ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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ブリタニア帝国記 第四話(シドゥリ暦525年)

『今日の議会で、地球連邦政府は次元航行艦の建造のために軍事費を増額する事が可決しました。その事で一部の議員は…』

 

 余はニュース番組を放送しているテレビのスイッチを切る。

 

「はぁ~、つまらないですね」

 

 

 

 あれから三年。国連が中心となり、地球の各国と統合して設立した『地球連邦』は、正式に同盟国となったブリタニア帝国が提供した魔法技術や科学技術で、国力と軍事力の増強に励んでいる。

 

 余が住んでいるのは、『在海鳴・ブリタニア帝国領事館:(実際の場所)日本州海鳴市藤見町』ですね。以前住んでいた家は、今では領事館の職員の社宅にしているよ。地球連邦の本部がある東京にもちゃんと大使館があります。

 

 そろそろ本編のイベント、海鳴市にロストロギア『ジュエルシード』がばらまかれる事故が起きます。結構干渉した所為で、本編とは流れが変わってきたから、起きないかもしれないけどね。だから、地球連邦にもそれを伝えていません。だって何も起きなかったら、赤っ恥じゃないですか。

 

 国家である以上面子というのは大切です。わざわざ恥をかくことはないですしね。そうだったんですが…。

 

「……なるほど、期待を裏切らないのか?それとも歴史の修正力かな?」

 

 海鳴市周辺に、高魔力反応が複数散らばるのを感知しました。その数21、これはジュエルシードでしょうね。

 

 部下に命じて、取り敢えず地球連邦政府に連絡をしておく。勝手に動くと、外交上の失点になるおそれがある。さて、どうなる事ですかね。余が動いても良いけど、ブリタニア帝国皇帝という公的な立場上、この地球では不用意に動けない。といっても、地球には帝国の騎士は余しかいないしね。

 

 なんで貴族を地球に配置していないかって? ここは、紫外線規制法がない世界だし、血液の確保がやりにくいです。おまけに、キリスト教やイスラム教では、覚醒者で魔法使いである貴族は、あまり歓迎されていません。だから、地球にいる部下は全員平民です。

 

 ここは本編通りに、なのはとフェイトにやらせるか? いい実戦経験になるかもしれないしね。

 

 本当は10歳にも満たないあの子たちを戦わせるのは本意ではない。でも、ジュエルシードが海鳴市にある以上、いずれはあの子たちが関わるでしょうね。身近に起こっていることを、見て見ぬふりをする子たちではないから。

 

 他にも周囲に被害が出るかもしれないから、海鳴の警察にも協力して貰いましょう。私の指示で部下が動いていく。

 

『なのは、フェイト聞こえる?』

『『は、はいっ』』

 

 余からの急の念話に二人ともどもりながらも返事をした。

 

『まずいことになったから、急いで私の元に来なさい』

 

 私は取り敢えずなのはとフェイトを呼び出す。

 

 

 

「……という訳で様子を見るわ。今ちょうど未確認の魔法行使が付近で起こっているから。なのはとフェイトには悪いけど一緒に来て貰うわ」

 

 呼びだした二人に早速事情を説明する。

 

「うん、シドゥリお姉ちゃん」

「はい、お姉さま」

 

 うん、いい返事だ。特にフェイトのお姉さまは良いね。百合っぽいけど、お姉ちゃんよりもお姉さまの方が何か響きがいいと最近感じているんです。

 

 ちなみに周りの者は、余が男嫌いで百合だと思っているので、性的な意味で男が近づいて来る事はない。公務ならばともかく、私的な場面では男を避けていますから。

 

「じゃあ、ストライク」

「うん、ヴァジュラ」

「「セットアップ!」」

 

 なのはとフェイトがデバイスを起動させる。なのはとフェイトが一瞬にして騎士甲冑になる。

 

 ここで変身シーンがちゃんとないかって? 確かにアニメでは衣服が飛び散り、全裸になってバリアジャケットの服を一枚ずつ身に纏うという描写があるけど、あれはアニメ効果で実際には一瞬で騎士甲冑に変わります。おまけに変身中は魔力光の光に包まれているから外からでは見えません。勿論設定を弄れば、アニメ描写の様に時間を掛けて変身して、外からでも見えるようにすることはできます。

 

 前に試したことがあったけど、アレは良かったね。なのはとフェイトの変身シーンは良かったです。アニメのシーンを彷彿とさせます。一応言っておきますが、でも他の人がいる場合はやりませんよ。それぐらいの配慮はしていますから。

 

 なのはのデバイスは両手のグローブで、騎士甲冑は第三期のアグレッサーモードによく似ています。本編通りに私立聖祥大学付属小学校の制服の影響を受けたみたいだけど、私の干渉の影響もあるみたいだね。フェイトのデバイスは日本刀(打刀)で、騎士甲冑は第二期のライトニングフォームそのまんまです。

 

 飛行魔法で現場に向かう私達。ちなみに光学迷彩などはしていません。三年前ならば一般人に対する魔法の隠蔽のために迷彩は必要でしたが、今の地球では魔法は認知された存在です。隠す必要がない。

 

「さて、どうしたものか」

 

 眼下には謎の生物(?)と一人の少年(ユーノ・スクライア)が戦っている。

 

「助けないの?」

 

 なのはが聞いてきます。

 

「あの少年どう見てもミッドチルダ式の魔導師だから、管理世界の人間よ。だから少し様子を見るわ」

 

 ユーノが使っている魔法形式は、ミッドチルダ式魔法だ。地球やブリタニアでは古代ベルカ式が使われているので、地球でミッド式を使う者はいないはずだ。まぁ例外として余は一応使えるけど、普段使いません。特に必要なしね。

 

「そうですか」

 

 なのはは管理世界には思うところがあるようだ。まぁ管理局の所為でいろいろと面倒な事になったしね。

 

 管理世界の魔導師と、ブリタニアと関係のある地球出身のベルカの騎士という違いがあれど、地球の人々にはその違いがわかりにくいもの。だから、ブリタニア帝国が公的になのはとフェイトの身分を保証している。同盟国の保証という盾で守られている立場なんだね。

 

 ちなみに、はやては三年前に守護騎士達と一緒にブリタニアに疎開の為に移住してそのままだよ。どうも管理局の干渉がありかねない地球よりも、ブリタニアの方が安全だと判断したみたいだね。元闇の書の主という立場(現在では夜天の書)だからロストロギア不法所持を問われかねないし、闇の書事件の被害者の復讐などもあるかもしれないから。

 

 元々身寄りの無いある意味身軽な立場だったから、地球にそこまで執着しなかったんだろう。

 

「私チキンだから安全優先よ」と疎開する時に言っていたよ。

 

 まぁ好都合だから移住の手続きをしたのは余だけどね。というわけで、私達はユーノがボコられているのを見ています。

 

『だれか、僕の声を聞いて。力を貸して。魔法の、力を…』

 

 力尽きた少年が無差別の念話を送り、その姿を変えていく。

 

「お姉ちゃん、あの人イタチになったよ」

「なのは、あれはフェレットだよ。変身魔法を使ったようね。となるとスクライア一族でしょう」

 

 本編知識を持つはやてがこの場にいれば、余の言葉は白々しく聞こえただろうが、予はなのはとフェイトの前では素知らぬふりをしていた。

 

「さて、アレを放置するのもまずいわね。フェイト封印処置をしておいて」

「はい」

「あの、シドゥリお姉ちゃん私は?」

「なのはは待機。あの程度一人で十分」

 

 実際あのジュエルシードの暴走体は弱い。

 

 フェイトがヴァジュラで暴走体に切り掛かる。フェイトの斬撃に切り裂かれる暴走体。やっぱり弱いね。まぁフェイトを本編より強くしてはいるからかな。

 

「プラズマスマッシャー」

 

 そして、とどめの魔力砲撃。フェイトはあっさりとジュエルシードを封印する。

 

「終わりました」

 

 フェイトが戻ってきた。

 

「ご苦労様、さてこいつから色々と話を聞かないとね」

 余の視線は、その場に倒れているフェレットに向いていた。

 

 

 

「おい、起きろフェレット」

 

 取りあえず、なのはとフェイトと共に、ユーノをブリタニア領事館に連行した。

 

 ちなみに負傷に関しては治療しておいた。本当は男を治療するなんて嫌だけど、そうしないと話が進まない。といっても完全に治療してはいない。あくまで最低限度。

 

 つまり、話が出きる程度の治療です。ちゃんと治療しないのは、ユーノが味方ではないからだ。こいつは管理世界の人間だから、極端にいえば敵国の人間です。

 

「え、何っ!?」

 

 余がユーノを無理やり起こすとびっくりして起きあがった。

 

「起きたわね。貴方には色々と聞きたいことがあるわ」

 

 余が時間を掛けて尋問します。

 

 

 

「はぁ、それで暴走体にやられていたってわけね」

 

 余は呆れ混じれに言った。何というかね。やることが中途半端だよね。ジュエルシードを単独で回収するだけに実力もないのに、管理局に通報していない。本編ではそうだしね。

 

 本編とは違う点は、ユーノが未だに一個のジュエルシードも回収していないこと(先程はフェイトが回収したよ)。

 

 こちらでは輸送船が事故を起こして、この世界にジュエルシードが散らばってしまったらしい。

 

 もしかして本編でもそうだったのかな? てっきりプレシア女史がジュエルシードを手に入れるために輸送船を攻撃したとばかり思っていたけど。

 

 とはいえ今回はかえって良かったかもしれない。管理局が来たら、地球連邦を思いっきり刺激することになるしね。現在の第97管理外世界(管理局命名)は、反管理局派の世界ですから。

 

「まぁいいわ。ジュエルシードの回収は貴方では無理みたいね。フェイトとなのはにやって貰うとしましょう」

「そんな、僕が回収します」

「回収以前に、貴方は戦闘向きの魔導師じゃないじゃない」

 

 実際結界魔導師は戦闘に向いていない。後方支援ぐらいしかできないんだ。こいつの魔力値もそれほど高くないし(Aランク程度)。

 

「……そうですね。お願いします」

 

 ユーノも自らの能力は解っていたのだろう。渋々、了承する。

 

 しかし、ジュエルシードか、回収したとしてもそのまま管理局に提供するというのはどうかと思うよね。アレって結構な危険物だし。その辺りも連邦と話しておかないと。

 

 

 

ユーノside

 

 ジュエルシードの暴走体に負けて、次に気付いたら高ランクの騎士に囲まれていました。

 

 僕と同じぐらいの年齢のなのはとフェイトは既にSS+ランクの魔力を持っているし、目の前にいるこの人は規格外だ。というか、この人本当に人間なのか? 感じられる魔力はSSS+を遥かに超えているよ。

 

 確かに彼女から見れば、僕はいまいちでしかないだろう。だから、なのはとフェイトがジュエルシードの回収をすると言われたときに了承するしかなかった。それが正しいのかは解らない。ただ自分では力不足であるという事だけは理解できていた。だから、彼女たちに頼もうと思う。




解説

■刀型アームドデバイス『ヴァジュラ』
 このSSでのフェイトのデバイス。シドゥリがフェイトの戦闘方法を検討して、開発したデバイス。人工知能を搭載しており、フェイトとの意志疎通を優先して、フェイトが普段用いている言語を使用している。バルデッシュと同じで近接戦闘に特化しており、射撃・放出用の専用形態を持たない。本編では戦斧、大鎌、大剣、剣と色々な形態があるが、この様にフォルムが多いと処理能力が落ちるし、デバイス本体の強度も低下する。さらに近接戦闘の技能を極めるのに向いていない。そこで魔法形式を古代ベルカ式にした際に、基本的な近接形態は打刀に絞った。武器としての性能を重視し、魔法サポート能力はストレージデバイスに比較して劣っているが、フェイトはナノマシンデバイスを使用しているので問題ない。

 待機フォルムは金色の三角形とバルデッシュを模倣している。

 デバイスフォルムはヴェジュラの基本フォルムで、形状は日本刀の打刀。柄(つか)の部分が金色の結晶状になっている。片手・両手どちらでも扱えるサイズで、フェイトは通常戦闘の大半をこの形態で行う。

 ザンバーフォルムは半実体化した魔力刃を持つ大剣の形をしている。その性能の大半は攻撃に向けられ、無詠唱の結界破壊や巨大な威力の斬撃・砲撃が可能。ただ魔力消費が激しいので、あまり使い勝手は良くない。第二期のザンバーフォームを模倣している。



後書き

 今回三年ほど時間が飛んでいますが、話が進む内に空白の三年間の間に起こった事がわかるようにしていますので、ご了承下さい。
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