ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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ブリタニア帝国記 第二話(シドゥリ暦521年)

「フェイトちゃん、一緒に遊ぼう」

「う、うんなのは」

 

 余の家で、なのはちゃんとフェイトちゃんがトランプをしています。可愛い幼女二人が遊んでいる光景。いやあ、癒されますねぇ。

 

 

 

 新暦61年。なのはちゃんと遊ぶようになって半年近くたってから、予はフェイトちゃんを引き取りました。話がとんでいる? まぁ要するにプレシアと取引をして、アリシアを蘇生させる代価に貰ったんですよ。一応、プレシアとリニスには「フェイトちゃんは家族として大切に育てますので、安心して下さい」と言って置いたので大丈夫だろう。本当に大切にするから安心してね。

 

 ほんと『反魂の術』を開発しておいて良かったよ。ちなみに反魂の術というのは、死者蘇生魔法だよ。

 

 余は以前から例え白骨死体からでも、屍生人を作り出す覚醒者の能力に着目していた。理性を失い人外になるとはいえ、アレも一応死者蘇生に分類される。後はどれだけ生前の人格を保ち、人間として蘇らせるかという問題だ。

 

 その辺りは今まで、散々研究してきた。主に臣民の死体を使った人体実験だよ。やっぱりあれだけの臣民がいると、病気や事故等で死んでしまう者はそれなりに出てきます。献体には困りません。

 

 苦心の果てに、何とか魔法を完成させたけど、覚醒者の血を触媒にしなければならない上に、触媒の血と術者の相性も問われる。どう考えても覚醒者でないと、この魔法が使えないのが難点です。

 

 まぁ元々多用する魔法ではないので問題ないですね。実際、多用されても困ります。統治者としては、死んだ人間が蘇ったなどという事が、日常茶飯事に起きると面倒ですから。

 

 

 

なのはSide

 

 私がシドゥリお姉ちゃんとあったのは、お父さんが大怪我をして入院してから暫くしてからでした。当時の私は寂しくて、家族に構って欲しくて、でもそれができなくてとても悲しかった。一人で家にいて、一人でご飯を食べる。そんな生活をしていました。

 

 ある日、公園でたった一人で遊んでいると、17歳ぐらいのとても綺麗なお姉さんが私に話しかけてきました。

 

「貴女どうしたの。こんな所で、お母さんは?」

「お母さんは、私にかまってくれないの」

 自分でも不思議なぐらいに、この人に素直に答えました。

 

「そうなの。余はシドゥリ、貴女のお名前を聞いても良いかな?」

「なのは、高町なのはです」

「そう、なのはちゃんは一人なら、お姉ちゃんと一緒に遊ばない?」

「えっ」

 

 お姉ちゃんの言葉に、私は驚きました。見ず知らずの子供と、わざわざ遊んでくれるんです。

 

「そうだ。お姉ちゃんがなのはちゃんに面白い物を見せてあげる」

 そう言うとお姉ちゃんの足下が輝いて、虹色に輝く大きな三角形の魔法陣が現れました。

 

「にゃ!!」

 

 私は突然現れたそれに驚きました。でも一方でその魔法陣の輝きに心を奪われました。

 

 それは、まるで虹のように綺麗で、そしてその中心で、いつの間にか金色の騎士甲冑に身を包んで立つお姉ちゃんは、この世の物とは思えない幻想的な美しさがあって、私は見惚れました。

 

「なのはちゃん、余は魔法使いなんだよ」

 

 そんな声が私に耳に聞こえました。これが平凡な子供だった『高町なのは』とシドゥリお姉ちゃんとの出会いでした。その後、シドゥリお姉ちゃんから私にも魔法の才能があることを教えられました。

 

「よかったら、なのはちゃんに魔法を教えましょうか?」

 

 その言葉に私は頷きました。

 

 こうして、シドゥリお姉ちゃんの家に行くようになって、半年が過ぎました。シドゥリお姉ちゃんは私と遊んでくれたり、お勉強を見てくれたり、魔法を教えてくれたりしてくれます。

 

 私は特に魔法の練習が好きです。あの時の虹色の輝きに憧れていました。でも私の色は桃色でした。

 

 お姉ちゃんによると、魔法の色は魔力光といって、その色は人によって違うそうです。少し残念でしたが、お姉ちゃんはなのはちゃんの桃色の光は綺麗だよって、誉めてくれました。嬉しいです。

 

 そういうわけで、私は魔法を学んでいますが、本当に魔法って凄いです。もしかしたら、お父さんの怪我も治せるかもしれません。今度、シドゥリお姉ちゃんに聞いてみようと思います。

 

 最近になってお姉ちゃんがフェイトちゃんを引き取りました。何でもフェイトちゃんは、身寄りのない子供だそうです。

 

 最初は、シドゥリお姉ちゃんをフェイトちゃんに取られると不安に思いましたが、お姉ちゃんが笑って否定して、「なのはは、大切な家族だよ」と言ってくれました。正直とても嬉しいです。

 

 それから、フェイトちゃんとも仲良くなれました。よく遊んでいます。

 

 

 

シドゥリSide

 

 いや、ホント平和だね。ちなみにはやてにはまだ干渉してないよ。グレアムの監視が付いているだろうしね。

 

 闇の書のイベントは後回しですよ。グレアムがいなければ問題ないのですが、現状では下手にはやてに近づくとネコの襲撃を受けかねない。

 

 今の余は隠密性を重視しているために、魔力を結構抑えているからなおさらその可能性は高いでしょう。というか余の魔力をそのまま放出していたら、グレアムが黙ってないよね。

 

 今の余の魔力値は次元世界の中でも右に出る者はいません。まぁグレアムに関しては仕掛けをしているから、放置しておけば問題なくなるでしょう。

 

 さて、プレシアに捨てられたフェイトちゃんは当初は落ち込んでいたけど、余がたっぷりと慰めてあげたら、持ち直してくれたし、おまけに余に依存するようになりました。要は弱っているところに付け込んで、籠絡している訳ですが、別にそれ程酷くはないよ。どのみちプレシアはフェイトを受け入れないだろうし、アリシアが蘇生した以上、フェイトの居場所はない。ならば、心の傷が余計に大きくなる前に、さっさと引き取るべきだ。

 

 なのはちゃんとフェイトちゃんの面倒は、余がちゃんと見ている。ここで人を使って面倒を見るという選択はとれない。その場合手間は省けるけど、余に懐かない可能性が出てくる。それでは本末転倒で、やはり手間を惜しまない方がいいでしょう。

 

 後、二人には時空管理局や管理世界の悪い点と問題点を、実例をあげて話しています。万が一にも管理局に入局するなどと言い出さないように、手を打っているのです。

 

 幼い頃から、日常的にいろいろ言われているとかなりの影響が出てきます。また、話している内容も全部事実だけですから、後々突っ込まれても問題ありません。というか、管理世界と管理局問題ありすぎ! つっこみどころ満載だよ。

 

 フェイトちゃんとなのはちゃんも、すっかり仲良くなって嬉しいですよ。まぁ元々、仲良しになる二人ですし、本編よりちょっと早く友達になっただけですしね。

 具体的には4年早いよ。

 

 ちなみに用意した家は、高町家からかなり近い一軒家です。元々、なのはちゃんと関わるつもりだったから当たり前です。売り家を買った。え、お金はどうしたかって? そんなの部下が金や宝石等を売って、現金を仕入れて購入したんだよ。

 

 帝国ではそんな物、二束三文で用意できます。宇宙開発が進んでいる帝国です。それの価値が暴落しているんです。

 

 ついでに言うと、ミッドチルダを初めとする管理世界は金、宝石、レアメタルは高いよ。宇宙開発が進んでいないから、需要を賄えきれていないんだ。まぁ社会上の問題も多いにありますが。

 

 それと余の場合は戸籍も用意しています。流石に戸籍がないと、不具合が出る可能性がありますから。

 

 実は帝国は、日本政府とは内々に繋がりを持っています。これからのことを考えると、日本政府を無視するわけには行きませんからね。というか本編のリンディたち管理局は、不法入国、不法滞在、日本国内での勝手な警察権力の行使など好き勝手しすぎですよ。

 

 マンションに住んで、フェイトが小学校に転校してきたことから、戸籍の偽造とかもしていたし。止めに日本国内でアルカンシェルを打ち込もうとする。日本政府をコケにしすぎ。アニメ見ていて、思わず突っ込みたくなった程です。

 

 そういえば、衛星軌道上でアルカンシェルなんて打ち込んでいたけど、人工衛星などにかなり被害が出ていたんじゃないの? 本編では一切触れていないけどね(汗)。

 

 それはともかく、コネがあると戸籍とかも融通してくれますね。ありがたいことですね。まぁ日本政府には役に立ちそうな技術や次元世界(主に管理世界)の情報を提供しているのですから、それぐらいしてくれないと困ります。

 

 ちなみに管理世界と管理局の情報を日本政府に教えているのは、別に教えても帝国は痛くないからです。ついでに管理世界の現状、魔導師至上主義と質量兵器廃絶による弊害(人材不足による治安悪化、幼い少年少女の実戦投入など)を詳細に伝えていますので、いくら平和ボケしている日本政府でも、管理局は地球とは相容れない存在であると認識するでしょう。

 

 ……本編よりも管理世界の治安が悪化しているのは、帝国の所為でもありますが、それはオフレコだよ。そして、そうなると危機感を持った日本政府は帝国との繋がりを重視するようになるという仕組みだよ。日本政府から見れば、帝国の方が遥かに良い相手だからです。

 

 

 

 そんな風に生活していたのですが、ある日なのはちゃんが魔法でお父さんの怪我を治せないかと聞いてきました。正直に言って可能です。ブリタニアの医療技術は、ミッドチルダより進んでいますから。本編でも日常生活に問題ない程度には回復していたのですから、大丈夫でしょう。

 

 ここで断るという選択肢はない。折角、ここまでなのはちゃんと親しくなったから、それを台無しにはできません。

 

 しかし、それをするならば、高町家の人間にちゃんと説明しないといけません。いきなり士郎さんが回復したら不信に思われるでしょうし、家族の協力があれば治療しやすいですから。その為、なのはちゃんの承諾を受けて、高町家に説明しに行きます。

 

 なのはちゃんは、家族に話す事に関しては少々躊躇いがありましたが、士郎さんの為に了承してくれました。まぁ高町家にはなのはの事でいずれは話さなければなりませんから、これは良い機会でしょうね。

 

 

 

「……というわけで、なのはちゃんに魔法を教えています」

「そうですか。なのはが…」

 

 桃子さんはショックを受けているようだ。少し目を離していた内に娘が、騎士見習い(なのはちゃんはまだ半人前ですよ)になりましたなどと言われれば、戸惑うだろう。恭也と美由希もそれは同じようだ。

 

 正直言って、納得してくれるか疑問でしたが、上手くいきました。何事もやってみるものですね。

 

 よく考えてみると、夜の一族、HGS、妖怪、幽霊、退魔師がいるような世界ですから、次元世界とか魔法とかいっても、受け入れてくれるだけの下地はあったんですね。実際にデバイスを起動させて、騎士甲冑をまとって、いくつか魔法を使うと信じてくれました。

 

「それで、士郎さんの治療の件ですが」

「はい、それはよろしくお願いします」

 

 そういって桃子さんが頭を下げた。ふふっ、まかされました。これで貸し一つですね。

 

 

 

 その後の、士郎さんの治療ですが簡単に終わりました。反魂の術を開発するさいに、医療系の魔法をそれなりに修得していましたし、伊達に魔法皇帝と名乗っていません。

 士郎さんが回復すると、高町家の人々も大喜びでした。筋力の衰えこそあれど、士郎さんには後遺症というのもありませんでした。まぁ余が直々に治療したのですから、当たり前です。

 

 後日、退院したときに衰えた身体を鍛え直すとか、言っていたけど修行でもするのかな?

 

 士郎さんを治療したときに、その病院の医者が慌てていましたが、余が東洋の神秘、『気』です。と言うと現代医学は負けないとヒートアップしていました。いやぁ、熱い医者ですね。

 

 

 

 さて、この世界の裏事情を少し語りましたが、調査の結果この世界にはスピードワゴン財団やジョースター家がありませんでした。ということは、この世界には石仮面とかスタンド使いはいないのでしょう。それらしい情報はありませんでしたしね。

 

 まぁHGSとかがあるから、紛らわしくて情報を整理するのが大変でしたよ。おまけにアニメのリリカルなのはは無いし、それどころが原作のとらいあんぐるハートシリーズも、マンガのジョジョの奇妙な冒険もありませんでした。

 

 他のアニメやゲーム等は記憶通りですから、これは並行世界と考えるべきでしょうね。そして石仮面もこの次元世界の地球の物ではなく、並行世界から来た物かもしれません。

 

 ここで並行世界と言えば、無限の可能性の世界を指しますね。過去、現在、未来において様々な事象で選択されていくもしもという可能性の世界。余がいる次元世界も、その無限の可能性の一つにしかすぎません。

 

 以前次元世界を海路図に例えていたのですが、この場合、無限にある海路図がそうですね。並行世界から来たとなると、別の海路図から私達の海路図に移動して来たという事になるでしょう。

 

 並行世界へ移動する手段はブリタニアでも存在しない。それを可能とする技術は、理論こそ確立しているが、その実用化はできていない。伝説のアルハザードでは知りませんが、ブリタニアでもこの有様なんです。

 

 しかし、そうなると予の記憶の出所と石仮面の存在が気になります。

 そもそも人間は死ねば、並行世界に転生する物なのか? 前世でも記憶を継承する物なのか?

 

 余が前世の記憶を持ちながら転生したこと。転生したのがベルカ聖王家であり、何故か異常なまでに魔力値が高かったこと。都合良く石仮面を見つけたこと。そして運良く石仮面を解析できたこと。これらを考えると、あまりにも都合が良すぎる。

 

 そもそも魂や輪廻転生という概念はオカルトに分類されます。だから科学技術の世界では否定されがちですし、ブリタニアでもそうです。

 

 余は一応反魂の術を完成させていますが、あれは守護獣製作の理論や、覚醒者の能力などを応用したもので、一から作った訳ではないですし、魂という物はまだ分からないことが多いんです。結局は何もわからない。それを確かめる術はありません。まぁ考えても仕方ありません。今はこの日々を楽しむ事にしましょう。

 

 そんなこんなで、穏やかに日々が過ぎていきました。




解説

 ブリタニアでは、ベルカ式魔法が現役で使われていますが、管理世界ではベルカ式魔法といえば近代ベルカ式を指します。近代ベルカ式は、ミッドチルダ式でベルカ式の魔法をエミュレートした術式です。つまりミッドチルダ式でベルカ式を模倣した紛い物であり、厳密にいえばミッドチルダ式の一形態ともいえる術式ですね。

 この辺りの区別を分かり易くするために、このSSではあえてブリタニアで使われているベルカ式は古代ベルカ式魔法と記載しています。

 ちなみにブリタニアで古代ベルカ式が主流なのは、覚醒者の能力と関係しています。覚醒者の超人的な身体能力と、肉体を制御することで発揮される様々な生体特異能力。これらは、近接戦闘に最も有効です。

 つまり砲撃魔導師が超人的な身体能力を持っていても、その利点を活かしきれない。だから近接戦闘に特化した古代ベルカ式が重宝されています。
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