ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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ある守護獣のお仕事

 皆さん初めまして、私はシドゥリ教会の教皇を務めているミコトと申します。あ、シドゥリ教というのはブリタニア帝国の国教ですよ。

 

 私は結構若い姿をしていますが、これでも500歳を超えています。陛下を除けば最長老ですよ。

 

 ちなみに私は貴族ではありません。騎士に使える獣、守護獣です。まぁ魔導師に使える獣は使い魔といいますが、主が長生きしているので、その守護獣の私も長生きしているわけです。

 

 私はただの雌猫だったのですが、皇帝陛下に見初められて契約をしたのです。実は守護獣は、ブリタニアではそれほど高い地位にいるわけではありません。所詮は、騎士の従者に過ぎませんから。

 

 ですが私は別格です。陛下と契約して繋がっている私は、シドゥリ教の教義では『聖獣』と呼ばれる特別な守護獣に分類されます。その特殊性があればこそ、教会でも最高位の教皇の地位にいられるわけです。

 

 実は帝国黎明期に、陛下は宗教を立ち上げる事を考えておられたのですが、問題はそれを切り盛りする人材だったそうです。その為、自分に絶対服従する部下として私を作られたんです。

 

 さてそんな私の仕事ですが、陛下の教えを教義として臣民に伝える事と、シドゥリ様のお目にかなう貴族の選別ですね。

 

 特に貴族の選別は大変な作業です。帝国の規模が拡大するにつれて、必要とされる貴族の数も多くなりましたし、かといって質の低下を招かないように慎重に吟味しないといけません。各地の魔法学校に選考基準を伝えて、質のいい貴族候補を推薦させていますが、それでも私が受け持つ貴族養成学校の入学者はそれなりの数になります。

 

 ですがこれは大切な仕事です。貴族候補達を見事に教育して、私自ら『覚醒の法』で吸血鬼にします。

 

 ちなみに覚醒の法は、陛下と私そして宰相しか知らない秘術です。私は守護獣の特性で陛下の知識をコピーしているから、それを使えるようになりました。

 

 シドゥリ様も、一々自分で貴族候補を選んで覚醒の法を使うのは、手間がかかりすぎるので、その辺りは私に一任されているのです。勿論、陛下自身が見初めた相手を自ら覚醒者にするということもありますが、それは帝国の初期の頃ならともかく、現在では行われていません。

 

 しかし、久々ぶりに陛下が直接認める者が出てくるでしょう。陛下は高町なのはとフェイト・テスタロッサを覚醒者にして皇妃にするつもりのようですから。

 

 陛下の決断となれば、帝国で異を唱える者はいないでしょう。元々、覚醒者の資格は血筋や出身とは関係ないですから、別にブリタニア人でなくてもいいわけですよ。最も異世界人の場合は、陛下自らの許可がいりますから条件が厳しいです。実現すれば、初の異世界出身の覚醒者にして皇妃の誕生ですね。

 

 むしろ皇妃の場合は、異世界人の方が好都合かもしれません。皇妃となると外戚の問題が出てきますから。

 

 外戚(がいせき)とは皇帝、王の母親又は妃の一族の事です。昔の地球の王朝では権力を壟断する害悪として問題になっていました。実例として、外戚同士の派閥争いがきっかけにより数百年の動乱が起こっています(西晋の八王の乱)。そのため有力な外戚の一族を追放した国もあります。

 

 この点、高町なのはやフェイト・テスタロッサは楽で良いです。高町家は地球の住民ですし、テスタロッサ家に至ってはミッドチルダ人の上に既に縁が切れています。だからその問題に悩まされる事はないでしょう。

 

 

 

 話を戻しますが、覚醒者に選ばれるのは才能のある女性のみで、男性は選ばれません。

 

 シドゥリ教において、皇帝陛下は信仰の対象です。そして陛下をお支えする貴族は、陛下に近い者が良いとされています。

 

 女性であること。高ランクの騎士であること。覚醒者であること。この三つが該当されます。つまり高ランクの騎士でないと貴族になれないように、女性でないと貴族に選ばれないんです。

 

 これが教義となっているので、男性は対象外何ですよね。というかシドゥリ教では、貴族は神聖不可侵の魔法皇帝に仕える巫女という立場にいますので、男が貴族になるというのは、男が巫女さんになろうとするような感じですね。だから、男性が貴族になるという事はない。

 

 これは教義でも、学校でも常識として学びます。

 

 そして帝国では騎士というのは、それほど需要があるものではありません。管理世界で、魔導師や騎士がもてはやされている理由は、質量兵器を禁止していることと、魔法無効化技術があまり発達していないことがあげられます。

 

 しかし、帝国の質量兵器は強力で、物によっては魔法とは桁違いの破壊力があります。ブリタニア人から見れば、魔法はAMFやMキャンセラーで容易に無力化される不安定極まりなく、強力ではあるが使い勝手の悪い特殊技能であると考えられており、わざわざ幼少期から辛い修行をして修得する意味があるのか、疑問視されているほどです。

 

 実際、魔法使いの犯罪者が魔法を無力化されて、質量兵器であっさりと射殺されるというのは、ブリタニアでは良く聞く話です。だから強力な質量兵器を確保していた方がよほど確実なんです。そのため、子供が魔法資格を得ても、その子供を騎士にするのを嫌がり、資格を返納する親もわりといます。

 

 この影響はデバイスにも現れており、管理世界ではデバイスのパーツなどは普通に売られており、自作することも可能ですが、帝国ではそもそも法で規制されているため、デバイス本体はおろかそのパーツも手に入らないし、需要自体がとても少ない。

 

 デバイスはやたら複雑な精密機械であり、自分で一から作るのは難しい。デバイス作製に関する知識も一般には、公開されていないし、デバイスマイスターも免許制で、軍が独占しています。また法でもいろいろ規制されており、民間のデバイスマイスターという職業自体が成り立ちません。

 

 つまり魔法とは、貴族になりたい魔法資格者しかまじめに学ぼうとはしないし、できない仕組みです。

 

 次に私の裏の仕事としては陛下と一緒にコスプレ衣装の設計もしています。特にメイド服は自信作です。陛下にも誉めて貰っています。

 

 そういえば、バカンス中の陛下は、秋葉原遠征だとか、夏コミに突入とか言っていたような(汗)。まぁ今の陛下は地球では無名ですから、後々の地球との交流においても特に問題はないでしょう多分。

 

 ちなみに私はS+ランクの実力があります。これ程の守護獣は維持するだけでも並の騎士では無理であるのに、それを容易く維持しておられた陛下の能力は測りしれません。とはいえ、負担なのは変わりないので、後年陛下は私をレリックウェポンにしました。魔力結晶体レリックを埋め込むことで、陛下に一切負担を掛けることなく存在できるのです。

 

 レリックウェポンは、ベルカ時代のデータの蓄積もあり、陛下曰く簡単にできたとのこと。陛下に負担を強いるのは心苦しかったので、上手くいったのはありがたいことでした。とまあ、話が長くなりましたが、私のお仕事はそういうものです。




解説

 宗教の存在は大きいものです。日本人とってはそうでもありませんが、ブリタニア人にとっては大きい。シドゥリ教では、魔法皇帝は信仰の対象であり、皇帝への感謝の気持ちと奉仕の精神を説いています。そのため、ブリタニアでは皇帝崇拝者ばかりです。
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