ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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 ※注意 今回の話は極端な管理局ヘイトなので、ヘイトが嫌な方や、管理局スキーな方は、御覧にならないで下さい。


時空管理局戦争、そして地球連邦の樹立

 シドゥリの朝は割と早い。今日も寝室のダブルベットからシドゥリが身を起こす。余の隣にはなのはとフェイトが眠っています。最近は三人で寝ることが多いです。

 

 ベッドから下りた余は机においていた本に目を向ける。確か先日読んでいた本だった。確かこの本の内容は……。

 

 

 

 

 

 時空管理局、その存在が地球の各国に知れ渡る事になるのは、ブリタニア帝国との接触が切欠だ。当初帝国は日本国と密かに接触していた。これは当時地球には管理局に協力している人間がいたので、情報の漏洩を恐れたため。その後、他の国々とも接触して、様々な技術提供を受けていった。

 

 しかし、その状況は長くは続かなかった。突如として地球の各国に、管理局から最終勧告が突き付けられた。

 

『貴世界は自らの世界を滅ぼして余りある大量破壊兵器を保有しており、貴世界の魔法技術は次元世界の安全を脅かすものである。よって時空管理局は貴世界に次の要求を行う。

 1、質量兵器の全面禁止

 2、地球各国の全権の譲渡

 3、貴世界の魔法技術の全面譲渡   

 これらが受け入れない場合、管理局の正義の名の下、貴世界を武力制圧するものである』

 

 事実上の無条件降伏要求だった。

 

 特に質量兵器の禁止はまずかった。既に地球の魔法資質者の調査で、地球には魔法資質者の数が少なすぎる事が判明していた。これでは魔導師のみで治安維持などできるわけがない。地球の治安維持には質量兵器は必要なのだ。地球はミッドチルダとは事情が違う。

 

 当然ながら国連で開かれた緊急会議でこれは拒絶された。この時、日本政府はブリタニア帝国との同盟を結んでおり、管理局と戦争になったら国連の救援要請があれば助けるという約束を交わしていた。

 

 しかし、アメリカなどの大国は帝国に借りを作るのを嫌い、救援要請を出すのを反対した。これは帝国が妙に日本贔屓(びいき)だったのも大きく影響していた。そして、これが地球側の最大の失敗となった。

 

 この時最初から助けを求めていれば、その後の歴史は変わっていただろう。管理局の戦力は、地球側の想像を超えていた。

 

 

 

 そもそも、この様な流れとなったのは、偶然にもギル・グレアムの遺品回収に来ていた局員が、第97管理外世界の魔法反応を発見したからだ。その遺品回収は、管理外世界に住んでいた局員の私物の中で、管理外世界に置いておくとまずいものを(その世界ではオーバーテクノロジーな代物など)回収する為です。元来はグレアムの縁者がやるものだが、事情を知っていて協力している者がいないので、局員が直接対応していた。

 

 その後の管理局の調査の結果、地球の複数の国の研究所で秘密裏に魔法の研究が行われている事がわかった。

 

 しかも、その魔法形式は僅かに残っていた古代ベルカ式魔法のデータと9割以上一致しており、技術部の推測では、古代ベルカ式魔法の亜種または古代ベルカ式魔法を元に改良を進めた魔法形式であるという結論が出た。

 

 古代ベルカ式魔法は、現在ではレアスキル扱いを受けている遺失世界の魔法形式だ。現在でもわずかに古代ベルカ式魔法の使い手はいるものの、その技術の大半が失っていた。

 

 その為、本局では第97管理外世界を管理外世界として放置するのは危険なので、管理世界にしてその魔法技術を吸収すべきという強硬派と、魔法技術が未だ一般に公開されていないから、干渉しなくていいという穏健派に意見が分かれるが、結局は強硬派が穏健派を押しのけて暴走した。

 

 

 

 シドゥリ暦522年(新暦62年)。地球側が管理局の要求を拒絶すると、5隻の次元航行艦が地球侵攻を開始する。大気圏外にいる艦船から発射される魔導砲。それは容赦なく都市を焼き払っていく。

 

 この時、管理局の艦隊を指揮していたアイムザット提督は、本局にやたら多い魔法至上主義者で、管理外世界を未開の辺境世界、その住民を蛮族と見下している人物だった。その部下も似たり寄ったりであったので、生意気にも管理局に刃向かう蛮族共に容赦などしなかった。

 

 地球各国も大慌てで反撃するが、大気圏外の艦隊を攻撃する手段が不足していた。これは地球の軍備が、同じ地球上の国家と戦う事を想定して整えられていたからだ。つまり宇宙からの侵攻など想定してないし、その迎撃手段もまともに整っていなかった。

 

 地球側にできたのは、辛うじて核弾頭ミサイルを少数打ち上げることができたぐらいであったが、宇宙空間では威力が大幅に落ちる核兵器では、次元航行艦のディストーション・シールドを破ることはできなかった。

 

 管理局は艦砲射撃で徹底的に叩いたのちに、100人近くの武装隊が転移して攻撃を開始した。

 

 地球側にとって不運だったのは、アイムザット提督が核保有国を最優先殲滅対象にしていた事だった。その為、早々に国際連合本部ビルがニューヨークごと魔導砲で消滅してしまう。これで国連本部が消滅したため、ブリタニアに救援要請を出すこともできなくなった。

 

 地球各地で猛威をふるう魔導砲。多くの都市や町が破壊されていった。

 

 アイムザット提督が、ここまで無差別攻撃を行ったのは、それだけこの世界を危険視していたからだ。

 

 地球は自らの世界を何十回と滅ぼして余りある程の核兵器を保有していた。国の権威の為とか、国防の為と主張する国も多かったが、同じ地球人でも核兵器の保有には懐疑的な人間が多い。これで質量兵器を危険視して廃棄した管理局に理解を求めることは難しいだろう。

 

 実際、アイムザット提督には、第97管理外世界は危険極まりない世界にしか見えなかった。

 

 次元世界の安定の為、管理局の正義の為。人は大義名分を与えられば、何処までも残酷になれるもの。ましては自らが正義と主張し、強大な権力をふるい続ける管理局。この辺りの感覚が狂っているのも仕方がない。

 

 元より、大局の為と地上を切り捨てている組織。大の為に小を切り捨てる。ロストロギアの対応などでも、それが当たり前だった。

 

 彼にとってこれは虐殺ではなく、危険な文明の排除という名目の、ただの強制執行に過ぎなかった。

 

 この事態に焦った日本政府は、混乱する国連を無視して日本政府単独で帝国に救援を要請した。これを受けてついに帝国が動いた。

 

 

 

 各国を蹂躙していた管理局の前に、所属不明艦隊が現れたのはそれからすぐであった。

 

「提督、不明艦隊が!」

 

 迷彩を解いた戦艦十隻からなる帝国艦隊が管理局の前に現れていた。

 

「何だと、魔導砲を打ち込め!」

 

 アイムザット提督の命令に反応して艦隊から魔導砲が放たれるが、魔導砲は帝国艦艇に向かう途中で消滅した。

 

「なっ、どういう事だ?」

「無効化です。魔導砲を無効化しています」

 

 管制員の言葉にアイムザットは愕然とする。魔導砲を防ぐのではなく、無効化するなど管理局でも不可能だ。一体、この艦隊は?

 

「敵艦隊より高エネルギー反応!」

「なっ!」

 

 その次の瞬間、強力な重力波砲が管理局艦隊を飲み込んだ。その一撃で管理局艦隊は消滅した。

 

 

 

 一方、地球上に降下していた武装隊にも異変が起こっていた。武装隊は艦砲射撃で壊滅している地上を攻撃していた。勿論現地の軍も抵抗していたが、艦砲射撃で既に壊滅状態の彼等にとって魔導師の相手は難しかった。

 

 魔導師のバリアジャケットは拳銃程度ならば防ぐし、シールド魔法は小銃の連射にも耐えた。一方的な蹂躙をしていた彼等の前に彼女が現れる。

 

 いきなり二百発以上の誘導射撃弾が武装隊に打ち込まれた。それは誘導弾とは思えない威力と数であった。殺傷設定で放たれたそれは武装隊の半数の命を絶った。

 

「へえ、半数も残ったんだ」

 

 生き残った彼等の前にそれが現れる。金色の髪にオッドアイの少女。いや、彼等にははっきりと感じることができる。目の前の少女がとんでもない化け物であると。

 

「邪魔だから死になさい」

 

 その言葉に彼等が一斉にシドゥリに攻撃を行う。各々が砲撃魔法や射撃魔法を放ったが。

 

「「「「何っ!!」」」」

 

 それらは全て少女を包む虹色の光に全て弾かれた。

 

「馬鹿ね。そんな攻撃効かないわ」

 

 実はシドゥリは覚醒したことで、遺伝子調整によって得た固有技能である聖王の鎧が、桁違いに強化されていた。ヴィヴィオの鎧ならば、本編なのはでもブラスター3のスターライト・ブレイカーで破れたが、シドゥリの鎧は、ブリタニア軍の主力戦艦の重力波砲を受けてもびくともしない。

 

 アルカンシェルならあるいは何とかなったかもしれないが、それは既に艦船ごと排除されていた。

 

「じょ、冗談じゃねえ。こんな化け物相手にしていられるか!」

 

 艦隊と連絡を取り撤退しようとした彼等であるが、艦隊とは連絡が取れない。

 

「ふふっ、次元航行艦ならもう始末したわ。残りはお前らだけ」

 

 今のシドゥリの姿は、金色の騎士甲冑を纏い、両手にグローブ型のアームドデバイス『シーカー』と刀型のアームドデバイス『リッパー』を装備していた。ついでにナノマシンデバイスを起動させて、カイザー・シドゥリの膨大な魔力バックアップを受けていたシドゥリの魔力値は、待機時で既に2000万を超えていた。

 

 ちなみに魔力バックアップはシドゥリ専用のナノマシンデバイスの疑似リンカーコアに流し込んで制御していた。あんな膨大な魔力生身のリンカーコアでは捌ききれないからだ。

 

 リッパーの一振りで魔導師の首が飛び、砲撃の一撃は魔導師を消し飛ばす。最早、まともな戦いではなく殺戮と化していた。シドゥリが武装隊を殺し尽くすのにさほど時はいらなかった。

 

 

 

 帝国が管理局を排除した後で、各国はその被害を確認して愕然となった。アメリカ、ロシア、中国などの核保有国は魔導砲の集中攻撃で国土の大半が廃墟となっており、主立った先進国も壊滅状態。まともに残っていたのは、日本国を除けばアフリカなどの発展途上国ばかりだった。死者、行方不明者も推定で20億人を超えていた。

 

 これを受けて、各国で情報を公開した。ブリタニア帝国、時空管理局、次元世界の情報。それにより民衆から反管理局・反魔導師主義が出てきた。

 

 民衆は怒り、そして恐れた。 この様な殺戮を行う管理局に怒り、そして地球人類が滅ぼされるのを恐怖した。それらは統一と団結という流れに結びついていく。民族、宗教、文化、様々違いがあれど同じ地球人だ。異世界からの侵略という事態は、これまでになかった同じ地球人という意識を発生させた。

 

 ワン・アース、地球を一つに、これは当時地球ではやったスローガン。政府が煽らずとも、民衆は団結と統一を望んでいく。かつて地球に蔓延していたテロも、地球人類滅亡の危機という状況においては支持を失い自然消滅した。

 

 

 

 かくして翌年『地球連邦』が発足した。その本部は唯一無傷だった先進国、日本の首都におかれることとなった。これにより地球は統一されて、それまでの国は消え、国土は州となった。とはいえ、問題がまったくなかった訳でもない。

 

 特に日本は食料自給率が低く、資源もない国だ。この混乱期に食料や資源の輸入などできるわけもない。戦後すぐに帝国からの大規模な支援がなければ餓死者すら出ていただろう。

 

 生き残った各地の民衆も、帝国の支援を受けて持ち直していった。その為、地球は親ブリタニア派となっていった。

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 溜息を零したシドゥリがその本から目を離す。少し嫌な事を思い出していました。折角の朝の爽快な気分が悪くなった。

 

 あの時、日本政府の要請を受けて動いたのは、日本政府に恩を売る目的もあったが、そうでないと大義名分が成り立たないからだ。

 

 そもそも、管理局が侵略していたのは地球であって、ブリタニア帝国ではない。つまり帝国には直接的な開戦理由はない。頼まれてもいないのに、勝手に管理局と開戦するのは筋違いです。というか下手をすると侵略行為になってしまいます。だから同盟国の救援要請を受けて、管理局と開戦するという形が必要だった。

 

 国連を通して救援要請という形にしても、そうすれば日本政府も他国との外交問題にならないだろうと配慮してのことだったが、それが裏目に出てしまった。国連が救援要請を出さないなど、想定していなかった。大国は大局を読めず目先の小利に拘って、あんな愚行を犯した。

 

 しかし、それがすべて悪かったわけではない。実際20億人という犠牲がなければ、これほど地球は団結できなかった筈だ。

 

 今の地球は新しい時代を迎えようとしている。それは前世の私も経験したことのない事。黄金時代といってもいいだろう。地球連邦には新しい風が吹いている。シドゥリは新たなる時代の胎動を感じていた。

 

 シドゥリの寝室の片隅に置かれた本の題名は、『時空管理局戦争、そして地球連邦の樹立』と書かれていた。




解説

■グローブ型のアームドデバイス『シーカー』
 シドゥリの独自システムに対応したデバイス。砲撃などのサポートを担当。

■刀型のアームドデバイス『リッパー』
 前世で剣術を修得していたシドゥリは、その経験を活かすために打刀型のアームドデバイスを用意していた。デバイスフォルムが打刀で、ソードフォルムが赤い大剣になっている。

■シドゥリ専用ナノマシンデバイス
 カイザー・シドゥリの膨大な魔力バックアップを捌くために色々と調整されている。
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