町内鎖鎌大会で六位のお兄様に転生したおっさんのはなし   作:藤林 雅

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・感想や評価ありがとうございました!

・誤字、脱字報告本当にありがとうございます。

・お礼という訳ではありませんが、続きを書いてみましたのでよろしければご覧ください。

・今回は、一人称での視点切り替えに挑戦しています。




とらいあるばーじょん こんてにゅー

 みんなにお星さまにされるという大変な身に遭い、何とかボロボロになった身体をを引きずりながら帰ってきた俺こと村雨の目にまず映ったのは、―― ストライプ柄のパンツであった。

 

「Oh……」

 

「あっ! お兄ちゃんが飛鳥のパンツのぞいている!」

 

 床に這いつくばる俺を指さして、未来ちゃんが声をあげた。

 

「……えっ? きゃっ!?」

 

 俺に下着をのぞかれたと指摘を受けた飛鳥ちゃんが慌てながら後ろ手でスカートを隠すが、彼女の身に纏う国立半蔵学院の太ももまでしか隠れない短いスカートでは、あまり意味が無く、むしろかえって扇情的な――

 

「――お兄様」

 

「あっ俺、死んだわコレ」

 

 義妹である斑鳩の底冷えするような声で俺が今やっているのは、現役女子高生のパンチラをのぞいて鼻の下を伸ばしている社会人という絵である。

 

 斑鳩は、めっちゃ美人だけど怒ると怖いからなぁと再認識する俺であった。

 

 

 

 

 

 アパート戻って早々に義妹による折檻を受け気絶した後、斑鳩、両備ちゃん、未来ちゃん、叢ちゃんに加え、飛鳥ちゃんを含めた五人は、高ぶっていた感情が時間と共に落ち着いたのか、それぞれが反省と共にどうしてこうなったのかを話し合ったそうだ。

 

 その結果――

 

 

 

 

 

 

 

「――それじゃあ、いれるぞ?」

 

「あ、その、わ、我もこういった事は、は、はじめてですので、なにとぞ、やさしくおねがいします!」

 

「ふっふっふっ、叢ちゃんのかわいい声が聞きたいからそれは出来ない相談だなぁ~」

 

 俺は、恥ずかしがる叢ちゃんの可愛らしい『あそこ』に対して、強引に挿入する。

 

「はう!? っ~!」

 

「ん? 叢ちゃんはここが、キモチイイかい?」

 

「わっ、われのこんな恥ずかしいところを村雨さんにみ、見られたくないです~」

 

 両手で顔を覆いながら、イヤイヤと首を振る叢ちゃんに俺は躊躇せず「ソコ」を攻めた。

 

「はわぁ!」

 

 そんな俺たちの様子をベッドの下から見ている斑鳩をのぞいたみんなも顔を真っ赤にさせている。

 

「す、すごいわね。叢がこんなに骨抜きになるなんて……両備も先生にあんな風にされるのかしら」

 

「わ、私なんだか、緊張してきちゃったかも……」

 

「あたしは、ちょっと、気になるのよね……だって叢ほんとうに気持ちよさそうだもの」

 

 両備ちゃんと飛鳥ちゃんと未来ちゃんが、こっちから目を離さず、互いに顔を寄せ合って何やらボソボソ話し合っているようだ。

 

「まあ、お兄様のテクニックは超一流ですから」

 

 正座している姿で背筋を伸ばし、エッヘンと自己主張の激しいたわわな胸を揺らし斑鳩が誇らしげにしている。

 

「まあ、斑鳩が小さな頃からよくねだられて経験はたくさんあるからなぁ~ 『耳掃除』」

 

 そう、俺は自分で言うのも何だが、耳掃除のスペシャリストなのである。

 

 はじめは幼き頃、斑鳩とのコミュニケーションというか兄妹のスキンシップで始まったやりとりなのだが、いつの間にか習慣となっていた経緯がある。

 

「はい、こっちの耳はおしまい」

 

「ひゃん!?」

 

 叢ちゃんの耳にフッと息を吹きかけた。

 

 何故、このような事をしているのかを説明するとみんなが今日ここにおしかけてきたのは、最近、俺が仕事にかまけてコミュニケーションをとる時間が取れていないのが主な原因らしい。

 

 明日は休日という事もあり、俺の所にやってきたのはいいが、知り合いとはいえ自分と違う女の子達が居る事に腹が立ったそうだ。

 

 ……もしかしてモテ期到来? と、考えたがそれはないだろうと思う。

 

 そもそも斑鳩は妹だ。そして、甘えん坊な所もあるが、普段は優等生で風紀委員長でもある。おそらく俺が一人暮らしで不摂生な生活をしていないかを確認する為だろう。

 

 次に両備ちゃんは、彼女の姉である両姫が俺の友人だった事もあり、古くからの付き合いだ。昔からツンツンしている所はあるが、本当は心優しい一面もある。蛇女で生徒たちに振り回されて右往左往している俺を心配してくれたのだと思う。

 

 さらに未来ちゃんは、抜忍である立場から、ひとりで居る事を心配した春香ちゃんからの提案というのもあるが、お泊りという事で、執筆している小説の感想なんかをじっくりと聞きたいってのもあるのだろう。

 

 そして叢ちゃんは、財閥の跡取りという立場から、たまには息抜きもしたいという思いもあり、趣味が似たり寄ったりで、財閥令嬢としての顔をしなくてもよくて、彼女が気兼ねなくくつろげる場所として俺のアパートを選んだと考えられる。

 

 最後に飛鳥ちゃんは、俺が子供の頃から何かとお世話になっている半蔵おじいさんの孫だ。飛鳥ちゃんが近所の悪ガキをよくこらしめていた頃からの付き合いで、彼女がひとりっこっていうのもあり、お兄ちゃんと慕ってくれている。言い方は悪いが、素直でワンコのように懐いてくれるのでついつい構ってしまう。故に最近、一緒に遊んでいなかった事もあり、久しぶりに俺と遊びたかったのであろう。後、余談だが、半蔵学園で斑鳩の後輩となった事で「よそでも可愛らしい妹をつくっていらしたんですね?」 と、妹に冷たい視線を浴びせられたのは記憶に新しい。

 

 兎も角、斑鳩をのぞき、今まで女性ともろくに付き合った事の無い俺に惚れてるかも……みたいなハーレムマンガの主人公みたいな展開は無いと言い切れる。ただ、兄貴分である俺と久しぶりに遊びたかったという訳だ。はい論破。証明終了。……そんな自身の身が少し悲しくはあるが。

 

「……先生のあの表情。絶対、両備たちの事を誤解しているわね」

 

 両備ちゃんの言葉に顔を上げるとみんなから何やらじとーっとした目を向けられていた。

 

 俺の胡坐に頭を乗せている叢ちゃんも頬が赤く染めているが、何やら不満げな顔をしている。

 

 みんなに悪いが、そんな表情もカワイイと思ってしまう俺はかなりのシスコンなのかもしれない――

 

 

 

 

 

 

 

 今まで、構ってあげられなかった罰としてみんなに対しての耳掃除も無事に終わり、アパートの一室で夕食を頂いた。

 

 飛鳥ちゃんが持ってきてくれた半蔵おじいさんが彼女に持たせてくれた特大の太巻きに斑鳩お手製の鶏肉にこんにゃく、ニンジン、ゴボウ、レンコンがゴロゴロ入った筑前煮、両備ちゃんが先ほどキッチンで作ってくれていたホワイトソースたっぷりのグラタンなどが並ぶ。

 

 普段、質素な食生活をしている未来ちゃんの目なんかキラキラと輝いていた。

 

 久方ぶりにみんなでとる食事に俺もテンションがあがり、飛鳥ちゃんにあーんをかわいらしくねだられて、太巻きを彼女の小さなお口につっこんであげたり、それを見た斑鳩が、筑前煮を俺の口に無理やり入れたりなどのアクシデントがあったが、楽しい時間だった。

 

 そして、夜も遅くなる前にここで泊まる事が決定している未来ちゃん以外の女の子に家に戻るよう促すと――大ひんしゅくを買ってしまったのである。

 

 斑鳩に「他所の子を泊めて、わたくしを返そうなどお兄様はわたくしの事を愛していないのですか!」と言われそれに続いて飛鳥ちゃんが「そうだ! そうだ!」と抗議の声をあげる。両備ちゃんにも「同い年の未来はよくて両備がダメって事はないわよね?」と言われてしまう。

 

 さすがにこの人数全員を泊めるとなると、このアパートの一室では手狭である事を伝えても「未来ちゃんばっかり、えこひいきだ!」と飛鳥ちゃんが珍しくおかんむり。

 

 妹分達の主張に困った俺は、抗議の声をあげていない叢ちゃんに助けを求める意味を込めて視線を送る。

 

「えっ、えっと。我は別にクローゼット中や、バスルームで眠る事もできます! 何ならベッドの下でも可です!」

 

 そう言って叢ちゃんはベッドの下に潜り込もうとするが、

 

「はわっ!」

 

 大きなおっぱいがベッドにつっかえて潜り込む事が出来なかった。

 

「……それは両備に対しての嫌味なのかしら?」

 

「うぅ~あたしだって、いつかは……」

 

 叢ちゃんの即席ひとりコントを見ていた両備ちゃんは目のハイライトを消し、未来ちゃんは自分の未発達な小さな胸をペタペタと触ってちょっと泣きそうな表情を浮かべている。

 

 という訳で、俺は押し切られ、みんなを泊める事となった。

 

 部屋のベッドは、未来ちゃんと両備ちゃんのふたりが使う事になり、部屋の残りのスペースに予備の敷布団と掛布団を横方向に敷いて、その布団の下にマットレス代わりの毛布を入れる。余った毛布とタオルケットを掛布団代わりにして斑鳩、叢ちゃん、飛鳥ちゃんの三人が横になれるスペースを作る。

 

 肝心の俺は、ドアの向こうキッチンスペースにレジャーで使っている寝袋を使う事となった。

 

 ……まあ、女の子ばかりの花園になった部屋に入る勇気もないから是非もないヨネ!

 

 当初、泊まる予定のなかった女の子達は、寝巻代わりに俺のクローゼットから上着を選んだり、下着の替えや美容品など近くのコンビニに買いに行ったりして、とても楽しそうである。もう何だかプチ合宿の様相を呈してきた。

 

 とりあえず、俺が言いたい事は――

 

「斑鳩、俺のトランクスを自分の鞄の中にしまうのはやめなさい」

 

「えっ?」

 

 いや、本当になにを考えているんだか……兄としては心配である。

 

 そんなこんなで騒がしい一日であったせいか、寝袋に入った俺は、すぐに眠りにおちるのであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何か、いい匂いがする。それと、タンタンタンと軽快で心地良い音に俺は目を覚ます。

 

「あっ、先生起きたの?」

 

 寝袋から半身を起こすと昨日の夜と同じく両備ちゃんがキッチンで何やら料理を作っていた――が、問題なのはそこではない。

 

 両備ちゃんが俺のワイシャツの上にエプロンを着ている姿でそのシャツの袖を捲っている。何よりもシャツのサイズが大きい事もあり、パンツこそ見えないが下にズボンをはいていない所謂、『彼シャツ』状態であったのだ。

 

 すらりと伸びた足と両備ちゃんのセクシーポイントであるヒップの曲線が実に艶かしい。

 

 そんな、現役女子高生の彼シャツで朝食を作る両備ちゃんの姿に俺は、コレ何のエロゲ状態であったが、もっとマズイ事がある。

 

 それは、俺の股間に忍ばせている忍刀が、その生理現象も手伝いその、まあ、まさに命駆の状態になっていた。

 

 これはマズイと俺は、股間を手で抑えるが、その姿を見た両備ちゃんがソレに気づいたのか、小悪魔な表情をニヤリと浮かべる。

 

「ふふふっ。先生、両備のこの姿にコーフンしちゃったのかしら?」

 

 俺に近づき耳元で優しくそう囁く両備ちゃん。

 

 これはいかん! 俺は必死になってこの状況を打破する為に行動を――

 

「あー! 両備ちゃんが村雨お兄ちゃんを誘惑しているー! 昨日、みんなで抜け駆けはナシって決めたのに!」

 

 バスルームから現れた髪を下した姿の飛鳥ちゃんが声をあげる。

 

 飛鳥ちゃんはお風呂に入ろうとしていたのか、バスタオルを体に巻いているという出で立ちであった。

 

 バスタオルからこぼれそうな大きなふたつの果実。……おいしそうなおっぱいが本当に目の毒である。

 

「アンタのその姿の方が問題でしょ!」

 

 両備ちゃんが手にしたプラスチック製の皿を手裏剣のように飛鳥ちゃんの頭に向けて放り投げた。

 

「にゃっ! いったーい! 両備ちゃんひどいよ!」

 

 見事に皿は頭にヒットしてその場にうずくまる飛鳥ちゃん。

 

「ひどいのはそっちでしょ! 折角の……チャンスだったのに」

 

 何やら言い争いをはじめるふたり。そんな光景を見ながら俺は助かったと溜息を吐くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日は休日という事もあり、みんなでダラダラと過ごす事になった。

 

 部屋の中では、未来ちゃんと飛鳥ちゃんと斑鳩の三人がゲーム機を使ってマ〇オカートでレースゲームを楽しんでいる。

 

 斑鳩は、こういったゲームをあまりやった事が無いので、常に最下位だ。未来ちゃんと飛鳥ちゃんのデットヒートが繰り広げられている。

 

「むむむ、難しいですね」

 

 斑鳩が眉間に皺を寄せながらテレビ画面を見ているが、そもそも正座で背筋を伸ばしコントローラーをちゃぶ台の上に置いて指先でキーボードをタッチするようにボタンに触れているとんでもプレイスタイルに問題があると思う。

 

「――叢、この続きある?」

 

「あっ、はい。コレですね」

 

 で、俺はベッドの上で胡坐をかきながら、叢ちゃんお勧めのマンガを読み、その両隣で両備ちゃんと叢ちゃんが同じようにベッドの上に居て、三人でそれぞれ読書をしている。

 

 両備ちゃんは叢ちゃんから小説の続きを受け取り、俺の身体に寄り掛かる形になり本の続きを読む。

 

「しかし、コレ面白いけど……主人公のお姫様が没落した貴族の幼馴染と逃避行するっていう設定がねぇ」

 

「……うぅぅ」

 

 両備ちゃんの反対側にいる叢ちゃんは、俺に寄り掛かったりはしないが、肩と肩が触れ合うような距離に居る。

 

 ちなみに両備ちゃんが今、読んでいるライトノベルは俺も読んだ事があるけど、消極的なお姫様が好意を寄せていた貴族の男の子と共に国を抜け出して、二人でモンスター退治やダンジョンを攻略するという内容でおもしろかった記憶がある。最新刊では、確か貴族の男の子の妹が追いかけてきて三つ巴のシュラバンバになっているラブコメディだ。

 

「お兄ちゃん! あたしの仇とってよ!」

 

 そんな風にまったりとしていると、今度は未来ちゃんに引っ張られて、俺ベッドから降りる形になる。

 

 どうやら飛鳥ちゃんにゲームで負けたらしい。俺もあまり自信は無いが、他ならぬ未来ちゃんの頼みだ。

 

「よいしょっと……頑張ってねお兄ちゃん!」

 

 コントローラーを手にして胡坐をかいた俺を椅子にするように未来ちゃんが座り込みエールをかけてくれる。

 

「あっ、未来ちゃんいいなぁ。次、私が勝ったらそこ代わってよ」

 

「だめでーす」

 

「……勝てば、お兄様の膝に合法的に座れる……こうあすなろ抱きのような感じで……ブツブツ」

 

 うん。斑鳩、妄想駄々洩れの所申し訳ないが、レースが始まって逆走しているクセを何とかしない限り、お前さんの願いはかなわないと思うぞ。

 

 こうしてみんなで過ごす休暇もたまには悪くないかと俺は思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――未来 視点

 

 

 

「スマン、ちょっとトイレに行ってくる」

 

 お兄ちゃんは、ゲーム機のコントローラーをあたしに渡すとそう言って部屋から出て行った。

 

「うーん。村雨お兄ちゃんが戻ってくるまで少し休憩しようか?」

 

「そうだね」

 

 あたしは飛鳥の提案に乗る事にした。

 

「……どうして勝てないのでしょうか?」

 

「アンタが下手だからよ」

 

 レースに一回も勝てず、うなだれている斑鳩に本から視線を外さないまま、両備が容赦なく止めをさした。

 

「あはは……」

 

 ショックを受けている斑鳩を飛鳥が苦笑しながら、彼女の頭を慰めるように優しく撫でていた。

 

 そうしている時、ちゃぶ台の上に置いていたお兄ちゃんのスマートフォンにL〇NEの着信告げる音が鳴る。

 

「みやびちゃん? これは……雅緋さん!?」

 

 斑鳩が声に出して驚いている。あの中二病イケメン女とお兄ちゃん知り合いだったんだ……まあ、蛇女の先生だし、相手は選抜チームのリーダーだし……でもLI〇Eを交換するぐらいだから仲がいいのかな……ううっ、やっぱりお兄ちゃんは春香様のようなボインボインな女性の方が好みなのかな?

 

「斑鳩さん、村雨お兄ちゃんのスマホ勝手にいじっちゃだめだよ!」

 

「飛鳥さん! これは、お兄様が不純異性交遊をしていないかの確認です!」

 

「そうね」

 

 斑鳩の言葉にいつの間にかベッドから降りた両備がスマホの画面を親の仇を見るかのようににらんでいる。

 

 叢も声には出さないがベッドから身を乗り出して斑鳩の手にあるお兄ちゃんのスマホを見ている。

 

 あたしも雅緋とお兄ちゃんの関係が気にならないと言えば、ウソになる。

 

「でも、暗証番号が当然の如くかかっているから内容を確認するのは無理かしらね」

 

 落ち着いて考えれば両備の言う事がもっともだ。

 

「解きました」

 

「えっ!?」

 

「なんでロックを外せられるのよ!」

 

「お兄様の事であれば、わたくしに不可能な事はありません!」

 

 驚く叢や両備をよそに斑鳩がエッヘンと胸を張る。

 

 ――巨乳死すべし。

 

 いやいや、今、大事なことは雅緋から送られた来た内容をみんなで吟味する事だわ。

 

「とりあえず、雅緋が何を送ってきたのか見てみましょ」

 

 あたしの言葉にみんなは顔を見合わせて頷く。

 

 昨日の夜、この部屋でお兄ちゃんに対する抜け駆けを禁止する淑女協定が締結されたばかりで、これ以上、お兄ちゃんに近づこうとする女達に対してあたし達は最大限の注意を払うべきなのだ。

 

 斑鳩のスマホを指でタッチする動作に私はゴクリと息をのむ。

 

 肝心の着信は、複数の人達で作るグループに届いているようだ。

 

 グループタイトルは「紳士同盟」……雅緋、イケメンすぎるのもほどがあるわほんとに。

 

 あたしがそんな事を考えていたら、お兄ちゃんのスマホに雅緋から続いて着信があった。

 

『かわいいみやびちゃん:同志達よ、今日はよきモノを手に入れる事が出来たので皆で分かち合いたいと思う』

 

 雅緋が言う良いモノって何だろう?

 

 そんな事を考えていたあたしの目に雅緋が送信した画像が送られてきた―――

 

 

 

 

 

 

 

 そこには、雅緋の盟友でメガネなボクッ娘の忌夢の――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブルマ体操服(赤)を身に纏った姿の写真だった。

 

 恥ずかしそうな表情を浮かべ腕で胸と股を隠している。

 

 そして、次々とブルマ体操服姿の忌夢の写真画像がお兄ちゃんのスマホに送られてきた。

 

 グラビアアイドルの写真集か!

 

 さらにそれを既読した人物からの着信が届く。

 

 『はんぞー:神様、仏様、雅緋様! 忌夢ちゃんサイコー!』

 

 『キリヤン:ナイスブルマ!』

 

「じっちゃん……霧夜先生……」

 

 書き込みのふたりに何か思い当たるフシがあるのか飛鳥が頭を抱えだした。

 

 叢は目が点になって動きが止まっている。

 

 そして、LIN〇の着信が再び鳴る。

 

 グループではなく個人からの着信で『忌夢』とあった。内容は――

 

『忌夢:センパイ! 雅緋からの着信見ないで! ほんとに後生だから。あんな姿をセンパイに見られたらボクお嫁にいけないよっ!』

 

「……なるほど、『センパイ』ですか……」

 

「……これは黒ね」

 

 忌夢からの着信を見た斑鳩と両備が頷きあう。私も雅緋の事は兎も角として忌夢のコレはそう思うからだ。

 

 そこに何も知らないお兄ちゃんが部屋に戻ってきた。

 

「あれ、みんなどうし――」

 

 あたし達に声をかけるやいなや、斑鳩と両備が目にも止まらぬ速さでお兄ちゃんの身体を拘束する。

 

「「吐け」」

 

 フローリングの床に無理矢理、押さえつけられたお兄ちゃんの頭に両備の手にしたライフルの銃口がゴリゴリと押し付けられ、首に斑鳩が抜刀した刀の刃が添えられている。

 

「えっ? えっ? 何事!? 一体何が!?」

 

 混乱しているお兄ちゃん。

 

 怒っている斑鳩と両備の気持ちを乙女であるあたしがわからないでもないが、そんな事より、お兄ちゃんに聞きたい大事な事があるのだ――

 

 あたしはスマホに映ったブルマ体操服の忌夢の画像を見せながら大事なこと聞く。

 

「お兄ちゃんはコレ(ブルマ体操服)が好きなの?」

 

 あたしの質問にお兄ちゃんはスマホの画面を確認してから、少し考えるような表情をした後、

 

「ああ、好きだぞ?」

 

 と、答えてくれた。

 

 ……そっか、そうなんだ。

 

 あたしはお兄ちゃんのその言葉である決意が固まったのであった。

 

 

 

 

 

 

――村雨 視点

 

 

 トイレから戻ってくると部屋の真ん中のちゃぶ台にみんなが集まっていたので、思わず声を掛けたのだが、斑鳩と両備ちゃんに身体を押さえつけられた。

 

 えっ? 何、何が起こっているんだ? どうして斑鳩と両備ちゃんは何で激おこなんだ!?

 

 俺が混乱していると、未来ちゃんが俺のスマホの画面をずいっと見せてきた。

 

 そして、何やら思いつめた表情で俺に問いかける。

 

「お兄ちゃんはコレが好きなの?」

 

 スマホの画面には後輩である忌夢のブルマ体操服姿が映っていた。 ――雅緋いい仕事だ! ナイス、ブルマ――ゲフンッゲフンッ! そうではなくて、未来ちゃんは、忌夢の事を聞いているのだろう。

 

 だから、迷いなく答える。

 

「ああ、(忌夢は可愛い後輩だからみんなと同じぐらいに)好きだぞ?」

 

「ちょっとトサカに来たわ」

 

「ええ。そうですね」

 

「えっ? 何、なんなの!? 俺、ちゃんと答えたじゃん!」

 

 正直に忌夢をどう思っているのかを答えたのに両備ちゃんと斑鳩のふたりはそれぞれ俺の腕を掴んで引きずりだす。

 

「――先生、大丈夫よ。ちょっと、ウォシュレットで顔を洗って目を覚ませて貰うだけよ」

 

 イヤイヤ、両備ちゃん、俺に両奈ちゃんばりのマゾっけはないから!

 

「――今、両備達以外の女の事を考えたでしょ? ダメって言ったのに」

 

「お兄様はあちらこちらと女性に粉かけて……全く鳳凰財閥の身内としてもっとしっかりしていただかないと困ります」

 

 誰か助けてっ! この際、亡くなった両姫でもいいから!

 

 

 

 

 俺の願いに『村雨君、ゴメン無理』と永遠の十七歳な初恋の女の子からの幻聴が聞こえたような気がしたのであった――

 

 

 

 とりあえず おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 えぴろーぐのようなへびのあし

 

 

 

―― 四季 視点

 

 むらっちが、カレシの家でお泊りして帰って来てから、なんか創作活動に火が付いたとかで……新しいマンガをスゴイ勢いで描いているんだよね~

 

 うんうん。元気なむらっちが見れて嬉しいよ。

 

 それはそれとして、前に見せてくれた世紀末な~熱血マンガも面白かったけど、今回の男の子と女の子のドタバタラブコメディも面白いわ。

 

 でも、私的にちょっと気になる事があるんだよね~

 

「ねぇねぇ、むらっち」

 

「――何ですか? 四季さん」

 

 マンガを描く手を止めず、視線も原稿に向けたままのむらっち。こりゃ、インスピレーションがたぎっているというのはホントだわ。

 

「あのさ、今回のマンガとっても面白いんだけど……どうしてヒロインの女の子、こんなに体操服っていうかブルマ姿の描写が多いの?」

 

「へきゃ!?」

 

 あたしの言葉にへんな声をあげて原稿にヘッドバットするむらっち。

 

 ……コレはブログのネタよりも鬼おもしろい気がしてきたわ~ むらっち覚悟してね。

 

 

――両奈 視点

 

「えへへ……」

 

 昨日、両備ちゃんが出掛けてから今日の夕方に戻ってきてた。

 

 荒縄で亀〇縛りにしていた両奈ちゃんを気にする事なく――放置プレイ続行で、これは、これでいいんだけど、何やら両備ちゃんの様子がおかしい。

 

 鞄から取り出した男性用のワイシャツを取り出すとそれを上着のように羽織ってなんか、クンクンと匂いを嗅ぎだしたのだ。

 

 あれは、きっと村雨ちゃんの使用済みワイシャツ! いいなぁ、いいなぁ。両奈もほしいよ~

 

 ……そっかぁ、両備ちゃん村雨ちゃんの所に遊びに行ってたんだぁ。両奈も一緒に行きたかったなぁ。あ、でもでも、そうすると今回の荒縄縛り一昼夜プレイが体験できなかった事になるのかな? う~ん。両奈ちゃん悩んじゃう。

 

 しかし、両備ちゃんは相変わらず、村雨ちゃんの事が大好きだねー。両姫お姉ちゃんの事もあるだろうけど、もっと素直にならないと……村雨ちゃんあれで学園ではモテモテなんだから~。

 

 両奈ちゃんとしては~両備ちゃんと村雨ちゃんが結婚して、小さいながらも家族で住めるマイホームを購入して、女の子と男の子をひとりずつ産んで幸せな家族になってほしいの。それで、それで、両奈は二人の家で飼ってるペット! これは絶対ゆずれないの!

 

 ふたりをくっつけるために両奈ちゃんも一肌どころか身に着けている服、全部脱いじゃうよ!

 

 うーん。とりあえず、両備ちゃんを焚きつけるため、両奈が村雨ちゃんを誘惑しちゃおっと。

 

 村雨ちゃんと腕組んで、おっぱい押し付けたり、膝枕なんかして貰ったり、耳元で「両奈愛してるよ」って言ってもらたりなんかしてー。

 

 それで、それで嫉妬に狂った両備ちゃんが両奈ちゃんにスンゴイお仕置きして、他の女の子達にとられてなるものかと村雨ちゃんと急接近したり!

 

 両備ちゃんと村雨ちゃんのみならず両奈ちゃんともwin-winな関係を構築出来る作戦を思いつくなんて……ああ、両奈ちゃんってば自分の才能が恐ろしいの!

 

 

 

 

―― 柳生 視点

 

 今日も忍術の授業を滞りなくおえて、オレ達は忍びクラスに与えられている部屋でおもいおもいに寛いでいた。

 

「――それでね、村雨お兄ちゃんが、あーんって私のお口に向かって大きいのいれてくれたの!」

 

「お前のアニキすげえな。現役女子高生の飛鳥の口にでかくて太いモノぶち込むなんて」

 

 飛鳥の言葉に葛城が反応し、ニヤニヤとしながら斑鳩に問いかけている。

 

 まあ、何だ。どうせ村雨が甘えてきた飛鳥に対して、好物の太巻きを食べさせてやっただけの事で何もおかしい事はない――ないはずだ。

 

 その証拠に斑鳩は、我関せずとばかりに茶を啜っている。

 

「いいな、いいなぁ! ひばりも今度、お兄さんと一緒にみんなと遊びたいなぁ」

 

「うん! 今度、村雨お兄ちゃんに聞いてみるよ」

 

 雲雀のお願いに飛鳥が笑顔で答えている。雲雀の嬉しそうな表情を見て、オレの心も安らいだ。

 

「――ダメです」

 

「「「えっ!?」」」

 

 だが、そんなふたりのやりとりに斑鳩が待ったをかけた。

 

「――オイオイ。ブラコンも大概にしとけよ。いいじゃんか、斑鳩のアニキとみんなが遊ぶくらい」

 

 葛城が声をあげた斑鳩を落ち着かせようとして宥める。

 

「ダメなものは、ダメです! ――『雲雀』さんはいけません!」

 

 雲雀が村雨と遊ぶ事に何が問題があるんだ! オレは斑鳩の言葉に怒りを覚えた。

 

「斑鳩さん、どうして雲雀ちゃんが村雨お兄ちゃんと遊ぶ事がダメなの? ――私達も一緒だから別にいいんじゃない?」

 

 飛鳥の言葉にオレも同意だ。

 

 以前、妹に対してシスコンであったオレが言うのも何だが、ちょっと独占欲が強すぎるんじゃないかと思う。

 

「飛鳥さん! 雲雀さんは――この学園で一番、ブルマが似合う女の子なんですよ? しかも、ジャージブルマとか……お兄様をこれ以上、毒牙にかけるわけにはまいりません!」

 

 斑鳩の言葉にオレと葛城は思わずズッコケた。

 

「う~ひばりだって、飛鳥ちゃんや斑鳩さんに負けないくらいお兄さんと仲良しだもん!」

 

 待て、雲雀。落ち着けそれ以上はマズイ。

 

「――この前だって、ひばり、柳生ちゃんと一緒にお兄さんと遊園地で一緒に遊んだもん!」

 

 村雨と負けないぐらい仲が良いとアピールしたかったのはわかるが、この場においては、雲雀よ、それは悪手だ。

 

「……柳生さん。聞きたい事ありますので、少しよろしいですか?」

 

 いや、ブリザードを感じさせるような声でこっちに近づいてくるなっ! 村雨とオレと雲雀は、べ、別に何でもないぞっ! ……多分っ!

 

「――ギルティ」

 

 くわっとハイライトのない瞳で斑鳩に断定されてしまった。 ……この事は、貸しだからな村雨ぇ! 後、葛城! 腹を抱えて笑うんじゃない! 覚えてろよ!

 

 

 

 

―― 春花 視点

 

「春花様、詠お姉ちゃん。お願いがあるの」

 

「あら、どうしたの未来?」

 

 未来が真剣な表情で私達にお願いがあると頼んで来た。

 

 抜忍となった私達に付いて来てからは、こういった事を聞いた記憶が無い。

 

 それは、詠ちゃんも私と同じ思いのようで首を傾げている。

 

「あのね、お小遣いを少し前借りしたいの」

 

「……前借りですか?」

 

 思いもよらない未来の言葉に詠が驚いていた。正直、私も同じ気持ちになった。

 

 私たちの懐事情が芳しくない事ぐらい未来は承知しているはず。

 

「はははっ。未来がそんなワガママを言うなんて珍しいな。理由ぐらい聞いてやったらどうだ?」

 

 話を一緒に聞いていた焔ちゃんが詠を促す。おそらく私たちのリーダーとして、現状に一番責任を感じているからでしょうね――もっと、私や日影を頼ってくれてもいいと思わないでもないけど……

 

「うん。あのね実はお兄ちゃんが――」

 

 あら。お兄ちゃんって、村雨さんの事かしら? ふふふっ未来もちゃんと女の子してるのね。

 

「――ブルマが大好きなんだって! だからあたしも、もっとお兄ちゃん好みの女の子になる為にブルマが欲しいの!」

 

 ……未来の決意の籠った言葉にアジトの中の時間が止まったように私には思えた。

 

「……詠――私は、行くぞ」

 

「ええ、焔さん。わたくしも共に参ります」

 

 焔ちゃんと詠ちゃんはそのまま疾風の如く、アジトから飛び出して行った。まったくもう。

 

「あ、あれ春花様、焔と詠お姉ちゃんどうしたの?」

 

 私は、困惑している様子の未来に頭を優しく撫でる。

 

「二人はあわてんぼうね。それは、ともかく未来。お小遣いの件、私が何とかしてあげるわ」

 

「ホント! 春花様っ!」

 

 キラキラとした瞳で私を見上げる未来。 ……可愛い妹分の恋路だもの私も出来るだけ協力するわ―――何だかとっても楽しそうな気がするというのもあるのだけれど。

 

「……わしは、あのセンセが、未来に対してそんなアホな事する訳ないと思うんやけど」

 

 今まで静観していた日影がそうつぶやく。

 

「あら? 日影は村雨さんの事を信頼しているのね?」

 

「そりゃ、これでも、わしセンセの元生徒だったしなぁ……」

 

「それは私も同じよ、日影」

 

 あの人は抜忍となった私達を排斥するどころか元、生徒として心配をしてくれる。ちょくちょく先生のもとに遊びに行く未来にお土産として缶詰やお米を持たせてくれたり、忍務の帰りにたまたま彼にあったりすると、食事にさそってくれたりもするのだ。

 

 私たちにとって、忍びとしてではなく、人としての恩師は間違いなく村雨さんなのだから。

 

 焔ちゃんも詠ちゃんも思いもよらなかった未来の言葉に感情的になっているだけの事。

 

「まあ、未来が嬉しそうにしているのを見ていると――わしも何か胸の辺りがこう温かくなるような気がしてな」

 

 あら? あら? これはもしかして……もっと面白い事になりそうな予感がするわね――

 

 

 

 

 

 

 

 結局、焔ちゃんと詠ちゃんは、村雨さんを強襲するも誤解とわかり、謝る事になったわ。

 

 でも、村雨さんは怒る事なく、せっかくだからという事で二人を食事に誘ってくれたそうよ。連れていかれた場所は、なんとラーメン屋。

 

 焔ちゃんはチャーシュー大盛ラーメン、詠ちゃんはもやしラーメンをごちそうになったそうよ。

 

 それにアジトに残った私達の事を気にかけて村雨さんは、お土産にギョウザをたくさん持たせてくれたわ。

 

 みんなで美味しく頂いたけど、乙女にギョウザという選択肢は、無いわよね。ほんと。

 

 でも、そんな村雨さんだからこそ、未来達は先生という立場以上に彼を慕っているのよね。

 

 

 

 ――その恩返しという訳ではないけれど、とりあえず、焔紅蓮隊全員のブルマ体操服を購入するという方向で行ってみましょうか? 覚悟してね セ・ン・セ・イ♡

 

 

 

――村雨 視点

 

 ――村雨です。

 

 ――最近、妹達に身に覚えのないお仕置きをされている村雨です。

 

 今日も蛇女で仕事を終えた俺がアパートに戻り、今、ここで何が言いたいのか言うと――

 

「ヤダッ! まだ女の子達の香りがこんなに残っているっっっ!!」

 

 独り身には今、この空間に居るのが拷問に等しい。

 

 斑鳩達が居ないこの状況では彼女達が居ることで抑えられていた理性が飛んでしまい、俺の股間の忍刀もニューリンクなバースト状態になってしまう!!

 

 何とかせねばと思い立ち俺は、とりあえずベッドから飛び起きて少しでも空気を入れ替えようと部屋の窓を開放した。

 

「――むっ、気づかれるとは思わなかったぞ先生」

 

「あっ、先生こんばんわー」

 

 窓を開け、視界に映ったのは蛇女の制服を纏った二人の少女。

 

「この美して強い私が、わざわざ遊びにきてやったぞ。喜べ先生!」

 

 腕を組んで胸をプルンと揺らしながらドヤ顔でそう宣言するのは、金髪ロングな美女で自信家の蛇女で上位の腕を持つ総司。

 

「おじゃましまーす」

 

 明るい笑顔を俺に向けてくるのは、自称蛇女一の常識人でどう考えても両奈ちゃんと同じニオイがするワンコな伊吹。

 

 今年の蛇女入学生で俺の中での問題児トップスリーの二人である。 ――後、ひとりは両奈ちゃんである。

 

 とりあえず、深夜に男のしかも教師の家にベランダから入ろうとするのは、年頃の女の子としてはどうかと思う。

 

 だから俺は――

 

 

 

 

 

「カエレ!」

 

 

 

 

 

 ――こう言った俺は絶対に悪くないと思う。 いや、思いたい。

 

 

 

 

 

 ほんとにおしまい

 

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