殺せんせーは観察していた。
狐のしっぽと耳が生え、ダボダボのスーツを着た金髪の幼女が自分と高畑少年、長門少女の住む森の中で酒盛りをしている姿を・・・
酔っているのかブツブツと小声で何かを呟きながらまたお酒に手をつける
流石に見かねた殺せんせーは幼女に近づき
「教育者として未成年がお酒を飲むのは見過ごすことはできませんねぇ。」
と言った。
「ふふ・・・未成年かぁ・・・未成年かぁ~」
酔っているのかそれとも素なのか殺せんせーは判断できないが、幼女のテンションがだだ下がりしているのはすぐにわかった。
「タコみたいな人「殺せんせーとお呼びください」・・・殺せんせー、おじさんは未成年ではなく、れっきとした成人女性だよ。・・・アラサー・・・28歳・・・なんだけどなぁ・・・。」
「個性のせいですかね・・・えっと、お名前は」
「南狐・・・みなみきつねです。」
「狐さん、とりあえずそのお体でお酒は・・・」
「・・・そうなんだよなぁ、こんなに不味い酒がいままで大好きだったのに、好きだったミョウガもネギも不味く感じる・・・声もこんなに高くて体も小さくなって・・・いままで鍛えた筋肉も体術も無くなったり、できなくなったり・・・」
酒瓶を見るとほとんど飲んでないのかタポタポと瓶を狐さんが揺らすごとに音をたてる。
「ここだと寒いでしょう。近くに私達の家があります。そちらに移動しましょう。」
「・・・自分で言うのもなんだけど、おじさん不審者だよ。」
「幼女で自分をおじさん呼びするのは確かに不審者かもしれませんが、コレでも教育者の端くれ。・・・困っている人は助けなければいけませんからねヌルフフフ。」
「はは、変わってんなぁ。・・・助かる。」
「立てますか?」
「大丈夫だよ。」
南狐は創られた存在だ。
正確には人間によって創られた存在の子孫である。
昔話に出てくる化け狐が彼女の祖先である。
個性が認知される発光する赤ん坊が産まれるはるか前に誰かが立っている狐を化け物と呼んだ。
それが数十年の年月をかけ、噂が広まり化け狐という妖怪が人の創造によって造り出され、その恐怖心から【具現化】し、本当の化け狐が産まれ、この様に実態のある妖怪が人間や妖怪同士で交わり続け、人とは別系統の存在が出来上がった。
迫害されながらも世界中で妖怪や魔女、悪魔と呼ばれながらも子孫を残し、個性社会になり、ようやく表舞台を歩けるようになった・・・らしい。
ただ、発光する赤ん坊以前にも【個性】持ちは存在する。
「個性は純粋に人種の進化によるもの。私達化け物を祖とする者は何かの混血種。そして祖そのものは純血種とおじさん達は呼んでいるんだよね。」
殺せんせーは狐の話を真剣に聞く
「純血種はどれぐらいおられるのですか?」
「少なくても1人は確実にいる・・・いや、知っている。」
「それが狐さんが【ミス・V】と呼ぶ人ですか。」
「Vは100%人ではない。誰かに創られた存在。そして・・・【世界を征服しようと企んでいる。いや、自身を祖とした混じり物中心の世界に書き換えようとしている。】」
この話を近くで殺せんせーの横で聞いていた主人公とヒロインは自身の人生を賭けた戦いになるとは思っていなかった。
あけましておめでとうございます