それまでは育成
殺せんせーは死んだ。
いや、光になって消えた。
渚という教え子の・・・いや、担当した3年E組の皆に囲まれながら、渚君のナイフが殺せんせーの心臓に刺さった瞬間から、淡い光の粒となり、消えていった。
この物語は・・・新しい物語のプロローグかつ、世界を変えた人々の伝記のようなものである。
光が集まり始める・・・満天の星空の下に・・・それが徐々にタコの形となり
「にゅヤぁ!!」
となんとも情けない声がしたそうだ。
ここがどこなのかわからないタコこと殺せんせーは、とりあえずゆっくりと腰を降ろした。
自分は死んだはずだ。
それが生きている。
姿もタコのようなままだ。
なぜ・・・でしょうね?
顔色をコロコロと変えながら、ぼんやりと空を眺めた。
数分が過ぎた頃に、殺せんせーは星座が自分が生徒達に教えていたのとは、場所が異なる(或いは無くなっている)事に気がついた。
「ヌフ、ヌルフフフ・・・そもそもここが日本なのか、それとも違う国なのか・・・とりあえず世界を回りますか。」
若干の疲労はあるものの、殺せんせーは立ちあがり、体に力を入れ、空へ飛んだ。
約30分後・・・殺せんせーは元の場所に戻っていた。
「・・・地球ではありますが、少し地形が違う場所がチラホラありますねぇ・・・何より人の形に似ていて異なる生物がチラホラいますねぇ。」
個性というものを知らない殺せんせーは異形型個性を人とは別の生物と認知した。
しかし、情報量の不足に殺せんせーはまた別の場所へ行き情報を集めるのだった・・・
「そもそも時代が違うのか、はたまた世界が違うのか、時間軸が違うのか、それとも異世界なのか・・・」
多数の仮定と
「ただ、ここには椚ヶ丘なる場所はどこにも在りませんでしたねぇ。」
確定的な真実
「・・・どちらにせよ、ここには椚ヶ丘のE組は存在しませんねぇ。」
この不思議な現象を殺せんせーはすぐに割りきった。
「生徒の皆さんには会いたいですが、不可能は不可能と割りきらなくてはなりませんねぇ。渚君に刺された瞬間に死んだのですから・・・また自由に生きてみますかねぇ。幸いにも暇潰しかつ面白そうなそこら辺に沢山ありますからねぇ・・・ヌルフフフ。」
暇潰しかつ面白そうなものとは個性のことである。
異形であったり、電気や炎を体から出す者等の様々な人間を殺せんせーは見てきた。
これらがどういう仕組みなのか・・・殺せんせーの知的好奇心を大いに刺激した。
また、うっすらとだが、殺せんせーの中に残る死神としての殺しの技術の更なる昇華に繋がるのではないか・・・という思考も殺せんせーが自分でも気がつかない位だったが、それも個性を研究してみようという意欲に繋がった。
殺せんせーはすぐにこの不思議な力及び姿、現象を個性という身体機能であることも理解した・・・
「ヌルフフフ、しかし個性の研究データは膨大ですね。先生のスピードを持ってしても現在の個性事例を全て網羅するのには時間がかかりますし、個性の事件、事故、成長の触れ幅・・・面白いですねぇヌルフフフ。」
そこには不気味に目が光り、大きな口で笑う殺せんせーが月光により怖く存在していた。
ヒーロー・・・それは個性を使い人を助ける職業・・・災害、犯罪、人災etc・・・そういった人の災いとなる事を自己犠牲の精神、強靭な肉体、咄嗟の判断、鍛えぬかれた個性を使用して守り、退け、時には警察と協力して捕まえる職業。
その逆にヒーローの敵はヴィランと呼ばれ、犯罪を犯したり、人々を困らせ、時には個性を使って暴れたい等の破壊衝動等により人を傷つける者達である。
このヒーロー社会、ヴィランを親に持つ者も少なからずいる。
そういった者は表社会で生きていくのが困難となる。
とある少女がいた
個性は【軍艦】
母親は個性:武器
父親は個性:船の
ヴィランといっても人を殺すのではなく、薬や違法な物を海上で密輸したり、運び屋として活動していた。
この親達はそれしか生きる道が無かったのが正しい。
親の親・・・少女からすれば祖父母もヴィランであり、親達もろくに学校にも通えなかった低学歴・・・いや、無学歴が正しいだろう。
戸籍も無く、住む場所もコロコロ変わる。
名字もない。
なれるのはやっぱり
結局親につられて子供も
「居たぞ!!ここらを荒らしてた
「俺に任せろ!!水音波」
個性を使い、海上輸送中の少女はその音波攻撃を諸に受ける
まだ幼い少女はその攻撃でそのまま海に沈んでいってしまう。
海上では親達が少女を探しながらヒーローを迎撃し、ヒーローも死人を出したとなればヒーローとしてのキャリアが終わるため、こちらも沈んだ人を探しながら攻撃する。
数分間に及ぶ激闘の末、親達は少女を切り捨てる事にした。
親達も残った荷物を運ばなければ依頼人から殺されかねないからだ。
涙を流しながら、自身が放てる最大級の威力の技海の上で放った。
ヒーローはその衝撃により発生した津波を避けきる事ができず、巻き込まれ、1人は殉職、もう1人は運良く海岸に打ち上げられ、軽傷ですむのであった・・・
この世界にも貧富の格差はある。
個性が発見されてからはより格差は激しくなった。
仕事と個性が上手く組合わさった者、元々金持ちだった者、時代の変化に早くから適合できた者・・・成功者達は膨大な金を得た。
逆に没落、スラム街の形成、個性による社会不適合者の増加、
現在海で流され、海面にプカプカと浮かんだり、沈んだりしている少女は負け組にあたるのであろう。
その背中で優雅に毛繕いしているカモメは勝ち組?になるのか?
そんな馬鹿馬鹿し事はこの際どうでもよい。
勝ち組、成功者と呼ばれる者から突発的に負け組、不適合者が現れることもある。
それは両親から受け継がれる筈の個性が全く別の個性だった時である。
突然変異やミューテーションと呼ばれるものだ・・・
今釣りをしていた殺せんせーが「大物ですよ!!」と叫びながら釣り上げた少女がこの物語のヒロインだとすると・・・
・・・突然変異として親、兄弟から見放され、別荘という名の牢獄に閉じ込められた個性【電磁石】の少年が主人公となるだろう・・・
・・・タコのような何かに拾われた。
ヒーローと呼ばれる人に攻撃されて沈んで、波に流されて・・・
気がついたらタコみたいな人?に助けられていた。
「おや、気がつきましたか。」
黒くてながーいスカート(アカデミックドレス)に三日月が描かれたネクタイを助けてくれた人は身に付けていた。
「ささ、火の近くによって。布団ですがくるまって。」
ごわごわした布団にタオルを触手のような手・・・いや、触手で優しくくるませてもらった。
自然と涙が出てくる・・・その様子にタコみたいな人はニュニャ!!ニュニャ!!と言いながら慌てていた。
その姿はどこか可笑しくて、なんだか心が暖まる・・・そんな感じだった・・・気がする。
たまたま釣り上げたのが少女で慌てた殺せんせーだったが、少女を助け、介護をしているうちに落ち着きを取り戻していった。
(さて、この子を親御さんに届けなくてはいけませんね、何か手がかりは・・・)
殺せんせーが少女が背負っていた荷物を持ち上げる
(・・・2から30キロもありますね・・・薬に銃ですか。この少女に詳しく聞いてからですが、親御さんに帰すのは一旦保留にした方がよろしいですね。)
この出会いが殺せんせーと少女にとっての始まりである。
すっごいゆっくり更新になります