優しさにたどり着くために   作:トップハムハット卿

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どうも、初めましてトップハムハット卿です。
青ブタが大好きなので、アニメ化で脚光を浴びているこのタイミングで書き始めて見ました。




#1.1話から同棲って…

「これ……もしかして、のどか!?」

 

愛斗は読んでいる雑誌の記事を見て目を疑った。

 

《ネクストブレイクはこのグループだ! "スイートバレット"》

 

プロフィールを見る限りでは、高校生ばかりのユニットらしい。

そのメンバーの1人、豊浜のどかを愛斗は知っている。

 

腹違いではあるが、のどかは愛斗の姉に当たる。

 

「中学までは黒髪だったのに、今では金髪とは…」

 

アイドルとは、やはり派手さも重要なのだろう。

でも、他のメンバーはみんな黒髪だ。

 

「よく分からんな」

 

アイドルの事情などさっぱり分からない。

今度会った時に理由でも聞いてみようか。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

愛斗の口からは大きなため息がこぼれる。

学校に行くのを憂鬱に思う人も少なくはないと思う。

愛斗もそのうちの1人。

 

それに、愛斗の場合はどこからか広まった"ある噂"のせいでクラスから完全に浮いていた。

 

「あと3年間もこれが続くと思うと、ほんと憂鬱だな」

 

まだ1年生の5月。この先の高校生活を考えるとさらに憂鬱だ。

 

 

 

愛斗が通う峰ヶ原高校は、七里ヶ浜のすぐ側にある神奈川県の高校。

通学で使用する江ノ電は、ローカル線ではあるものの、毎朝の通勤時間帯では賑わっている。

 

電車に乗り込むと、周りの学生は「昨日のテレビが〜」とか、「宿題が〜」と話している中、愛斗は誰と話すわけでもなく、静かにスマホの画面を見つめる。

 

 

学校の最寄り駅の七里ヶ浜駅に着くと、後ろから愛斗に声をかける人物が2人。

 

「おはよう、愛斗」

「おはようございます。国見さんに梓川さん」

「ん、おはよ」

 

彼らは愛斗が先日から始めたファミレスでのアルバイトの先輩であり、同じ峰ヶ原高校に通う先輩でもある。

 

学年は1つ違いだけど、気さくに話しかけてくれるとても良い先輩だ。

 

 

 

愛斗の席は、教室の真ん中の列の1番後ろ。

さ行だと、どうしても出席番号がその辺になってしまう。

 

同じクラスに話せる相手がいない愛斗にとっては、退屈な席だ。

せめて窓際が良かった。

 

 

「あっ…」

 

前席の生徒の声とともに、愛斗の机の下に消しゴムが転がり込んできた。

 

「はい、どうぞ」

「あ、ありがと」

 

消しゴムの持ち主は、俯いてお礼を言ってくれた。

 

「朋絵〜、早くこっち来なって〜」

「今行くー!」

 

呼ばれて去っていった。

 

「朋絵、あいつと関わっていじめられたらどうすんのよ〜?」

「あはは、ごめんごめん」

 

 

「俺はそんなにいじめっ子に見えるのかね…」

 

誰にも聞こえない音量でポツリと呟く愛斗。

 

愛斗は、過去に一度も人を虐めたりしたことはない。

むしろ、かなり温厚な方だ。

 

 

 

学校が終わるとバイト先のファミレスに向かい、バイトに勤しむのが愛斗の日常だ。

 

今日もしっかりと給料分の働きをして、さっきタイムカードをスキャンし終えて上がったところだ。

 

「お疲れ」

「お疲れ様です」

 

佑真も同じ時間で上がりだったらしい。

 

「あーそうだ。愛斗、昨日言ったこと考えてくれたか?」

「科学部の件ですか?」

「そうそう」

 

この峰ヶ原高校には科学部なるものが存在する。

部員は1人らしい……。

 

その唯一の部員の生徒から、愛斗はぜひ入部してほしいと佑真と咲太経由で勧誘を受けたのだ。

 

「バイトがある日は無理ですけど、それ以外の日なら。という条件付きでも良ければ入部したいなぁなんて思ってます」

「おぉ!そうかそうか!」

 

佑真は後輩の嬉しい返事に大喜びだ。

 

「そんじゃ、早速明日の昼休みにでも双葉のところに行くか!」

「了解です」

 

 

「じゃあ、また明日!」

「はい、また明日」

 

 

 

まっすぐ家に帰ると、玄関先に来訪者が座っていた。

 

「おっそい」

「は?」

 

その来訪者とは……

 

「こんな時間にどうしたのさ、のどか」

 

先日、雑誌で顔を見たばかりの人物。

アイドルグループ "スイートバレット"の豊浜のどかがそこにはいた。

しかも大きなキャリーケースを持って…。

 

旅行に来たついでにでも寄ったのだろうか。

 

「今日から、あんたの家に泊まるから」

 

久しぶりに会えた喜びよりも、この状況に理解が追い付かない。

 

「拒否権は?」

「当然無い」

「ですよね」

 

夜遅い電車で、女子高生であるのどかを1人で帰らせるわけにもいかないため、この状況で愛斗に拒否権など無い。

 

この瞬間、愛斗とわがままお嬢様との同棲が決まったのだった…。




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