、嬢ちゃんとの付き合い方が分かってきた。

話半分に聞くべきというか発言の八割が妄言なんだな。

とりあえず、指示には従ってくれるからいいけどよ…。

 

 

夜九時になった。

 

「はーい、よーいスタート。三時間コースっす。行きましょう!」

 

「おう!」

 

迷宮に突入。

 

 

 

 

 

 

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「へー、内装というか、見た目にも色々変化があるんすね。」

 

「ああ。あちこちに生えてた巨大キノコが無くなってるだろ?」

 

「印象変わりますねぇ…。キノコがねぇ、なるほどねぇ…。」

 

 

嬢ちゃんと小声で会話しながら、ゆっくり急いで気を付けながら迷宮を進む。

 

矛盾するようだが、探索者の必須技能だ。

急いで進まねば探索に時間がかかり、余計な戦闘が増える。

しかし転んだりしては悲惨だし、罠への警戒も大事だ。

魔物を呼ばないよう足音に気を付ける必要もある。

 

戦闘に関しても同じことが言える。

戦闘音はうるさく、長引けば別の魔物を誘引する結果となる。

とはいえ毎度逃げられるわけでも、手早く倒せる訳でもない。

そうしたバランス、瞬間的な攻守の判断が探索者の難しい所だ。

探索者パーティが概ね五人以下に限られるのも、この辺の理由によるのだ。

 

 

 

雷鳴玉で音を出し、キノコを引き寄せたり。

マッピング確認し、脇道で少し迂回したり。

あるいは、単純に走り回って振り切ったり。

キノコは火を嫌うため、煙幕で敵を追い払ったり。

 

様々な手段で障害を排除しつつ、先へ進む。

 

探索者は兵士でも戦士でもない。

お宝を見つけ出し、そして生還するのが仕事だ。

 

戦闘はあくまで目的を達成するための手段の一つに過ぎない。

例えば、細い道に一体だけ敵が居る場合などの。

 

 

「おお、あれがキノコですね。すっごいおっきい。

 とはいえ、一体っす。軽くボコしてやりますよ!」

 

「おう、行ってこい。」

 

 

くくく、慢心してやがる。

ここの魔物は、昼に見た内装オブジェクト:巨大キノコの数だけ居る。しかも一体一体が硬い。

迂闊に殴り掛かり、処理に手間取るとキノコが押し寄せてくるのだ。

慌てふためく姿が楽しみだぜ…!

まぁ足が短い分動きは遅いので逃げやすく、その点でも安心だ。

 

ちょっとわくわくしつつ、嬢ちゃんを送り出す。

もちろん、ちゃんと援護の準備をしておくことも忘れない。

今回は難易度高めの迷宮なので嬢ちゃんにも事前に説明し、腕力強化だけでなく脚力強化と機動加味の支援魔術も使用している。

特に機動加味なんかは事前説明なしだと、支援の所為で転びかねないしな。

 

機動加味の効果により、スーッと滑るように踏み込んだ嬢ちゃんがメイスを振りかぶる。

 

 

「たまぁとったらー!」

 

「…!?」きゅむ。

 

 

声に驚き、キノコが妙な足音を立てながら振り向こうとするが、もう遅い。

走った勢いそのまま、大上段からナナメに振り下ろされたメイスは、キノコの右手に直撃。

一撃で拉げさせる。

 

嬢ちゃんはそのまま、払うようにキノコの短い足を狙い、膝を撃ちぬく。

たまらず倒れるキノコ。

こうなってしまうと、頭に傘があるトップヘビーなキノコは中々立ち上がれない。

ましてやこのキノコの右手は、既に砕かれている。

 

ついでに嬢ちゃんは蹴りを一発。

キノコをうつ伏せにし、つるはしのように振りかぶったメイスを叩きつける。

 

 

ばこんぼこんべこん。

 

 

惨い。

なまじキノコの骨格が硬いため、凄惨な光景が続く。

キノコの三白眼と目が合い、助けを求めるように左手が延ばされる。

…嬢ちゃんがその手をメイスで叩く。

 

 

ばこんぼこんべこん。

べっこんぼっこんばっこん。ぱりん。

 

 

ようやく骨格損傷によりキノコが塵へと変わる。

 

 

「Foo↑気持ちぃ~。良い汗かきましたっす。」

 

「そう…。」

 

 

絵面は完璧に猟奇殺人って感じだったが、対処としては完璧だった。

俺の予想からも逸脱していない。

一体は倒せるが、複数だと手こずるくらいのバランス。

…というか、なんか機動加味の効き方がおかしかったような?

 

 

「さぁ、夜は短い!サクサク行きましょー!」

 

「分かった分かった。下に降りるか。」

 

 

まぁバフが良く効く分にはいいか。

この時の俺は、そんな風に甘く考えていた。

 

 

 

 

 

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「おらー!」

 

「!?」きゅむきゅむ。

 

 

 

マッピングした地点を超え、一夜茸の迷宮も後半戦。

流石に敵を避けきれなくなり、本格的な戦闘が始まった。

…いや、戦闘なのかこれ?

 

 

 

「フゥン!ホン!ハン!」

 

「!」きゅむきゅ…びったん。

 

 

 

流れるような連続攻撃で、キノコがまた一体引き倒される。

嬢ちゃんはそのまま倒れたキノコにキック&スタンピング。

弱ったキノコを、メイスのアッパースイングでぶっ飛ばす。

 

弱ったキノコが飛んだ先にはまた別の元気なキノコがいた。

元気なキノコはゴロゴロと転がるキノコに足を取られ転倒。

そこにすかさずメイス。

滅多打ち。

強い殺意の籠った攻撃がキノコたちを襲う。

 

 

ばこんぼこんべこん。

べっこんぼっこんばっこん。

ばこんぼこんべこん。

べっこんぼっこんばっこん。ぱりんぱりん。

 

 

「ふう。順調っすね!」

 

「そうですね。」

 

 

思わず、敬語。

昼に見たような、輝く笑顔がむしろ恐怖を呼ぶ。

怖っ。

俺が渡しといてなんだが、鈍器ってのがヤバイな。

なんか痛みの想像しやすい、リアル寄りの恐怖を生む。

後、音が嫌だ。

 

しまいには、嬢ちゃんは引き倒したキノコをメイスと足でドリブルし始めた。

次に現れたキノコへの飛び道具にしようと言うのだ。

頭おかしい…(小声)

 

 

 

 

 

「!」

「!」

「!」きゅむ。

 

「む!また三体か。嬢ちゃん、援護を…。」

 

「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」

 

 

現れた三体のキノコは、嬢ちゃん対策の陣形を組んでいた。

前の二体がうつ伏せになり、飛んでくるキノコを受け止める体制。

受け止めた後、既に立っている一体と連携して攻撃しようとしている。

さきほどボーリングのごとく、三体まとめて蹴散らされたキノコたちからの学習が伺える。

 

正直ちょっとキノコ側を応援している俺が居るぞ!

 

 

「小賢しいんだよ!」

 

「「「!」」」きゅむ。

 

 

嬢ちゃんは対抗し、弱ったキノコをアッパースイング。

キノコは勢いよく飛び、二体のキノコの頭上を越え…?

 

いや、頭上を越えて寝そべる胴体部分に乗っかった!

キノコたちは短い手足でばたばたと身じろぎするが、その隙を嬢ちゃんは見逃さない!

 

後詰めのはずのキノコが一瞬で制圧され、駄目押しのように重なるキノコたちの上に乗っけられる。

そして嬢ちゃんは、そのキノコタワーに油壷と火炎玉をぶちまけた!

 

 

「ヘヘ、キノコを焼いた後はご飯が食べたくなるっす。

 ここらで小休止しましょう。」

 

 

サイコかテメー!

 

まだぱたぱたともがくキノコたちを見ながら思う。

とはいえ、キノコたちが火を嫌うのも事実である。

ついでにキノコが焼ける良い匂いがしてきたので、俺たちは携帯食料を食べることにした。

 

 

 

キノコの焼ける匂いが染みついたからか、その後の道中にキノコが現れることはなかった。

まぁ、あれだけ暴れりゃそうもなるか…。

 

 

 

 

 

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次回、「パワーレベリング:Italian Stallion」はもう始まってる!(連続投稿)

 

 

 

読者の皆様から評価と感想がいっぱい頂けて嬉しい(小並感)

 

感想返信にはまーだ時間掛かりそうですが、全部返信します。

ノンケの非ログインユーザーからも感想受け付けてるので、「よし、じゃあブチ込んでやるぜ」って方はじゃんじゃん書いてってください。

 

 

あと連載の方と同じ評価を下さった方が、高い評価にも低い評価にも居ました。

やっぱり作風とか文体っていう、逃れられぬカルマがあるんすね。

 

両方に評価10下さった方は、本当に頭が上がりません。ありがとう!

連載の方もエタってないっす!その内更新するっす。

 

 

 

 


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